ペルソナ4ザゴールデン 平和を望んだ異端者   作:無幻

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ある日の探索と武器決定

今まで特に語ることも無かったが、俺の家はかなり広い。

改装をしたら旅館として成り立つかもしれない。それくらい、うちはでかい。

母さんが死んだとき、縁を切るかのようにその遺産を俺は受け継ぎ、自由に暮らしていた。

 

そのおかげで金は遊べるほどあるが、俺自身、大して贅沢が好きなわけでもなかったから、バイトとかして、お金はあまり使わないようにしていた。

が、今回、それについて考えることがあるんだ。

 

どういうことかというと。

 

「武器に使えそうなものがない……」

 

これだった。

鳴上は最初はゴルフクラブ、花村はスパナ。んで、千枝は蹴りで、雪子は扇。完二はパイプ椅子らしい。

 

日常品で、ある程度持っていても不自然じゃないものを選んだみたいだが、俺の家にはそういうものがあんまりない。倉庫とかを探しても使えそうなものが無かった。一応包丁とかそういうものはるが、そんなもん持ち歩いていたら色々やばい。鞄に入れればいいと思うかもしれないが、そもそも包丁で謎の敵に立ち向かうのはちょっと怖い。正直、蹴りで何とかする千枝は凄いと思う。

 

持ち歩いていたら不自然でも、ある程度言い訳ができるものじゃないといけない。幸いテレビの中に一度はいってしまえばどうとでもなる。その中に置いてくればいいんだから。新しい武器があったら、夜中にこっそりやるか、大きな鞄に入れて隠していけばいい。

 

そして、一番の問題はどれも手に馴染まない、ということだ。仮に包丁を武器にしたとしても、うまく使える自信がない。料理するときはぴったりでも振り回す時にはなぁ。

 

「……お、千枝からメールだ。えっと、時間があれば、テレビの中で修行、か。ふむ、返信は『OK。だが、武器が決まらない。決まったらまた連絡するので、そのときにほかのやつらに伝言よろしく』と」

 

送信。さて、どうするかとまた悩む。

……なんか買いにいくか。

 

だいだら.とやらの前に生活用品で手に馴染む、それでいて使いやすい武器を探そう。長物がいいなぁ。箒とか手に馴染んだし。もろいから武器に使えねーけど。

 

 

 

ふと見つけた日用品などを売ってる店に入る。

草刈用具とか使えるんじゃないか、と思ったものの、結構危険なのばっかりで、使いづらそうだ。あんまり大きいと使いづらいし。

悩んでいると、ふと目に留まったものがあった。

 

立掛けられている草刈用具。半月。棒の先端に半月の形をした刃がついているものだ。

ひょいと手にとってみる。重さも、長さもいい感じだ。

 

やっと手に馴染むものが手に入った。そう思って少し笑ってしまうと。

甲高い音が響いた。

 

「は?」

「け、警察だ! その凶器を下ろして手を上げろ!」

「……またか」

 

よくあることだ。俺は言い訳、というか普通に草刈用具を買いに来ただけだといったが、聞き入れてもらえなかった。振り回すつもりではあるが、人に向けるわけじゃないんだぞ? いくら目がコレだからってひどくね? 俺はびびり気味の猫背の男に連行された。

 

 

 

およそ一時間後。堂島さんがやってきて、やっと開放された。

 

「どうして草刈用具を見て、それを手にとって笑っただけで犯罪者扱いされなきゃいけないんですかねぇ」

「すまねぇな。あいつは割と最近本庁からきてて、お前のことは殆ど知らない。俺だって、お前の顔見たら、犯罪者だって信じたくもなる」

「ひ、ひどい」

「お前が悪くないってことは、わかってるんだけどな、俺は」

「あ……」

「いや、気にしなくていい。というか気にしないでくれ。そういや、最近悠たちと仲がいいみたいじゃないか」

「悠、ああ鳴上のことですか。ま、それなりには、ですかね」

「そうか。ほら、お前が買おうとしてた半月。侘びだ。軽犯罪すら犯してないのに捕まえちまったからこれくらいじゃすまないだろうけどな。そのあたりは後日改めてってことになるな」

