帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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ノイエアムリッツァの帝国軍がオーディンから出港して画面を埋め尽くすシーン好きぃ
尚、多分全帝国艦隊(正規・私兵含む)の三分の一程度に過ぎない模様



フリーツール「Fantasy Map Generator」を使って主人公の故郷の地図を作製して見ました


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同様のものを第一話の挿絵まとめに追加しておきます。またエル・ファシル地上戦についても同様のツールを使って二枚程簡単な戦況図を作製しました。第百十六話と第百二十一話に置いておきます。多少矛盾や変なところがあるかもですがどうぞ御容赦下さい



第百八十四話 二度ある事は三度あるもの

「馬鹿な……こんな事が………」

 

 ウィレム・ホーランド准将は目の前で生じた現実に目を見開き小さく呟いた。

 

 いや、それは彼だけではない。イゼルローン要塞側背に展開していた同盟軍別動隊の旗艦たる戦艦『アウゲイアス』艦橋では誰もが声を失っていた。恐らくは孤立した、あるいは士気の低下か指揮系統が崩壊して離散してしまい、補給も兼ねて一時退避を決断したと思われる帝国艦隊の存在自体は、彼らも把握していた。

 

 損傷艦艇も多数含んだ五〇〇隻前後の艦隊というより集まりと呼ぶべきそれらを、彼らは軽視していた訳ではないにしろ、積極的な手出しが必要な対象とは見ていなかった。

 

 第二宇宙港に突入した揚陸艦艇は除くとしても、同盟軍別動隊の戦力は弾薬の殆どを消費したミサイル艦八〇〇隻程度、そこに護衛を兼ねた一二〇隻程の小艦隊……ミサイル艦は防御が弱くミサイルも撃ち尽くしたために戦力に数えるには相応しくない。護衛艦隊はエース艦長が座乗する歴戦の艦ばかりより集めた質の面では最高レベルの部隊であったが、数で大きく劣る以上積極的に戦闘に投入する訳にはいかない。

 

 故に別動隊の宇宙戦力は積極的な戦闘よりも、寧ろ制宙権確保と牽制に集中していたのだが……。

 

「しくじったな、まさか宇宙港を吹き飛ばすとは……!」

 

 キャボット少将は腹立たしそうに親指の爪を噛みながら呟く。当初要塞の流体金属層を沿いながら飛んできたミサイル群を彼らは自分達に向けられたものと考え防空態勢の強化を命じたのだが、まんまと嵌められたと言ってよい。

 

「第二宇宙港内にはまだ幾らか帝国軍が展開していた筈だぞ!?奴ら見境なしか!」

「味方ごと『雷神の鎚』を連射してくるような奴らだぞ!これ位しでかしてくれるだろうよ!」

「コロンブスの卵だな、後からなら幾らでも言える!問題はまんまと港を崩落させられた事だ!」

「揚陸部隊の安否は!?『ノルマンディー』のムーア少将に呼びかけを……!」

 

 参謀達が口々に叫ぶ。しかし、彼らには動揺し、状況を整理する時間は与えられなかった。

 

「て、敵艦隊接近します!これは……先程ミサイル攻撃を仕掛けて来た部隊です!」

「考えたな。港を先に潰して此方の動きを封じた上で狙って来たか……!」

 

 揚陸部隊の回収はおろか、その安否すら通信不全で不可能となれば艦隊もまた次の行動をどうするべきか混乱する。そこを狙う訳だ。帝国軍も良く考えたものだとキャボット少将は考える。

 

 尤も、キャボット少将の考えはある種過大評価に類した。実際の所、この攻撃は現場の独断に近いものであった。

 

「砲撃来ます!」

「ちぃ……!」

 

 イゼルローン要塞の影から現れた帝国軍の前にミサイル艦部隊は次々と爆散していく。

 

「全軍散開しろ!的を絞らせるな……!」

「直撃来ます!」

「っ……!」

 

 オペレーターの叫び声にキャボット少将は舌打ちする。

 

 次の瞬間、帝国軍駆逐艦の放った電磁砲弾の一発が『アウゲイアス』の横腹を撃ち抜いた。対ビームコーティングの為された四重装甲を叩き割って艦内の数個ブロックをそのまま吹き飛ばす半プラズマ化したウラン二三八弾。

 

 激しい揺れが『アウゲイアス』を襲った。次の瞬間、キャボット少将の身体は座上する椅子から振り落とされ激しく背中から床に叩きつけられる。他の参謀達も同様に床や壁に体から勢いよく突っ込んだ。ある参謀に至っては衝撃吸収用の艦橋ワイヤーが瞬間的かつ強力な負荷に耐えきれずに引きちぎられ、それが弾かれるように飛んできた事で体を薙ぎ払われた。

 

