転生者・十六夜咲夜は静かに暮らしたい。   作:村雨 晶

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や っ ち ま っ た・・・!
呪刀話の完結すらまだ分からないのに何やってんだ自分…。
こちらは完全に息抜き用に書いた話なのでクオリティの低さと更新速度の遅さは勘弁してください。
感想をくれれば作者が喜びで発狂します。


紅霧異変真っ只中…はあ、憂鬱です…

さて、唐突だが、皆様は「東方Project」という作品を知っているだろうか?

これは幻想郷を舞台とした弾幕シューティング、および弾幕アクションゲームの総称で、その不思議な世界観、魅力的なキャラクターたち、美しい弾幕を用いた戦いは様々な人々を魅了し、その人気は根強い。

 

そしてこの作品を知っている方は「十六夜咲夜」を知っていることだろう。

彼女は東方Projectの記念すべき第一作目である「東方紅魔郷」に登場するキャラクターだ。(ここでは旧作と呼ばれるものは別のものとする)

五面のボスであり、能力は「時間を操る程度の能力」で、文字通り時間を止めたり早めたりすることが可能。巻き戻すことはできないらしい。この能力を応用して紅魔館の空間を広げたりもしている。

「完全で瀟洒な従者」などの呼び名から完璧超人に見られがちだが、実は結構な天然だったり、元ネタが某漫画の敵役の吸血鬼だったりと彼女を語るにはかなりの文字数を必要とするのでここまでにしておこう。

 

さて、ここまで400文字近くべらべらとこんな説明をしているのかというと、今、現在進行形で十六夜咲夜になっているからだ。

 

 

 

……どうしてこうなった……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今私の目の前にあるのは目が悪くなりそうな真っ赤な壁と床、そして天井だ。

ここ「紅魔館」は館の主の趣味で全てが紅く染められている。

二階にいる私の眼下ではメイド妖精が忙しなく掃除をしている。…と言っても彼女たちは恐ろしく作業効率が悪く、最終的には散らかった状態になって作業が終わるので結局私がやり直す羽目になるのだろうけれど。

はあ、と溜息をこぼすのは紅魔館でメイド長を務めている私、十六夜咲夜だ。

窓の外に目を向けると、紅い霧が館の周りを包んでいた。(そういえば、紅魔館には何故窓が取り付けてあるのだろう?普通は日光を取り入れるために設置するものだが、この館の主は吸血鬼であり、伝承通り日光が大の苦手なのだが)

これから館内で起こる騒動とそれ伴い発生する戦闘に巻き込まれること、その後の掃除を考えて憂鬱になる。もし彼女たちが原作通りの性格なら、こちらの被害など考慮せずに弾幕をばらまくことだろう。もしかすると主人公の一人、「霧雨魔理沙」はそのスペルカードでもって壁すらぶち抜くかもしれない。

そんなことに思い至ってただでさえ痛かった頭と胃がさらに痛み始めた。

切実に、平穏が、欲しい…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう察している方は多いかもしれないが、念のため説明しておこう。

私、十六夜咲夜は転生者だ。転生者といっても、前世の記憶はほとんどなく、家族や友人の顔や名前はおろか、自分の性別さえ思い出せない。そのくせ好きだったアニメや漫画などの知識は残っていることからもしかしたらオタクと呼ばれる人種だったのかもしれない。

その残っていた知識の中には東方の知識と十六夜咲夜のプロフィールがあった。

まだ幼いころに門番の紅美鈴に拾われ、紅魔館で暮らすことになった時、紅魔館を見て

 

 

(あれ?ここ、紅魔館じゃね?え?私、転生直後に吸血鬼に殺されるの?)

 

 

なんて思ったりした。まあ結局レミリアお嬢様は私に「十六夜咲夜」という名前と、紅魔館という居場所をくれたのだけれど。というか私が咲夜だと聞いた時には驚きで卒倒しそうになった。(表情も顔色も全く変わらなかったけれど。どうやらマイボディは私の感情や心境になんか従うつもりなどないらしい)

 

その後は今までメイドの仕事と門番の仕事を兼任していた美鈴にメイドとしての仕事を教わったり(美鈴は優しく教えてくれた。彼女が怒ったところを見たことがないし、気配りもできる。幼かった私が心を一番開いていたのは美鈴だったかもしれない。綺麗で優しいとか反則過ぎる。結婚しよ)

レミリアお嬢様の従者として大事なことを叩き込んだり(レミリアお嬢様のカリスマが半端なかった。だれだよ、カリスマブレイクやらうー☆だの言ったやつ。そんなの微塵もないぞ)

図書館でパチュリ―様のお世話をしたり(パチュリ―様は私のことはあまり興味がないように見える。事務的なことしか話さないし。小悪魔は…癒しだよね!ときどき時間を止めて頭を撫でたりしてます。でも私の頭上で本をぶちまけるのはやめてもらいたい。クールな顔して避けてるように見えるけど心の中では結構必死になってるから!)

フランドール様に料理を届けたり(原作では妹様と呼んでた気がするけどそれじゃ味気ない気がしたのでフラン様と呼んでいる。狂気が鳴りを潜めていればすごくいい子です。小悪魔に続いて癒し要員。でも狂気真っ只中の時に会うと、弾幕と能力を駆使して襲ってくるので要注意。だから外面が冷静でも内心は冷や汗だらだらなんだってば!)

能力の研鑽に精を出したり(時止めだけでなく早送り、空間拡張、固有時制御まで使えるようになった。さすが五面ボス)

ナイフの扱いを学んだり(投げたり振り回したりするだけだが。投げたら本当に頭にリンゴを乗せた妖精の額に当たった。ごめんよ、名も知らぬ妖精メイド…。ちなみにナイフ以外の武器も試してみたけど全て手からすっぽ抜けていく。これもう一種の呪いなんじゃないかな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで17年。今現在原作が始まろうとしている。

それもこれもあの隙間妖怪がレミリアお嬢様を唆したせいだ。パチュリー様はこれから幻想郷で暮らすにあたって必要なことだと言っていたけれど。

でも、でも、原作が始まるってことはこれから私もいろんな異変に巻き込まれるってことじゃないですか、やだー!

私はただ平穏に暮らしたいだけなのにー!

はあ、とにかく今は招かれざる客が来る前に戦闘の準備をしておかなくては。

こちらが嫌だと言っても問答無用で襲ってきそうだし。

私は門のあたりから聞こえ始めた戦闘音を聞きながら遠い目をしつつ、配置場所へと急ぐのだった。

 

 


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