IS~ほんとはただ寝たいだけ~ 外伝・超外伝   作:真暇 日間

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 連続投稿九話目です。


他の子・シルヴィア編09

 

 

 

 side セシリア……だと思った? 弾だよ!

 

 初めてのデートから暫くの時間が過ぎた。

 あれから俺は、虚さんと何度かデートを繰り返し、お互いにこの『デート』と言う行為に慣れ始めていた。具体的にどれくらい慣れたかと言うと……聞いて驚け!

 

『デート』と口に出す時に噛むことがほとんど無くなったのだ!

 

 ……なに、しょぼい? バカを言うな。初恋……ではないが、少なくとも一目惚れをした相手とのデートだぞ!? 実際に口に出して相手を誘う時に……恥ずかしくて噛むだろうが!

 わからない奴は前に出ろ!教育してやる!

 

「お兄五月蝿い!」

「あっはい」

 

 ……蘭に怒られたので、ちょっとおとなしくしようと思う。

 

 ……まあとにかく、デートだ。記念すべき12回目のデートだ!今回も頑張って行くぜ!虚さんに情けないところなんて見せらんねえからな!

 ……あん? 12回でなんで記念すべき、なんて枕詞がついてるか……だと?

 バカヤロウ!虚さんとのデートは毎回が記念日に決まってんだろ箱に……っと、蘭に怒られる。落ち着け落ち着け……。

 あいつ、鈴から『未来からあたしと一夏の子供キタ!あたし勝ち組!』的なメールが来てから機嫌悪いんだよなぁ……しかも俺と虚さんの子供も来たって知ってさらに機嫌悪くなるし……。

 

 一夏が気付いてくれりゃあ一番楽なんだがなぁ……蘭に伝える度胸が無い上に一夏のあの鈍感を考えれば……望み薄だよなぁ……。

 蘭も機嫌悪くするくらいならさっさと伝えりゃいいのに伝えないし、それで機嫌悪くされてもなぁ……。

 いやまあ確かにさ? 今蘭と一夏が付き合っていたとして、それで鈴から『未来から私と一夏の子供来た!』って言われたとしたら、そりゃキレていいと思う。キレない方がおかしい。

 

 だがしかし。だがしかし!だ。一夏と蘭は現実には付き合っていないし、それどころか蘭が一方的に片想いをしているだけで一夏の気持ちは今だ不明と来た。これで……機嫌が悪くなるのはまあ仕方ないとして、八つ当たりしてくるほど怒るのはちょっと違うんじゃないかと思うわけだ。

 

 ……まあ、これは蘭には絶対言えねえけどな。言ったら絶対もっと五月蝿くなるだろうし。

 早いとこ百秋が蘭の娘をつれてきてくれりゃいいんだが……なんだろうな、望み薄って気がするぜ。何でかはわかんねえが……あれだ、勘……ってやつだな。できれば外れてほしいぜ……。

 

 ……とまあ色々あるが、俺は明日はデートの予定がある。百秋からもらった地図を片手にとりあえず店やルートを回ってみて、そんで一番いいんじゃねえかってルートを決めた。

 店の予約も入れたし、明日は降水確率0%でいい天気。服もちゃんとしたのを用意してあるし、金だって……まあ、軍資金として貰ったやつだけど、ある。

 

 準備はバッチリ。後は明日に備えてしっかり寝るだけだ!

 

 

 

 

 

 side 布仏 虚

 

 弾君との初デートから暫くの(ry

 これで彼とのデートも12回目。きっと彼はまた格好よくなっていて、私のことを優しくリードしてくれるだろう。

 最初の、何の変鉄もない庶民らしいデート。次の、私がプロデュースしたデート。その次の、彼の水族館デート。さらに次の、私の動物園デート。そのまた次の、図書館デート。いつだって弾君は優しかったし、紳士だった。

 

 ……けれど、私にはほんの少しだけ不満なことがある。それは、弾君が私をからかってくる、と言うことだ。

 毎回の事だけれど、弾君は私とのデートの時にも余裕がある。(※ありません)

 私が心臓の鼓動を押さえようと必死になったり、慌てたりしている時でも弾君は笑顔を崩さないし、お店の人達からの軽口を受けたって小揺るぎもしない。(※慌てていますし笑顔も崩れています。虚が必死すぎて気付けないだけです)

 だから、私は決めた。今回のデートで、弾君が恥ずかしがっている姿をこの目に収めるんだ、と。

 それは恋愛初心者の私には難しいことかもしれない。けれど、初心者には初心者のやり方っていうものがある。私にできることを精いっぱいにやって、私の想いをしっかり弾君に届ける。それしかできないのだから、ただひたすらにそれに集中していく。きっとそれが一番生産的な行動だろう。

 ……よし、私にできることをしていこう。まずは明日のために服を揃えて、持っていくものを決めて、髪型もしっかり決めなければならない。服装に合った髪型と言う物がありますからね。

 勿論お風呂にもしっかり入り、明日のためにできることはしておく。

 服よし、荷物よし、お財布よし、ハンカチその他の小物よし。

 ……それと、一応自衛用の小さな拳銃とナイフも用意した。こんな時にも必要になるかもしれない立場と言うのは少し悲しいけれど……それでも、必要になった時にそこに無くて後悔するような事にはしたくない。

 たとえそれで嫌われるようなことになったとしても……私は弾君のことが好きだから。

 

 ……。

 

 …………。

 

 …………──────ッ!?!?!?

 

 わ、私は今なにを!? 何を言いました私!? なんだか凄く恥ずかしいことを言ってしまいましたよ!?

 いえ、確かに弾君の事はす……す…………す………………ですけど!だからと言ってあのその世の中には色々と順序と言うものがですね!?

 

 私は何に言い訳をしているのだろうか? 自分でもわからないけれどあまりに恥ずかしくてそれをやめることができない。

 けれど、そこで一つ思い出したことがある。

 

 私は、弾君から好意を受けていると言う自覚はあるけれど───実際に、弾君から『好きだ』といった言葉をもらっていない。つまり、そこに付け入る隙があるはず。

 

 明日のデートの目標を決めた。未来では私との子供がいるそうだし、その話をした時もけして嫌そうではなかったから、脈はあるはず。

 明日、私は彼に『好きだ』と言う。告白……と取ってもらえるか、それとも冗談だと思われてしまうか……それは私の作るシチュエーションによる。

 とりあえず、別れる寸前にでも言うことにしよう。彼に抱きついて……は、ちょっとハードルが高すぎるからやめて……ほっぺにキスをして、それから言い逃げよう。そうしよう。

 

 それじゃあ明日の目標も決まったし、明日に備えて眠るとしましょうか。

 どこかの誰かさんのように、重要な日に寝不足のせいで寝落ちして背負われて帰ってくる、なんて事はできませんからね。

 

 

 

 

 




 
 次は燦編。

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