 余りに激しい衝突は彼らの多くの内臓損傷や骨折を招いた。キャボット少将自身は背骨の強打に肋骨を数本骨折、その肋骨が内臓に刺さって重傷を負う事となる。宇宙艦艇には衝撃を相殺するために艦載AIが慣性制御や重力制御を活用したダメージコントロールシステムがあるがそれでも多くの場合被弾すれば未だにこのような惨状が生み出される。

 

 これはダメージコントロールシステムの完成度が低いというよりも、それだけ衝撃が激し過ぎる事を意味した。これが仮に何の対策もしてなければ内部にいた乗員の過半が被弾の際の衝撃だけで死亡していた筈である。その意味ではシステムはその本分を果たしたと言えた。直撃したブロックは兎も角、『アウゲイアス』全体では当たり所が悪く負傷者こそ相当の数に上るが、この被弾による死者は高々数個小隊分に過ぎない。

 

 無論、だからといって楽観出来る内容は全くないのだが。

 

「ぐっ……!?き、キャボット少将!司令官閣下はどこに……!?」

 

 『アウゲイアス』の艦内に響き渡るサイレン音にホーランド准将は全身の痛みに耐えながら目を覚ます。状況を見るに、直撃弾を受けてまだそこまで時間は経っていないらしかった。メインスクリーンに艦の被害状況が映し出され、同時に艦載AIがドローンを射出して損傷箇所の応急修理を始めた事を伝えていた。

 

「ぐっ……げほっ……お、おう……俺はぁ、こっちだぜ……?」

 

 そのくぐもった声にホーランド准将は走り出す。そして彼は床に倒れて口から吐血するキャボット少将の姿を確認する。

 

「閣下……!」

「体は動かすなよ?この分だと恐らく肺の辺りに骨が突き刺さってやがる……!」

 

 次いでげほげほと咳込むキャボット少将。その咳には血が混じっていて濃緑色の軍服にかかるとその部分を黒く染め上げる。

 

「ほ、他の奴らはどうだ……?」

「……モハメド中佐、それにサナダ少佐は軽傷のようですが……」

 

 咄嗟に艦橋の様子を見てホーランド准将は答える。参謀長たるサンダース准将は床で唸っていた。その右腕は明らかに可笑しな方向に曲がっていた。作戦参謀たるヴィッテ大佐も壁に頭を叩きつけたようで重傷で、額からどくどくと血を流して苦悶の表情を浮かべる。どうにか任務に復帰可能な参謀達は半数に満たない。これはオペレーター達も同様だ。

 

「そりゃあひでぇな。糞ったれが……」

 

 ぜいぜいと苦しそうに息をしながら悪態をつくキャボット少将。そこに漸く軍医の一団が駆け付ける。

 

「……今の時間は何時だ?」

「……0235時になります」

 

 軍医に触診されながらキャボット少将が尋ねれば、ホーランド准将は官給品の腕時計を一瞥した後に報告する。

 

「そうか……。現時刻を以て本ミサイル艦部隊及び別動隊全軍の指揮を任せたい。どうやらお前さんがこの場で無事な最高位の士官らしいからな」

 

 キャボット少将の指揮権委譲の発言に、ホーランド准将は目を見開いて驚いた。

 

「っ……!?しかしながらまだ別動隊にはムーア少将とフィッシャー准将がおりますが……」

「馬鹿野郎。ムーアは音信不通、生きてるかも分かりゃしねぇ。フィッシャー准将は僅かにお前より先任だが所詮は航海の専門家だ、戦闘の専門家じゃねぇ」

 

 何よりもホーランド准将は士官学校次席、戦略研究科出身で司令部の意思を良く理解している別動隊の目付け役である。民間の予備役士官出身のフィッシャー准将よりもこの場での指揮官としては相応しいように思われた。旗艦を変えるのは多少なりとは言え混乱の元となるという理由もある。

 

「提督、それ以上お話になるのは……」

「ああ、分かっている。げほっ……そういう訳だ。まぁ頑張れよ。俺もベッドの上で戦死したかねぇからな」

 

 軍医の勧めに従いそれだけ言い捨てるとキャボット少将は激痛に耐えるように目を瞑る。軍医が看護師に命じて担架に乗せると慎重に運び出す。その様子を暫しの間見つめていたホーランド准将は、しかし直ぐに自身の役目を思い出すと急いで艦隊の秘匿通信回線を開く。

 

「………ふん、奴の事を心配するだけ無駄か」

 

 一瞬、彼は表面が荒れ果てたイゼルローン要塞を、正確にはその中にいるであろう古い知り合いの事を考え、次いで指揮下に入った部隊に対して連絡と命令を伝達した。眼前の戦いに集中しなければならなかったし、何よりも彼には知り合いの安否についてこの上ない確信があったから。

