IS~ほんとはただ寝たいだけ~ 外伝・超外伝 作:真暇 日間
連蔵投稿六話目です。
side シルヴィア・オルコット
わたくしはシルヴィア。シルヴィア・オルコット。元英国代表IS操縦者であるセシリア・オルコットと、世界に二人しか確認されていない男性IS操縦者の片方である織斑一夏の間に生まれた娘。国籍は母方の方から英国の物を頂き、記録上では父の四番目の子、実際には五番目の子として生を受けました。
実際に産まれた年に差があるのは二人だけなのですが、基本的に年齢差をなど気にするのも面倒だと言うことでお互いに名前で呼び合うことが多いのです。一番上の姉の事だけは姉と、一番下の妹の事だけは妹と決まっていますが、他の方々は精々が数ヵ月程度の差。わざわざ取り上げる必要のない程度のものです。
……と言うのが今のわたくしの設定。設定では上から百秋さん→小鈴さん→十柄さん→わたくし→朝日さん→シャーリーさん=アーデルハイトさん→燦さんと言う形になっており、仁さんは百秋さんと小鈴さんの間あたりに生まれている、と言うことになっています。
ちなみにシャーリーさんとアーデルハイトさんは同日生まれですね。仲良し仲良し、良いことですわ♪
3
「あからさまな棒読み……いやらしい……」「はいわたくしは厭らしいメス豚です四つん這いになります首輪つけます豚らしく鳴きますぶぅぶぅ!」
「脱ごうとすんな四つん這いやめろ立ち上がれ首輪外せ人語で話せノンブレスでド変態発言自重しろ」
「調教いたしますか?」
「しない」
「鞭で打ちますか?」
「打たない」
「首を絞めますか?」
「絞めない」
「縛り上げますか?」
「縛らない」
「ぶぅぶぅ!ぶぅ!」
「人語でおk」
冷たく突き放される度にわたくしの身体はさらに熱くなる。その冷たく刺さるような視線、たまりませんわ!
……惜しむらくは、口調の中には冷酷さよりも呆れの部分が多いと言うところでしょうか。これが呆れではなく嗜虐心ならそれだけで白米三合いけますのに……残念ですわ。
……いえ、逆に考えましょう。『百秋さんはそれをわかっていて呆れの感情を乗せて見ている』と考えるのです!
わたくしの欲しいものを理解しているがゆえにそれを与えないようにして、満足できないわたくしが悶えるのを眺めて愉悦する百秋さん……。
……興奮してきましたわ!食パン三斤……いえ、五斤は行けます!
「そういう訳なので食パンください」
「252円になりまーす」
「260円でお願いします」
「……はい確認しました。8円とレシートのお返しになります」
お釣りと食パンを受け取って、とりあえず一口。……おいしいパンですわね。
「ここも候補の一つだからな。ただ、中で食べる場所が無いから対象外だが」
「そうなのですか……おいしいですわよ」
「俺らの世界にも多分あるからそっちで食べるよ」
「そうなのですか?」
「多分な」
ならいいのですけれど。
……。
「そう言えば、このお金ってどこから出てきてますの? わたくし達の世界のお金ではないのですよね?」
「さっき親切な奴が命ごとくれたろ?」
「……あぁ、なるほど」
まあ、確かにそういう作業をするには財布とお金は必要ですわよね。持っていて当たり前ですわ。
しかしいつの間に拝借したのでしょう? 見えませんでしたわよ?
「財布ごと爆破したから巻き込まれてなくなった分を作った。インフレもデフレも無いから問題ない」
問題しかないような気もしますが……実際インフレもデフレも起きていませんから構わないでしょうね。自販機でも使えるようですし。
……偽造? わたくしこどもですかr(ry
「まあ、材質が紙なのにやけに強靭になるって不具合が発生したけどな。財布の中の束に紛れてれば銃弾だって防げるぞ」
「88mm対戦車ライフル弾もですの?」
「当たっても破れはしないだろうが衝撃その他で持ち主は死ぬと思うぞそこまで行くと」
「……パラべラム弾程度なら防げます?」「零距離で連射されでもしなければ骨折すらしないと思うぞ。打撲の有無までは保証しないが」
……まあ、いくら弾丸が軽いといっても速度が桁違いですものね。直接的な接触はなくとも衝撃だけで十分なダメージとなるでしょう。
勿論、撃たれる側がまともな人間である事が前提条件で、かつISを含む防御能力の高い装備をしていないとすれば……の話ですが。
ISを装着していれば基本的にほとんどの物理攻撃を無効化しますし、そうでなくとも防弾チョッキでも着ていれば弾の威力を押さえることくらいは簡単にできる。わざわざ例のお金で防御する意味はありません。
「俺達にはそもそも不要だしな……お嬢様には中々食べる機会の無いような物の方が受けが良いか?」
「ええと……こちらの世界の弾さんのための作業なのですよね?」
「ああ。ちなみに相手はのほほんさんの姉だな」
「……確かにそれならあまり高級でないところの方がいいでしょうね。恐らく食べ飽きているでしょうから」
「だからと言ってジャンクフードってのも良くないし……」
「わたくしもそう言った店に詳しくはありませんしね」
……けれど、時々ありますわよね。『いいところのお嬢様が庶民的な男性とハンバーガーショップに入って物珍しさから目をきらきらさせる』といったお話が。
「ああ、それは無理だ。あの人は仕事の関係上ファストフードも食べ慣れてるからな。物珍しくもなんともないだろうよ」
「そうなのですか?」
「多分な。……店内で食べるのは初めてかもしれんが、あえて『どこにでもあるハンバーガーショップでデートしてる表現のある小説』でも読ませてからそういうところに誘えば面白い反応を見せてくれるかもしれないが」
「イチャイチャする姿ですわねわかります」
「それはわからんぞ? あの二人意外と奥手だからな。弾は吹っ切れればそれなりにいけるはずだが、うにゅほさんはなぁ……」
「頭を使える猪突猛進と、パニクるとポンコツになる大軍師……でしたか?」
「そんなことを言った覚えはないけど大体あってる」
猪突猛進の方が弾さんでしたか。攻撃力がターンエンドまで700上がる……のは……突進でしたっけ。地味に便利なあのカード。
「……デートついでに他人のデートの下見に来たが、そろそろ時間も遅くなってきたし……戻るか?」
「……ああ、そう言えばわたくしたち、ロリィなんでしたわね」
「俺は違うがまあそうだ。ツッコミ疲れたから激しいツッコミはしないからな」
あらまあ残念。ツッコミついでに手刀の1、2発入れてもらいたかったですのに。本当に残念ですわね。本当に。