IS~ほんとはただ寝たいだけ~ 外伝・超外伝   作:真暇 日間

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 連蔵投稿四話目です。


他の子・シルヴィア編04

 

 

 

 

 side 織斑百秋

 

 昼寝を禁止されたので仕方無く外に出て適当にぶらぶらと歩き回ることにした。外ってどこかって?

 外は外だ。IS学園の外だよ。

 

 ……まあ、少なくとも俺はここの世界の人間じゃないし、この世界において本来存在すらしない故に俺を縛る法やら何やらも存在しないからこそできる荒業だな。普通はできんし、できたとしてもやらん。法の外側に居るってことは、普通なら守られていて当たり前の法による庇護が無い状態とも言える。

 ここが法らしい法の無い未開地域や法があってもそもそも守ろうとするやつが少ない地域だったらともかく、日本で法の庇護がないと言うのは中々に面倒な事態であることは間違いない。酒も買えないしな。

 

 まあ、日本だったら市役所や病院などの公共施設に行かない限りはまず問題なく行動できる。普通なら学校がある時間から歩いてれば警察に補導されることもあるかもしれないが、俺は一応幻影使いだからな。姿を消した上で幻影をずらして出しておけば、幻影の俺に触れようとしても触れられずに困惑することになるだろう。

 現代の幽霊とか言われるかもしれないが、それは俺の責任じゃなくて間違った方の責任だ。堂々言おう。『俺は悪くにぃ』

 

 ……なんか混ざった気がするが、気にしない。細かいことを気にしていては眠ることなんてできないからな。

 皆も経験はないか? 意味もなく小さなことが気になって眠れなくなったこと。

 

 例えば、寝るときの目の位置。目を閉じると言ったって結局瞼の裏側を見ているだけで、本当に真っ暗になった訳じゃない。そんな中で目はいったいどこを向いていたんだろうか?

 上か? それとも下か? 右? まさか左? 斜めかもしれないし、真正面かもしれない。斜めだとしたらどのくらいの角度? 真正面と言ってもどこから見ての正面?

 呼吸はどうしてたっけ? 鼻から吸って鼻から吐いてたっけ? 鼻から吸って口から吐いてたっけ? 口から吸って鼻から吐いてたっけ? 口から吸って口から吐いてたっけ? 口と鼻を同時に使って吸って同時に吐いていたかも?

 一番楽な姿勢ってどんなのだったっけ? 右腕の位置は頭の横? それとも普通に下げてた? 胸の前で左手と組んでたような気もする? 左手は右手と同じ? それとも高さを変える? 肘の角度は? 脚は? 首は?

 

 ……などと言うことをとある相手に聞いてみたら相手が軽い不眠症になってしまったこともあるのでもうやらないようにしている。俺がまだ普通の眠たがりな人間だった頃の経験で言わせてもらうと、寝れないのと食えないのは本気でヤバいからな。一般的な相手には食えない方がまずいだろうが、眠れないのが続くのもけして良くはない。直接的に死に繋がりはしないが、脳が休めないと言うのは問題だ。

 ……その点、俺は自分の脳をある程度機能や部分に分けて休ませることができるからやろうとすれば外見上ずっと起きっぱなしって言うのもできなくはないが、面倒だし疲れるしで必要もないのにやる気は無い。

 

 話がずれたが、細かいことを気にしてばかりでは気持ちよく寝れないと言うことを理解してもらえたと思う。ちなみに俺はこういうことを考え始めたら無理矢理意識を爆破解体するどこぞの魔術師殺し的な方法で寝ていたりする。スッキリするんだよな、あれ。

 ……やりたいかどうかは別としてな。ある意味臨死体験に近いしおすすめはしない。呆我の極致とかそう言う感じになるから仙人を目指してるなら一回くらいやっても損にはならないんじゃない? 程度だな。

 

 そんなわけで細かいことは無視して外出中だが、俺から見ても『細かくない』ことが起きそうだ。具体的には……こっちの世界の亡國機業所属の誰かさんに狙われている、と言う状況にある。

 重要っぽく思えないかもしれないが、俺と言う個人にとってはともかく、こっちの世界のIS学園にとっては凄まじく重要な事だ。

 俺と言う個人の事を知る者はこちらの世界にはとても少ない。存在だけならともかく、俺がISを持っている、あるいは原作一夏の関係者であると知るものとなればさらに減る。

 その事を知っているのは五反田一家の一部と、IS学園の教師及び生徒のみ。それなのに亡國機業が俺を狙うと言うことは、その中に俺の情報を流したやつがいると言うこと。それが意識してかしないでかはわからないが、可能性としてIS学園の内部に潜入した敵がいる……ってのは、まずいだろ?

 

「……どういたしますか?」

「……選択肢は3つだ。

 一つ。見なかったことにして撒く」

「次が危険ですわね」

「そうだな。

 二つ。『対処』する」

「手っ取り早くはありますが、人通りの多いところでは危険ですわよ?」

「人目のつかないところならこれが一番だし、実際これになるだろうがな。

 三つ。なにもなかったことにする(・・・・・・・・・・・・)。」

「……範囲は?」

「全部だ。本人はもちろんのこと、戸籍も記録も記憶も存在していたと言う事実そのものすらも、始めから何もなかったことにする」

「間違いなく世界が歪みますわね。できますか?」

「面倒だからやらん」

「では、誘い込んでから二番ですわね」

 

 そうと決まればまずは誘い込まなけりゃならないわけだが、どうやるか。

 俺を狙ってくるのかシルヴィアを狙ってくるのかもわからないが、とりあえずどちらを狙われても大丈夫なようにしておかないとな。具体的にはシルヴィアにレーザー系の武器渡しておく感じで。

 

 ……ISあるから必要ないだろうと思われそうだが、実は俺はともかく他の奴は今の状態だとISを使えなかったりする。主に身長と体格の問題で。

 だから危ないんだが……まあ、なんとかできないこともないだろう。シルヴィアを含む全員の基本スペックは人間を……訂正。『まともな』人間の領域を逸脱しているからな。

 ちなみに俺の言うまともじゃない人間ってのはこっちの世界の千冬さんとかその辺りだ。人間の枠にギリギリ入ってると言えなくもない。

 俺の世界のちー姉さんは完全に人外枠だからもうね。悪いとは言わないし俺が人外相手にどうこう言えるような立場にいるわけじゃないからどうと言う訳じゃないけども。

 

 さて、とりあえずシルヴィアに待っててもらってトイレに行くか。どちらを狙うか、どちらも狙うか、どちらも狙わないかは向こう次第。罠にかかるかどうかも向こう次第。問答無用で手を出さないなんて、俺優しいなぁ。

 

 

 

 

 


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