 

 そして、その確信は非常に非科学的ではあったが、少なくともこの場においては間違ってはいなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁはぁ………どうにか助かった、か?」

 

 数百キロはある手動のエアロックをどうにか閉じた私は、白い吐息を吐きながら激しく肩を上下させる。身体を床に崩せば同時にどっと全身から汗が流れるが、それは直ぐにそれは凍てつくような冷たい空気によって冷やされた。どうやら軍港や他の同盟軍の制圧したブロック同様この通路も暖房を切られているらしい。

 

 私が脱力するのとは対照的に、従士二人はハンドブラスターを構えて周囲を警戒し続ける。

 

「…………」

 

 そんな二人を何も語らずにただ見つめていれば、先に視線に気付いたらしいテレジアが私の方を向いて膝をつく。

 

「先程は静止の御命令を無視した事申し訳御座いません。何分、火急の事態でありましたので。若様の身の安全を最優先に致しました。もし御不興を買ったのであれば後程処分はお受け致します。ですが……」

 

 そこまで口にした所で私は手を振ってその言葉を止める。

 

「いや良いんだ。済まない、助けられた」  

 

 正直な話、私に彼女を非難する権利はない。私は彼女に助けられた側だ。あの場で味方を撃たなければ私まで宇宙に放り出されるか、あるいは爆炎に呑み込まれていた事であろう。

 

 そう考えれば帝国人的価値観に基づかなくても、あの選択は苦渋とは言え仕方無いものであった。ましてや軍組織的に言えば下っぱの一兵士と宇宙軍准将とではどちらを優先するかは決まっている。余り愉快な事ではないが、彼女の行いは其ほど非難出来る内容ではない。実際あの光景を誰かに見られたとしても不快には思われるだろうが、軍法会議で告発されるかと言えば怪しい所であるし、告発されたとしてもやむを得ない事態として訴えが棄却されることだろう。(無罪判決が出る訳でない所は注目するべき点であろう)

 

 私の言葉に、テレジアは複雑な笑みを浮かべ一礼する。そしてハンドブラスターを構えて再度周囲の警戒に移る。従士がそうしたように私もまた過去、あるいは未来の事よりも今現在の事について目を向けなければならなかった。

 

「一体どうして軍港があんな事に……いや、言わなくても大体の想像はついたけどな?」

 

 私はベアトが何か言おうとする前にそれを制止する。良く良く考えれば分かる事である。外の艦隊が味方のいる区画を誤射したのでもない限り、加害者は帝国軍以外にあり得ない。そして、ベアトが即座に説明しようとした事から逆算すればすぐさま不愉快な答えは想像出来た。まぁ、味方ごと要塞主砲を撃つような組織であればこれ位の事はやっても可笑しくないな。

 

 それは良い。いや、良くないがこの際は置いておこう。どのように軍港が吹き飛んだのかを考えてもこの場においては余り意味の無い事だ。寧ろ我々が生存するために本当に知るべき事はと言えば……。

 

「どうしたものかな?ベアト、この通路は何処に繋がっているか分かるか?」

「残念ながら、殆んど使用されていない通路のようですので……」

「だろうな。埃が溜まっている。相当使用されずに放置されていたらしいな。お陰様で端末に入力した情報にも無い」

 

 足の力を振り絞って若干よろけつつも立ち上がりハンドブラスターを腰から引き抜いた後、通路の壁や電球に溜まった埃を見て、次いで手元の軍用携帯端末に入力された要塞の内部構造を一瞥して私はベアトの言葉に同意する。

 

「一応照明が点いているのは幸いだな。真っ暗だったら暗視装置を装備した猟兵辺りに出くわしたら終わってた。……一応聞くが武器はどれだけある?」

 

 私は然程期待していない口調で二人の従士に尋ねる。答えは予想通りハンドブラスターに予備のエネルギーパックが二人で計一ダース、それに幾本かのナイフ、それに閃光手榴弾と炸裂手榴弾が二つずつ……いや、訂正。思ったよりもずっと良かった。……って、おい!

 

「いやおかしいだろう。なんで三〇発入りのエネルギーパックを一人六個に閃光手榴弾と炸裂手榴弾を一つずつ持ってんだよ!?司令部勤務なのにちょっと重装過ぎない!?」

 

 ハンドブラスター以外だと予備弾倉二つにナイフ二本の私が無用心みたいなんだけど!?手榴弾なんて艦隊司令部で普通持ち歩かないよ!?

