魔法少女リリカルなのは~カレイドの魔法…少年?~   作:朱羽総長

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テストでかなりの時間が空いてしまいました(T_T)
今回から原作にちょろっと入ります。
ではどうぞ


動き出す物語

 カンッ!カンッ!と、固いものがぶつかり合う音が空間に響く。

 音を響かせているのは二人の男。

 一人は高校生位の青年に対し、もう一人は小学生位の少年だった。

 二人は両手に小太刀サイズの木刀を持ち、闘っていた。

 少年が右の刀で下から攻めると、青年は左の刀で軌道を逸らしながらもう片方で少年目掛けて突きを放つ。

 少年は体を左に反らすことで回避し、バックステップで下がる。

 追撃するかのように青年は少年に向かって走り出す。

 

「セイッ!」

 

 少年は焦らずに右の木刀を逆手に持ち替え、向かって来る敵の顔目掛けて全力で投擲した。

 小学生が投げたとは思えないような速度で飛んでくる木刀に、青年は驚いた顔をするが難なく右の刀で叩き落とす。

 少年は青年へ木刀を投げると同時に相手の右側へ体を低くしながら駆け寄り、右わきから左の肩へ向けて切り上げる。

 しかし青年は突然消え、刀は空を切り、首に木刀が添えられた。

 

「…参りました。けど、神速は反則ですよ、恭也さん」

「最初にルールで言われてないから有りだ、悠斗」

 

 青年は高町恭也、少年は蒼崎悠斗。

 時々見られる朝の出来事だった。

 

悠斗side

「いけたと思ったんですけどね…」

「いや、良かったぞ。神速がなければ負けてたかもしれない」

 

 床に座り込みながら恭也さんと反省会。といっても大体は僕の反省。

 

「でもこれで今年5連敗ですよね、僕」

「そうだな。トータル146戦21勝125敗だ」

 

 いわなくても分かると思うが、21勝が僕で、125勝もしてるのが恭也さんだ。

 少し前からなのはちゃんのお兄さんである恭也さんと、朝に道場で模擬戦をしている。毎日は無理だから時折ではあるが。

 

「ほら、さっさとシャワー浴びてこい。学校に遅れるぞ」

「あっ、そうですね。じゃあ、失礼します」

 

 道場を後にし、シャワーを借りて汗を落とす。

 この道場は高町家の物で、家に併設されてる。汗かいた後は家でシャワーを使わせてもらい学校に向かう。

 ちなみに朝食は自分で作って持ってきている。

 

 

 道場で朝食(おにぎり)を食べ、制服に着替えて家の前で待つ。

 

「悠斗くん、お待たせ~」

 

 家から友達、幼なじみともいえる高町なのはが出てくる。

 彼女とは、小学校に入る前に知り合い、それ以降仲良くしている。

 

「じゃあ、行こうか」

「うん!」

 

 こうやって、道場で動いた後は一緒にスクールバスの乗り場まで一緒に行くことになっている。

 もう、約3年目になると思うと時間の流れは早い。

 そう3年目である。なのはと初めて会った時からそれだけの時間が経ち、小学3年生となった。

 

 バス停に着くと、すぐにバスは来た。

 バスに乗り奥の座席へ向かうと、

 

「おはよう、なのはと悠斗」

「おはよう、なのはちゃん、悠斗くん」

 

 金髪と紫に近い黒髪の少女達がいた。

 クラスメイトのアリサ・バニングスと、月村すずかだ。

 

「おはよう、二人とも」

「おはようなの」

 

 挨拶をかえして、座る。右になのは、左にアリサが座っている。

 このメンバーで一列に座るときは何故かこの二人が隣にくる。

 

「二人が一緒だったってことはまた恭也さんと?」

「うん、そうだよ」

「よくついていけるわね」

「まぁ、鍛えてるし」

 

 半分ほんとだ。特典の一つ、地下訓練場と、ある事情からそこの生活スペースで暮らしている居候に手伝ってもらい生身でのトレーニングをやっている。

 もう半分は、自分でも分からない。小学校に入ってからなんか月日が経つ内に、スペックが上がってる気がする。

 

 

 それが神さんの仕業と分かるのは少し後のお話。

 

 

「って、悠斗何それ」

「えっ?…あっ」

 

 アリサがなんかニヤニヤしながらこっち見てるので、視線の先をたどると、自分の手のひらのようだ。

 そこにはマジックペンで「蒼崎悠斗」と書かれていた。

 

「なんで…フフッ…自分の名前書いてんのよ。名前忘れるようなこと…プッ…あったの?」

「ち、ちょっとしたミスだよ。ってか、そんな笑いをこらえるようなこと?」

 

 内心ヒヤヒヤしていた。

 この手の名前は、昨日のカード集めに必要だったからだ。

 カードは現在11枚。この数年で増えた。

 未だに夢想召還(インストール)は出来ないけど。

 

「…………」

「なのはちゃん、悠斗くん睨んでどうかしたの?」

「うん?なんでもないの」

 

 カード集めを知っているなのはからの視線が怖い!最近、カード集めに関する話題になるとこうなる。

 すずか、ナイス!

