問題児に混じって野生児が来るそうですよ? 作:ささみの照り焼き
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ガルドとのギフトゲームが終わり、ノーネーム一行は本拠へと帰還していた。
「はぐはぐもぐもぐがつがつむしゃむしゃ」
「……凄い勢いだな」
軽く引いている十六夜を尻目に、ユーリは次から次へと口のなかに食べ物を放り込んでいく。明らかに食べた体積とユーリの体が比例していないのだが、そこら辺はもう気にしないことにしている。
「ごきゅん……ごくごく……けぷ」
テーブルの上にあった料理を完食すると、ユーリは小さなゲップをして満足げな表情になった。
それを見計らって、ところで、と十六夜が切り出す。
「ガルドとの一戦で、新しいギフトを作ったんだって?」
「ん」
言うよりも見た方が早い、とでも言うように、ユーリがギフトカードを渡す。
「《
「んぅ?」
首をかしげる二人。
十六夜がユーリに取り出すように指示すると一一ガルドとの一戦で手に入れた十字剣が現れた。
それを目にして、十六夜の顔がひきつる。
剣に関しては素人と言っていい十六夜の目から見ても、明らかに普通の剣でないことは明らかだ。
「……おいおい、どうしたんだそれ?」
「……?」
十六夜の言葉に、ユーリは何が?と首をかしげる。
実は、この十字剣を《
「……まぁ、それは護身用としてお嬢様に渡しとけ」
「ん」
ユーリは小さく頷き、《白銀の十字魔剣》をしまった。
「《怒り狂う太陽》の方はお嬢様から聞いてるし……あぁそうだ」
十六夜はニヤリと笑って。
「春日部の様子を見てこいよ」
笑いが抑えられない、といった様子で告げた。
◇◆◇◆◇
「一一耀?」
「一一っ!!??」
背後からかけられた聞きなれた声に、春日部耀は跳び上がった。
慌てて振り向くと一一小首をかしげるユーリが。
「……な、何?」
「……ん。怪我……どう?」
「だ、だだだだだ大丈夫!」
「…………?」
明らかに不振な様子の耀を見て、ユーリの首の角度が深くなる。
そんなユーリに見つめられた耀は一一顔を真っ赤にして目を泳がせまくっていた。
ガルドとの一戦で怪我を負った耀を治療したのは、ユーリだ。
それは耀も感謝している一一が、しかし、その治療方が問題なのだ。
「(く、くくくく口づけって……!!!!!)」
耀はそのときの事を思いだし、さらに顔を赤くした。
ユーリのギフト一一《超回復》は、
そのため、ユーリのとった手段が唾液を耀に飲ませる一一というとんでも行為だったのだ。
「ご、ごめん。わ、私用事があるからっ!」
「……んぅ?」
耐えきれなくなって逃げ出した耀に、ユーリはさらに首をかしげた。
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ギフト詳細
《
ユーリのギフト《昇華》によって進化させられた十字剣。
一振りで大地を切り裂く業物。
飛鳥強化ギフトその1