「ねぇねぇ、クィレル先生クィレル先生♪」   作:寺桜

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ハリーは名前しか登場しません
今回は組分け帽子視点です

組分け帽子の一人称ってどんなだっけ…
忘れたので『ワタシ』にしときます
間違ってたら教えて下さい


~閑話 組分け帽子危機一髪~

今年もまた、新入生たちがやってきた。

ワタシは組分け帽子という。ホグワーツ魔法学校に入学してきた新入生たちをそれぞれの可能性を伸ばせる寮へ配属するのが役割だ。普段は校長室でダンブルドアの話し相手になったりもするが、入学式以外は特に成すべき事は無く、来るべき時を待ち続けている。

 

さて、今年の入学生には生き残った男の子と言われるハリー・ポッターがいる。彼の運命は波乱に満ちているがそれでもせめて学校生活は実りある充実したものになるよう、彼に相応しい寮へと導こう。

 

ABCの順に生徒たちの名前が読み上げられ、彼もしくは彼女たちに合った寮へ配属していく。

そして誰もが予想だにしなかった、台風の目となる彼女の番になったのだ。

 

 

「キャサリー・リサムベール!」

 

ニコニコと笑いながら彼女はゆったりと歩いてきた。

 

「帽子さん、よろしくね☆」

 

小さな声でワタシに挨拶をすると椅子に座り、ワタシを被った。

その時の事を何と言い現わせばいいのか、未だに表現しきれない。

 

「誰に対しても平等に優しさをもっている。

 花を愛で、弱者に慈悲を与えられそのために苦労も厭わぬ優しい子だ。

 自分より強い強大な敵が現れようと、恐れる事の無い勇気も持っている。

 勇気をもつものにありがちな蛮勇ではなく、時には逃げる事が勇気なのを知っている。

 

 学ぶ事には何よりも意欲的だ。

 今も喋るワタシに興味が尽きないのか様々な事を考えている。

 だが、冷酷な一面もあるようだ。

 知るためならばどんな手段でもとるだろう。例え相手の命を奪う結果になっても。

 

 実に難しい子が来た。

 この子ならば何処の寮へ行っても必ず充実した学校生活になるだろう。

 だからこそ難しい。」

 

ワタシは彼女の無限にある可能性を一番に伸ばせる寮へと配属したい。そのためにはもっと彼女を深く知る必要がある。そう思いより深く彼女の思考を読み取ろうとした。

 

 

(素敵素敵素敵!世の中にはまだまだ私の知らない事があったわ。魔法なんて非科学的で初めは集団詐欺か新宗教の勧誘または誘拐などの可能性を考えていたけれど、こうしてこの目で見て確かめて本物だと実感しているわ。嬉しい嬉しい嬉しい!科学とは別の物を人類は力として有していた。魔法生物もいるみたいだし解剖したい保存液にいれて観察したい。何をどう認識しているのかしら?マグルの妄想の産物と同じ所違う所似ている所全部調べたい。エルフやピクシーも実在しているのかしら?ゴブリンやレッドキャップ、リザードマンやドラゴン解体したい解体したい隅々まで調べたい血管の一本一本まで隅々に。魔法があるという事は魔力や魔素もあるという事よね。あぁ、調べたい事がたくさんあり過ぎて幸せだわ。調べられる事があって良かったあのままお父さんを解体する事を考えだけで止めておいて正解だったのね。きっと神様が私のために新たな考察対象を用意してくれたんだもの。有効活用して調べつくしてこそ感謝のしるしになるに違いないわ。そういえばさっきからこの組分け帽子さんはとっても静かになってしまったわ。どうしてかしら?そもそも組分け帽子さんの声帯は何処に存在するの?外見は普通の帽子と同じで中身が詰まっているわけでもないし、こちらの言葉を理解しているようだけれどそれを聞きとる耳も無ければ脳みそも無い。ネズミみたいに小さい脳みそが隠れているならば解体しなければ分からないけれど、これほど高度な受け答えができるものなのかしら?なんだかとっても気になってきたわ。どうにか解体できないかしら。そうだわ!入学式が終わった後ならば役目も終わって休憩しているかも。でも解体する時に声を出されると大変だわ。休憩と言えば口みたいな部分はあるけれど食事はとれるのかしら?とれるのならば睡眠薬を用意しなくちゃ。本当に知りたい事が多すぎて困っちゃう。知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知リタイ知リタイ知りたい知りたいシリタイシリタイ理解したい理解したい理解したい理解したいリカイシタシリタイシリタイリカイシタイ…。)

 

 

怖気が走るということがどういう事なのか身をもって体感した。ワタシが彼女の頭を覗いている間、彼女はずっとニコニコと笑いながら、自分の寮が決まるのを静かに待っている。

顔色一つ変えず、ワタシを解体したいと願いながら。

 

手段を選ばぬ冷酷な面が目立つがその根幹は貪欲に求める知識欲。

それだけ分かれば十分だ。

 

 

「レイブンクロー!」

 

 

 

こうして彼女の寮はレイブンクローに決まった。

入学式が終わるとワタシはダンブルドアに彼女の事を報告した。

そしてしばらくの間は校長室で彼女に見つからないようにひっそりと過ごす。




魔法少女まどかのDVDの借りれなさにイライラして書いた。
反省はしているが後悔はしていない。

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