もちろん咲夜さんは出てきません。…最近主人公なのに出番少なくね?とか言ってはいけません(目そらし)
今回は前編で戦闘導入シーンです。本格的な戦闘は後篇です。
あとめっちゃ長いです。過去最長。
ある日突如湖の近くに血のように紅い館が出現した。
妖怪の賢者の監視すらも逃れて外の世界から転移してきたその館には、吸血鬼とその配下、そしてその友人の魔法使いが住んでいた。
吸血鬼は転移後、瞬く間に周辺の妖怪を殲滅し、陣地を盤石にした後、幻想郷をへと侵攻を開始した。
しかし、それをいち早く察知した妖怪の賢者は自らの式神、博麗の巫女、幻想郷の主要な妖怪たちと共に侵攻阻止のために紅魔館を急襲するのだった。
――これが後に「吸血鬼異変」と呼ばれる異変である。
――八代目御阿礼の子の手記より抜粋――
♢
――正門前
ビシリ、と紅魔館全体を覆っていた結界にひびが入り、その直後に粉々になって砕け散る。
その瞬間、外壁の上を様々な人妖が飛び越えていく。
しかし、それを止めようと正門に佇んでいた妖怪「紅美鈴」が飛びかかる。
しかし、外壁を越えようとしていた人妖達の最後尾にいた者がそれを止めた。
人形遣い「アリス・マーガトロイド」だ。
「邪魔をしますか。ならばあなたを倒してから侵入者を排除します」
「できるかしら、貴方は人間の拳法を使うただの妖怪。私は魔法使い。拳で戦う貴方は魔法で戦う私に勝算があるの?」
「ありません。ですが、魔法だって万能じゃない。慢心は敗北を招きますよ?」
「そうね。確かに私は慢心しているわ。だけどね、それは――」
アリスが手を一つ振ると、彼女の周囲に魔方陣が出現し、そこから人間大の人形たちが現れる。
その数は十や二十ではきかない。百を超える、まさしく人形の軍勢とも呼べるものだった。
それを見ている美鈴は人形の数が増えるたびに眉間にしわを寄せていった。
「私が貴方を蹂躙できるだけの「数の暴力」を有しているからよ。貴方は、その拳法で私の人形達を全滅させることができるかしら?」
すっ、とアリスが右腕を前に突き出すと、人形たちは各々の武器を出現させ戦闘態勢をとる。
美鈴はふーっ、と一つ深呼吸をすると、気を全身に漲らせる。
彼女から発せられたプレッシャーは周囲を威圧する。
「侵入者の排除が私の役目です。勝算はありませんが、負けるつもりもありません」
「……貴方の名前は?妖怪さん」
「紅美鈴。紅魔館の門番をしています」
「そう。……魔法使いは可能性を求める種族よ。元々あってないような可能性を探索するのが私達魔法使い。貴方の可能性を私に見せて頂戴。私に勝利するという可能性をね」
ガシャン、と人形軍がランスや大剣を美鈴へと向ける。
「……上等!!」
美鈴は好戦的な笑みを浮かべ、吶喊した。
紅魔館の門番「紅美鈴」VS七色の魔法使い「アリス・マーガトロイド」対戦開始
♢
「うーん、いまいちしっくりこないわねえ」
レティ・ホワイトロックは紅魔館の中庭でのんびりと歩いていた。
というのも、彼女は冬に活動する妖怪であり、冬以外の季節で活動すると実力・気力共に著しく減退するのである。
故に彼女は戦闘がすでに発生しているのにもかかわらず、こうしてぶらついているのだ。
しかし、そんな彼女を狙う者たちもいた。
紅魔館にもともと住んでいる人狼たちと、パチュリーによって召喚された悪魔たちだ。
人狼の一人が無防備にさらされているレティの背中へと飛びかかる。
「…あら?」
人狼が放った拳はレティの背中を貫通した。が、人狼が予想したように血をまき散らして死んでいく姿はそこには無かった。
「あらあら、いきなりこんなことするなんてレディの扱いがなってないわねえ、あなた」
予想外のことに人狼は腕を引き抜こうとするが、抜けない。それどころか腕から段々と人狼の体が凍っていく。
「こんなことしちゃうあなたには、おしおきよ?ふふっ」
やがて全身が凍りつき、氷像となった人狼はレティが人狼に触れたことでひび割れ、砕け散った。
砕けた人狼が欠片となって風に飛ばされていくのをレティが見つめていると、ぱちぱち、と拍手の音が響いた。
