ゆっくり意識を覚醒して目を開け最初に見たものは、血の滴る自分の頭より大きな獸の爪と、その爪に腹を貫かれた一組の男女だった。
(ちょっとまて!このシチュエーションってまさかNARUTO の世界なのか？つーか俺ナルトに転生したのかよ!)
確かに俺は一度死んでいる、死因は神様のいる世界(天界といって地球を始め様々な世界を創るのを生業としていらしい)にいる狂人が遊び半分で通り魔を造り暴れさせ殺されてしまったのだ。被害者となった俺に天界のお偉いさんが詫びとして好きな能力を３つまで付けて、できたばかりの世界に転生させてくれることになったんだが・・・・
(普通チートもらって転生って言ったらオリキャラかモブキャラだろーが、なんで主人公なんだよ!!？)
「ナルト・・・とうさんの言いたいことは、口煩いかぁさんと同じかな・・・」
転生するまでの経緯を思い出している間にどうやらクライマックスまで進んでしまったらしい。
(ちょっとまてよ!最初に見たものが両親の惨殺シーンって酷すぎだろ!!しかも赤ん坊だから介入の余地がないじゃねーかよ!!!!)
九尾が霧のように消えていき(この瞬間俺とミナトに半分ずつ封印されたのだろう)両親だったものが俺に折り重なるよ崩れ落ちる瞬間その姿をはっきりと見た。
仮面の男、すべての元凶、その画面の下の表情は笑っているのだろう、やっかいな男が消せたと安堵し喜んでいるのだろう、たが、
(・・・トビ・・・いや、うちはオビトさんよ！あんたの過去は原作を読んで知っている、同情する余地もあるし、幸せな時に浸っていたいのも納得できないが理解することはできるさ、たけど、だからといって他人を巻き込んでいい理由にはならねぇ、殺していい理由にはならねぇ、今のを生きている人に不幸の種を撒き散らしていいわけじゃねぇ、そんなガキみてぇな理屈で世界中の人々巻き込んでいいわけがねぇ。)
俺はつい先程覚醒したばかりの転生者だ、この体は確かにミナトとクシナの子供だが、正直に言って二人の子供だという自覚は俺にはほとんどない、しかし、ほんの数分だが俺に触れた手の温もりのや、紡がれた言葉の愛情の深さはこの赤ん坊のみに、いや赤ん坊だからこそ深く深く染み込んでいった。
故に俺は誓う、自分に、ナルトに、そして俺の中にいる両親に、
(両親からもらった愛情をなかったこにはさせない、うちはオビト、あんたは俺が止めてやる。)
己の魂に誓い立てた赤子は体力の限界をむかえたのか眠ってしまう。その数分後一人の老人が現れ残された赤子を抱き上げていた。
その老人はかつて”火影”と呼ばれていた男だった。
そして、数年の月日が流れ赤子は少年となっていた。
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