転生者・十六夜咲夜は静かに暮らしたい。   作:村雨 晶

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感想が予想以上に多くて感激している作者です。
人に読まれている実感があると、嬉しくなりますよね!
今回はもう一人の主人公が出てきます。

ん?この前の霊夢とレミリアの戦闘前のセリフが最後以外全然違うって?
ふふふ、それはね、作者はいつも咲夜さんにピチュられるからレミリア戦まで行ったことがないからだよ…


これ全部私が直すんですか…?

 

霊夢に倒され気を失い、再び目を覚ました時、私の眼にホールの惨状が飛び込んできた。

 

 

(え?何これ。なんで床に大きな穴が開いてるの?なんで壁紙がぼろぼろなの?

これ全部私が直すの?……嘘だと言ってよバーニィ…)

 

 

10分ほど心の中でorzった後、ふと窓の外を見ると、紅い霧が晴れつつあり、明日の朝になれば太陽の光が地上を照らすだろう。

 

私が気を失っている間に霊夢がレミリアお嬢様を倒したのだろう。

いつも持ち歩いている懐中時計を見ると、霊夢と戦ってから3時間ほどしかたっていない。

こんな短時間でレミリアお嬢様を倒すなんて…。博麗の巫女は公式チート(確信)

 

もう霊夢たちは帰ってしまっただろうし、夕飯の時間も近い。

もうそろそろ準備をするべきだろう。

私はホールの後始末をいったん頭から追い出し、厨房へ向かう。(それはただの現実逃避だって?細けえこたあいいんだよ!)

 

そういえば今日は異変を起こすということで3時のおやつを作っていなかったことに思い至り、厨房で能力を駆使して30分ほどでクッキーを100枚ほど作り上げる。

 

今はレミリアお嬢様は敗北に打ちひしがれているかもしれないので、もう少し時間が経ったらでいいだろう。

フラン様はこの時間は狂気の真っ只中だろうから今行くのは勘弁願いたい。私だって体がボロボロの状態で戦うのは避けたいのだ。

となると今おやつを届けるべきは美鈴とパチュリー様だろう。

厨房からなら美鈴の部屋より図書館の方が近いのでそちらに足を向ける。

 

図書館に入ると、パチュリー様がいつも本を読んでいる場所へ向かう。

すると、そこには驚いたことに、霧雨魔理沙がパチュリー様と何やら話し込んでいたのだ。(ちなみに今はクッキーと紅茶が冷めないように時間を止めて動いている)

かつて見た立ち絵の通り、絵本にでてくるような魔法使いの恰好をした彼女は、楽しそうな顔でパチュリー様と話している。というか姿が見えないと思ったらここにずっといたのだろうか。

パチュリー様は不機嫌そうな顔をしているものの、いつもよりも眉間のしわが少ないことから彼女もこの状況を少なからず楽しんでいるのだろう。

小悪魔は――うん、いつも通り抱えていた本の山を崩していた。こんな時でも変わらないこの子は本当に可愛いと思う。

 

もうしばらくこのパチュマリを楽しんでいたいが、美鈴にもおやつを運ばなければならないので、能力を解除する。

 

色を失っていた世界が色を取り戻し、時間が正常に動き始める。

突然現れた私に驚いたのか、はつらつな笑顔を引っ込め、驚いた顔で私を見てくる魔理沙を見て悪戯が成功したような気分になった私は、珍しく心からの笑顔を浮かべてクッキーが20枚ほど乗った皿を机の上に置く。

 

 

「今日のおやつでございます、パチュリー様。こちらはお客様ですか?」

 

 

私が現れた時も表情一つ変えなかったパチュリー様は、私の言葉で不快そうな顔になる。

 

 

「例の巫女と一緒に来た、ただのネズミよ」

 

 

「おいおい、ネズミは灰色だぜ?私は白黒だからな、ネズミじゃない」

 

 

「よく言うわ、大切な魔道書を盗もうとしたくせに」

 

 

「別に盗もうなんて思っちゃいない。死ぬまで借りようと思っただけだぜ」

 

 

魔理沙の名言が聞けたことで内心テンションが上がっていた私だが、彼女の分の紅茶を持ってきていなかったことに気づき、時間を止めて客人用のカップを急いで持ってくる。

突然目の前にカップが現れたことに目を丸くしていた魔理沙に笑顔で話しかける。

 

 

「では紅茶とクッキーはいかがかしら?白黒の泥棒猫さん?」

 

 

その言葉を聞いて魔理沙は顔を赤くし、パチュリー様は吹き出した後、珍しく声を上げて笑い始めた。

 

 

「ふふふ、一本とられたわね、魔理沙。ところで咲夜、そこの侵入者は追い出さなくていいのかしら?」

 

 

「ええ、私の業務にはパチュリー様のご友人を追い出す仕事はありませんので。それでは、パチュリー様、失礼いたします。可愛い猫さん、ゆっくりしていって」

 

 

魔理沙を一撫ですると今回は時間を止めずに図書館から出ていく。

 

魔理沙、可愛かったなあ。ああいう元気な女の子が時折見せる恥じらいは見ていて癒される。

途中、可愛い猫~やら、最後に撫でるつもりなんてなかったんだけど。

相変わらずこの体は勝手に動くなあ。

 

私はそんなことをぼんやり考えながら美鈴の部屋へとおかしを持っていくのだった。

 

 

 

 






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