 

 

そして時間は飛んで、放課後。

 

「将来?」

「そうなの」

 

 帰り道、さっきの四人で歩いていた。僕以外はこのまま習い事らしい。

 しかし将来か…。

 

「うーん、ないかな」

「つまんないわね。もっと考えなさいよ」

「考えろって言われても」

 

 アリサが心底つまらなそうな顔をして文句言ってくる。

 

「悠斗くんなら何でもできそうだけど…」

「そんなことないよ、特に絵とか」

「「「確かに」」」

 

 そう、僕は絵を描くのが苦手だ。いや、苦手よりも向いてないが正しい。

 この前もリンゴを描いた筈なのに、完成したらカボチャになってた。

 後ろで見てた先生も何が起こったかか分からなかったらしい。

 

「まぁ、なんか仕事探して普通に過ごせたらいいかな。仕事見つかるか分からないけど」

「欲が無いわね。ま、まぁ?もし仕事が見つからなければ、私専属の…その、付き人にしてあげても…いいわよ」

 

 顔を赤くしてアリサが言ってくる。

 ふむ、付き人か…。要するに執事ってとこか?

 

「無理かな。流石に自転車で車に追いつけないし」

「誰もあの借金執事並みのスペックは要求しないわよ」

「あっ、そうなの?ならそれもいいかな」

 

 これでもしもの時の職は確保出来た。アリサも働き手が見つかったからか、笑顔だ。いや、なんかにやけてる。

 すると、なのはが突然声をあげた。

 

「悠斗くんは、翠屋で働くの!」

「あー、それもあるか」

「看板娘として!」

「ちょっと待とうか、なのは」

 

 看板娘って、僕男だよ。

 確かに去年、なのはのお母さんの桃子さんに頼まれてメイド服で手伝ったけど。

 

「悠斗くんがメイド服で働いた時のお客さんの数がすごかったって!」

「あぁ、主に女の人が多かったような」

「「やっぱやらなくていい」」

「あっさりと手のひらをかえした!?」

 

 しかも何故かアリサまで。

 女の人が多かったといっても、人形みたいだとかで、可愛がられただけだし。

 

『……けて』

 

「!」

 

 なんだ?声が…。

 

「ねぇ、今声が聞こえなかった?」

「えっ?何も聞こえなかったけど」

「どうかしたの?なのは」

 

 なのはにも聞こえたらしい。

 

『助けて…』

 

 まただ!どっから聞こえているんだ?

 

「こっち!」

「ちょっと、なのは!」

「二人共!行こう、すずか」

「うん!」

 

 走りだしたなのはをアリサが追い、僕とすずかも後に続く。

 

 なのは達に追いつき、見つけたのは…、

 

「イタチ?」

「多分フェレットじゃないかな」

 

 フェレットらしき動物が倒れていた。首にはなんか赤いビー玉サイズの宝石をつけてる。

 ん?…魔力を感じる。

 

「この辺に動物病院あったかな」

「確かあっちに槙原動物病院が、あった筈よ」

 

 ひとまずフェレットを病院へ運ぶことになった。

 

 

 夕飯にカレーを作ろうと材料を買ってきたが、ジャガイモや肉を見てたまには肉じゃがもいいかもと考える。作り方知らんが。

 結局カレーを作りながら、今日のことを振り返る。

 フェレットを病院へ連れて行った結果、命に別状は無しとのこと。

 今は病院に預かって貰ってる。

 問題は誰が引き取るかだ。

 アリサとすずかの家は犬と猫が沢山いるから無理。

 となると、なのはか僕となる。

 なのはは、翠屋では無く本家で飼えばなんとかなるかもしれない。

 僕も姉さんの許可さえおりれば可能。

 ってか、姉さん帰ってこない。ここ1ヶ月。何してるか謎だ。

 

「…何作ってるのですか?」

「あっ、エメラルド。カレーだよ」

「…肉じゃがになってますが」

「え?あれ?」

 

 おかしい。何故肉じゃがに…。

 一口味見する。

 

「どうですか?」

「…なんかカレーの味がするけど肉じゃがだ」

「「……………」」

 

 なんとも言えない空気に包まれた夕方だった。

 

 

 

「そういえば、今日どこ行ってたの?エメラルド」

 

 案外美味しかったカレー肉じゃがを食べてリビングでくつろぎながら、エメラルドがいなかったことを思い出して聞いてみた。いつもなら髪の中にいるのに。

 

「いえ、ずっと居ましたよ」

「どこに?」

「すぐ近くに」

 

 そんな訳ない。誰かしら気付く筈だ。こんなのが浮いてたら。

 

「気づかなくて当然かと。こうしてましたし」

 

 エメラルドの姿が消えていく。

 

「なにそれ!?」

「モードチェンジNo.18霊体化モードです。簡単にいうとステルスです。」

 

 また変な機能を…!?

 前は、アンテナ生やして、空中にモニター作ってテレビ見たりできる『ワンセグモード』、下部分からマジックハンドみたいなのを生やして料理する『クックモード』とか相変わらず謎過ぎる。

 

「それもただのステルスではなく、サーヴァントの霊体化と同じ原理です」

「…もういいや。なんか疲れた」

 

 はぁ、とため息つきながら自分の部屋に向かう。

 

『助けて下さい!』

 

 突然声が聞こえた。昼間と同じ現象だ。

 

『僕の声が聞こえるのならお願いします!力を貸してください!』

「これは…」

「始まるようですね」

 

 エメラルドが僕の部屋からポーチを器用に持ってきながら告げる。

 

「リリカルなのはのお話が…」

 

 今まで忘れてたことの始まりを。

 

 




次は未定。
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