「別に、いいですよ。それじゃ、失礼します」

「ああ、気をつけろよ。最近物騒だからな」

「わかってます」

 

堂島さんと適当に会話したあと、署を後にした。

携帯で、とりあえずの武器が見つかった。これからジュネスに向かう、と連絡してから。

 

 

到着して軽く会話。

 

「で、それか?」

「ああ。一悶着あったけどな」

「なんかあったんすか?」

「これもってちょっと笑ったら連行された」

『……ああ』

「ちょっと待て、お前らなんで納得した」

「いや、ほら気にしないでさ。行こう?」

 

納得いかなかったが、しょうがないので諦めた。

 

 

テレビの中に入って、メガネをかけて、辺りを見回す。クマがやってきたがスルーした。

 

「とりあえず、どこいく?」

「俺がやってきてからできた場所がいいな」

「正気?」

「ひどいな、そこまで言うか」

 

霧でよく見えなかった場所を自分で見たかっただけなのに、なぜ正気を疑われるのだ。

 

 

 

 

 

うん、ひどい。

メガネのおかげで霧が無く見えるために、恐ろしくひどい光景が広がっていた。

 

「や、やっぱり一番奥に、強いシャドウがいるクマぁ」

「強いシャドウ?」

「えっと、なんでかわからないけど、人を助けた後も場所は残ったままなの。それで大抵はそこの奥に、強いシャドウがやってくる、んだっけ?」

「そ、そうクマ」

「でも、そこってなんでか知らないけど強い武器が落ちてあったりするんだよね」

「ふーん、じゃ、行ってみるか」

 

そういってさっさと地獄の中に入っていった。

 

 

 

少し歩くと、待っていましたといわんばかりに大量のシャドウたちが現れる。

どれもこれも、ちょっと禍々しい姿をしてる。

 

まったく、よくこんなもんと今まで戦えたなぁ。

 

「よし、いくぞ!」

「え、ちょっ!」

 

なんか戸惑ってるが無視して武器、半月を構えて特攻!

巨人というかレスラーみたいな見た目のやつに体をひねって一撃! 

 

先がかなり埋め込まれるようにして刺さる。そこにカードを砕くようにしてペルソナを召喚して、バランスを崩したところに刀で一閃して消滅させる!

 

そのまま突っ込んで半月を振り回しながら敵を蹴散らし、背後はペルソナでガード。

 

「ん? のわっ」

 

岩みたいなシャドウが跳んできたので慌てて避けたがバランスを崩し、レスラーみたいなシャドウに思いっきりぶん殴られたっ、が痛みは無い。

よくわからないがチャンスだと思った。

 

シャドウを蹴っ飛ばして後ろに下がり、ペルソナを改めて使用する。

 

「ノブナガ! 木っ端微塵切り!」

 

すさまじい速度で切り裂かれ、残ったシャドウも恐怖でおびえ始めた。

 

「デスバウンド!」

 

とどめに全体に衝撃を放って、シャドウを倒した。

 

「よっし、終了……っと」

 

ぐらりと突然襲われた疲労によって体を倒しそうになるも、すぐに回復する。

どうやら雪子が回復してくれたらしい。

 

「おま、無茶しすぎだろ」

「……すさまじいな」

「護ってさ、初めて、なんだよね?」

「あ? そうだけど?」

「これで初めてってありえなくないすか」

「私、今でもあのシャドウたちを一人で倒せる自信ないよ?」

 

そういうもんか。

 

「にしても今の、なんだ? さっき俺、レスラーに思いっきりぶん殴られたけど全く痛くなかったんだが」

「あー、そのあたりはわかってないんだね。ふっふっふ、この私が説明して「ペルソナにはそれぞれ耐性があるんだよ」ちょっ、雪子!?」

「はいはい、里中は黙ってよーな。なんつーの? 俺たちのペルソナには弱点があってさ。シャドウによっては属性攻撃してくるやつがいんだけどさ、個人ごとにその弱点が違うわけ。たとえば、おれは風に強いけど、雷は他のやつより痛く感じるみたいでさ。相棒は、逆に風に弱かったんだよな」

