帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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第二十九話 上条さん、同族がこちらにおりますよ?

 クロイツェル家は銀河帝国における帝国騎士家の一つであった。

 

 尤も、帝国騎士とはいえ、その家名は決して誇れるものでは無い。

 

 クロイツェル家はオトフリート5世の皇太子時代に帝国騎士に二等帝国騎士に叙任された家である。

 

 一説では少年時代の不遇な生活から貧乏性になったとも言われるが、ともかく皇太子時代から異様な程にドケチで有名だったオトフリート5世はありとあらゆる手段で国庫の貯蓄に勤めた。

 

 平民に対して十を越える新税をかけただけでなく公共事業費を半分以下に削減、後宮を含む人員と宮廷費用の削減、宇宙艦隊の弾薬消費量にまで制限をかけた。

 

 それでもまだ足りないと考えたらしい。遂にジギスムント2世以来の貴族位大セールまでやった。数千、いや万に届く数の帝国騎士家と従士家が乱立した。

 

 また、この頃から大貴族が勢力を増した事は有名だ。この時に大貴族は自身の家臣達を大量に新しい従士家として登録したからだ。ブラウンシュヴァイク公爵家やリッテンハイム侯爵家は優秀な自領の富裕市民や既存従士家の分家を新たに大量に取り立てた。

 

 クロイツェル家もまた辺境の鉱山開発で財を成した成り上がりの資産家の一族であった。投資家らしく目敏く底値を見定め、たったの150万帝国マルクで宮廷から帝国騎士の地位を購入した。ルドルフ大帝やジギスムント1世の時代ならば帝国騎士とはいえ帝国と帝室を支える家臣として新無憂宮で式典が開かれ、皇帝から直々に家紋と剣を与えられたものだが当然そんな事は無い。貴族であると示す賞状と適当に決められた家紋の刻まれた判子が宅配便で来た。伝統も情緒もありやしない。たかが帝国騎士が(正確には二等帝国騎士が、であるが)、と門閥貴族が馬鹿にするのも納得だろう。

 

 そんなクロイツェル家にも一応……少なくとも当主には成り上がりとはいえ貴族としての誇り、いやプライドがあったらしい。当主の次男は父が探してきた別の新興帝国騎士家の三女との婚約なぞ眼中に無く、親無しの下町の飲み屋の娘に花束を持って求婚した。

 

 どこの馬の骨とも知れぬ小娘との結婚なぞ言語道断ではある。だが一応は自身の血を引く可愛い息子の選択である。これに対して当主は妥協点として妾としてならば関係を持って良いと伝えた。妾ならば大貴族の中にも下町の小娘を拉致してそのまま手込めにするような放蕩者もいないわけではないのだ。

 

 だが、その息子はあくまで添い遂げる相手としてその娘を愛していたらしい。文字通り駆け落ちしてしまった二人に対して当主が取った選択は、警察への通報だった。

 

 腐っても貴族である。薄汚い平民に息子が唆され誘拐されたと当主は警察に訴えた。男が女を誘拐したなら兎も角、女が男を誘拐したと真面目に語る当主に受け付けた帝国警察は半分呆れた。

 

 だが、それでも貴族の訴えである。これがミューゼル家の場合のように相手が門閥貴族なら黙殺されただろうが相手はただの平民である。クロイツェル家の訴えに対して帝国警察は動いた。

 

 貴族の名誉を守るのは帝国警察の義務である……というのは建前で、加害者とされた平民の小娘が思いの外美人であった事が本当の理由だ。帝国警察、特に貴族関係の部署の堕落具合は有名である。貴族様に逆らった平民を問答無用で逮捕し、その資産を無断で接収して、その家族が行方不明になるのは珍しくない。ホフマン警部のように高潔な警察は帝国では少数派なのだ。

 

 警察の捜索を察した男はこれ以上帝国では暮らせない事を確信した。そしてなけなしの貯金を全て使って亡命を決意した。

 

 とあるフェザーン商人に頼み、同盟に輸出する積み荷に紛れこんで無事同盟に亡命する事に成功した。

 

だが、そこで気付いた。同盟公用語が話せない事に。

 

 ……少々この夫婦は後先考えず情熱のままに行動しすぎでは無かろうか?

