魔法少女リリカルなのは~カレイドの魔法…少年?~   作:朱羽総長

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月一投稿になりかけてることが最近の悩みです(T_T)
ルビ振り直しました。

読み直して、おかしいとこがあったので9月中に修正します。←修正完了しました


魔法少女、誕生

「エメラルド、こっちかな」

「はい。魔力反応からして病院から離れて行ってるようです」

 

 声の聞こえたい場所、正確にはSOSを出した人(?)のもとへ走っていた。

 

「結界張れないのも厄介だよね」

 

 本来なら結界張って、飛んでいくのがベストだが相手に下手に警戒されるのを防ぐため使えない。

 

「急ぎましょう」

「どうかした?」

「接触しました」

 

 

「なのはさんが」

 

 

なのはside

 

 突然聞こえてきた声。今日の帰り道で聞いた声と同じだった。

 その助けを求める声に反応して、家を抜け出し動物病院へ向かった。

 確証はないけど、あのフェレットさんが関係あると思う。

 

「はぁ、はぁ、着いた」

 

 槇原動物病院。声のする方へ走ったらやっぱりここだった。

 どうやって中に入ろうか考えていると大きな音が響いた。

 

「きゃっ!」

 

 昔に聞いた爆発の音だった。

 病院の敷地内で起こったようで、壁が一部崩れていた。

 そこから黒いナニカが現れる。

 それは形が定まってなく、至る所に触手が生えていた。

 その怪物はなにかを追っているようで、私を無視して触手を動かした。

 地面を砕いて土煙が起こる。

 煙の中からこっちに昼間のフェレットさんが飛んできたので両手でキャッチした。

 

「来て…くれたんです…ね」

「ふぇっ?喋った!?」

 

 しゃべるステッキなら見慣れてるが、動物がしゃべることに驚いてしまった。

 

「お願いします。力を貸してください。あなたには素質が」

「今は逃げるの!」

 

 フェレットさんが喋っているが、黒い怪物がこっちに向かってくるので、言葉を遮り後ろへ駆け出した。

 

 

悠斗side

 

「移動してます。それと私達のとは違う結界が張られているようです」

「どこに向かってる?」

「このままだと、公園のほうです。初めて闘ったときの」

「懐かしいなぁ。去年から行ってないし」

 

 僕とエメラルドはさっきより速度を落として走っている。

 目標は移動してるみたいだから、急ぎすぎても体力の無駄。相手の場所が分かるなら、向かってる場所への抜け道やらを使ったほうが速い。

 それに、

 

「なのはがいるなら多分大丈夫」

「ですね」

 

 

 

なのはside

 

 フェレットさんを連れて公園まで来た。あの怪物は意外に遅いみたい。

 余裕ができたので呼吸を整えてフェレットさんに話しかける。

 

「それで、さっきの話だけどなんなの?」

「は、はい。僕はこの世界にある探し物のためにやってきました。でも、僕だけでは不可能に近いです。だから…素質のある人に手伝ってもらおうと思って…」

「探し物ってカードみたいなもの?」

「いえ、違います」

 

 悠斗くんの集めてるカードかと思ったが違うようだ。残念。

 悠斗くん、前にあのカードを手に入れるため黒い人と戦って大ケガしてたし、心配だなぁ。

 見た目に合わず無茶するし、危ないからやめてほしい。

 昨日もよく分からないけどやってたみたい。

 そういえばここは、悠斗くんと初めてあったキッカケ、槍を持ったおじさんに襲われた場所だ。あの出来事からここに来るのは怖さから避けてたけど、今度悠斗くんやアリサちゃん達と来るのもいいかも。

 

「あの…」

「にゃ!?ごめんなの。考え事してた」 

 

 フェレットさんが声をかけてくれたお陰で我にかえった。

 素質のある人。私のことのようだ。

 

「なにをすればいいの?」

「手伝ってくれるんですか!?」

「うん!」

「ならまずは…!危ない!」

 