「お見事、お見事。あれは下っ端ですが、そこらの雑魚妖怪には負けぬほどの実力はあったのですがね。まさか一瞬で倒してしまわれるとは」
紳士のようないでたちをした男が拍手をしながらレティへと近づく。
その頭には黒い犬のような耳があり、彼が人狼だと分かる。
彼がレティに近づくのに合わせるように周囲に人狼と悪魔の集団が現れ、レティを取り囲む。
「あら、今度のは礼儀をわきまえているみたいね」
「当然です。レディに接するときは常に紳士的でなければなりませんからね。御嬢さん、私と一つ、お手合わせ願えますかな?」
「ええ、貴方となら楽しめそうだもの」
お互い柔和な笑みを浮かべながらも、闘気を高めていく。
レティの周囲は凍りつき、人狼の周囲は風が吹き荒れる。
他の人狼や妖怪はそれに合わせてレティに飛びかかろうとするが、それは上から降ってきた様々な妖怪に阻まれた。
「手ぇ貸すぜ、雪女!俺らも暴れたかったんだよおっ!」
まさしく妖怪、と言える姿をした彼らは紫の呼びかけに応じた無名の妖怪達だ。
彼らはそれぞれ悪魔や人狼に襲い掛かり、乱闘を開始した。
「あらあら、うふふ」
それを見ていたレティはまるで子供の喧嘩を見ているような笑顔を浮かべて妖怪達を見た。
だがその視線はすぐに目の前の人狼へと向けられる。
「随分余裕ですね、雪女さん」
「あら、そんなことないわよ?あなた強そうだもの」
軽口を交わしながらもお互いの隙を探り合う二人。
やがて緊張感が限界に達し、同時に仕掛けた。
こうして中庭でも戦闘は発生した。
冬の忘れ物「レティ・ホワイトロック」、幻想郷の無名妖怪軍団VS紅魔館人狼組、召還悪魔組 対戦開始
♢
「ここは随分とカビ臭いわねえ。本なんかじゃお腹は膨れないのになんでこんなにあるのかしら」
「私に必要なのは食料ではなく知識だからよ。頭の足りない妖怪さん」
ふらり、と図書館を移動していくルーミアの独り言に答えたのはこの図書館の主、パチュリー・ノーレッジだった。
「外の結界はあの八雲紫とかいう妖怪に破られたのは分かるけど、貴方はどうやってここに入り込んだのかしら?ここの結界はまだ破られていないと思っていたけれど」
「結界を破る必要なんかないわ。私は宵闇の妖怪。闇があるのならばどこにだって現れるもの。ここは特に移動しやすかったわ。本当は地下の方に行きたかったのだけれど、あっちは烏たちが行ったしね」
パチュリーの疑問にルーミアは笑いながら影に指をさして答える。
「なるほど、闇への恐怖を基礎とした妖怪なのね、貴方は」
「正解♪私を倒せるなんて思わないことね。闇そのものを殺すことなんてあの隙間妖怪だって出来やしないんだから」
「確かにね。貴方を殺そうとするのはまず不可能でしょう。でも――闇を払う方法なら、いくらでもあるのよ?」
パチュリーがそういった瞬間、彼女の周りに魔法陣が展開し、炎の集団がルーミアを取り囲む。
しかし、炎が自身を包囲しているというのに、ルーミアの余裕は崩れない。
「こんなちゃちな火で闇を払うつもり?――甘いのよっ!」
ルーミアが叫んだ瞬間、彼女から伸びた闇が炎を飲み込む。
「この世に存在するものはやがて闇に飲まれるものばかり。なら、闇である私が食べられないものなんて――っ!?」
ルーミアが笑みを浮かべながらパチュリーを見た瞬間、彼女の笑みが凍った。
何故なら、その先には彼女の唯一の天敵が存在したからだ。
「炎なんかで払えるとは思っていないわ。闇を払うのはいつだって太陽よ」
後にスペルカードとなり、日符「ロイヤルフレア」と呼ばれることになる術式を発動したパチュリーは、自らの魔力で作り上げた偽りの太陽をルーミアへと放つ。
ルーミアは先ほどの余裕を消し去って太陽を回避しようとする。
しかし、動こうとした彼女をどこからか伸びてきた鎖が拘束した。
「ここは私の図書館よ。迎撃用の術式を用意していないわけがないでしょう」
魔力の鎖によって行動を阻害されたルーミアはどうにかして逃れようともがくが、対妖怪用に作り上げられた鎖はびくともしない。
(まずい……!鎖を『喰って』もあの魔法の回避に間に合わない!)
