魔法少女リリカルなのは~カレイドの魔法…少年?~   作:朱羽総長

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さぁ、今年最後の投稿。

ではどうぞ…。


月夜の終わり

 

 

 

聖剣『約束された勝利の剣(エクスカリバー)

 

イギリスに伝わる伝説、アーサー王物語に登場する聖剣。

かのアーサー王が妖精『湖の乙女』から一時的に授かった神造兵装。

人々の「こうであってほしい」という想いだけで造られた結晶ではあるが、それ故に幻想の身でありながら最強の聖剣とされる。

 

 

両手で持ち手をしっかりと握りしめ、頭上へと振り上げる。

 

視線の先には、朱き月の化身(アルクェイド)

 

 

お互い動かず、まるで西部劇の速撃ちのような雰囲気を漂わせる。

 

 

 

ガラッ……。

 

 

 

既にボロボロの校舎、その一角が崩れ落ちた時、最後の戦いが始まった。

 

 

「!!」

 

こちらへと高速で迫るアルクェイド。

その姿は見えない。当然だ。

 

 

(全魔力集中…)

 

 

刀身へと光が集まり、収束されていく。

身体強化を全てカット。

今ある全ての魔力をこの一撃に込める!

 

 

 

約束された(エクス)…」

 

 

さぁ、

 

 

勝利の剣(カリバー)!!」

 

 

これで決まりだ!

 

 

 

 

 

放たれた光の奔流は廊下を埋め尽くし天井を消し飛ばした。

 

 

 

薄れていく意識の中、最後に見たものは、宙に浮く『バーサーカー』と書かれたカードだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の話をしよう。

目が覚めると、すずかの家で寝ていた。

 

見舞いに来た恭也さんの話では、学校の校舎の前にすずかと二人して寝ていたらしい。

その後、すずかは数時間して目覚めたものの僕は三日間寝ていたようだ。

先に起きたすずかがなんとか誤魔化して魔法のこととか黙ってくれたみたいだ。

なんて言ったんだろ。

 

 

とりあえず何か食べようと運ばれてきた料理に手を出そうとすると部屋へと突撃してきたなのは、アリサ、はやての三人に泣きつかれ、質問攻めされ、はたかれ、その対応に追われた。

 

結局何か口に出来たのは、その二時間後の午後四時だった。

 

 

そして今は…。

 

 

 

「さて、選んでもらうわ。記憶を消されるか、パートナーになるか」

 

 

重大な決断を迫られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

子供組が帰ったあと、忍さんに呼ばれて大広間(?)とでもいうべき場所へとやってきた。

で、夕食を頂き少し経ってから話があると言われた。

 

恭也さん、ノエルさん、ファリンと三方向から監視される中伝えられたのは『夜の一族』について。

そして夜の一族を知った人間への、掟があるらしい。

忍さんが簡単に纏めてくれたが、

 

 

『月村に関することほとんど忘れるか、すずかの婚約者になるか、ってことよ♪』

 

 

なんて纏めてくれやがりました。

 

しかし、どうしたものかな。

記憶消されるのは困るし、嫌だし。

すずかの婚約者…恋人と思っていいのかな?それ自体は嫌ではないけど、掟とはいえすずかの気持ちも聞かずに決まってしまうのも…。

 

催眠系、睡眠系の簡単な魔術なら行使できる。勉強中とはいえ、血文字のルーンを使えばなんとか。

それで今回は切り抜けるか。

けど、恭也さんがいるから変な動き見せたら刀(明らかに真剣)で斬られるだろうし。

エメラルド、どこ行ってるのさ。

 

 

(ん?恭也さん…苦笑してる…?)