 

「これまでの経験から備えました。正直今回は油断しまして軽装なのが悔やまれます……」

 テレジアが心底悔しそうに答える。おう、大体私のせいだな!私のせいなんだな!?………すみません。

 

「微妙に自分の境遇が泣けて来るな。……まぁ良い。ベアト、先行してくれ。テレジアは私の背後で後方警戒。戦闘時は掩護を頼む」

 

 取り敢えず現実逃避をしている時間は無かった。私達は相互に支援し、死角を潰すように進む。とは言え、手榴弾は兎も角ハンドブラスターでは装甲擲弾兵の重装甲服を撃ち抜くのは不可能ではないにしろ至難の業だ。単独でも出くわしたくないが……恐らく出くわすとすれば帝国軍の陸戦教本の基本内容に基づけば最低二人以上だろう。獰猛で狂暴な帝国軍の精鋭兵士に遭遇しない事を祈るしかない。

 

「さて、余り気は進まないが……このままここに留まる訳にもいかないからな。嫌な予感しかしないが行くとしようかね……!」

 

 暖房なぞない冷え切った薄暗い通路を見据えた私はまず唾を呑んで、次いで暖を取るために首元のマフラーにそっと手を触れてから、最大限の警戒をしつつ前進を開始した……。

 

 

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「それにしても何だったんだあの震動は?相当揺れてたぞ?」

「外の奴ら。まさか俺達がいるのを承知でレーザー水爆の絨毯爆撃でもしているんじゃないだろうな?このイゼルローンをあれだけ揺らすなんて……」

「何、丁度良いじゃねぇか。この際水爆だろうと何だろうと暖を取れるなら十分だぜ?」

「まったくだ。寒くて敵わねぇな」

 

 人工の雪が降る中、装甲服を着て、そのヘルメットや肩に雪を載せたままに任せた一団はほんの数十分前に生じた要塞を激しく揺さぶった震動について嘯く。この時点で最前線の一兵卒に過ぎない彼らは第二宇宙港及び第四七宇宙港のゲートが外壁ごと倒壊した事を把握していなかった。

 

「おい、ロイシュナー。ライターの油切れた。お前持ってねぇ?」

「ん?紙煙草か?良くもまぁそんな肺に悪いもの吸えるもんだなお前さん?」

 

 そんな一団の一角で、身体を丸めるように縮こまらせたロイシュナーはヘルメットの前面を上げて口元に煙草を咥えるハルバッハに向けてそう言い捨てて肩を竦めた。

 

「おいおい、これは一応門閥貴族様だって吸う高級品だぞ?エル・ファシル産の安物とは訳が違う、毒性は最小限だぜ?」

 

 一本(一ケースにあらず)八ディナール五〇セントという同盟の最安価ブランドの一五倍以上の値が張るヴォルムスのメーメル州産のその紙煙草は本来中産階級向けの代物ではあるが、煙草好きの貧乏男爵が顔を隠して購入しにいく位には品質は悪くない品である。

 

 銀河帝国成立後、各種麻薬や課金ゲームと違って全面禁止とまではならなかったものの、酒類や煙草類といった健康に影響のある嗜好品は大きな法的規制を受ける事となった。

 

 特に強力に規制されたのは安全性である。当時の悪徳企業は依存性を高めると共にコスト低減のために劣悪な品質の煙草類や酒類を多く製造していた。それどころか犯罪組織が密造して資金源にしていた程で、多くの連邦市民がニコチンやアルコール中毒に侵され、あるいは癌や失明等の病に侵され、それでも依存症にあらがえずに犯罪を犯してまでして煙草や酒類を入手しようと躍起になっていた。当然ながらその行為は連邦の治安悪化と社会保障費の増大、反比例した税収の減少や健康寿命の低下を招いた。

 

 ルドルフ大帝はまず違法な、あるいは危険な商品を市場から力ずくで一掃した。次いでニコチン依存症患者やアルコール依存症患者を収容所に無理矢理閉じ込め、最後に国家主導で人体に対する毒性や依存性を最大限抑制するように改良に改良を重ね、また階級ごとに入手出来る品目や数量を厳格に規定する事で銀河連邦末期から飽和化していた煙草や酒類に関わる犯罪や健康被害の最小化を図ろうとした。無論、今となっては形骸化している部分も多いが……。

 

 亡命政府においてもその制度は受け継がれ……いや、形骸化したオーディンの帝国政府に比べれば本来の制度が遥かに厳格に維持されている。アルレスハイム星系政府の生産する煙草や酒類の安全基準は銀河でも有数であり、同時にその生産量や流通量、購買手段も特に非貴族階級に対しては厳しく管理されていた。余りに基準が高過ぎて同盟やフェザーンの企業の中にはこれをアルレスハイム星系政府の自国企業保護政策として批判し、市場開放を要求する程だ。

 

「紙煙草な時点でナンセンスだな。そもそも俺は禁煙家だからライターなんて持ってねぇよ」

 

