バカと魔王と澱の神   作:アマガキ

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気が付いたら寝ていたので投稿できませんでした。すみません。

あと龍の名前の募集に全然来ないので、思い付きでもふざけ半分でもいいので書き込んでいただけるとありがたいです。


第十一話 嵐の前の何とやら

明久は起きた。

 

昨日はあれから帰ってきてからいろいろと説明を受けた。

 

なんでも吾川さんには聖女になる素質があるらしい。

 

しかし失敗すれば魔王になる可能性も持っているらしい。

 

そして神殿教会は聖女になった吾川さんの力で神を下ろそうとしているらしい。

 

しかし社長が言うには神が下りることで世界のバランスが崩れ、たくさんの人が死ぬらしい。

 

だから吾川さんには魔王になってもらうらしい。

 

ちなみに借金の話は吾川さんをこっちの世界に引っ張り込む口実だったらしい。

 

彼女に法的な拘束力はないとのことだった。

 

というわけで今明久は、伊織邸の厨房にいる。

 

自分もできることをしようと考えた結果、まずは朝食でもと思ったわけだ。

 

適当な有り合わせで作ったものだが何とかなるだろう。

 

 

 

 

 

 

「これ吉井君がほんとに作ったの?!」

 

鈴蘭が驚愕の声を上げる。

 

「ふん、なかなかにうまいな。これなら店でも出せるんじゃないか?」

 

「そうですか!」

 

明久も自分の料理をほめられうれしそうである。

 

「でも、吉井君って確か水と調味料だけで生きてるんだよね?」

 

「なんで知ってるの?」

 

「カッコが言ってたから」

 

「えっとアキヒサ君、ご飯はちゃんと食べないといけませんよ」

 

みーこさんも言っている。

 

そんな中リップルラップルだけは黙々と食事をとっていた。

 

「リップルラップルは何か食べたいものとかある?」

 

明久が聞くと、

 

「パエリアが食べたいの」

 

と言った。

 

「おいおい明久パエリアなんか作れるのか?」

 

「作れますよ。むしろ得意料理ですから」

 

それを聞くとリップルラップルは心なしか嬉しそうに見えた。

 

まあ、無表情なのだが。

 

「そうだ明久後で一緒に来い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「社長どこに向かっているんですか?」

 

今明久は伊織に連れられて伊織邸の廊下を歩いていた。

 

「わが社の技術顧問といったところかな?まあ君用に武器を作らせようというわけだ」

 

そして伊織はあるドアの前に立ち止まり中に入っていった。

 

続いて明久も入ると、そこはごちゃごちゃとよく分からないものがいっぱいある部屋だった。

 

「ひひひひ、伊織ぃぃぃぃ。今日は何のようなんだいぃぃぃぃ」

 

おかしなテンションの人もいたが。

 

「えっと社長この人は?」

 

「ドクターだ。さっき言ったわが社の技術顧問のようなものだ」

 

「そそそそそれで、要件を早くいってくれよおおおおおおお」

 

「狂った博士って感じなんですけど・・・・」

 

「腕は確かだ。ドクターこいつに合う武器を作ってほしいのだが・・」

 

「ひひひひそれなら用意してあるさああああああ」

 

「何?」

 

「リップルラップルから話を聞いたのさあああああああ」

 

「いやしかし普段のお前なら誰彼かまわずドリルをつけようとするはずなのに?」

 

「ドリルううう。伊織君が付けるのかいいいい!」

 

「いやいい」

 

明久は今の会話でほんとにドクターは恐ろしいものだと感じていた。

 

(ドリルをつけようとするって・・・)

 

明久がドクターにおののいていると、ドクターはナイフの入ったベルトを持ってきた。

 

「えっと、それは・・」

 

昨日明久が使ったものによく似ていた。

 

「ひひひひひこれでも君用にカスタマイズしたものだよ。ワワワワイヤーなんかを仕込んである。そ

この森で実験するといいいいいいいいいいよ」

 

「いつもながら仕事が早いと言いたい所だが今回は早すぎないか?」

 

「そそそそそんなことないさああああ」

 

キョドってるんだかそうでないのかよく分からない。

 

「あっ、あとでご飯作るんですけどもってきますか?パエリアなんですけど」

 

「パエリアああああああああ。いいよお。よろしくお願いしようううううううう」

 

ちょっと狂った感じだったが、なかなか面白そうな人だとドクターにいい印象を持った明久は庭で武

器の試験運用をしてみた。

 

これがなかなかに使えた。

 

FFF団との戦いおよびFFF団としての戦い、そして鉄人を相手にとる逃走劇が明久を強くしたのだろう。

 

 

 

昼食時

 

パエリアを作り終えた明久はそれぞれのところに持っていった。

 

ドクターのところに持っていくと、

 

「ひひひひひ、とってもおいしいよおおおおおおおお。また作ってくれよおおおお」

 

とハイテンションだった。

 

 

 

伊織にも好評だった。

 