 

 ……そんなわけで帝国公用語が通用するアルレスハイム星系政府の下に移住した夫婦は、星都ヴォルムスの郊外で現在4人の子供と共に宮廷と距離をおいて気楽に、平和に暮らしている。

 

 ローザライン・エリザベート・フォン・クロイツェル16歳はそんなクロイツェル家の末妹であった……。

 

 

 

 

 

 

「ふぇぇぇ……どうしようどうしよう!?」

 

 青紫色に光る瞳に肩までかかる薄い紅茶色、と評すべき髪が特徴的なローザライン・エリザベート・フォン・クロイツェルはクレーフェ侯爵の屋敷(士官学校入学試験を受けるために亡命政府から送り込まれる者は全員宿泊を許されている)の自室のベッドの中で枕で顔を押さえて悶える。

 

「うううう……どうしてこんな事になったのぅ?」

 

半泣きになりながらクロイツェルは自分の運命を呪う。

 

どこから自分は人生の選択を間違えてしまったのか?

 

 彼女は本来軍人になるつもりなぞ更々無かった。実家は名ばかり貴族、自営業を営み、兄弟達も徴兵を受けたが後方勤務や激戦地以外への派遣だったため五体満足で帰還、予備役の身で今ではそれぞれ仕事に就いている。

 

 自分も軍隊とは縁も無く帝都アルフォート郊外の貴族・平民共同の女子校に通っていた。誇る程では無いがそれなりに優秀であったと自覚している。

 

運命の歯車が狂ったのは軍事教練の授業の際だ。

 

 銀河帝国の脅威もあり自由惑星同盟では建国期、予備役軍人等が教員となり学校で民間防衛や重火器の運用、車両運転等の指導が行われていた。建国期の同盟軍は帝国との本土決戦に際して民間企業や町内会、学校ごとに部隊編成し即席地上部隊を編制、予備保管された小火器で武装して、降下してくる帝国地上軍に対して徹底抗戦する事が想定され、実際ダゴン星域会戦時やコルネリアス帝の親征の際に動員されていた。

 

 無論、当時と比べ国力・軍備が遥かに充実している現在、少なくとも同盟の中央宙域や帝国国境の反対側の辺境域では事実上この制度は有名無実化しており、せいぜい予備役軍人が教壇の上で生徒に戦場経験を話したり、ドキュメンタリー映画を視聴する程度だ。あくまで国境宙域以外では。

 

 シャンプール、ヴァラーハ、エルゴン……これら帝国勢力圏に近い星では、未だに武器の取り扱いを始めとした軍事教育が当然のように行われている。最後の同盟有人星系占領から既に70年近い月日が過ぎているが、長年帝国軍の侵略に恐怖してきた彼らの警戒心は未だに解けていない。いや、寧ろイゼルローン要塞の建設以降は却ってかつてのようにより一層警戒し、一世紀近く前の地下シェルターの復旧作業や星系警備隊の増強、民兵部隊の再結成等が企画され、実施された星もあるのだ。

 

 そんな国境星系住民すら絶句するのがアルレスハイム星系で行われている民間軍事教育だ。

 

 特に学校で行われている軍事教育は相当なものだ。体力があり、成長期の学生は絶好の予備戦力である。貴族専用学校や女子校すら例外無く最新の防空シェルターが設置され、生徒達には銃火器の射撃訓練・車両運転訓練・対化学兵器防護訓練、無線通信・基礎的な戦術指導、医療訓練等が1年に計36日分指導される。それどころか銃火器だけでなく旧式の戦車や装甲車まで学校の倉庫に保管され、整備こそ定期的に専門の予備役軍人が行うが普段から教師や生徒が訓練として運用、他学校との交流と称して実戦を意識した対抗演習までしているのだ。

 