 ロイシュナーは心底嫌そうな表情を浮かべる。ハルバッハの咥える紙巻煙草もヴォルムス産な以上、生産段階で毒素を可能な限り抽出し、浄化用の特殊加工紙を幾枚も重ねてフィルターを作っていた。無論周囲に対する副流煙に対しても最大限配慮されている。実質的な有害性や依存性は一般的な同盟製やフェザーン製の数十分の一でありながら、その味わいは十分満足出来る出来だ。それでも有害である事は変わりない。大貴族ともなると同盟・フェザーンにおいては破格の安全性であるこの紙煙草でも人体への悪影響を嫌がり、より安全性の高く満足感を得られる代わりに高価なパイプ式や葉巻式を好む者が多数派である。そもそも帝国の上流階級や亡命帝国人に禁煙家は少なくない。

 

「それにライターなら代わりになる奴がすぐ傍にあるだろう?それを使いな」

「おいおい、マジかよ。冷たいなぁ。……たく、仕方ない」

 

 ロイシュナーのぞんざいな態度に眉間に皴を寄せて舌打ちし、ハルバッハは渋々と言った態度で咥えていた紙煙草を指で挟み取り出し、そっと上に上げる。次の瞬間、鋭い銃声と共に青白い光の筋が彼の頭上を通り過ぎた。そっと煙草を持つ手を下げれば紙煙草の先端はプスプスと黒く焼け焦げていた。その様子に周囲の同僚達は口笛を吹く。

 

「こりゃあ見事な手並みだぜ」

「流石本場の狙撃猟兵共だ。まるで曲芸だな」

「おい、味の方はどうだハルバッハ?猟兵共に着火して貰った煙草の味は格別か?」

 

 同僚達が冷やかしの笑い声をあげた次の瞬間、彼らは身を伏せる。同時に次々と響き渡るブラスターライフルの発砲音。彼らは体を低くして、防盾の影で銃撃の嵐を凌ぎ、次いで反撃のために手に持つ小銃の引き金を引く。

 

 そんな中、ハルバッハは憮然とした表情で紙煙草を咥え、一服する。

 

「……やっぱライターで火をつけねぇと風味が落ちるな」

 

 半分以上残っている紙煙草を雪が降り積もった床に捨てると、ハルバッハは床に飛び込むように伏せると共に横合いの通気孔から背後に回ろうとしていた雪原迷彩服を着た帝国軍軽装歩兵部隊の先頭を、その姿が躍り出た所に手持ちのサブマシンガンを乱射した。銃身から勢いよく金色の薬莢が吐き出される。

 

「ちぃぃ!次から次と来やがって、賊軍共が……!」

 

 ハルバッハの正確な射撃は先頭の一個分隊を瞬く間に死体に変え、次いでその後続部隊と彼は激しい銃撃戦をおっ始める。

 

 そして彼の足元、純白の雪が敷き詰められた床にぽつんと落ちていた紙巻き煙草は、その雪が一面真っ赤に染まり切った頃でも尚、うっすらとその先端から煙をたなびかせていた……。

 

 

 

 

 

 イゼルローン要塞中枢部である要塞中央動力炉より直線距離にして一六キロの地点、帝国軍においてはE-マイナス一一九ブロックと呼ばれるエリアが彼らの臨時司令部の置かれた場所であった。

 

「参ったな。ムーア少将との連絡がつかん。それどころか包囲網の外側の味方との通信すら混乱していて碌に出来んとはな」

 

 ヴァーンシャッフェ中佐は大隊司令部が保有する中型無線機の前で苦虫を噛む。兵士達も噂する先刻の激しい震動の後、第二宇宙港に揚陸した別動隊揚陸部隊の孤立した前衛部隊はそれでも包囲網の外側の味方との通信は辛うじて繋がっていたのだが、今や無線機の受話器に耳を当てても聴こえて来るのは雑音ばかりであった。

 

 実の所、クライスト大将の暴挙ともいえる軍港破壊によって別動隊揚陸部隊旗艦にして部隊間の通信を統括していた『ノルマンディー』が大破した事で、別動隊揚陸部隊の通信網は壊滅に近い被害を受けていた。

 

 宇宙艦艇の備える通信機材は当然陸上部隊の保有するそれとは出力も処理能力も桁違いである。それを喪失したのだ。未だ各部隊の有する無線・有線通信機は健在で、周辺に展開する部隊とある程度の通信こそ可能ではあるが、少し距離が離れれば帝国軍の妨害電波によりそれは不可能となり、それどころか情報の統合・共有にも大きな悪影響を被っていた。何よりも要塞外部との通信がほぼ不可能となったのは彼らにとって余りに痛手である。

 

