IS~ほんとはただ寝たいだけ~ 外伝・超外伝   作:真暇 日間

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 連蔵投稿二話目です。


他の子・シルヴィア編02

 

 

 side 織斑百秋

 

「漫才のネタなんだな?」

「流石に現実と言うかリアルであれはちょっと……」

「ネタなんだよな?」

「少なくとも俺はネタのつもり。シルヴィが本気かどうかはシルヴィに聞いて」

 

 はい、さっきの漫才のネタについて注意されています。まあ、当たり前だわな。いいとこ小学校に入ったばかりの自分の子供がそんなネタで漫才やってたら注意の一つ二つはして当然。しない方が育児放棄とかそういうのでしょっぴかれそうな内容だ。

 ちなみにシルヴィはシルヴィでこっちの世界のセシリーに注意を受けている。内容は『レディがそんな首輪をつけたりはしたない真似をするんじゃありません』って感じ。

 ……世界が変われば変わるもんだ。原作の知識は大分薄れてきてるが、それでも俺の世界と原作の世界とでは大分変わってきていると言うことくらいはわかるし、実際こっちの世界のセシリーは大分まとも……まともかどうかはわからないが、少なくともドMではない。あの嫉妬の発露を考えると羨ましいかどうかは別だが、とにかく思考は一部を除いて一般的な範疇に収まっている。

 

 ……シルヴィもドMな所以外は割とまともだったなぁ……嫉妬が暴力に変わる方がいいか、普段から性癖がぶっ飛んでいる方がいいか。好きな方を選べと言われれば………………まあ、性癖の方が痛くない分まだマシか。見ている分にあ痛々しいが、関わるとなれば……なぁ?

 

「『どっちもどっち』と言うことですわね?」

「自分のことだぞシルヴィ」

「まあ!わたくしはお母様のように好きな殿方が自分以外の女性を見ていたからと言ってライフルで脳天を狙撃したりはいたしませんわよ? 暴力に訴えたりはせず、ちゃんとわたくしに振り向いてもらえるように努力いたします」

 

 その言葉でこっちの世界のセシリーが冷や汗を流しつつそっぽを向く。身に覚えがあるからそういう反応なんだろう。自覚があるならやめればいいのにな。

 惚れた相手を殺して自分の物にする……と言う感覚は俺にはよくわからん。ファンタジーによくあるネクロマンサーやら死んだ相手をそのまま取り込むことができる能力やらがあるなら話は別だが、この世界にはそんなものはない。だから余計に理解できない。

 子供もできないし新しい想い出も作れない。会話もできないし温もりを感じることもできない。俺ならそんな相手は絶対に御免だ。

 だからこそ、俺はヤンデレとかそう言うのがあまり得意ではない。まあ、ソフトにちょっと軟禁したりとか自分と手錠で繋いで一日過ごしてみるとかそのくらいだったらまだなんとか理解できる範疇にあるんだが、ガチに監禁とかコロコロして食べるとかそう言うのはちょっと……なぁ?

 

「ご安心を。わたくしはそんな愚かなことはいたしません。むしろわたくしはされたい側ですし」

「ですから英国淑女がそのようなことを言うものではありませんわよ!」

「好きなことを好きだと言えないから、お母様はお父様の子を授かったのが遅かったのでは?」

「そうなんですの!?」

「わたくし、年齢で言えば下から二番目ですわ。ちなみに一番下は燦ですわね。3月の18日産まれでわたくしよりも4日ほど遅く産まれておりますわ」

 

 おや、こっちの世界のセシリーが崩れ落ちてしまった。まあ、一つ下の嫁……愛人? と子供を作った時期がそんなに変わらないと言うのは衝撃を受ける内容なのかもしれないな。俺にはよくわからない事だが。

 そう言えば、まだ子供がいない設定の猫座の生徒会長あるいは化猫女はそんな感じの事を言われて凄まじいダメージを受けていたんだったか。やっぱり行き遅れってのは女性にとっては致命的なのかもな。俺には正直よくわからんが。

 

「大丈夫ですわ。確かに五反田さんのご夫婦は既に第三子まで産まれていますが、人数だけで言えばこちらはきっちり三倍おりますから!」

「……ん? きっちり三倍? ……今まで来たことあるのが百秋、小鈴、朝日、アーデルハイト、シャーリー、十柄、シルヴィア……名前だけ出たのが燦……え?」

「八人……だよね?」

「会長はまだいないらしいし……」

「燦ってのは多分蘭のだからいいとして……後、誰よ?」

 

 シルヴィの不用意な一言でいろいろ仕込みがばれた。別に困るような内容じゃないからまだいいんだが、これは若干痛い。不意打ちで楽しむ量が減ったし、後から実在しない兄弟の話を放り込んで反応を見ることもできなくなってしまった。残念残念。

 

「お仕置きに叩きます?」

「叩かない」

「斬ります?」

「斬らない」

「くすぐります?」

「それ採用」

 

 いいネタが出たので擽ってみた。ただ、擽りでも気持ち良くなれてしまうからお仕置きになっているかどうか……。

 とりあえずシルヴィが笑いすぎてびくんびくんするようになるまで擽ったが、シルヴィってば超笑顔。顔を真っ赤にして息を荒げつつ超絶いい笑顔。もう本当に駄目かもわからんね。

 

「淑女としては完全にアウトな顔ですわね……」

「きっと親の教育が原因でしょう。縄化粧のお陰で時々ISスーツを着れない誰かさんの」

「………………もしかしてもしかしますと……わたくしですの?」

「そうですの。もしかしてもしかしますの」

「……」

「セシリア!? しっかりしろセシリア!傷は深いけど助かるから!まだ間に合うから!」

「ああ……一夏……さ……」ガクッ

「セシリアぁぁぁぁぁっ!」

 

 なんか三文芝居が突然始まったと思ったら突然終わった。あの二人の間にいったい何が起こっていたのやら。

 

「いや今回も百秋の言葉のせいだからな!?」

「しかし原因は未来の某熱々夫婦である。縛りプレイ(物理的)は子供のいないところでやってもらいたいものだよまったく。教育に悪いことこの上ない」

 

 まあ、子供にそんなことは言われたくはないだろうが……現在においてそれが嘘だとわかる方法はない。なにしろ本来重なるはずのない平行世界の話だ。しかも本当は同一人物だとか、何をどうすれば気付けるのかと。

 

 ……俺の世界にだったら直感とかで気付きそうな奴が何人か居るけどな。……本当に人間か?

 

「百秋さんに言われたくはありませんけどね」

「……」

「あっ!らめぇ!そこ弱いんですのぉ!」

 

 とりあえず失礼なことを言ってくる相手にはくすぐりで返そう。

 

 

 

 

 


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