IS~ほんとはただ寝たいだけ~ 外伝・超外伝 作:真暇 日間
side 織斑百秋
今回はからかい役をシャルに任せ、俺はストッパーあるいはただ食っちゃ寝するだけに止めておいたんだが、どうやらそれは正解だったらしい。色々な物がぶっ飛びすぎたシャルは普段は自重を続けているせいでどこまでならやっていいのかがわからないようで、今はただ全力で害を振り撒いている。
ただ、その害を受けたのは極少数なのでまだ問題らしい問題は無いだろうが、このまま放置しておけばその被害半径は遥かに広がっていく事になるだろう。
それは俺の望むところではないが……まあ、いくらなんでも致命的なところまではやらないだろう。(1)
いくら今のシャルが暴走ぎみだからって、自重の心を忘れたりはしないさ。(2)
俺はシャルを信じてるからな。(3)
大丈夫だ、問題ない。(4)
……こんだけ意識的にフラグを立てたんだ。逆作用フラグも確り建ったに違いない。
意識してフラグを建てようとするとそのフラグの効果が反転するフラグ。または、同じ種類のフラグをいくつも建てると逆の効果になるフラグ。最近はフラグの種類も数も増えすぎていて、フラグ管理が面倒で仕方ない。
へし折らなくてはいけないフラグは意識的にへし折って、へし折らなくてもいいフラグはその場の流れに任せて放置。基本的に気分で行動するだけで折れやすいフラグは勝手に折れるし、よほど重要なフラグでない限りはスルーすることにしている。
その『よほど重要なフラグ』を無視したせいで世界大戦が起こってからは少し気にするようになったんだが……やっぱり世界にはフラグが溢れていて面倒臭いことこの上ない。
自由に過ごせば未来が、未来を気にすると現在が犠牲になってしまうってのは……やっぱり等価交換として成り立ってるある種の真理みたいなもんなのかね? 両立するのは難しい。
両立できるとしたら、それは多分過去においてかなり頑張って調整したってことだ。つまり、不確定な未来のために当時の現在と未来を擲って行動した結果であり、失敗した時には大きな代償を払わなければいけないと言う賭けに勝った結果得たもの。つまり、過去を犠牲に手に入れたものだ。
一つを犠牲に二つを得ているから等価ではないと思うかもしれないが、失敗すれば得る物が何もないか失敗したという経験のみになると言う賭けに勝ったのだから、リスク分のリターンと考えられるだろう。
つまり、基本は等価交換だが時期や運、努力などを追加で対価の天秤に乗せることができる。そう言ったものを乗せたからと言って必ず得るものが大きくなるわけではないが、基準の物に乱数をかけることができるようになる。勿論マイナスがかかることもあるので注意が必要だが、経験やら努力やらを上手く使えば乱数調整をすることも不可能ではない。それが計画を立てるってことだからな。
そんなわけで、今回の小旅行では俺はフラグ管理しっかりしようと思う。
……迷惑をかけた相手に、写真でも残していけばいいか。なんでかはわからないが、こんなところにこっちの世界の俺の小さい頃の写真があるし。
証拠に、中学生頃の千冬さんが写ってるのを選んである。こちらの世界の千冬さんの写真を用意するのは骨が折れたが……千の顔を持つ英雄って本当に便利だ。
ついついちー姉さんを思い出して何度か失敗してしまったが、最終的にはなんとか成功した。キリッとしたちー姉さんはあまり見れないから新鮮な気もする。
……そして、作ったこの写真はいくつか纏めて被害者に渡しておけばいい。今回の場合はシャルかね。
生徒会長の方は……こっちからなにかしなかったら関係を進めようとしようとは思わなかったんだろうし、その辺りの所で相殺ってことにしてもらおう。いい仕事をした分の代金って感じで。
……シャルが正気だったら『明らかにぼったくりすぎだよね!? 漫画とかでよくあるぼったくりバー並のぼったくりだよね!?』とかなんとか言いそうだが、本人がぶっ飛んでる状態だからそんな声は聞こえてこない。
……実は、正気じゃないシャルは俺にとっても若干危険だったりする。貞操の危機的な意味で。
男が貞操の危機と言うのもあれだが、キレたシャルは超弩級の肉食系になるから間違ってはいない。モンハンで言えばテ○ガレックス並の肉食だ。
ちなみに、あまりにも肉ばっかり食べていると痛風になりやすいから気を付けた方がいい。肉が好きならそれはそれでいいが、自分の健康を少しでも気にするのなら野菜もしっかり食べるべきだ。
食物繊維は大事。腸の中に溜まった老廃物をこそげ落として排出させるには、腸内で消化されにくい食物繊維を使ってやるのが手っ取り早い。便秘の人の強い味方だな。
ちなみに、インスタント食品にはあまり食物繊維が取れないものが多い。ちー姉さんの健康状態が心配だったのはそれが大きな原因の一つだったりする。
ちー姉さんはほっとくとインスタントで済ませちゃうからね。IS学園なら学食があるからバランスのとれた食事をとれるし、昔ドイツ軍にいた頃にも同じような状態だったろうからセーフと言えばセーフなんだろうけど、絶対に一人暮しはさせられないタイプだ。
……もしそうなったら、きっと束姉さんが通い妻のようにご飯を作りに行ったりするんだろうなと勝手な想像をしてみる。束マザーに千冬ファザー。お似合いだと思うのは俺だけじゃないはずだ。
千冬さんがもしも男だったら、そうなってた確率はかなり高そうだ。お互いにまともな人間から見ればかなり外れた能力を持ち、家が近くにあることからお互いに知り合う機会が十分にある。ついでに千冬さんは家事があまり得意でなく、束さんは料理を含めた家事はかなり得意。
……それでお互いに親がいて、もっとまともに過ごせていたら……くっつかない理由がないな。うん。
……今度暇な時間ができたら探してみるか。探せるか、探せたとしてもそこに行けるかどうかはわからないが、やるだけやってみることにしよう。暇潰しとしてはそれなりに面白そうだし、寝ながらでもできることを考えれば暇潰しの内容的にはかなり俺に合っているだろうし。
そして、もしもその世界に行くことができたら……束姉さんとちー姉さんを連れて三人で行ってみたい。きっと色々と面白いことになるだろう。