 そしてその機会を逃す帝国軍ではない。既に孤立した別動隊揚陸部隊の前衛部隊の立て籠もるこのE-マイナス一一九ブロックにブロックに繋がる六つの通路、それに要塞中に張り巡らされた上下水道や換気口、隠し通路等から次々と帝国軍の陸戦部隊は侵攻を開始していた。推定規模は凡そ三万、狭い通路での戦いのため正面戦力の差は生じにくいものの、補給不足から同盟軍は徐々に継戦能力を喪失していった。

 

「しかも装甲服をいつまでも着込む訳には行きませんからな。軽装甲服で五時間、重装甲服では二時間が限界です。にもかかわらず既に限界時間を超えて着こんで戦う者ばかりですからな。私も出来れば汗をシャワーで洗い流したいものですよ」

 

 ヴァーンシャッフェ中佐の背後で飄々とした態度で嘯いたのは重装甲服のヘルメットを脱いだワルター・フォン・シェーンコップ中佐である。その額は汗で濡れきっており、その身につける重装甲服は殆んどが返り血で真っ赤に染まっており、先程まで彼が激しく苛烈な戦いに身を投じていた事を証明していた。

 

「……シェーンコップ中佐、貴官には第六四五通路の防衛を命じた筈だが?」

「その侵攻は撃退しましたよ。それなりに損害は与えたので一時間位は安全と見込みます。ですので交代の休憩を使って顔を見せに来た訳ですな。とは言え……」

 

 ヴァーンシャッフェ中佐の手に持つ携帯端末に映る戦況情報を見て、少々困り顔を浮かべる不良軍人。

 

「私一人が頑張っても他の通路が芳しくなければ意味がありませんからなぁ」

 

 携帯端末に表示される戦況は芳しくはない。各部隊奮戦しているものの、ジリジリと損耗し、戦線は押されつつある。無論、全面的な崩壊はせず、その後退は慎重かつ計画的であったが、それら戦線の整理は時間稼ぎのためであり、逆転の見通しがついている訳ではなかった。

 

「このままではじり貧は目に見えてます。元々前進し過ぎて物資不足だったのがこの孤立と包囲ですから。武器弾薬は最悪敵から奪えば多少は持ちます。ですが食料、それに一番重要な医薬品の方は既に必要量を下回っています」

 

 同盟軍は地上での苛烈な戦闘に備えて前線用移動手術ユニットを配備しているが、それとて実際に銃撃戦が発生する場所から最低でも数キロは離れている事を想定した代物だ。ユニットは重く、足は遅く、電力も必要で、しかもそれがあっても尚軍医や看護師がいなければ意味がない。

 

 そして現状包囲されている彼らの元にある医療リソースはと言えば、手術ユニットが無いのは元より、軍医が数名に一ダース程の看護師、後は衛生技能を有する衛生兵が数個小隊であった。彼ら衛生兵は一人から数名単位で小隊や中隊に分散配備されている。医療品も既に底を尽きかけていた。軽傷者は碌に手当ても受けていない。

 

「今は良いでしょうが軽傷者も無理はさせられません。ましてや重傷者には今にもヴァルハラに行きそうな者もいます」

 

 そして何が起きたのかはまだ彼らも正確には把握出来ていないにしろ、あの震動と通信の断絶から見て、恐らくは第二宇宙港が無事である訳がない。孤立し、しかも味方の脱出路すら寸断されたとなれば近いうちに救援が来るとは考えにくい。ともなれば……。

 

「不本意ですが、ここは最悪の事も覚悟せねばならぬでしょうな」

 

 そこで不良騎士は口元をきつく結んで、深刻そうな表情で呟く。

 

「……我々は降伏なぞしません」

 

 その弱弱しい声に導かれるように、直ぐ傍で簡易椅子に座る中佐に不良士官は視線を向ける。全身に血の滲んだ包帯を巻いて、隻腕の中年男性がそこにいた。ヨルグ・フォン・ライトナー中佐は憮然とした表情で静かに肩を上下させて息をする。

 

「ライトナー中佐、そう意固地にならんでも良いでしょうに。たかが臨時陸戦隊に手玉に取られた屈辱は理解しますが、雪辱を果たす機会はいつか来るものです。こんなつまらぬ場所で玉砕するなぞ芸がないと思いませんかな?」

 

 不良騎士は息も絶え絶えの中年を過ぎた従士に向けてそう嘯く。一見すると軽々しい物言いであるが、それなりに付き合いのあるライトナー中佐はそれが彼なりの慰めの言葉である事は理解していた。だからこそ傍で剣呑な表情を不良騎士に向けるデメジエール少佐を制止してからライトナー中佐は言葉を紡ぐ。

 

「今回こそがその雪辱戦だったのです。……エル・ファシルで我々は本来死ぬべきでした。それを温情を承り、十分な支援を受け、勝算ある戦で汚名を雪ぐ機会すら与えられました。その癖にこの醜態ともなれば到底主家にも、本家にも面目が立ちません」