 フェレットさんが声を荒げる。後ろを向くと黒い怪物がそばまで来ていた。

 向かってくる怪物から逃げるように右側に転がる。

 怪物は私達がいたベンチを砕いて止まる。

 起き上がった私の方へ向きを変え、さっきよりも速く突撃してくる。

 

「逃げて!」

 

 腕の中でフェレットさんが逃げるように言ってくるがそれじゃいつまでも同じことの繰り返しだ。

 私は即座に空いてる右腕に力を込めるイメージを浮かべ、すぐそばまで来た怪物目掛け

 

 

思いっきり振り抜いた。

 

 

「…えっ?」

 

 フェレットさんの驚く声が聞こえる。

 当然だ。怪物は殴られた方向に飛んでいき茂みの中に落ちた。5メートルくらい先の茂みに。

 

 

結人side

 

「今の魔力…」

「なのはさんですね」

 

 路地裏などを使いながら移動していると、よく知る魔力を感じた。

 なのはだ。絶対。

 

「魔力強化教えといて良かった…のかな?」

「こういった事件に巻き込まれた際の防衛手段としては良かったと考えますが…どうでしょう」

 

 二人して、過去の出来事を思い出す。

 それは彼女に魔力強化を教えたときのことだ。試しに全力での一発を、転身した自分にやらせてみたが、

 

「まさか…物理保護抜いてくるとは」

「いや、砕かれたが正しいと思う」

 

 両腕の骨を折られるとは…。

 ってか、確かあの物理保護トラックの直撃にも耐えられる設定にしといた筈なのに。

 

「相手、無事かな?」

「…急ぎましょう」

 

 

なのはside

 

 結人君に教わった強化で黒いのを殴ったれたけど、すぐに復活して追ってきた。

 今はフェレットさんを連れて、物陰に隠れている。

 

「聞きたいことは色々あるけど、今はこれを使ってください!」

「これ?」

 

 フェレットさんが私に使うように言ったのは、赤い球体の宝石だった。

 

「どうすればいいの?」

「僕が言うことを復唱してください」

 

 足元に魔法陣が現れる。

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「風は空に、星は天に」

 

「風は空に、星は天に」

 

「そして、不屈の心は・・ この胸に 」

 

「そして、不屈の心は・・ この胸に 」

 

「「この手に魔法を!」」

 

「「レイジングハート、セット・アッープ!」」

『スタンバイレディ、セットアップ』

 

 次の瞬間、赤い球体、レイジングハートが光を放ちなのはの身体が宙に浮く。

 

「次は自分が考えるレイジングハートとバリアジャケット、防護服の形状をイメージして!」

「えっと、こうかな…」

 

 目をつむってイメージすると、金色のパーツと赤い宝石で造られた杖と、学校の制服に似た服でガントレットと脚甲つけた姿になっていた。

 

「す、凄いの!」

「前、前見て!」

 

 地面に着地し、驚いてると前から黒いのが突進してきていた。

 

「!」

 

 避けることは間に合わない。目をつむり、これからくる衝撃に備える。

 

「……?」

 

 待ってもこない衝撃に、不思議に思い目を開ける。

 そこには、星形の壁によって体の中心から拘束されていた黒いのがいた。

 

「これは…?」

「これって…」

 

 目の前の光景に驚きながらも、どこかで見たことのあるそれを思い出そうとしていると、

 

「なのは、何その格好…」

 

 空から私たちを見下ろす、私よりもファンタジーっぽい格好悠斗君がいた。

 

 

悠斗side

 時は遡り、なのはが変身する前のこと。

 

 

「ここにいたみたいだな」

 

 公園に来たはいいが何もない。

 いや、あるにはあった。荒れた茂みと、なのはの魔力。

 

「殴ったみたいだね、なのは」

「でしょうね。強化以外教えてませんし」

 

 ってか、殴られて無事な敵かー。

 

「黒化英霊じゃないよね」

「はい。改めてサーチしましたが違いますね」

「反応は?」

「今は…ここから西に…!!」

「!!」

 

 黒化英霊並みの魔力を感じた。けどこれは…。

 