「ああ。最も俺の場合はペルソナを変えられる。相手ごとにペルソナをチェンジすれば対処できる」

「チートだなお前。ってことは俺は物理に耐性があるってことかね」

 

にしては僅かな痛みも感じなかったが。

 

「耐性というより無効だな。俺のペルソナにもそういうのがある。説明しておこう」

「ん、よろしく、鳴上」

「この耐性というものは弱点、普通、耐性、無効、反射、吸収がある。全てそのままの意味だから気にすることは無いだろう。そして、これはシャドウにも同じことが言える」

「ふむ、ってことはさっきのなかには物理に耐性、少なくとも無効とかそれ以上に強いやつはいなかったことか」

「そうなる」

「つってもお前の攻撃無茶苦茶。特攻とか自殺志願にもほどがあるっての」

「そうクマ。今のシャドウがマモルっちに相性がよかったからって油断しちゃだめクマ」

「わぁってるよ」

 

流石に反省してる。

 

「一応だれのペルソナがどんな属性に強いかとか、教えておいたほうがいいかな。分かってたほうがいいだろ。ってことで相棒、任せた」

 

丸投げかよ。

でも確かに花村って説明向いてはないだろうな。

 

「任された。属性は物理、火、風、雷、氷、光、闇、そして特殊として万能の8種類だ。物理はさっき闇討が使ったようなものだ。火はアギ、風はガル、雷はジオ、氷はブフ、光はハマ、闇はムド、万能はメギド。威力によってある程度付け加えられたりするが、大体こんなものだ。気をつけるべきなのは、光と闇はそれぞれ即死。つまり、直撃したら戦えない。一部のスキルを使えば戦線復帰できるが、体の機能は停止しているからあらゆる行動は不可能だ。できる限り迅速な治療が求められる」

「こえーよ」

「万能は俺以外は使えないし、消費も大きいからあまり使えないからよくわからないが、耐性を持つことが無い。弱点はつけないが、耐性もない。衝撃が強いから相手はバランスを崩しやすいな。もしそこに追撃されたら危険だ」

 

即死がなくても下手したら死ぬ、か。ここで、特定のスキルを使えるならある程度はマシかもしれないが、できるだけくらいたくないね。

 

「とはいっても即死系はさほど命中率は高いわけじゃない。万能も滅多に使われるものじゃないからな。俺も何度か使ったが、ハマもムドも弱点じゃなければまともに成功しない。メギドは消費が大きいからな。注意すれば大丈夫だろう。そして、それぞれの耐性だが」

「俺のジライヤは風に強くて雷に弱い。使えるのは物理とか、風属性。少しだけなら回復とか補助も、ってとこだな」

「あ、あたしのトモエは氷に強くて、火に弱いよ。えっと、物理がメインで氷も少し使えるかな」

「千枝はあんまり得意じゃないみたいだけどね。私のコノハナサクヤは逆に火に強くて氷に弱いかな。得意なのは炎を使った攻撃で、回復とかかな。ペルソナも含めて直接殴ったりするのは苦手だけどね」

「俺のタケミカズチは雷に強くて風に弱いっすね。使えんのは雷で、殴ったりするのは大得意っす」

「大体予想通りってとこだな。イメージが強いよ」

「闇討」

「あん?」

 

全員の特徴を聞いて納得していると、鳴上に話しかけられた。

 

「俺は一応大体どんなのに弱いかがわかるんだが、すごくいいづらいことがある」

「……なんだよ」

「まず物理無効。火には耐性。氷は弱点。風は、耐性がある。雷には弱い。そして、闇は無効で、光が弱点だ」

「まじかよ?」

「まじだ。ハマ系統が飛んできたら気をつけろ。ただ、言った通り滅多にいないから、多分大丈夫だろう」

「それ死亡フラグな」

「大丈夫だ。少なくとも、ここに即死系統を使ってくるやつはほとんどいないし、使ってくるのは闇だから、ここで回避とかになれればいい」

「……善処するよ」

 

前途多難だ。本気で、俺はそう思った。

 