 無論、実戦での戦果がどれほど期待出来るかは怪しい。相手は職業軍人であり、冷酷無慈悲で知られる帝国地上軍と宇宙軍陸戦隊、そして泣く子も黙る装甲躑弾兵軍団である。それでも陽動や数合わせ、最悪時間稼ぎの肉壁としては利用出来る。一度文字通り衛星軌道から無慈悲な爆撃の嵐を受け、毒ガスや生物兵器をばら蒔かれ、降下してきた数百万の帝国軍との血みどろの地上戦を経験したのだ。中央宙域の住民は半ば観光名物として見ているが当の亡命軍や星系政府は本気でこれらの指導を行っていた。

 

 彼女もまた学生の当然の義務としてその教練に参加していた。そして運が良いのか悪いのか、普段不器用でとろくさいのに、重要な時に限って平均以上の成績を出してしまった。

 

 機甲部隊の野戦演習にて腐っても貴族と言う事もあり平民の同級生達を率いていたのだが、彼女の部隊は予想外の場所で対抗部隊の車列と遭遇してしまったのだ。

 

 相手部隊は軍人貴族のお嬢様ばかりが入学する事で有名な名門女子校。メンバーは当然軍人貴族の子女で固められた部隊。幼年学校、とまではいかなくと現役軍人ですら貴族のお嬢様、と馬鹿に出来ない程度には優秀だった。 

 

 ……そんな相手に対してクロイツェル達は絶好の位置で奇襲同然の遭遇をした。

 

 魔術師が士官学校の学年首席相手に策に嵌めたのとは訳が違う。道に迷って進んだら鉢合わせして相手の横腹を突く形となっただけの事、完全な偶然だ。そしてそのまま勝利した。してしまったのだ。

 

 そのせいで教師や出向していた予備役軍人の注意を引いてしまったらしい。亡命軍下士官候補生に推薦された。……されちゃったのである。

 

 因みに武門の誉れ高い門閥貴族出身だったらしい相手部隊の指揮官は、涙目で彼女を呪い殺さんばかりに睨みつけていた。直後に余りに散々な結果に怒ったのか、保護者だろう貴族将校に怒鳴られ顔を蒼白にしていた。

 

 徴兵や同盟他星系からの募集、フェザーン人傭兵の雇用、捕虜収容所の帝国軍人から志願兵を集めている亡命軍とはいえ、元の人口と前線での激しい消耗を勘定に入れるとその人的資源は決して余裕があるとはいえない。才能や見込みがある学生を兵士・下士官・士官候補生として特別教育を実施、各軍学校、特に有事に向けた予備役軍学校に入学させるのは良くある事だ。

 

 無論法律上の取り決めは無く、星系憲法で就職の自由は保障されている。強制では無い。だがこの誘いを断ったら大体町内会から村八分される。有力な門閥貴族の子弟ですら逃亡すると元農奴に拘束される事を考えれば当然だ。

 

 本人も家族も最初困った。が、良く考えるとチャンスでは無いかと思い至る。

 

 星系の歴史的に軍人が尊敬される文化がある。しかも予備役とはいえ職業軍人の下士官になれば手当や特典がつくし、結婚の際も箔が付く。案外良い手ではあるまいか(現実逃避と言ってはいけない)?

 

 そんな逆転の発想に辿り着き両親の応援を受け、将来の玉の輿狙いで下士官候補生として努力した。そして……少し頑張り過ぎた。

 

 時に同盟軍の大規模な人員拡大期と重なっていた。一層の影響力拡大を目指し、亡命政府は少しでも同盟軍軍学校入学の可能性がある者をハイネセンに送り付けた。そして彼女も白羽の矢が立ってしまった。

 

 亡命軍予備役下士官を目指すつもりが同盟軍に入る事になりそうになった彼女。更々入るつもりなぞ無い。軍専科学校では無く士官学校を志望した。受かるつもりは無い。士官学校ならばどうせ受からないだろう。受けたが落ちた、そう言い訳して故郷に帰れば良い。

 

 ……クレーフェ侯の屋敷に出向していた曹長さんと仲良くなるんじゃなかった。なんで教えて貰った内容ドンピシャなの?意味分かんないよぅ……。

 

 彼女より成績が上の者が次々落ちた中、ギリギリ、文字通り下から3番目という首の皮一枚で合格してしまった彼女、周囲から祝いの言葉と嫉妬からの僻みの言葉を浴びせられる中、彼女は死んだ魚の目をしていた。

 

 入校受付手続きを受ける間文字通り半泣きであった。受付嬢は嬉し涙と思ったようだが、違う、ガチの絶望からの涙だ。

 

 予備役軍人ならまだ良い、だが現役の……しかも同盟軍士官なんて!?

