船久保浩子はかく語りき   作:箱女

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十九

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 晴天。いつかを思い出すような、じりじりと肌を刺す日差し。景観のためか環境問題を意識してのものか、きれいに立ち並んだ木々の葉が光を浴びてきらきら光る。突き抜けるように高く濃い青空は圧力を持っているかのようにさえ感じられる。道を行く人たちはほとんどがハンカチやハンドタオルを片手に歩き、その汗をぬぐっている。常に車の音が聞こえていてお世辞にも空気が綺麗とは言えないが、それはまあ大阪と比べても大差はないか、と浩子は苦笑する。今日はインターハイ女子団体決勝。天気はふさわしいものと言っていいだろう。麻雀は室内競技に違いないが、雨が降っているより晴れているほうが気分がいいというものだ。

 

 この人工物で作られた街のどこで生きているのか、ホテルの部屋の外から蝉の合唱が聞こえてくる。あるいは外壁にくっついてこれ見よがしに鳴いているのかもしれない。一年前もこうして鳴いていた。別に感慨に耽るつもりもないが、なぜか思い出とくっついてしまっているのだから仕方がない。決勝戦が始まるのは午後からだ。ミーティングは昨日の段階で済ませてあるから別に早起きなどする必要もないのだが、目が覚めてしまった。自身で思っている以上に興奮しているのかもしれない。

 

 まだ寝ている泉をはじめとしたメンバーを起こさないように身だしなみを整えて部屋を出る。浩子はもともと一人で行動することに抵抗をあまり感じることがなかったが、ここ一年でよりそれに磨きがかかっていた。それを良い影響とするかどうかは判断の難しいところである。

 

 この千里山女子に入学してからホテルには何度も宿泊しているが、どうにもこの雰囲気は落ち着かない。たしかに細かなところまで気配りが行き届いていて快適ではあるし、そこらじゅう清潔感でぴかぴかしている。だが浩子はその前面に押し出されたおもてなし感にどうにも気後れしてしまう。ひとつため息をついてエレベーターへと歩を進める。このホテルの朝食はいわゆるビュッフェ形式で、なんと朝の六時から利用が可能なのだという。とはいえいくら早くに目が覚めたといっても午前中は余裕がある上での話であって、さすがに浩子もそんな時間に起きたりはしない。

 

 数える気にもならないほどの種類の料理から、浩子は栄養素のバランスを考えながらすいすいと選んでいく。宮守でのお弁当作りの経験はたしかに息づいていた。バランスのいい食事というのは本当に作るのが大変なのだ。もちろん味の好みも十分に考慮に入れた朝食を盆に乗せて、紺色のクロスのテーブルへと向かう。周囲にも他の宿泊客が散見されるが、まだ本格的に混む時間帯ではないようだ。

 

 食事を終えて、りんごジュースの入ったグラスを傾ける。果物のジュースはどちらかといえば飲みやすいようにある程度は調整されているもののほうが浩子の好みには合っている。もともと果物そのものが好きなので小さな差ではあるが。ジュースが喉を通って一息つくと、いつの間にか隣に雅枝が座っていた。そこまで食事に集中していたつもりもないのだが気付かなかったのは事実だ。心臓に悪い、と浩子は心の中で文句を言う。

 

 「なんや浩子、ずいぶん早いんやな」

 

 「まあ早寝早起きは健康のヒケツ言いますからね」

 

 「他はまだ寝とるんか」

 

 「さすがにぼちぼち起きてくるんちゃいます?」

 

 「ま、決勝は昼からやしええけどな。そんで浩子、どうや?」

 

 「何がです?」

 

 「調子はどないや」

 

 「いつもどおりやと思いますよ」

 

