「ねぇねぇ、クィレル先生クィレル先生♪」   作:寺桜

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ハリーは名前しかでてきません。

閑話です。
今回はヴォルデモートにスポットを当てました。

可哀そうな事になってます。



~閑話 帝王の悲劇~

許さん、許さんぞ小娘!

俺様の計画をことごとく阻み、何も知らない顔をして全てを台無しにする策士めっ!!

 

 

始りは奴が1年の時だ。

俺様は忌々しいポッターのせいで弱っていたため、クィレルという脆弱な人間にとりついていた。クィレルはホグワーツで教師をしており、入学してきたポッターを見張るにも賢者の石を探すにも適した人材だった。

クィレルの頭に寄生していた俺様は普段はターバンの中に身を隠していたのだ。身を隠しながらも周りを探り、助言をしながら賢者の石を探した。

 

だが、賢者の石は見つからない。

俺様の力が衰えユニコーンの血を啜る事を考え始めた頃、奴を認識した。

 

 

「ねぇねぇ、クィレル先生クィレル先生♪

     そのターバンの中を見せて下さいな。」

 

 

クィレルと共に驚愕しつつも一時撤退し、冷静な状態で分析する必要が出たのだ。

小娘の名はキャサリー・リサムベールといった。なんでもマグル出身の魔女にしては優秀だが問題児としても有名だと調べがついた。たかがマグル出身のカスだ、そう思いクィレルには適当にあしらわせていた。

 

が、小娘は諦めない、その上しつこい。

 

何なのだ奴は。文字通り朝から晩までターバンを剥で盗ろうと虎視眈々と眼をギラつかせつつ、表向きには質問を繰り返してくるだけを何日繰り返しただろう。小娘が朝から晩まで張り付いて来るせいで賢者の石の捜索ほぼできなくなってしまった。今にして思えば俺様が何なのか不明でも危険を察知し、何かしらのしっぽが出るのを待っていたのだろう。

 

クィレルはノイローゼに罹った。俺様は意識を保つ事が難しくなってしまった。

そんな状態で何故かダンブルドアに見つかり消された。

忌々しい、本当に忌々しい小娘っ!!

 

 

 

次の年、俺様は分霊箱に宿る魂をつかい復活する計画を立てた。

配下のマルフォイに日記を運ばせ、適当な生徒を操り進めるつもりだったのだ。

 

しかし、ここでもあの奴が俺様の邪魔をする。一度はウィーズリーの小娘のカバンの中へ入ったが、次の瞬間には奴のカバンの中に入れられていた。誰にも気づかれず、俺様の身を案じていたはずのマルフォイさえ気づくことはなかった。

 

それから拷問は始った。

シンプルながらも品がある日記は安物のプラスチック装飾がされ、マグル製のデコレーション・ペンで意味のわからん落書きをされ、禍々しい薬品をかけられ、ページが真っ白なのをいいことに男色の絵をリアルに描き上げる。精神を乗っ取ろうとしたが無駄に終わった。ここまででも十分に耐えがたいがまだこれだけならば耐えれた。奴はどこからか秘密の部屋を知り、俺様が知っていると確信して日記にペンを走らせる。

そのスピードは尋常ではない。

一文字が消える間に奴は12文字新たに書いているのだ。そしてページは埋め尽くされていく。

 

 

『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『BLの題材何にしよう?』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』『ねぇねぇ、トム君トム君♪』

 

 

奴の質問攻めは何時であろうと続く。唯一の休息は小娘の睡眠時間に限られた。

日々の中で俺様の魂はすり減り、疲労だけが溜まっていく。

秘密の部屋が見つかると、用済みとなった日記は破壊された。

 

そして俺様はキャサリー・リサムベールを宿敵と認識した。

 

 

 

ポッターに一切関わらず3年が経過した。

夏休みから帰ってきたリサムベールを殺そうと、最も信頼するナギニを刺客として放ち安心していた。ナギニが失敗などするはずがないと考えていた。失敗をしても報告すべく俺様の所へ来るだろうと…。

 

ナギニは帰ってこなかった。

 

いらないネズミが帰ってきた。何故お前がここにいる?俺様の側にいるべきはナギニであるはずなのに!!

 

 

 

翌年、ポッターを殺すために魔法対抗試合を利用し、ネズミをつかって俺様は復活した。

ポッターとリサムベールがここにいる間にナギニを助け出すよう配下に命じておいた。

 

…、完璧な状態での復活のはずだった。

 

ところが俺様は訳の分らん化物として復活したのだ。緑色で粘液を分泌する肌、頭に生えた触覚、低すぎる鼻。美青年だった頃の面影がまるでない。それだけではない、突如として襲う便意!

ポッターなど敵ではなかったが便意で集中できない。

 

 

「ねぇねぇ、コロッPコロッP♪ どうして鍋から生まれたの?」

 

 

お前かっっ!!!!!!

 

またしても我が覇道に立ちふさがるのか!?今こそ殺してやる!

だが俺様の意思とは裏腹に体調は崩れていくばかり。

 

 

「俺様としたことが、うぅ、ハラが…。

 可愛いナギニは今頃助け出されているはずだ、うぇ。」

 

 

気がつけば、2人の宿敵は消えていた。

そしてナギニは帰ってこない。

 

 

復活を遂げてから悪い意味での変化が起こった。

何もない所で転び、命令をするときに舌を噛み、愛用の雑貨品が壊れる。階段では転げ落ち、道を歩けば畜生の糞を踏み、財布から硬貨を取り出せばカラスに引っ手繰られる。

死喰い人たちの眼が日に日に生温くなっていく。

 

 

「しょ、…そんな眼で俺しゃ、…俺様を見るなっ!!」

 

「我が君、足元に置きお付け下さい。今日はまだ5回しか転んでいません。」

 

 

覚えていろ、この恨み屈辱羞恥悲しみ全て10倍にして返してやろうではないか!!

今はまだ、いちぅ…偽りの平和に胡坐をかいていれば良い。

 

 

 

 




以上、ヴォルデモートさん視点でした。
大変そうですねww(他人事)

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