ルーミアはどうにかして逃れようと鎖を闇で食いちぎるが、太陽はもう目の前まで迫っていた。
「あ、ああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
闇の妖怪の叫びと共に太陽が爆散した。
それを見届けてパチュリーは一息つく。
「ふう、厄介な相手だったわね。でもこれで……!?」
突然、強大な妖力を感じて、パチュリーは先程ルーミアがいた場所を見る。
そこには、日傘を銃のように前に向け、ルーミアをかばうように立っている妖怪がいた。
「風見、幽香……!!」
パチュリーは予想外の相手に驚愕する。
幻想郷へと侵攻する際、パチュリーは幻想郷の主要な人妖を調査した。
その中でも実力者であり、最も情報が集まらなかったのが、彼女――「風見幽香」である。
花妖怪、植物を操る能力を持つ、八雲紫と肩を並べられる大妖怪。
集まった情報で信憑性があったのはこれだけ。他のものは矛盾していたり、推測だったりと曖昧な物ばかりだった。
しかし、情報から推測された人物像では、他人にやすやすと力を貸すほどお人よしではなかった。故に、彼女は今回の襲撃には参加していないだろうと思っていたのだが、そうではなかったようだ。
「あんたが私を助けるなんて、予想外だったわ、花妖怪」
ルーミアが幽香に吐き捨てる。
幽香はそんなルーミアを一瞥したが、すぐにパチュリーへと視線を戻す。
ルーミアは幽香を見ていたがすぐに立ち上がり、その手に闇の大剣を作り上げ、立ち上がる。
幽香がやったのは単純だ。
図書館の扉を結界ごとぶち破り、瞬時にルーミアの前へと移動し、太陽を妖力砲で相殺した。
それを理解したパチュリーは眉をひそめる。
幽香がやったことは単純だが、実行するには相当な実力が必要だ。
これだけで幽香の規格外さが充分理解できてしまう。
(やれやれ……、まだ戦いは続きそうね……)
パチュリーは溜息を吐くと、さらに激しくなる戦いへ備えて魔法を練り始めるのだった。
動かない大図書館「パチュリー・ノーレッジ」VS宵闇の妖怪「ルーミア」、四季のフラワーマスター「風見幽香」 対戦開始
♢
地下を天狗達が駆けていく。
本来ならばそれ以上の速さで飛ぶことができる彼らだが、天井があるこの場では飛べばぶつかる危険がある。
故に彼らは走っているのだ。この地下で唯一妖力を感じる場所へと。
やがて天狗達は地下の一番奥にあった扉を見つけ、その中に飛び込んだ。
扉を開けた瞬間、強大な妖力と狂気を感じ取り、先陣をきっていた天狗達が消しとんだ。
それを見た後続の天狗が思わず足を止めると、次陣の天狗達が炎剣によって薙ぎ払われた。
その一撃で体を完全に破壊され、血肉をまき散らす者もいれば、炎に包まれ、地面を転げまわる者もいる。
「くすっ、うふふ、あははっ♪」
可愛らしい声が地下に響く。
平時に聞けば和んでしまうであろうその声は、しかしこの場においては不気味さと恐怖を感じる代物でしかなかった。
その声を発している部屋の中心にいる少女、いや幼女と称するべきだろうか。
宝石のような羽を持ち、甘い赤色で統一された服、そしてとてもよく映える金髪をした彼女はとても楽しそうに笑っている。
しかし、天狗を消しとばし、炎剣を振るった後ではその笑顔が狂気に支配されていると嫌でも理解できる。
