IS~ほんとはただ寝たいだけ~ 外伝・超外伝   作:真暇 日間

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 連続投稿一話目です。


他の子・シルヴィア編01

 

 

 side 織斑百秋

 

 俺の所属するIS学園には、どこに出しても恥ずかしいドMが居る。どこに出しても恥ずかしいと言うことは、当然異世界に出しても恥ずかしい。

 

「そんな訳で悪いんだけど今すぐ帰ってもらえんか?」

「そんなご主人様ってば『お前みたいな雌豚が隣に居るとそれだけで空気が汚れて癌が誘発されるから消えろ』だなどと……興奮するではないですか!」

「言ってねえよ」

 

 ……最近、セシリーの変態度が(X^2=Y)の曲線かってレベルで上昇していてもう面倒で仕方がない。進めば進むだけ進化するとかもうほんとね。

 しかもこれだと0より低くなってもYの値は大きくなるから手に負えない。ドMは最強だと思った。(小並感)

 

 今? 異世界のIS学園の屋上で話し合いをしている。普通にベンチに座ればいいのになんでかセシリーはわざわざレンガをいくつか隙間を開けて並べてその上に正座で座っている。ドM面倒。いやマジで。

 

「ああっその蔑みの視線!そんな目で見下されてはわたくし……わたくしっ……っ!」(ビクンビクン)

「……見た目だけなら完璧にお嬢様してるのに、なんでこうなったかなぁ……」

「ご主人様の調教の賜物ですわ!」

「……はぁ…………」

 

 覚えがない……と言い切れないのが悲しいところだが、だがあえて言わせてもらいたい。

 俺は、一度も、セシリーに向かって、『ご主人様と呼べ』等とは、言っていない。むしろ『誰がご主人だ』とかそう言うことはを言っていた筈なんだが……?

 

「勝手に私がご主人様をご主人様としているだけですわ。ご主人様がご主人様であることはご主人様の自覚云々の前に確定的に明らかですのでご主人様をご主人様と呼称することはご主人様に対する当然の礼儀であるとこの卑小な雌豚貴族は愚考いたしますわ。ご主人様にご主人様らしくなどと要求することはご主人様にかけてあり得ませんので、どうかこの憐れな金髪雌豚めにご主人様をご主人様と呼称することをお許しくださいご主人様!」

「今何回『ご主人様』って繰り返した?」

「十と四回ですわご主人様」

 

 数えていやがった。聞いた意味は特になかったがまさか答えてくるとは……。

 

「雌豚のたしなみですわ」

「どこの世界にそんなたしなみがあるんですかねぇ」

「異世界?」

 

 絶対にあり得ないとは否定できない辺り悔しい。これだから頭のいい馬鹿は厄介だ。

 

「憂さ晴らしに殴ります?」

「殴らない」

「蹴ります?」

「蹴らない」

「凌辱します?」

「凌辱しない」

「放置します?」

「放置できない」

「踏みます?」

「踏まない」

「縛ります?」

「……いや、縛らない」

 

 一瞬ありかもとか考えてしまったが、縛ろうが何しようが悦ぶだけだから本当に質が悪い。

 ……やれやれ、本当に面倒なことになった。これをこっちの世界のセシリーには見せられんな。発狂して自殺するかもしれん。流石にそれはまずい。

 仮にそうなりそうになったとしても原作一夏が慰めていい感じに締めそうな気もするが、未来は結局未確定。賭けるには部が悪すぎる。原作が無茶苦茶になるのは……いやもう無茶苦茶と言えば無茶苦茶なんだが、それでもあまり良いこととは言えない。俺は原作をバッドエンドにしたい訳じゃないし。

 

「猫被りは得意分野ですので、会っても平気だと思いますわよ?」

「本音は?」

「布仏さんですの? 元の世界で着ぐるみでお眠りになられているのでは?」

『せっしーせいかーい♪』

「ほら、言った通りだったでしょう?」

「のほほんちゃんじゃねえよ。……本心は?」

「こちらの世界のわたくしも新しい世界に引きずり込んで仲間を増やして見せますわ……なんて思っていませんよ?」

「ダウト」

「残念、本当に思っていませんでした。ペナルティとして場にいる私を受け取っていただきますわ」

「それ自分がペナルティって言ってるけどいいのか?」

「ご主人様に貰っていただけるならば」

 

 自分を乏してでも実利を取ろうとかドM軍略家は最強かもしれない。これだから頭のいい馬鹿は厄介だ。

 まあ、セシリーは隙あらば自分を押し売りしようとして来るだけでそれ以外は割といい友人だから拒絶し難いんだよな。一度拒否られたら同じ内容でごり押ししてくることも少ないし。

 束姉さんは……まあ、あれはもう別格だから……基本酷いから……。天才が努力をしすぎて壊れた結果があれだから……な?

 

「あ、リード引きます?」

「どっから出したそれ。いつの間に首輪なんか着けた。いや引かないから押し付けられても困る」

「なら鎖にします?」

「もっとヤバいなそれ」

 

 と言うか、俺がツッコミ役とか絶対不適だろ。ツッコミはやっぱりシャーリーとか元金髪男装少女シャルル君とか猫座の生徒会長とかその辺りに任せておくべきだ。中学の頃に漫才をやった時も『ツッコミが弱い』って言われてボケに回ったくらいだし。

 その時の映像? ちー姉さんが四苦八苦しながらビデオで撮ってたから見たければ見ればいいんじゃないか? 見せてくれればだけど。

 ちなみにその時の相方は弾。鈴もビデオを持ってた筈。こっちの方が見せてもらえる可能性は高そう。

 

「とりあえずシルヴィ?」

「? はい、なんでしょうか百秋さん?」

「こっそりなのか堂々なのかはよくわからないが話してる間に俺の手にリードを握らせようとするのはやめような?」

「チェーンにします?」

「結局鎖じゃねえかやらないっての」

「では、あっつあつのおでんを一方的に食べさせてくださるのはいかがでしょう?」

「どこのコントだ」

「Summer&Tear?」

「覚えのないコンビをいつの間にか組まされていた件について」

「それ以外にも色々組んでいるではありませんか」

「実はどれもこれも即興なんだけどな」

「そうですかわかりました。とりあえずリードを引いてもらうと言うことで」

「だから引かんと言っているだろうがいい加減にしろ」

「どうも、ありがとうございましたー」

 

「……寝起きに子供達の漫才を見せられた件について」

「しかも私の娘がドM設定でしたわね」

「「どうしてこうなった」」

 

 それは永遠の謎だね。まあ、目は覚めたようだしいいんじゃね? 知らんけど。

 

 

 

 


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