即死が有効とか、それも光属性とか、有り得ねーっていいたい。

とにかく、気をつけないとな。気を引き締めることにした。

 

 

 

どうにかそれぞれの特徴を生かして最上階と思われる場所にやってきた。

正直物理反射、闇無効の敵にはどうしようもなかった……。

ほかのやつの属性と違って、ここの敵は物理はともかく闇耐性あるやつばっかりだったから、結構苦戦したが、なんとかなった、大丈夫。

 

「大変だったね、護くん」

「すごく攻撃集中されてたから心配だけど」

 

なぜか弱点を狙われまくったが、問題は無い。

大丈夫なんだ(泣)

 

「つ、疲れたなー相棒」

「以前より、だいぶましだろう」

「そりゃ前よりはね。でもきついのには変わらないよー」

「クマくん、この先に、やっぱりいる?」

「いるクマ。やっぱり強い気配クマね」

「うしっ、いきましょうか!」

「そうだな。物理に耐性なけりゃいいけど」

 

軽く雑談をしながら扉を開けると、大きな侍のような姿をしたシャドウがいた。

すごく頑丈そうだ。

 

「これって、絶対即死しないし、物理に耐性ありそうだよな」

「…………がんばれ」

「ちくしょう!」

 

ほかのやつと違って即死しない相手で物理が効かないとほぼなすすべないしなぁ。

が、幸いにして、どう見ても属性攻撃をするようには見えない。

 

「おい、お前ら。物理攻撃はできるだけ俺が引き受けるから、攻撃はできるだけ任せた」

「いやいや! 攻撃を護に集中させるのは」

「千枝の言うとおり! 物理以外を使われたら危険なんだよ!?」

「いや先輩。ここは護先輩の言うとおりにしたほうがいい」

「完二!? お前なにいってんだよ!」

「つーかお前ら、俺は物理以外はよけるっての」

 

そこを忘れてんじゃなかろうか。

物理無効で、相手はそんなに属性は使わないだろうから、といってるだろうに。

 

「いいから行くぞ!」

 

とっとと戦うことにした。

埒が明かん。

 

戦闘開始したその瞬間

 

『メギド』

「ぐはぁっー!!!」

 

吹っ飛んだ。全身を大ダメージ! …………待てや。

 

「ごふっ」

「先輩!?」

「ディアラマ! だ、大丈夫?」

「ジライヤ! ガルーダ!」

 

大きな風が花村のペルソナから出現し、敵を襲うが、掻き消える。

 

「んなっ!」

「風は無効かよ! 厄介すぎんだろ!」

「クマ! あいつはどんなシャドウかわかるか!」

「えーっと、見掛け倒しの侍、クマ」

「そうか! ……なに?」

 

ああ、そういうことか。

 

「ノブナガ! デスバウンド!」

 

見た目的にあまり通用しなさそうな物理攻撃だが、

 

いい音がして吹っ飛んだ。

見ただけでわかる、大ダメージだ。

 

「うおぉぉ、マジかよ……」

「……よし、突撃だ!」

「お、おう!」

 

全員で倒れたシャドウをフルボッコにして、戦闘は終了した。

体力も低かったようで、あっさり霧散した。本当に見掛け倒しだった。

 

 

 

 

さて、武器を探してみると、大きな鎌が地面に突き刺さっていた。

 

「地獄に鎌とか笑えない組み合わせだぜ」

「というより、護くん、これ使えるの?」

「半月と違って刃の部分長いし、使いづらそうだけど」

「いや」

 

握って引っこ抜いて二、三回ほど振り回してみる。

 

「すごく馴染む。振るいやすいぜ」

「お、おう」

「先輩、顔、顔怖いっすよ」

「お前には言われたくなかったなぁ」

 

不良顔の癖に。

ま、いい。

 

初めての戦闘は、そんなこんなで過ぎていった。

 




足立と多少なりとも関係を作っておきたくて捏造しました。
足立のうっかりレベルが上がりましたね。

活動報告でも書きましたが、見た目が外国人ではなく、凄まじく目つきが悪いということに変更されています。

次回の更新はかなり先になりそうですが、気長にお待ちください。

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