 毒にも薬にもならないやりとりをして、二人はにやりと口の端を上げる。浩子の “いつもどおり” は意味が違う。この夏の予選から浩子は収支トップ以外を知らない。あの荒川憩をさえ抑えてみせた分析は、この全国大会においても恐るべき精度を誇った。解説のプロでさえ感心するほどの技術を持つ彼女の “いつもどおり” とは勝利以外の意味を持たないのだ。

 

 

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 階段を、上がる。

 

 その舞台に立つことを許される高校生はきわめて少ない。麻雀部に入って活動する高校生のすべての目標がそこにある。決勝戦のためだけに開放されるステージは、静かで、眩しい。映像で見ることは許されても、実際にその空気を味わうことは決勝戦に駒を進めた者以外には許されない。浩子は手すりを使いながら想像以上に角度のきつい階段を上がっていく。午後一時三十分から始まったインターハイ女子団体決勝は終盤に差し掛かり、今はもう西の空が赤く燃えている。

 

 

 決勝進出を決めた夜は電話やメールが止まなかった。浩子の一日に受け取ったメール数の最高記録を遥かに上回る量だった。千里山や宮守の先輩はおろか各学校のクラスメイトたち、さらにはロードスターズのお世話になった方々からも応援のメールが来ていた。全てに返事を返すのは大変だったが、それだけ多くの人とのつながりを持っていることを実感もした。白望から来た “がんば” の三文字だけのメールを見た時はさすがに笑ってしまったが、それはまた別のお話。

 

 

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 「インターハイ女子団体決勝副将戦までを闘って、なんとトップから四位までの点差が一万点!大将戦はどうなることが予想されますか、戒能プロ?」

 

 「本当にどこが勝つのか予想がつきませんね。大将戦に出るプレイヤーも素晴らしいですし」

 

 「現在トップの臨海女子が郝慧宇選手、二位の龍門渕高校が天江衣選手、三位の千里山女子高校からは船久保浩子選手、そして姫松高校からは愛宕絹恵選手となっています」

 

 「各選手ともに個人戦への出場も決まっていますからレベルの高い試合になるのは間違いないと思います」

 

 「大将戦の見どころはどんなところになりそうですか」

 

 「中心となるのはやはり天江選手でしょうか。彼女の力に三校の選手がどう対応するかがまずは大きなポイントになるのではないかと」

 

 

 観客席は異様な静まりを見せていた。誰が音頭を取ったわけでもないのに、示し合わせたかのように誰一人として口を開かない。まるでこれから行われるのは神聖な儀式のひとつであるかのように、ただじっとスクリーンを見つめている。宮永照という時代そのものが去った高校麻雀界は小粒になるものと思われていたが、それは間違いだった。新たな世代は確実に芽吹き、そしてその勢いは去年のことなど忘れさせるほどに力強いものとなっていた。阿知賀女子が、清澄が、そしてあの白糸台が決勝の舞台にいないことに誰一人として疑問を抱かなくなるほどに。

 

 スクリーンに最後の一人が映る。栗色の髪は肩に届くあたりで外にはねている。楕円のレンズをした眼鏡の少女が舞台に上がる。彼女たちの声は観客には届かず、またその逆も同様である。彼女たちが何を話しているのかはわからないが、おそらく挨拶を交換しているのだろう。卓の上に四枚だけ裏返しで置かれた牌に少女たちの手が伸びる。彼女たちの選んだ牌がどの方角を示していてももう後には戻れない。今日この日これから行われるたった二回の半荘で、この年度におけるインターハイ本選からそれぞれの地方予選を含めたすべての高校のなかで最も強い高校が、決まる。

 

 

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 ずいぶんと天井が高いな、と浩子はぼんやり思う。見上げたところで距離感がつかめないほどの天井などこれまで見た記憶がない。直視するのがためらわれるほどの光量を持ったライトが高いところから、少し抑えたものが卓の高さにいくつか設置されており、卓上とそこに座る選手たちの顔をくまなく照らす構造となっている。顔ぶれは壮観だ。それぞれ一人ずつ特集が組めるほどの面子である。西家に座る浩子の下家には従妹である愛宕絹恵、上家には世界ランカーでもある郝慧宇、そして対面には天江衣。

