魔法少女リリカルなのは~カレイドの魔法…少年?~ 作:朱羽総長
戦闘描写って難しい…
エメラルドから話を一通り聞いてから数時間後、僕は夕食の買い出しに商店街へ行っていた。
五歳ということもあってか商店街の人達がオマケしてくれたりもする。
よってスーパーよりも安く済むのだ。
(ちょっと眠いかな…)
話終わったのが1時頃。五歳児にはつらい時間だ。
一眠りして起きたら昼頃。
朝食という名の昼食を食べ、エメラルドと話をし、時間を潰した。
「姉さん帰るの夜になるみたいだし、何にしようかな?」
野菜が安かったから、野菜炒めかな。
でも、冷凍庫に肉も残ってたし肉じゃがとかもいいかな。
「料理出来たんですね。驚きです」
「うわっ、なんでいるの!?」
エメラルドが髪の中から話しかけてきた。
「居ましたよ?最初からフードの中に」
「気づかなかったよ…」
フワフワと僕の髪で姿を隠しながら浮いている羽付きリング。
この先もこんな感じが多いんだろうなぁ。
などと考えてたら、
「悠斗様、結界が展開されました!」
エメラルドが真剣な声で言ってきた。
結界…?魔法関係か。
この世界の主人公、えっと、た…たか…何だったかなぁ?なのはって名前はわかるのだが。
ともかく、その子関連だろうし任せてしま…
「結界の魔力パターンからクラスカードの黒化英霊と推測!」
僕関係っぽかったです。
第三者side
少女は困惑していた。
家族の邪魔にならないように晩ご飯の時間まで公園で時間を潰そうとしていた。
けれども、変に絡んでくる銀髪の男の子が気持ち悪くて場所を変えようと歩き始めたときだった。景色が一変したのは。
周りに人気は無く、空はさっきまでの夕暮れから灰色の空になっていた。
目の前には一人の男。
所々に赤い液体のようなモノが付いた黒い鎧。
手には槍を。
足下にはさっきの男の子が倒れている。
(こわい…)
少女は駆け出した。
自分でもよく分からないが、逃げなきゃいけないと思ったから。
幼い彼女には分かるわけも無かったが、それは命の危機を感じた時の生存本能。
走る。走る。
このまま走れば母親の働く店がある。
まだ母親がいる筈だ。
助けを求めたら。
そんなことを考えて、立ち止まった。
(おかあさんの…おしごとのじゃまになっちゃうかも…)
立ち止まってしまったのが悪かった。
突如、後ろにあった民家が爆発した。
「きゃっ!?」
少女は吹き飛ばされ地面に転がった。
燃えている民家の中から出てきたのはさっきの男。
その目は少女を捉えていた。
真っ赤に染まった目が怖くて、彼女は早く逃げようとした。
だが、立てない。
右膝から血が流れていた。
足に力が入らない。起き上がれさえも出来ない。
這ってでも動こうとするが、身体が石にでもなったかのように重い。
もがいている内に、男はすぐ近くまで来ていた。
手にしている槍を掲げ、少女に振り下ろそうとしている。
その表情は、無表情だが笑ってるように感じた。
少女は、目に涙を溜め、呟いた。
「たすけて」
同時に槍が振り下ろされた。
槍の先は少女の心臓目掛け進み、
身体のすぐ隣の地面に刺さった。
「えっ…」
途中で男に光るナニカが当たり、手元がずれたのだ。
そして、光るナニカは再び男に飛んでくる。
小型化された数百発のナニカが雨のように。
男は槍を振り回し、ほとんどを叩き落とした。
何発かは当たり、男にダメージを与えたようだ。
男は倒れている少女から距離を取り構える。
ほぼ一瞬の間に変わった状況についていけない少女。
そんな中状況は更に変わっていく。
「おぉ、出来た!」
彼女の目の前に、足から緑の羽を生やした淡い緑のマントをつけた少女(?)が現れた。
悠斗side
エメラルドから結界が展開されたと言われた後、急いで家に帰り荷物を置いて公園に向かっていた。
「というかエメラルド」
「何でしょう?」
急ぎながらもまだ髪の中にいるエメラルドに話しかける。
「確か黒化英霊って、鏡面界に行かないと会えないんじゃなかったっけ?」
原作ではそうなっていた。
鏡面界という世界の影にある世界。そこで黒化英霊との戦闘は繰り広げられていた。
「確かにこの世界でも鏡面界はありますが、この世界に散らばったクラスカードは色々と違うのです」
散らばった、というのも気になるがこれも今じゃなくていいだろう。
「このクラスカードは三パターンに別れています。
一つ、境界面での発動。これは知っている通り、境界面での戦闘で手に入ります。
二つ、発動がしてない。最初からカードのまま。
そして、三つ目。今回のパターンですがカードが発動し、こちら側の世界に現れるタイプです。結界を作る奴もいれば作らないのもいます。」
長々とご苦労様。
発動してないのが楽そうだな。
「いえ、これは発動してないだけで逆にいつ発動してもおかしくないのです」
探せるの?