「「なのは(さんですね)だね」」

 

 強化教えてたからこそ分かる魔力だ。量が桁違いだけど。

 

「あっちだね」

 

 走って行けなくもないが、あれだけの魔力を放出してるとなると、ただ事じゃない。

 

「じゃあ、やるよ」

「はい」

 

 エメラルドがステッキに変わる。

 

「セット・あ「多元転身(プリズムトランス)」っ…ぷ?」

 

 光に包まれ、服装が変わる。肘まで覆う白い手袋、黒をベースにした半袖、白に緑のラインが一本入った長ズボン、半袖で膝まで届く大きさの黒と黄緑色のコートを纏った姿になる。

 これが前とは違う、ちゃんと登録した戦闘服だ。正直言うと、これでも恥ずかしい。けど我慢だ。これ以外はイリヤのか、美遊のの色違いになってしまうのだから。

 

「って、エメラルド。なんで急にキーワード変えたの?」

「気づいたんですよ…」

「何に?」

「世界観に合わせるのでは無く、正しい起動ワードの方がスペック高いのだと!」

(まぁ、本当に正式な詠唱は長すぎて時間かかりますし、これでいいでしょう)

 

 テンション高いなー。けど、実際に送られてくる魔力のペースが早い気がしなくもない。

 それに特に問題もないし、これでいいかな。

 

「じゃあ、行こう」

 

 空へ浮かび、魔力を感じた方へ急ぐ。

 すると、黒い泥(?)みたいなものが制服っぽい変な格好のなのはに突撃しようとしていた。

 

「よっと!」

 

 黒いのの通る道の先、なのはの少し前に座標を固定。奴の体の真ん中がそこを通るタイミングで障壁を展開。拘束具代わりにする。動けなくなったのを確認して、聞きたかったことを聞くとしよう。

 

「なのは、何その格好…」

「私もよく分からないの!」

 

 …まぁ、あそこのフェレットが何か知ってるみたいだし後で聞こう。

 

「それよりも、これどうすればいい?」

 

 ステッキで黒いのを指す。

 

「えっと君、レイジングハートにはあれを、ジュエルシードを封印する術式がはいってます。心を落ち着けて、心の中にあなたの呪文が浮かぶ筈です」

「…………うん。分かった」

 

 なのはが黒いのの前に立ち、呪文を告げる。

 

「リリカルマジカル。封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード。封印!」

 

 機械っぽいステッキの形状が変わり、魔力で出来た帯のようなものが現れる。

 それらは黒いのを貫き、後には青い宝石が残った。

 

「これがジュエルシードとかいうの?」

「はい。ありがと…ござ…」

「あっ、フェレットさん!?」

 

 フェレットが倒れた。事件が落ち着いて気が抜けたのだろう。

 

「ともかくなのはの家に行こう」

「うん。お願い!」

 

 なのはを近くに寄せ、転移の魔法陣を展開する。目的地はなのはの家の近く。なのはが抜け出したこと、士郎さんにはバレてるだろうし。

 

「ん?」

「どうかしたの?」

「何かありましたか?悠斗様」

「いや…エメラルド、周辺になんかいる?」

「…いえ、3キロ圏内には何もいませんが」

「何か見られてた気がしたけど気のせいかな…行くよ」

 

 そして、違和感を感じながらもなのはを抱え移動した。

 

 

 

第三者side

 

 

 悠斗たちがいた場所、その遙か上空、高度5000メートルにそれはいた。

 黄金に輝く空飛ぶ船。

 

「あれがもう一人の転生者で、僕と戦う運命の少年か」

 

 その船に座するは金の髪の少年。少し古めかしい双眼鏡を手に持っている。

 恐らくそれの効果で、結界内の悠斗たちの様子を見ていたのだろう。

 

「さて、今日はこれくらいにしてアレを探さないと」

 

 そんな言葉を呟き、轟音と共に船は姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 




次回も未定。感想、アドバイス頂けるとありがたいです。

…量減らそうかなφ(.. )

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