 

 順にそれぞれの顔を見ていく。三人とも十分に気合が入っていそうな顔つきをしている。とてもいい状態だ、と浩子はひとりほくそ笑む。全力を賭して勝負に挑んでもらわなければ研究者としての浩子の本分が発揮しにくくなってしまう。無論のこと勝利が大前提での話ではあるが。

 

 

 ( さぁて、まずはそのチカラが万能やないって教えておかんとな )

 

 他家の理牌を当たり前のようにチェックしながら浩子はこの半荘におけるプランを組み立てる。郝は世界ランカーだけあって、準決勝までの映像からは理牌のクセを見抜くことはできなかったがとくに大きな問題というわけでもない。理牌以外にも手牌を推測する情報などいくらでも転がっているのだ。ただ彼女より先に叩いておくべきは天江衣であると浩子は見定めていた。

 

 浩子の手は三向聴の可もなく不可もない配牌だった。ドラはないがひとつだけある急所が埋まれば早めに和了ることも考慮に入れられそうな手だ。少なくとも無理をするような手には見えない。しかし浩子の頭の中ではまったく別の組み立てが行われていた。

 

 本来であれば東一局は天江衣が和了るものだと観客の多くが考えていたし、また衣本人もそのつもりでいた。今大会の東一局に限って言えば衣の和了率は100%であり、またそれは他家に一向聴地獄の絶対性を叩き込むための戦略的な意味合いも持っていた。気の早い月はすでに空に昇っており、その意味でも衣が十全に能力を発動する条件は揃っていた。いや、たしかに衣の異能は発動していた。それは会場内にいるすべての異能持ちがしっかりと感じ取っていた。だが今の卓には、ひとつの異分子が紛れ込んでいた。

 

 東一局、十二巡目。リーチの発声とともに浩子は捨牌を横に曲げ、千点棒を場へと出す。

 

 それはあり得ないし、あってはならないことだった。なにより衣にとっては。能力発動時の卓というのはまさに衣の支配下にあって、その呪縛を逃れるには相応の異能を以て対抗するか、あるいは最後の一巡や二巡でなんとか聴牌に漕ぎつけるのが異能を持たないものに許された道筋であった。もちろんのこと浩子は異能など有しておらず、また特別なことをしたつもりもない。ただ自身の論理に従って打ち回し、その結果として聴牌まで持っていっただけの話だ。

 

 「……ん、おお、ええこともあるもんやな。リーヅモ一発や」

 

 あってはならないはずのリーチは驚くほどすんなりと実を結んだ。これまでは局の序盤どころか東場をほとんど見に費やしてきた浩子がいきなり攻めに出たのには理由があった。天江衣をひとりオカルトのステージに置いておくのは非常に厄介であると考えていたからだ。彼女の本質は決して一向聴地獄などではなく、それどころか浩子では手がつけられなくなるほどの異能を秘めている可能性があったからだ。だから先に叩き込む必要があった。()()()()()()()()()()()()と。

 

 手を晒しながら浩子は思考を進める。今のリーチと和了で第一段階、次いで二の矢、できることなら三の矢まで打ち込んでおきたい。そのためには浩子一人では手が足りない。ちらりと他家の表情を窺う。何が起きたのか理解できず焦りの見られるもの、ただ呆然としているもの、そして浩子の和了りのかたちと捨牌を見比べて疑問を抱いたもの。浩子はそれを見て次の局の動きを決めた。一人で手が足りないのなら二人にすればよい。肝要なのは魔物の心をへし折ること。次局の親はトップを走る臨海女子の郝慧宇だ。彼女の実力であればさきほどの浩子の和了りから何かを読み取っていることも十分に考えられる。アシストをするには理想的とも言えるが、連荘されて点差を広げられることを考慮に入れると好ましいとは言えない。なにより彼女が座っているのは浩子の上家であって、鳴かせるには重なっている牌をピンポイントでぶつけなければならない。その難易度も天秤にかけて、浩子は下家に座る絹恵をアシストすることに決めた。