 

 

…あぁ、なるほど。

 

 

「忍さん、それホントに婚約者じゃないといけないんですか?」

 

「どういうこと?」

 

「いや、それだと同性とか恋人持ちの人はどうなるのかな、と思って」

 

「それは…」

 

「もういいだろ忍?話が進まない」

 

「む、しょうがないわね」

 

 

周囲に漂ってた真剣な雰囲気が霧散していく。そんなにもたなかったな、この雰囲気。

 

 

「まぁ、友達、親友みたいなものでも構わないわ」

 

「ほっ、良かった。婚約者なんかになってもすずかも困ると思うし」

 

「…喜んで受け入れると思うけど」

 

「何か言いました?」

 

「べっつにー」

 

 

この人何拗ねてんだろ?まぁ、いいか。

 

 

「じゃあ、帰ってもいいですか?」

 

「うん、悠斗君なら勝手に話したりしないだろうしね。責任はいつか取ってもらうけど」

 

「責任?」

 

「帰りにすずかの部屋寄ってきなさい。それで分かるわ」

 

 

 

 

 

 

 

「すずか、いる?」

 

 

すずかの部屋のドアをノックする。

しかし、責任…?なにかしたかな。

 

『うん、入ってきていいよ』

 

「失礼しますっと」

 

 

入った先には何度か見慣れた部屋の光景と、

 

 

「すず…えっ」

 

 

変わらない光景の中、唯一変わってたもの。

すずかの髪の先がうっすらと金色に染まり両眼は赤くなっていた。

 

 

「驚いた?」

 

「それ、どうしたの?」

 

「目が覚めたらこうなってて、切っても次の日にはまた染まってるの。上から染めても元通り」

 

 

もしかして…カードの後遺症?

だとしたら僕のせいか…。

 

 

「あっ、悠斗くんのせいじゃないよ!?」

 

 

表情から察したのか、慌てて否定してくる。

 

 

「私としては困ることもないし、なぜか吸血衝動も落ち着いてるの。それに、これも一つの罰かなって」

 

 

毛先を撫でながらこっちを見つめてくる。

 

 

「…悠斗くん、化け物の私でも友達でいてくれますか?」

 

 

その目には不安と期待、そんな感情が見えた。

言う事は決まってる。

 

 

「言いたいことは二つ」

 

 

ゆっくりとすずかの前まで歩く。

目の前で止まり、デコピン。

 

 

「痛っ」

 

「一つ目、すずかは人間だっていったろ?少なくとも僕はそう思ってる」

 

そして、すずかの手を取り、

 

「二つ目、掟とかそんなのを抜きにしてもこれだけは誓うよ」

 

 

 

タイミング良く窓から月の光が二人を照らす。

 

 

 

 

「すずかが望まない限りこっちから離れることはないよ。ずっと一緒だ」

 

 

 

 

「…ぱり、こ…がこ…んだね」

 

「えっ?何?」

 

 

顔を赤くして俯いたかと思うと、ボソッと何かを呟いた。

 

 

「なんでもないよ、けどそれまるでプロポーズみたい」

 

「えっ、そう?」

 

 

思い返すと「ずっと一緒」とか言っちゃってるし、なんか恥ずかしくなってきた。

 

 

「大丈夫。そんなつもりじゃないのは分かってるから」

 

 

そう言って手を離し、さらに距離を縮めてきたかと思うと

 

 

 

チュッ

 

 

 

 

「…へっ?」

 

 

今、頬に柔らかい感触が…………!?

 

 

「これからもずっと、ずっとよろしくねゆうくん!」

 

 

 

 




約束された勝利の剣
Fate/stay nightのセイバーの宝具。
作者が三番目に好きな宝具。ちなみに一番は全て遠き理想郷、二番目はエアである。

アルクェイド消滅
再生用の魔力も殆どない中、全身を消し飛ばされたため消滅。


すずかの変化
すずかファンの方々、すみません。

ゆうくん!
ミスではありません。


余談ですが、悠斗はこの後すっかり忘れてた全身の激痛に襲われることになります。




今年も一年間ありがとうございました。
また来年も宜しくお願いいたします。
来年こそは、二期まで終わらせてやる…!


それでは皆様よいお年を。





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