 

 故郷で慎ましく暮らせればそれで良かったのに!内心で呻きながら慟哭する。

 

 彼女の家はほかの亡命貴族と違い、別に貴族らしい気質なぞ無い。政治的理由で亡命したわけでは無いし、迫害を受けた事もない。戦死した家族がいないし、家の歴史も薄っぺらいので重みなぞ無い。

 

 さらに言えば周囲に比べ帝室への忠誠心は薄い、かといって皇族の馬車を囲んで「貧しき民衆の歌」を合唱する共和派ほど狂信的に民主主義を信奉しているわけでもない。当然オリオン腕に巣くう賊徒共への敵愾心なんか大して抱いていない。固い信念なんかこれっぽっちも無いのだ。

 

それがなぜ士官学校に入学してしまったの!?

 

 半分ヤケクソになっていた。信念も無いのに戦死の可能性のある職業軍人になる事になったのだから。夕陽をバックにアルコールも入っていないのにアプフェルショーレを暴飲して酔っ払い、喚いたりへらへら笑いながら全力で現実逃避を開始する。

 

 大帝陛下は我を忘れる程酒を飲む者やアルコール依存症患者は人類社会の理性と秩序を乱す悪徳の使徒である、なぞと宣わったが知るものか!どうせハイネセンに社会秩序維持局や社会正義擁護委員会の職員はいないのだ。

 

「馬鹿士官学校っ!どいつもこいつももっと死ぬ気で勉強しろ~!私みたいな酔っ払い小娘が合格しているんだぞ~!?情けないと思わないのかこの蛙食い(froschschenkel)共め……ってぇ!!?」

 

ふらふら足でそう叫びながら大股で歩いていると……足が絡まりこけた。

 

 そして掌からすぽっと跳んだペットボトルが……通りがかっていた士官学校の在校生達の頭にぶちまけられた。

 

「あひっ……?」

 

 彼女は唖然とした。そして次の瞬間酔いが醒めると共にパニクッた。

 

「ええええと……!?これはですね、決して故意ではなくて!鬱憤晴らしで!?そして本当やる気なんか無かったんですけど…a……Es tut uns sehrleid……!?nein…a……a……Es tut mir leid!?nein……nein

…Wenn……ich in verschiedenem Alliance official amtssprache!?」

 

 途中から慌てて話すため常用している帝国公用語を口走る。しかも早口で呂律が回らない。正直自分でも何を言っているのか不明である。

 

 アプフェルショーレをダイレクトに被りべたべたになった学生は彼女の言葉が帝国公用語である事に辛うじて気付く。同時に強烈に不快な気分に襲われる。

 

「同盟の寄生虫が……」

 

 長征一万光年(the longest march)……アルタイル星系での偉業を成し遂げた「汚らわしい賎民」を始祖に持つ彼は内心は兎も角、少なくとも下級生に虐待や暴行をして結果的に顎の骨を砕かれた国防委員会の息子程に亡命者に差別的なわけでも、性格が歪んでいるわけでも無かった。

 

 唯、先ほどまで士官学校に落ちて大泣きしていた弟を慰めていた身からすれば合格者用の受付口の方向から来た目の前の小娘の試験結果がどうなのかは分かり切っていた。そして頭から帝国名物の大衆飲料をぶちまけられたのだった。虫の居所が良い筈もない。

 

 そうなると思ってしまうのだ。少し脅して泣かせるくらいならば構わないか、と。

 

