え?だったら小説を一時凍結すればいいって?ほ、ほらこれは息抜きだから(震え声)
今回は救出組の美鈴組です。他のメンバーもおいおい書いていきます。
――紅魔館 正門前
「さて、これからどうする?」
魔理沙が仕切り直すように声を上げる。
「私とフラン様は咲夜さんの霊力を追います。きっとまだあの場所に残ってますから」
「私は紫と連絡を取ってみるわ。勘だけど紫は今回のことを何か知ってる」
「なら私は人里へ行ってみるぜ。咲夜は浚われる前にそこにいたんだろ?」
各々の方針を確認すると、私達は行動を開始した。
私はフラン様を連れて戦いがあった場所に、霊夢は八雲紫に連絡を取るために博麗神社に、魔理沙は人里へと飛んで行った。
「ねえ美鈴。咲夜、大丈夫だよね?」
「咲夜さんの強さはフラン様も知っているでしょう?きっと大丈夫ですよ」
うん、とフラン様は不安が残っている顔を伏せる。
無理もない。紅魔館で咲夜さんに一番懐いているのはフラン様だ。
私はフラン様を慰めるように頭を撫でるのだった。
♢
「ここが咲夜が戦ってた場所なの?美鈴」
「ええ、ですが予想以上に霊力の拡散が速いですね、ほとんど霊力を感じ取れなくなってる」
先程来たときは明確に咲夜さんの霊力を感じ取れたのに、今はほとんど感じない。
これでは追跡は難しいだろう。
「ねえ美鈴。あっちに妖力が続いてるよ?」
「えっ?」
フラン様に言われて妖力を感じてみるが、私には感じ取れない。
吸血鬼特有の感覚なのだろうか?
「こっちだよ、美鈴。行ってみよう!」
「あ、待ってくださいフラン様!」
その妖力とやらを追ってフラン様が飛んで行ってしまう。
私は慌ててフラン様を追っていった。
やがてフラン様が止まり、きょろきょろしていた。
どうやら妖力を見失ってしまったらしい。
だが何かを見つけたようで、それをじっと見ていた。
追いついた私が視線の先を確認すると、そこには真っ黒な球体がふよふよと浮かんでいた。……何あれ?
「ルーミア!」
「?あ、フランだー」
黒い球体はこちらに近づいてくると、目の前で止まり、その中身を晒した。
中には宵闇の妖怪、ルーミアがいた。
「どうかしたのー?フランが外にいるなんて珍しいねー」
ポヤポヤと話す彼女がかつて紅魔館を襲撃した一人だとは思えない。
…ああ、たしかあの騒動の後先代の博麗の巫女に力を封じられたのだったか。
いつの間にフラン様と仲良くなったのだろう?
「ねえ、ルーミア。咲夜をこのあたりで見かけなかった?」
「さくや?あー、あの美味しそうな人間?ううん、見てないよ。あの人がどうかしたの?」
「妖怪に攫われちゃったの。……何か変わったことはなかった?」
「うーん、あ、そういえば変な妖力が妖怪の山に向かっていくのを感じたかなー。微妙な感じだったから気のせいだと思ったんだけど」
「分かった、ありがとう、ルーミア!」
「ううん、私もあの人間は好きだしねー。美味しそうだし、なんだかいい匂いがするんだもん。また今度遊ぼうねー」
ふわーっとルーミアは去っていく。
それにしても美味しそうって……。あの妖怪の判断基準はそこなんだろうか?
「妖怪の山に行ってみよう、美鈴。あ、でもどこか分からない……」
「私が知っていますから大丈夫ですよ、さあ、行きましょうか」
私達はルーミアの情報を頼りに妖怪の山へと向かうのだった。
♢
「あ!ここであの妖力が強くなってる、こっちだよ!」
妖怪の山に辿り着いた時、フラン様が歓声を上げる。
どうやらあの場所で感じた妖力を再び感じ取れたようだった。
「そこで止まれ、侵入者」
フラン様が山に入ろうとした瞬間、暴風と共に烏天狗が現れる。
私はフラン様を背にかばい、彼と対峙した。
「む?貴様らは確かあの吸血鬼の……。ふん、ここは貴様らの訪れるべき場所ではない。早々に立ち去れ」
「ここに咲夜がいるかもしれないの!お願い、ここを通して!」
「貴様らの都合など知ったことか、立ち去れ。さもなくば、実力行使も厭わんのだが……?」
脅すように自身の右手に風を纏わせる烏天狗。
私が応戦しようと構えると、後ろでフラン様が声を上げた。
「だったら弾幕ごっこしよう!」
「……は?」
予想外の言葉だったのか烏天狗はポカンとした顔を見せる。
そんな彼に気付いているのかいないのか、フラン様は言葉を続けた。
「私が勝ったら通して!負けたら帰るから!」
烏天狗は呆れたように顔を覆った。
「……はあ、何故私が八雲が考えた遊びなどに付き合わねばならん。……が、まあいい。それで貴様らが退くというなら良かろう」
そう言ってスぺカを懐から取り出す烏天狗。
それに答えるようにフラン様もスぺカを取り出した。
「かつての異変では貴様に後れを取ったが、今回は我々烏天狗が十全に力を発揮できる野外だ。前のように簡単に倒せるとは思わんことだ」
「思ってないよ。人間の魔理沙や霊夢だって私に勝ったんだから、油断なんてしない!美鈴、見てて。私だって戦えるんだから!」
「…ええ、分かりました。頑張ってくださいね、フラン様」
そして、フラン様と烏天狗の弾幕がぶつかり合った。
私は弾幕に巻き込まれないよう少し離れたところで戦いを見守るのだった。