IS~ほんとはただ寝たいだけ~ 外伝・超外伝   作:真暇 日間

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 時間かかっちゃいましたしさっさとあげときます。


他の子・シャーリー編07(終わり)

 

 

 

 side 織斑 百秋

 

 シャーリーを抱えてベッドまで運んだはいいが、そのまま服の裾を掴まれて動けなくなってしまった。こまったなーこれではうごけないやーあーべっどのなかにひきこまれるーしゃーりーってばちからつよいなーぜったいかてねーわーこまったなーこのままだとねちゃうわー(棒)

 お休み。

 

 

 

 

 

 P.S 目が覚めたら元の世界でした。

 

 

 

 

 

 side シャルロット・デュノア(原作)

 

「僕はえっちじゃないもん……えっちなのは一夏だもん……僕は女の子だから女の子が好きだったりしないもん……」

 

 頭の中を廻るのは、百秋に言われた未来の自分のこと。女の子を相手にスキンシップと称して抱きついたりキスしたり、まるで想い人以外をからかう時の楯無さんのような真似をしているなんて……今の僕には受け入れられない。あんな痴女みたいな真似をしているなんて……信じたくない。

 だって、楯無さんって一夏とまともに出会ってからすぐに男子更衣室に潜入して一夏の着替えを覗いて、勝負の時に一夏の手を胴着に引っ掻けさせてはだけさせることで色仕掛けして、同じ部屋で過ごすようになった初日に裸エプロン(に見える水着エプロン)でお出迎えした挙げ句に『ご飯にします? お風呂にします? それともわ・た・し?』なんてことをやったそうだし、下着にワイシャツ一枚で一夏にマッサージをしてもらったりとかもしたそうだし……!

 

 だから!僕は!そんな楯無さんみたいな痴女じゃない!そんなことしたこともないし、考えたこともない!

 ……まあ、精々『いつか結婚したい』とか、そのくらいだよ? 女の子だったらそのくらいの夢は誰でも見るよね? 白馬の王子様とまでは行かないにしろ、素敵な人と結婚して幸せな家庭を築いていきたいって思うのは普通の事だよね? 間違ってなんかないよね? ね?

 それに、楯無さんはそんなことをしすぎたせいで本気で迫ってみてもからかっているだけだと思われるようになっちゃってるけど、僕はそんなことはないもんね!楯無さんのせいで一夏の中で『友人』の閾値がさらに上がっちゃったせいでやりづらくはなったけど、いくら一夏でもちゃんと『友達としても好きだけど、できれば僕は一夏の恋人になりたい』ってしっかりはっきり伝えちゃえば勘違いするようなことも……ない……はず!

 ……無いといいなぁ……でも一夏だしなぁ……。

 

 まあ、伝わらなかったら伝わるまで頑張ればいいよね!言わなくちゃ伝わらないことだっていっぱいあるし!言っても伝わらないこともあるけど、言うだけじゃなくって行動でも示さなきゃ!

 でも行動だけだと一夏は気付いてくれないから、言葉を使わないと……。

 

 ……どうしてかな? 自分ではもうわかりきっているのに、言葉にしようとするとこんなにも恥ずかしい。これなら何も言わずに抱き締めたりする方がずっと簡単だ。

 でも、その『簡単なこと』ばかりしていても一夏にちゃんと想いを届けることはできないわけで。そして、ちゃんと伝える方法を持っているのにそれをやっていない時点で一夏が気付いてくれないなんて言えないんだよね。

 気付いてほしいなら言わなくちゃ。言ってわからないなら行動しなきゃ。やるなら今だよ、僕?

 

 ……あ、でも、行動と言動を伴った結果が百秋の言っていた未来の僕だとしたら……ちょっと躊躇しちゃうかもしれない。

 確かに『好きな相手に好きだと言い、その言葉に合わせた態度をとる』って言うのを体現しているけど……してるけど……けど!……流石に……ねぇ?

 とにかく、そこまで行かない程度に素直になって、それで一夏を落としてみせよう!

 頑張るぞっ!おー!

 

「……シャル? 何やってんだ?」

「ふわわわわぁぁぁぁっ!?」

「おぉっ!? びっくりした!」

「びっくりしたのはこっちだよ!?」

 

 いきなり後ろから声をかけられて、死ぬほど驚いた。しかも、ちょうど答えを見つけてはしゃいじゃったところだったから……ちょっと恥ずかしい。

 

「え、えっと……それで、どうしたの?」

 

 誤魔化しついでに一夏の用件を聞くことにした。さっきのあれを見られちゃったのは恥ずかしいけど、恥ずかしがってばかりじゃ話も関係も進まないからね。

 けれど、一夏はなんでか僕のことをじっと見つめるばかりで話し始めようとはしない。

 

「……えっと……一夏? いったい何の───」

「……よかった、あんまり落ち込んではないみたいで」

「───え?」

 

 一夏はほっとしたような顔でそう言った。

 えっと、つまり……一夏はショックを受けているだろう僕の事を心配してここに来てくれたってこと?

 

 ……どうしよう、すごく嬉しい。やっぱり一夏は優しいなぁ……。

 その優しさを僕だけに向けてくれればもっと嬉しい……と思ったこともあるけど、きっと一夏がそんな人だったら僕は今こうしてここにはいないだろうし、きっとそんな人の事を好きになることもなかったと思う。

 一夏の優しいところは美徳だけれど、ある意味では欠点でもある。悩ましいところだね……。

 

 一夏は優しいからこそ一夏。その優しさで傷を癒し、暖かな熱を与えてくれる。

 その熱に惹かれ、魅了されてしまえば……きっと誰であろうと逃れることはできないし、逃れようと考えることすらなくなってしまうだろう。

 周囲の冷たさに慣れてしまった者が一夏に近寄ると、初めは冷えきった心に突如与えられた熱に拒否反応を起こすけれど、暫く一緒に居ると今度はその暖かさに慣れてしまって離れられなくなってしまう。なんとも罪な人だよね。

 

 ……そんな優しさを振り撒いているからこそ、その周囲には人が集まり、一夏は集う人達を魅了していく。時々会わない人もいるみたいだけど……まあ、それは人それぞれ。好みについてとやかく言うつもりは全くない。

 

 と、どんどんと脱線していく思考を元の方向に向け直しながら、僕はゆっくりと深呼吸をして……笑顔を浮かべる。

 

「心配してくれたの?」

「当たり前だろ」

「そうなんだ……」

 

 にへら、と崩れてしまいそうな表情を微笑み程度にまで抑えておく。早鐘のように鳴る心臓に少し辟易しながらも、とにかく外見だけは落ち着いているように見せておかなければいけない。

 

「……うん、ありがとう、一夏」

「なんで礼を言うのかよくわからないけど、どういたしまして」

 

 僕の笑顔に一夏も笑顔を返す。……ああ、やっぱり一夏はかっこいいなぁ……♪

 

 

 

 

 


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