「はい。カードは一定の魔力が籠められており、それが漏れていることもあるので探知可能です」
で、今回の相手はこっちで結界を作った奴か。
「はい。それであってます」
エメラルドの指示に従い公園を目指す。
しばらくして、
「あと30秒で公園に着きます!」
そうして走ってると、公園が見えてきた。そのまま公園に突っ込み、
「結界への干渉成功」
景色が変わった。空は灰色で、人気が感じられない。
特に何も考えてなかったが、あれで良かったのか突入。
「黒化英霊の他に生命反応!一般人のようです」
「はっ?」
巻き込まれてる?一般人が?
「魔力値が高い人間が巻き込まれたようです」
そっか、魔法少女の世界だから魔力ある人がいてもおかしくないな。
助けに行かないと。
「さぁ、転身を!」
「…なんかテンション高いね、エメラルド」
形状をステッキに変えて言ってくる。
状況的には合ってるんだろうけど、乗り気じゃないんだよなぁ。
原作のみる限り恥ずかしい格好になりそうだし。
「今回は非常事態なのでそこまで拘れませんよ!」
心を読んでそう言ってくる。
信じてやるしかないか。
「それじゃあ、世界観的に掛け声はセットアップでいきましょう」
「はい、はい。エメラルド、セットアップ」
身体が光に包まれ、光が消えると服装が変化していた。
さっきまでのパーカーが、黒をベースにした長袖のシャツに。
ズボンも黒のジーンズに変わった。
背中には淡い緑のマントが着いてた。
「どうです?」
「あの愉快型魔術礼装が作ったとは思えないほど普通だ…」
マントは若干恥ずかしいがこれくらいなら問題なし。
「じゃあ参りましょう」
「うん」
フワリと、浮かぶ。
空を飛ぶイメージ。それをはっきりと想像する。
「そうです。その調子で」
「こうか?」
不安定ながらも飛べてる。
もう地面から25メートル位は離れたかもしれない。
「あっ、なんかあそこで爆発起きたけど」
「あそこですね、きっと」
燃え上がる民家に向かって飛行する。
民家のすぐ近くでは、槍を持った男が女の子を殺そうとしてた。
「いや、ダメだろ!?」
ステッキを振る。
ステッキから緑の魔力弾が飛び出し、男に当たった。
「あれ?」
「無意識だったんですか?まぁ、いいです。追撃を!」
ステッキを構え想像する。
男までの距離と女の子に注意するとなると砲撃を駄目かな。余波で怪我するかも。
「なら、散弾で!」
エメラルドの先端から魔法陣が出現し、魔力弾が撃ち出される。
魔力弾は途中で分裂し、数百の魔力弾になった。
それらの内、何発かは当たったようで男が女の子から距離を取る。
「おぉ、出来た!」
成功したことに喜びながら二人の間に入るように降りる。
「エメラルド、障壁って出来る?」
「当然可能です」
言うやいなや正面に大きな魔法陣が現れた。
女の子のほうを振り返り安全を確認する。
「大丈夫?」
コクンと頷きながら、
「男の子…?」
などと言ってきた。
くそ!そんなに女っぽく見えるのか?
「まだ幼いのですから仕方ないかと」
「…エメラルド、ありがと」
そうだよ!子供だからそう見えるだけだ!もう少ししたらきっと…。
(まぁ、悠斗様は変わらない気がしますが黙ってますか)
「それよりも悠斗様」
「うん?」
エメラルドが話題を変えてきた。
ちょっと真剣な声で。
「何?」
「障壁がそろそろ限界なのですが」
障壁を見たらあの男がガンガン攻撃しまくってた。
…防音機能も付いてるのかな、これ?