「ねえ、貴方達が今回お姉さまが用意したおもちゃ?」
笑顔のまま幼女――「フランドール・スカーレット」は天狗達へと問いかける。
その笑みには子供ゆえの純粋な殺意、例えるなら昆虫の手足をもぎ取って楽しむような、そんな殺意を殺意と理解していないモノが浮かんでいた。
その笑みに背筋が凍えるような恐怖を感じ取った天狗達は妖力により風を操り、ある者は空気を圧縮したもの、ある者は鎌鼬を発生させ、ある者はフランドールを吹き飛ばそうと暴風を起こす。
「うふふ、可愛い攻撃ね。きゅっとして、どかーん」
だがしかし、人間ならば絶対に逃れられず、確実に死に至らしめるであろうそれらは、フランドールが右手を閉じただけで消失した。
たった一つの動作で自らの攻撃を「破壊」された天狗達は一瞬だけ呆然としてしまう。
――そしてその一瞬が、彼らの命取りとなった。
フランドールは空いている左手で妖力弾を放つ。
そこらの木端妖怪とは比べ物にならないほど妖力が込められた弾幕は棒立ちになってしまった天狗達をいともたやすく屠っていった。
いち早く我に返ったのは、後続にいた天魔だった。
自分ならば目の前の吸血鬼と対等に戦える。だが、他の天狗達は一部を除いて戦闘の余波だけで死んでしまうだろう。
天魔は幻想郷の中でも指折りの実力者である。
だが同時に天魔は天狗という一大組織のトップなのだ。
何より大切なのは自分の部下達だった。故に、天魔はすぐに撤退命令を出した。
これ以上目の前の存在と戦えば部下たちの大半が死ぬのは目に見えて明らかだったためだ。
「撤退だ!今すぐ全員外へと逃げよ!」
撤退命令が出された途端、全員がそろって逃走する。
この時、パニックになって全員が扉に押しかけず、統率された動きで撤退するあたり、天狗達の錬度が伺える。
天魔は殿となりフランドールの猛攻を防ぐ。
攻撃に転じれば確実に後ろの部下をとらえてしまうであろう激しさに天魔は防御に徹するしかできなかった。
やがて天魔以外の全員が撤退し、天魔も逃げようとするが、フランドールはそれを許さない。
背中でも向けようものなら大怪我を負うか殺されてしまうだろう。
天魔自身、防御に徹したものの、防ぎきれなかった攻撃によって疲弊している。
対してフランドールは全くの無傷。このまま戦っても勝ち目はない。
腹をくくるべきか、と天魔が考えたその瞬間、地下室に霧が立ち込めた。
本来霧など出ないこの地下で霧が出たことにフランドールが訝しげに眉をひそめると、天魔を襲っていた弾幕があらぬ方向へと弾き飛ばされた。
その途端、天魔の目の前にフランドールから守るように霧が集まっていき、人型を形作っていく。
そして出来上がった人型は天魔のよく知る姿だった。
手足にから伸びる鎖、鎖に繋がれた丸・三角・四角のオブジェ、頭から生えた二本の角、酒の匂いがする瓢箪。
天狗が恐れ、上位の怪異として敬ってきた鬼の中でも四天王と呼ばれる実力者「伊吹萃香」がそこにいた。
「何だい、天魔。随分手こずってるじゃないか。手伝ってやろうかい?」
「はは、情けない姿を見せてしまいましたな、萃香様。ええ、手を貸していただけませんか」
「はっは、あんたのその天狗らしからぬ素直さは好きだよ」
「ねえ、あなたが次の相手?」
天魔と萃香が話していると、待っているのに飽きてしまったフランが会話に割り込む。
