IS インフィニット・ストラトス ~クロガネを宿し者~ 作:Granteed
『IS』
正式名称『インフィニット・ストラトス』
それは宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツ。しかし、開発者の目的からは逸れ、現在は兵器へと転用された。そのきっかけはとあるひとつの事件だった。
ISが発表されてから一ヶ月後、日本を射程範囲内とする世界中のミサイル基地が一斉にハッキングされ、約5000発のミサイルが日本めがけて発射された。世界に中継され日本はパニックに陥り、誰もが絶望の淵に落とされていた。その時、現れたのが白銀のISを纏った女性だった。その女性は、なんと約半数のミサイルをたった一機で撃墜したのだった。手に持っていた剣を振るい、遠くのミサイルに対しては銃器のようなものを片手に召喚し撃ち落としていた。日本中の誰もが、助かると思った時、それは起こった。ISの動きが急に鈍くなり、挙句の果てには止まってしまったのだ。今まで助かる、と思っていた分、更に日本はパニックになった。日本政府もあきらめ、避難を開始したその時“それ”はいきなり現れた。
当時、中継を見ていた人間は口を揃えて言う。
『白い鬼だった』
その“白い鬼”はいきなり現れ、ミサイルを撃墜し始めた。ある時は素手で、ある時は太刀を振るい、ある時は射撃武器を使って。そしてそのまま、全てのミサイルを撃墜してしまった。しかし、ミサイルを撃墜した“鬼”とISに対して世界は冷ややかな対応をした。
『対象の分析・及び捕獲。無理ならば撃墜』
日本の周辺諸国から空からは偵察機が飛び、海からは艦船がその空域に押し寄せた。どうみてもISの方は限界に近く、“鬼”の方はともかくISは捕獲出来るだろう、と各国は思っていたらしい。しかし、“鬼”はその全ての勢力を無力化した。しかも動けないISをかばいながらである。その後、各国は躍起になりさらなる部隊を投入したが、全て“鬼”が撃墜した、しかも戦闘機の搭乗者及び艦船に乗っていた船員を誰一人として殺すことなく。全てが終わった後、“鬼”はいきなり消失した。ステルスやジャマーの類では決してない、文字通り“消失”したのだった。ISの方は、“鬼”が去った後ステルスを展開し、その空域から去っていった。
この事件を後に人々はこう呼んだ。
『
その後、ISの生みの親である篠ノ之 束博士は『あの鬼はISではない』という発表があった。しかし、約半数のミサイルを撃墜したISの戦闘能力を、世界は見過ごせるはずも無く急速にISは“宇宙空間においてのマルチフォーム・スーツ”から“世界最強の兵器”へと変わっていった。ISの普及と同時に世界は女尊男卑の世界へと移り変わった。
しかし“鬼”の正体は結局何なのか分からずに、人々の記憶に留まるだけとなった。
今、物語が動き出す
少年は望まぬ力を手に入れる。両親の命と引き換えに。
「これを……離すな……お前の……力に……」
「父さんしっかり!!母さんはどうしたんだよ!!」
望むと望まざるに関わらず少年の運命は流転する。
「ここがIS学園か…」
「ほう、お前が二人目の男のIS操縦者か」
その身に宿すは異形の力。少年はその力を忌み嫌っていた。
「あなた……その体…」
「俺は……化け物なんだよ……」
少年は真実を知るために奔走する。
「……いいの?聞いたらもう戻れないよ?」
「構いません、俺は全てを知りたいんです!!」
少年は決意する。守りたい者を守るために。
「もう逃げない……逃げたくない!!」
その力は両親から託された遺産。その身に宿し力は
「だから…来い!ラインバレル!!」
少年の名前は紫雲 統夜
彼の願いが形を成す時、運命は変わるのか……