「確認ですが
「うん。一枚忘れたけどそれ以外は全部」
ポッケの中にあるモノを触って確認する。
「それではこの子を連れて距離を取り、安全な場所に置いてから仕掛けるでどうでしょう」
「それがいいかな」
女の子を運ぼうと思い歩きだそうとした。
偶然目に入った光景に声を荒げる。
「エメラルド、予定変更!彼女を連れて上へに行く!脚部に魔力集中!」
「り、了解!」
足に魔力が流れ込む。一気に女の子に接近して抱き上げ、飛翔する。
直後、
「
男を中心に半径数百メートルに槍や杭が生える。
間一髪のところで逃げ切る。
宝具を使ってくるなんて。
宝具は英霊達が生前に築いた伝承、伝説を形にした「物質化した奇跡」。
切り札と呼べる力を持つが、その分自身の真名がばれる危険性もある。
よって、これで確信が持てた。
あの男の真名が。
「此処にいて」
少し離れた民家の屋根に、女の子を降ろす。
頷いた少女の頭を撫で、再び空へ。
「思わず撫でちゃったけど大丈夫かな?」
「頭がパニックみたいだったので大丈夫だと思いますよ」
男を見下ろす位置まで戻ってきた。
あちらは見上げ、こちらは見下ろす。
「やりますか」
視線がぶつかると同時にどちらも動いた。
男は槍を構えこちらに突っ込んできた。
空中でバックステップをしながら障壁を二枚展開する。
「まずは、これ!」
ポッケからカードを取り出す。
カードには弓を持った男性の絵と、『Archer』の文字。
「多分合ってる!
カードをステッキの先端に当て、
カードの使い方の一つであり、クラスカードに宿っている英霊の武装等を、エメラルドなどのカレイドス テッキを媒介に、一時的に具現化することが出来る。
もう一つ、正しい使い方があるが、今の僕では出来ないらしい。
今使ったのはアーチャーのクラスカード。
エメラルドが形を変え、弓に変わる。
「これで……って駄目じゃん!?」
「悠斗様、前!」
目の前で男が槍を横薙に振ってきた。
しゃがんで回避し、右に転がり立って、また離れる。
「そっちじゃないです!もう一つの」
「分かった!」
弓だけじゃ何も出来ないよ。
弓をステッキに戻して、もう一枚のアーチャーを取り出す。違うところがあるとすれば、さっきのの縁が青だったのに対して、これは赤というくらい。
「使える武器来い!
ステッキは次に、二丁の白と黒の拳銃に変わった。
「あれ?これ見たことあるような…」
「後ろ、来てますよ!」
振り返ると、男が近づいてきてた。
銃を構え撃つ。
銃声と共に弾丸が撃ち出された。
男の右肩に当たり、一瞬止まる。
だが、すぐさま体勢を立て直し、再び向かってくる。
「反動は、こちらで無くしますから撃ちまくっちゃってください」
連射。バックステップしながらとにかく撃つ。
男は鎧を着ているが、ダメージは通ってるようで、所々から出血してる。
「あっ、弾切れです」
二丁拳銃がステッキに戻った。
「はい!?」
突然のことで驚いてると、男は一気に接近し、突きで攻撃してきた。
「物理保護全開!」
槍は身体に当たったが、直前に張られた保護障壁のおかげでダメージは無かった。
「ていっ!」
眼前の男の顔面に魔力弾を一発ぶち込む。
男はうめき声を上げながら下に落ちてく。
「はぁ、はぁ、エメラルド、どういうこと?」
「あの銃は、最初に展開された時の弾数を使い切ると自動で解除されるようです」
「なる程」
さて、どうするか。
あの男のクラスはランサー。
そして真名は、小説「ドラキュラ」のモデルとされ、 ワラキアの独立をトルコの侵攻から保った、キリスト教世界の盾とまで言われる高潔な武人でルーマニアの英雄。串刺し公、ヴラドⅢ世。
「どうします?もう一枚のカードをつかいますか?」
「うん。それで行こう」
先ほどまでのとは違うカード。
綱を引き、何か乗り物に乗っている人が描かれてた。「Rider」と書かれている。
「
ステッキが光を放ち、思わず目を瞑る。
光が収まり、目を開けると、
「………」
「…どうしましょうか、これで」
右腕がなんか機械で覆われてた。
肩から全て。擬腕っぽいけど。
殴れと?槍相手に肉弾戦?
「えっと、解除で」
「分かりました」
ステッキに戻る。流石にあれは厳しいと思う。
「来ますよ!」
民家の屋根に登ってきたランサーは、浮かんでるこっちを見て、ジャンプしてきた。
「イメージ固めて…
今までより強い魔力弾を撃つ。
それはあっさりと避けられたが、
「そこ!
散弾を撃ちだし、命中させる。
ランサーは地面に落ちる。
「トドメ!
魔力を収束し、狙い撃つ。
それは魔力弾というより魔力砲と呼べるものだった。
「グォォォ!」
直撃し、小さな爆発が起こった。
煙が晴れた先、ランサーが居た場所にはカードが一枚浮いているだけだった。
次は前と同じくらいの量になるかと。
感想、アドバイス頂ければありがたいです。
ISも進めないと( ̄。 ̄;)