「君には驚かされてばかりだ。他はバカだが料理と戦闘センスは一級品だな」

 

 

 

沙穂に持っていくと、黙々と食べていた。

 

無気力気な表情は相変わらず変わらないが、心なしか嬉しそうだった。

 

 

 

みーこさんのところに持っていくと、

 

「あらあら、おいしいですね」

 

と幸せいっぱいといった感じだった。

 

得意料理をほめられた明久もなかなかうれしかった。

 

 

 

そしてみーこさんにリップルラップルと吾川さんが一緒にいることを聞いた明久は地下一階に向かっ

た。

 

 

 

「リップルラップルに吾川さん。いるーー?」

 

そう聞きながら明久は地下一階の研究室に来ていた。

 

みーこによると二人はここにいるそうだ。

 

「いらっしゃいなの」

 

「あっ、吉井君なんで?」

 

「昼ごはんだよ。」

 

そういって明久はカートからパエリアを出す。

 

「待っていたの」

 

と言ってリップルラップルは空いた机の席に座る。

 

「ここが最後だから僕も一緒に食べるけどいいよね?」

 

「もちろんなの」

 

食べ終わると、鈴蘭がショックを受けていた。

 

「そんな、私の作る何倍もおいしい」

 

「とってもおいしいパエリアだったの」

 

「それはありがとう」

 

「二人とも結構仲いいんだね?」

 

「そうかな?」

 

「そうでもないの」

 

(それでも結構仲いいんじゃないかな?)

 

「そういえば吾川さんは何でここにいたの」

 

「あっ、ご主人様に頼まれた仕事が」

 

鈴蘭さんはおびえてぶるぶる震え始める。

 

「まあ大丈夫なの」

 

「「えっ?」」

 

「その薬品ならもうちょっとで完成するところなの」

 

「ならよかった」

 

ほっと息をつく鈴蘭だった。

 

 

 

鈴蘭も出ていき明久も出て行こうとするとリップルラップルに引き留められた。

 

「ちょっと話し相手にでもなるの」

 

「話すって何を?」

 

「なんでもいいの」

 

「じゃあ学校の話とか?」

 

「そんなのでもいいの」

 

それから明久はいろいろ話した。

 

学校の友人のこと、学校そのもののこと、家族のこと。

 

それから今までの思い出なんかを。

 

「それでアキヒサが中学に入るまではどうだったの?」

 

リップルラップルが聞くと明久はそこで顔をしかめた。

 

「どうしたの?」

 

「それより前は覚えていないんだ。」

 

「どういうことなの?」

 

「記憶がないんだ。中学に入ったのは二年からだし、それまでのことはわからないんだ。父さんと母

さんが拾ってくれたらしいんだけど・・・・」

 

「ということは明久の親と血はつながっていないの?」

 

「まあそうかな?そんなの関係ないけど」

 

「そうなの」

 

それからちょっとの間沈黙が訪れた。

 

「私の宝物を見せてあげるの」

 

おもむろにリップルラップルが言い出した。

 

「へ?」

 

話の急展開に明久がついていけないでいると、

 

「これなの」

 

そういってリップルラップルはいくつかの竹籠を持ってきた。

 

そこには子供が抱えられるほどの大きさの青、緑、白のわらび餅のようなものが入っていた。

 

「えっとこれ何?」

 

「スライムなの」

 

「えっとこれが?」

 

コクコクとリップルラップルがうなずく。

 

「へえなかなか、かわいいね」

 

「そうなのそうなの」

 

「そんなに好きなんだ?」

 

コクコクと再びリップルラップルはうなずく。

 

そうして二人はしばらくスライムを眺めていたが、思い出し様に明久は質問した。

 

「そういえば吾川さんに渡した薬ってなんなの?」

 

「改造部品なの」

 

「は?」

 

「分かりやすく言えば鈴蘭は今頃改造されているの」

 

「えっとその手術に必要な薬品なの?」

 

「そうなの」

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして明久は、

 

「そろそろ皿洗いをしなくちゃいけないから僕戻るね」

 

「いってらっしゃいなの」

 

と帰って行った。

 

 




今回のあとがきは出番の少なかった鈴蘭さんとお送りします。

「出番の少ないとか言わないでください」

明久が遊んでる裏でいろいろあったんですよね?

「はい。朝みーこさんと掃除してるところまではよかったんですよ」

それで?


「ご主人様に呼ばれたかと思うといきなりお使いですよ」

それでリップルラップルのとこにいたんですよね?

「はい」

でも自分のパワーアップに必要なものをもらいに行っただけですよ?

「聞かされてませんよ!!なんですか改造手術って知りませんよそんなの」

そして鈴蘭改造体となったわけですね?

「言わないでください」

さて裏話はここまでにしますか。

「はい。次回予告に移ります」

次回は十一月二十日土曜日を予定しております。さすがに日曜日はテスト前日なので

次回 動き出す聖騎士団

   最後のミーティングに挑む明久たち

   そして翔輝に降りかかる悩みとは…・

第十二話 開戦前

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