 

 東二局における浩子の動きは一般的な観客から見ても、よほどの打ち手から見ても目を覆いたくなるようなものだった。なにせ自分の手を作ることを初めから放棄し、まったく意味のわからない牌を捨て続けていたのだから。それも下家に鳴かれることにまったく頓着もせずにである。たしかに捨牌だけを見ればなにか意図があるだろうことは推測されるが、観客たちには浩子の手がなまじはっきりと見えてしまっているから余計に意味がわからないものとなっていた。浩子の打牌を理解するには、まず第一に天江衣の能力をかなり正確に捉える必要があった。そのうえで “船久保浩子の打牌に影響を受けて変わっていく愛宕絹恵の手” に気を配らなければならなかった。そういった意味で理解しているのは、この会場には数えるほどしかいなかった。

 

 

 そのうちの一人が解説を務める戒能良子だった。

 

 「戒能プロ? 船久保選手が手を一向に進めていないように見えますが……」

 

 「そうですね。そのまま見た通りで間違いないでしょう」

 

 「さきほどはリーチからの見事な一発ツモで和了ってみせましたがここへ来て緊張でしょうか」

 

 「いえ、彼女たちのレベルや経験値からすればそれはまさにノーウェイ、ってやつです」

 

 「ではあのプレイングには意図がある、ということですか?」

 

 「……東一局も含めてすべてを解説するには時間がなさすぎますが、ね」

 

 「そういえばたしかに綺麗な牌姿の和了というわけではありませんでしたね」

 

 「あの局もおそらく彼女なりのなにかがあったはずです」

 

 「あの、戒能プロ、せめてさわりだけでもお願いできないでしょうか」

 

 「 “天江選手の山の支配” という言葉を頭に置いて細かに牌譜を研究してください、としか」

 

 実際、衣の能力に対する浩子と良子の見解は一致していた。衣の能力は他家の手を一向聴のまま押しとどめるものではなく、正確には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であると考えた。それは浩子が地方予選の決勝で荒川憩に対して見せた選択肢を減らす技術とは根本的に異なっている。手なりで打っていけば一向聴で止まるような手に誘導していくところにその本質がある。その支配から逃れるためには衣が敷いたレールから外れなければならない。無論ただレールから外れればいいというものではない。戒能良子が言い淀んだ船久保浩子の異常性はここに集約される。

 

 船久保浩子は他家の手牌読みににおいてずば抜けたものを持っている。それは理牌のクセを見抜くことに始まり、打牌に際してのすべての反応に対する観察眼、加えてもともと持っていたきわめて精度の高い論理的思考からほとんどの場合において他家の手を丸裸にする。技術である以上それは天江衣の支配が影響する卓においても何ら変わりなく発揮される。そこで浩子は他家の手がどのかたちの一向聴で止まるのかを推測し、その山の中身を読もうとしたのだ。麻雀の牌は各種四つずつしかないため、他家の手と山が読めれば自分の引くであろう牌をある程度推測することが可能となる。つまるところ浩子は対局を行いながら推測を重ねた上でのカウンティングを実行し、そして和了ってみせたのである。

 

 東一局の芸当を表情ひとつ変えずにやってみせた浩子に、絹恵に鳴かせることで彼女をレールから外すことなどできないわけがなかった。衣の表情が曇る。衣の性格も分析をしていた浩子は、自分の能力を否定させないために衣が東二局も能力を発揮してくるだろうことを予想していた。そして衣の異能はひとつではない。他人の聴牌を高さも含めて察することのできる能力もそのひとつである。そしてその異能は今の衣にとっては枷でしかなかった。自身以外が聴牌することがあってはならない場において、他家が聴牌したことがわかってしまうのだから。