「ああ、すまないね。無視しちまったか。そうさ、私があんたの相手だよ。……天魔、あんたは逃げな」
「え?ですが、私はまだ戦えますが……」
「私としてはサシでやるのが好きなのさ。それに、今のあんたは足手纏いだ」
ピリッ、と萃香の妖力が天魔に触れる。それだけで天魔は萃香の命令に逆らう気力を失ってしまった。
「っ!分かり、ました」
天魔は傷をかばいながらも部屋を出る。
「あなたはさっきの人達みたいに簡単に壊れたりしないよね?」
フランは天魔を見送りながら萃香に問いかける。
「安心しな、鬼の頑丈さはあんたが思ってる以上に凄まじいからさ。あんたは私より自分の心配をした方がいい。今から相手するのは鬼の四天王なんだからね」
「うーん、よく分からないけど、簡単には壊れないってことだよね?だったら思いっきり遊んでも大丈夫だよね?」
「はっは、鬼を相手に遊びたい、ときたか。こりゃ面白い。いいね、思いっきり来な、吸血鬼」
「やった、じゃあ行くわよ!」
フランは炎剣を萃香へと振り下ろす。
萃香はそれを剛腕を以て迎えうつ。
二つの攻撃がぶつかり合った瞬間、凄まじい衝撃が地下へと響いた。
悪魔の妹「フランドール・スカーレット」VS小さな百鬼夜行「伊吹萃香」 対戦開始
♢
「ようこそ、待っていたわ、妖怪の賢者、博麗の巫女」
紅魔館の最上階、そして最奥にある謁見の間。
そこにレミリア・スカーレットは傲慢に玉座に座していた。
そして彼女が迎えたのは幻想郷の管理者である「八雲紫」、その式神「八雲藍」、そして今代の博麗の巫女だ。
「聞かないでしょうけど一応言っておきましょう。レミリア・スカーレット。今すぐ戦闘をやめさせ、降伏なさ「断る」」
即答だった。紫の言葉に被るほど返答は早かった。
しかし紫はそれに反応することはない。予想できることだったためだ。
「紫」
紫の後ろで腕を組んで沈黙を通していた巫女が紫に声をかける。
紫が彼女へと振り向くと、巫女はゆっくりと歩を進めた。
「あの吸血鬼は交渉には応じない。私は様々な妖怪とやりあってきたからわかる。奴は自身の強さ、いや、自身の在り方に絶対の自信を持っている。そんなやつが素直に降伏するか?――答えは否だ」
「へえ、よく分かってるじゃない、人間。私のモノにならない?」
「生憎だが、私は博麗の巫女だ。誰よりも中立で、公平でなければならない。故に、私はどこにも所属しない。お前の勧誘は断らせてもらおう」
レミリアは巫女の返答に一瞬ポカン、とするが、すぐに笑い始める。
「あっはは!冗談に真面目に返すなんて面白いわ。本当、愉快な人間ね、貴方。ますます欲しくなったわ」
レミリアは立ち上がると、ふわり、と浮かび上がる。
それを見て紫、藍、巫女は構える。
「来なさい、今宵は満月。吸血鬼である私が全力を発揮できる日であり、十全に運命を操れる日よ。全ての決定権は私にある。選択を奪われたあなたたちは私にどう挑むのかしらね?」
天窓から入ってきた満月の光が、レミリアを照らす。
その姿はまさしく人を恐怖の象徴である吸血鬼の姿だった。
永遠に紅い幼き月「レミリア・スカーレット」VS幻想の境界「八雲紫」、スキマ妖怪の式「八雲藍」、博麗の巫女「博麗■■」 対戦開始
天狗達がやたらと弱く感じるのは、室内という状況のせいです。
天狗の強みは速さですし、室外ならもっと善戦したでしょう。