問題児に混じって野生児が来るそうですよ? 作:ささみの照り焼き
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ユーリの猛攻は、始まりが唐突ならば終わりも唐突だった。
「一一うにぃ」
「一一は?」
気の抜けたような声を漏らして、ユーリが地面に伏せた。
黒く染まっていた髪と瞳も元に戻り、体中を這っていた雷もおさまっている。
一同、呆然である。
「…………」ぐぅ~~~~~~……きゅう
「……エネルギー切れか?」
十六夜の呟きに、ユーリの腹の虫が再び唸りを上げた。
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「……納得がいかんの」
「ヤハハ、元魔王様も押されてたな」
「うるさいわ」
結局、決闘はユーリの
が、白夜叉は納得がいかないのか、憮然とした表情だ。十六夜に茶化されて、拗ねた子供のようだ、と稲荷は思ったが口には出さない。
その原因の張本人は、未だエネルギー切れでぶっ倒れていた。
「……まぁよい。黒ウサギ、今回の目的は鑑定じゃったよな?」
「あ、はい。皆さんに自分のお力についてより知ってもらおうと思いまして」
「ふむ……正直鑑定は苦手なのじゃが。いやおんしらは運が良い。ちょうど良いものがある」
そう言うと、白夜叉は手を二回叩いた。
ポンッ、と、十六夜、飛鳥、耀、ユーリの手元に一枚のカードが現れる。
「ギフトカード!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「……食べれる?」
「息ピッタリですね皆さん!?」
『あっ、ちょっ、食べちゃダメですってばユーリさん!! それ結構便利な物なんですよ!?』
稲荷に止められて、ユーリは渋々カードを口から離した。
黒ウサギによると、耀のギフト一一“
正直、ユーリはそんなものより食べ物がほしいのだが、稲荷がペシリと尻尾で叩いてきたために飲み込んだ。
渋々、ギフトカードを見る。
ギフトカードの色は白銀で、ユーリには読めない文字で何かが書かれていた。
「…………?」
「一一へぇ、じゃあ俺のはレアケースなわけだ」
「こ、これは……ありえん、全知全能のラプラスの紙片がエラーを起こすなど……」
ユーリが首をかしげている間にも、話は進んでいく。十六夜の持つコバルトブルーのギフトカードには、“
飛鳥や耀にも聞いてみたところ、飛鳥はワインレッドのカードに“威光”、耀はパールエメラルドのカードに“
「で? 悠莉くんはなんていうギフトなの?」
「うん。気になる」
「……稲荷……よろ」
『あ、やっぱり読めないんですね』
半ば予想していた稲荷は、ユーリから白銀のギフトカードを受け取った。
そして器用に前足で持ちながら読もうとして一一
『えぇと、うわ、四つもありますよ!』
おー、と、本当にすごいと思っているのかどうか分からない声で反応するユーリ。
飛鳥と耀も、関心したような表情になった。
『えー、“
「なに!?」
稲荷がギフトネームを叫んだ瞬間、白夜叉が一瞬で稲荷のもとまで移動してギフトカードを奪い取る。
そしてギフトネームを確認し、ユーリの胸ぐらに掴みかかった。
「貴様一一このギフトを何処で手に入れた……!?」
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