 

 ライトナー中佐は恭しく宮廷帝国語で答える。階級は同じ中佐、立場は従士に対して上等帝国騎士、外面的な階級と身分は然程差異がないが、片や従士家の本家ではなく分家の末端で下士官から叩き上げとなった連隊長であり、片や士官学校を優秀な成績で卒業し亡命政府の宣伝する精鋭の薔薇の騎士達の大隊長、しかも主家の次期当主直々にスカウトしたお気に入りの食客である。それを含めれば年齢で上回ろうとも実質的な『格』が何方か上かなぞ、帝国人ならば一目瞭然だ。

 

「上面だけとは言え、中佐にそこまで下手に出られるのは相変わらずこそばゆくて慣れぬものですな。初めて御会いした時のようにもっと砕けた言葉を使って頂いても宜しいのですよ?……加えて言わせて頂ければ、そこまでお困りであれば雇用主にでも泣きつけば宜しいのです。あの人ならば慌てて奔走してくれますよ。何なら私から口利きしても宜しいですが?」

「中佐、食客の分際で……」

「少佐、分を弁えろ」

 

 シェーンコップ中佐の雇用主を軽く見る発言にデメジエール少佐が怒りを爆発させようとするがライトナー中佐が先程とは別人のようなドスの利いた荒々しい声でそれを止める。デメジエール少佐は体を震わせてライトナー中佐を見るが、上官のそれだけで人を殺せそうな鋭い視線に僅かに臆し、舌打ちをして一歩下がる。そして非礼を詫びるように不良騎士に一礼した。

 

 ライトナー中佐は再度帝国騎士を見据える。

 

「御厚意には感謝しましょう。しかし御気持ちだけで結構で御座います。そのような若様にご迷惑をお掛けするような願い、する訳にはまいりません。既に一度ご厚意に甘えながら自身の無能を二度も許されようなぞ、特別な理由もなければあってはならぬ事です」

 

 重々しく答えるライトナー中佐。尤も、不良騎士からすればその内容は思わず肩を竦めてしまうものではあったが。そもそもそれを言えば(亡命政府目線で)失態を繰り返した従士が二人程雇用主の傍にいつまでも控えているのだが……ライトナー中佐の価値観からすればそれは完全に別枠なのであろう。

 

「……従士としての御覚悟は御察し致しましょう、ライトナー中佐。しかし、現状において貴官らは我々の貴重な戦力です。ムーア少将も電文を送っておりますが、無用の戦闘を仕掛けてこれ以上に戦力を浪費するのは御遠慮頂きたい」

 

 帝国貴族として、そして同盟軍人としてこの場において最高位の権限を有するヴァーンシャッフェ中佐がライトナー中佐に向けてそう釘を刺す。

 

「承知しております。最早これ以上積極的に戦闘を仕掛けたとて拝命した任務を全うする事は確実に不可能でしょう。さりとてこのままおめおめと逃げ帰る訳にはまいりません。であるならば、友軍のために我らも可能な限りの貢献を為すのは寧ろ道理でありましょう」

 

 さも当然とばかりにライトナー中佐は答える。それが味方のための捨て石になる事を意味するとしても。

 

 ライトナー中佐の覚悟に対して、ヴァーンシャッフェ中佐はこれ以上言及する事は無かった。そこまでの覚悟を彼自身は求めてはいなかったが、この重傷の従士の意志をここで否定しても何の意味もない事も理解していたし、説得も時間を浪費するだけである。ただただ今は不用意な攻撃をしない事を確約させる事だけで十分であった。

 

「……さて、それにしても手詰まりだな。援軍もなく、さりとてこのまま防戦一方という訳にも行くまい。状況の変化を待つとしてもいつまで持つ事か」

 

 再度戦況を見据え、小さく呟くヴァーンシャッフェ中佐。その言葉に答えられる者はこの場において皆無であった。広がる重苦しい沈黙……。

 

「……?失礼、今前線からの連絡が入ったのですが……」

 

 しかし次の瞬間、無線機と相対する通信士が怪訝な表情を浮かべて集まる指揮官達に向けて口を開く。

 

 そして、その内容はこの場にいた者達に困惑と、非常に難しい二者択一を強いる事となった……。

 

 

 

 

 

 

「おい、侵入者の姿は見たか?」

「いや、この通路には見えなかった」

「そんな訳あるか!カメラには映っていたんだぞ!?何処かに隠れておるに決まっている!」

「糞、このブロック何年放置されてたんだ?碌に地図もありゃあしねぇ」

「そもそもこの要塞自体広すぎるんだよ。その癖人員は少なすぎるのさ。せめて今の倍位の人員がいなきゃあ管理しきれねぇよ」

 

