「くそっ!」
明久に時間を稼がれまんまと伊織に逃げられた翔希は自分を毒づく。
車の行く方向を確認した翔希はすぐさま自分のバイクを止めたところに戻っていた。
するとそこにクラリカもいた。
「クラリカどこ行ってたんだ?」
「明久君に吹っ飛ばされた銃をとりに言ってたっすよ」
「伊織に逃げられた、追うぞ」
「わかったっすよ」
そして二人はバイクに二人乗りして、追い始めた。
「それにしても明久君は末恐ろしいっすよ」
「ああ、殺気を細かく感じ取れる。勇者の剣を避け続ける。どれをとってもな」
「案外勇者になれるんじゃないですか?」
「伊織の指示に従ったのも吾川のためって感じも見られるしな」
「まっ、今回の件が終わったらフェリオール司教に報告するっすよ」
そうこう話しているうちに伊織の車が見えてきた。
「まずは吾川の救出及び明久の無力化をしないとな」
「来たか」
伊織の言葉に明久と鈴蘭が後ろを見ると翔希とクラリカがバイクに二人乗りしておってきていた。
「追いつかれますよ!」
「分かってる!」
鈴蘭の発言に伊織はかみつくように答える。
「覚悟しろぉぉぉ!伊織ぃぃぃぃ!!」
後ろから叫びながらバイクを狩る翔希がどんどん近づいている。
「どうやら運転技術だけは大したもののようだな」
「えっと、長谷部先輩がまるで暴走族みたい・・・」
「そういうう者に好まれるバイクだが、確かにモノホンのようだな」
ノーヘル、鉢巻、片手に剣でクラリカとの二人乗り。
剣が木刀か鉄パイプなら完璧だったろうに。
「もしかしてあの剣でこの車を真っ二つとかできますか?」
「まさか・・・」
「相変わらずいい勘してるな明久」
「ええーー!」
「勇者はそのレベルの存在ということだ。まあ策はある。あわてるな」
いうが早いが車のスピードを上げる。
一直線の下り坂でだ。
さらにその先には急カーブがある。
バイクに乗った翔希も負けじとスピードを上げている。
伊織はスピードを上げ続けるが翔希を振りきれない。
バイクの排気音とともに翔希が近づいてくる。
「終わりだ!伊織!」
「ほざけ」
急カーブの直前で伊織は急ブレーキをかけた。
ドガンッ!!
ミサイルのような勢いで翔希とクラリカを乗せたバイクは車の上を飛び森の中に突っ込んでいった。
「ふん、交通弱者という言葉を知らんかったようだな」
鈴蘭の悲鳴を引きづりながら、車は帰ってゆくのだった。
「吾川さん、大丈夫だってあの人らは頑丈だよ」
「明久の言う通りだ。この程度で死ぬ奴らじゃあるまい。」
「そうですか」
まあ鈴蘭にもなんとなくそんな感じがしていた。
「それにしても鈴蘭あちら側に行かなくてもよかったのか?」
「そのいきなり聖女だの魔王なんて言われても・・・」
「まあそれが正しいだろう」
そして車は伊織家に向かって走る。
「くそっ!」
伊織にしてやられ森に突っ込みボロボロな翔希は毒づく。
「はい。マジカライズインジゲーターのログもしっかりあるっす。」
クラリカは今協会に報告している。
「分かりましたそういうことで。」
どうやら報告を終えたようだ。
「どうだった?」
「いったん教会に戻ってきてくれってフェリオール司教は言ってるっす」
「そうか」
「こっからは聖戦っすよ。第十一聖騎士団の力も使ってガンガン行っちゃいますよ」
神殿教会の教会
ここで枢機卿ランディルが説法を説いていた。
話し終えた彼は後ろに控えたフェリオール司教とともに移動していた。
「で、聖女様が見つかったそうだな?」
「ええ、わが師よ」
そして報告がなされる。
戦いのときは迫っていた。
いつも読んでくださっている方々ありがとうございます。
できれば感想なんかも頂けると嬉しいです。
「毎回毎回うっとおしいことなの」
今回はリップルラップルと一緒にあとがきをやっていきます。
「その前にお知らせのようなものがあるの」
明久のカップリングをタグに追加しました。
「これは批判があると思うの」
すみません。作者は最初からカッコ×明久を考えていましたし、普通に恋愛する総帥も想像できなかったので、
期待していた方にはこの場でお詫びを申し上げます。
それと明久の過去についてキャラクター紹介に書き加えました。
「最初から書いとくべきだったの」
それもそうです。すみません
「まあそれ以外のこともさっさと謝るの」
そうでした。前回のあとがきで龍の名前を募集した時に火龍の別名を間違ってゲリオキスクとしていましたが性格にはゲリアキスクでした。
「さて次回予告に行くの」
はい。次回は十一月十七日を予定しています。
次回、自分にできることをしようと決めた明久。
彼の手に握られしは・・・・
第十一話 「嵐の前の何とやら」