 ようは、彼女はどんくさく、何事につけても間が悪く、不幸な少女であった、と言う事だ。

 

「あああ……!私のせいなのぅ!?」

 

 当時のことを思い出して再びベッドの上で呻くクロイツェル。

 

 あの後バリトン調の少年……後で同じ帝国騎士(格式は遥かにあっちが上だけど)に助けられたものの、同僚達からはこっ酷く叱られた。唯でさえ去年「鼻持ちならない賎民の末裔共」とのトラブルがあってデリケートな時期なのだ。それを、式もやってない内からトラブルを起こせばその結果は残当であった。

 

 ……半分くらいは彼女に対する妬みや不満もあるのも事実だが(成績的にも努力量的にも合格した事に納得出来ない同僚も多かった)。

 

「うううぅぅぅ……どうしよう?あの人学校辞退するんだよね?」

 

 屋敷を貸してくれている侯爵様は気にしなくて良い(リーゼロッテ新曲「Lass uns mit mir spielen!」を聞いていた)、と言ってくれるがタイミング的に明らかに自分に責任の一端があるとしか思えない。共にハイネセンに来た同僚の代表は文字通り神経質な顔で関係各所に弁明に行っていた。試験勉強していた頃よりやつれているのは多分気のせいでは無い。

 

「ああぁぁ……なんかお腹痛くなってきた」

 

 うーうーと呻きながら胃薬を飲む。演習でまぐれ勝利してしまってから胃薬は肌身離さず持っている友である。

 

「……これ、やっぱり私がお願いするしかないよね?」

 

 何が気に入らなかったのか不明だが、ここは取り敢えず誠心誠意頼み込むしかない。というかしないと立場的にヤバい。家族が村八分になる。伝統も歴史も無い量産型帝国騎士が門閥貴族の手を煩わせるなぞ論外である。

 

「……よし、行こう!」

 

思い立ったがすぐ行動である。

 

 確か行きつけの店がある事は同僚から聞いていた。士官学校で学生をしている伯爵様……だったと思うが、生徒がその店で例の帝国騎士を説得しに行っているらしい。警備要員で同僚も幾人か出向いているから場所は聞いていた。

 

すぐに上着を着て屋敷を飛び出る。

 

 そのまま市街を走り抜ければ街並みががらりと変わる。赤煉瓦と木製の住宅街がコンクリートと鉄鋼のそれに変わる。建物の個性が無くどこか寂しい街並みに彼女には思えた。

 

暫く街を探索しているとその店を見つける。

 

「あれだ……!」

 

 腕時計を確認、今の時間は1830時、恐らく夕食を取っている頃だろう。すぐさまなぜか店に似合わず真新しい扉に向かいドアノブに触れる。

 

「お邪魔……」

「悪いですが私は大人数で食事は嫌いでしてね。それではお暇させてもらいます」

「ふぇ?……ふんぎゃっ!?」

 

 扉が次の瞬間勢いよく開きクロイツェルの顔面に直撃、小さな悲鳴を上げぶっ倒れる帝国騎士令嬢。

 

「………これは失敬………あー、気絶してますな」

「……そうだな」

 

 突然の事に先ほどまで話していた貴族二人は顔を見合わせる。

 

「………取り敢えず運ぶか?」

「………ですな。御令嬢を外に放置は忍びなさすぎる」

 

 取り敢えず回収作業に入る事にする二人。一方、顔面に直撃を受けた当人は目を回しながら気絶していた。

 

 ローザライン・エリザベート・フォン・クロイツェルは本当に、本当にタイミングの悪く不幸な少女だった。

 

 

 




「貧しき民衆の歌」はまんまレ・ミゼラブルの「民衆の歌」(youtubeで映画内で歌うシーンが見れます)。銀河帝国皇帝の前で歌っても処刑されない亡命政府はとても民主的(不敬罪の代わりに名誉棄損罪で拘束しないとは言っていない)

クロイツェルの参加した演習は宇宙歴版ガルパン(スポーツでは無くガチ)、相手チームはドイツ繋がりで黒森峰学園服がイメージ。

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