 帝国軍軽装歩兵の集団が駄弁りながら第一八三三通路を進む。イゼルローン要塞建設以来殆んど使われる事すら無かったこの通路を彼らが進む理由は知れている。

 

 公式非公式含めて数千から数万はあるかも知れないイゼルローン要塞内の通路、その中から第一八三三通路に彼らが足を踏み入れた理由は反乱軍の侵入者を掃討する以外に有り得ない。どうやら、侵入から一時間近く経過してやっと彼らはこの通路に反乱軍の兵士がいる事に気付いたらしい。

 

「気付いてくれるなよ………」

 

 そして、そんな帝国軍の軽装歩兵達の会話を、私はその足元で聞いていた。より正確に言えば真下に設けられた回線ケーブル補修用通路から聞いていた。換気用に網戸のついた薄い金属製の板一枚挟んだ人一人が漸く通れるかという空間で私は寒さに耐えて、息を殺し続ける。

 

「んっ……わ、若様……あの……そこは……」

 

 私の義手の右手が(人工神経を挟んで)何か柔らかい物を掴んだ感触を感じ取ると同時に、耳元で困ったような、それでいて艶めかしいテレジアの囁き声が響いた。因みに言えば義手の握力なので出力をキープしていても生身のそれに比べれば握る力は若干強かっただろう。ん?聞きたいのはそんな事じゃない?さいですか。

 

「大尉、気付かれます。静かにして下さい」

 

 直ぐ息が私の顔に当たる距離でベアトが白い息を吐きながら同僚に囁く。私を挟んで反対側にいるテレジアはそれに黙って頷く事で答えるが、その顔は薄暗い中でも僅かに上気し、何処かくすぐったそうであった。

 

 ……まぁ、あれだ。敵兵から咄嗟に隠れるためには時間がなかったのだ。唯でさえ暖房を停止されて冷えきっている狭い補修用通路でぎゅうぎゅう詰めになるのは仕方ないし、前後から従士に密着されるのも仕方ない。ましてや右手がテレジアの身体の何処かを掴んでいてもそれはどうしようもない不可抗力である事は疑い様もない事実である。……不可抗力だよな?

 

「……?今何か物音がしなかったか?」

 

 内心で自己弁護に走っていると、丁度私の頭の上辺りで立ち止まった帝国兵が周囲に向けて尋ねた。やべっ。

 

「物音……?」

「鼠か何かか?」

「待て、静かにしろ……」

 

 同僚の言葉に他の帝国兵達も足を止めて、聞き耳を立て始める。ちぃ……!

 

 私は息を殺して身動き一つせずにその場を切り抜けようとする。それは従士達も同様だ。どうせ聞こえないのは分かっていても激しく脈うつ心臓の音が異様に煩く感じられた。

 

(早く行ってくれよ……!!)

 

 私は心の中で叫ぶ。恐らく一個分隊の軽装歩兵、それも軽装とは言え陸戦の用意すら碌にしていない我々にとってはブラスターライフルや火薬式実弾小銃であろうとも十分過ぎる程の脅威だ。しかも遮蔽物も殆んどないとなれば此方が不利過ぎる。戦わない事に越した事はないのだ。

 

「…………」

 

 軽装歩兵達は沈黙したまま、遠ざかる足音だけが響き始める。これは……行ってしまったと見るべきか?それとも………。

 

「っ……!?」

 

 僅かに警戒を緩めて私は視線を上に向けようとした次の瞬間である。鉄板が外される音と共に照明の光が薄暗い回線ケーブル補修用通路を照らし出した。

 

「くっ……!?」

 

 照明の光に私は一瞬目を細める。同時にうっすらと見えた銃口に私は慌てて手元のハンドブラスターを構えようとする。

 

「ひゃっ……!?」

「うおっ……!!?」

 

 思わず嬌声を上げるテレジア。それは丁度私が掴むハンドブラスターが振り上げられると共に彼女の豊かな胸元の谷間に引っ掛かったからだった。当然のようにそれにより私がハンドブラスターを構える姿勢は阻害された。それはあるいは傍目からすればギャグのように思えたかも知れない。しかし、私自身にとっては死をも覚悟した重大な過失であり、失敗であった。

 

 ……本当にこれが命のかかった状況であったら、な?

 

「……御取込み中のようなので失礼します」

 

 狭苦しい空間で従士二人と密着したサンドイッチ状態になり、あまつさえテレジアの胸元の谷間に下からハンドブラスターを持った手を捻じ込んだ糞貴族のボンボンを見つけたアントン・フェルナー中佐は、私と目を合わせると数秒沈黙した後何やら合点がいったようにそう呟いて床板を被せ直す。完全にそっ閉じであった。

 

「……いや、だからこのパターンは前にしたけど……!?」

 

 多分三度目と思われるシチュエーションに私は叫び声を上げていた………。


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