 

 衣の、自身の能力に対する絶対の自信を損なわせるという目論見は、ほとんど浩子の思い描いたとおりに達成された。これで衣が一向聴地獄を発動する回数は劇的に減るだろうし、仮に発動してそれが見事に決まったところで、衣は偶然かもしれないという自身への不信感を拭い去れないだろう。むしろこの卓に揃った三人が異能を持っていないことが余計にダメージを深くしたとも言える結果だった。もうひとつわがままを言えば絹恵が郝から和了ってくれればトップとの差が少し縮まるのだが、郝の技術を考慮すればそれは難しいだろう。

 

 あまり気の入っているとは言えない衣の打牌に絹恵がロンを宣言する。同時に衣の身体がびくりと跳ねる。おずおずと点棒を差し出すその仕草は、明らかに怯えを伴ったものだった。それを見た浩子は衣に対する警戒を一段階ゆるめる。酷な言い方ではあるが、異能を失くした魔物など残った二人に比べれば怖れるに値しない。ここから先の麻雀で警戒すべきはU-15のアジア大会で銀メダルに輝いた郝慧宇、大阪三強の姫松ではじめて麻雀部に入部し、その秋にはレギュラーを勝ち取ってみせた愛宕絹恵の両名である。純粋な麻雀の才能や天与の引きのよさで言えば浩子より明らかに格上の相手。彼女たちを抑え込むために、浩子は一度潜ることに決めた。

 

 東三局から南二局までの浩子の闘牌は、またもやほとんどの観客からすれば意味のわからないものだった。もっとも思考の源泉を分析するという彼女の意図を知ったところで理解が及ぶかはわからないが。

 

 

 打ち手のレベルが高くなればなるほど、その打牌には様々な意図が絡みつく。その局をきちんと戦うことは当然として、次局、次々局あるいは半荘そのものに対する明確なイメージを持っているのもザラだ。もちろんそのプランがよどみなく進行するのがその選手にとっては理想的ではある。しかしインターハイの決勝ともなればそううまくいかないことは織り込み済みで、そこからの修正能力の高さこそが強者を強者たらしめる要素なのだ。浩子が彼女たちに決定打を叩き込むには、それらすべてを読み切って潰す必要があった。

 

 それは横浜で若手プロを相手に練習していたときよりも神経を使う作業だった。両選手が卓越した打ち手であることも間違いないが、なによりそれは浩子の取得できる情報量が増したことに起因していた。より深い意図が、より多くの可能性が見えるようになった浩子はその情報量に押しつぶされかかっていた。できることなら背もたれに寄りかかり、大きく息をつきたいくらいに。ただ、スクリーンに映る浩子はいつもの表情を崩すことなく淡々と打っていた。

 

 

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 「お、ちゃんとおねーさんのアドバイスを覚えてるみたいじゃないか」

 

 ぱちん、と勢いよく扇を開いて落ち着いた色合いの着物を着た小柄な女性が嬉しそうに呟く。

 

 「浩子ちゃん生真面目だもんね」

 

 変装になっていない黒ぶちメガネをかけた困り眉の女性がそれに合わせる。

 

 「ところですこやん、次の半荘どう見る?」

 

 「そう聞くってことはたぶん同じ意見ってことだよね」

 

 「あー、やっぱ? イヤな予感する?」

 

 「うーん、こういう場で覚醒する子ってけっこういたりするし」

 

 

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 前半戦を終えてトップから臨海女子、千里山女子、姫松、そして龍門渕。龍門渕を除いた三校の点差は八千点以内に収まっており、どこが優勝するのか誰にも予想のつかない状況となっていた。

 

 休憩時間を過ごすためにそれぞれが対局室を出ていく。ひどくゆっくりと力なく歩く小さな少女の姿から、なぜか観客たちは目を離すことができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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