やりながら書くことをやめて、記憶だよりになります。
ここちがくない? と思っても気にしないでください。
目が覚める。今日は学校、扉も気になるが登校しないという手段は無い。
個人的には、学校の連中(特捜本部を除く)が気に入らないだけで学校自体は気に入っているからだ。
そして放課後。お待ちかね、とまでは行かないが、かなり気になっていた扉、わかりづらい細工がしてあったが、母さんの部屋と思われる部屋にあった。ちなみにこの家には何回か来たことがあったんだが、迷わないように一部しか覚えず、母さんの部屋の場所は知らなかった。で、化粧がその部屋にあり、この家で女性は母さんしかいないので母さんと思われる部屋ってわけだ。ついでに、幼少のころ、無理やり抱えられてつれてこられた記憶がある。
鍵を開けると、もうひとつ扉があった。こっちはどうやらパスワードを入力しないといけないらしい。ヒントと思われる言葉があった。あなた自身、という言葉だ。それをヒントに打ち込んでいく。母さんの名前、生年月日、俺の名前、生年月日など、色々入力してきたが合わない。
半分諦めてきたころ、もう適当に入力して、なんとなく、そう、ほんの冗談で打ち込んだ言葉でその扉は開いた。入力した言葉はカタカナ四文字。その言葉は……
ペ ル ソ ナ
どうゆうわけか、この扉で開いた。シャドウとペルソナは表裏一体。シャドウを認めることでペルソナとなる。たしかにペルソナは自分自身といえる。だが、問題はそこじゃない。おそらくこのパスワードなんかを作ったのは母さんだろう。母さんはこの家では、俺以外に部屋に入られるのを嫌がったから。結局、場所を覚えなかったから母さんに無理やり抱えられた時以外入らなかったけどな。
そこはどうでもいいな。問題はなぜ、母さんはペルソナのことを知っていたのか、考えれば当たり前のことかもしれない。
だが、考えるのは後でもできる。俺は、その先に進んだ。
先に進むとまた扉があった。今度もパスワード式だった。ただヒントが違う。
今回のヒントは鼻の長い人の部屋にいる、強き力を持つ女性。
……いや、それはどうなんだ? とかおもいつつ。どういうことか考える。
強き力を持つ、女性。あの部屋にいる女性はたしか、マーガレットだったっけ? そう思い、入力するとエラーがでた。違うらしい。と、なると、会うことができなかったもう一人ってことになる。
ああ、ここまで来て手詰まりか。
でようとしたとき、足元になにかがあたった。拾ってみると銃みたいな形をしていた。見つかるとまずいので、大体の場所を覚えて、そのままに。
……そして俺は地下から出た。だが諦めたわけじゃない。母さんの部屋になにか手がかりが残ってないか、と思ったからだ。
そして探してみると、メモがあった。というか、日記に書いてあった。
『彼とともに挑むことになった彼女。それをパスワードにしよう。それにしても、―――――め、もう少し手加減してくれても良いと思う。彼女から見れば二対一で十分だと考えたのかもしれないけど正直自分がどれくらい強いのか考えてほしい。最強っていうか最凶ってレベルに強いんだから』
という一部分。……なぜ母さんの日記を俺が読んでるかは聞かないで欲しい。情報が欲しかったんだ。
名前が書いてある、と思われる部分は破れており、読めなかった。ただし、故意に破ってわからないようにした可能性が高い。
この日記はそう古いものではないし、他の部分にはそういった形跡が一切無いからだ。
もっとも、この一文は最初のほうであり、数ページもいかないうちに終わっている。
他の文字の大きさと穴の大きさから察するに五文字の名前が入ると思われる。
だがここで手詰まりだ。俺はこの件は覚えておくが、今回は諦めることとなった。
だがまったくの無駄だったというわけではない。二つ、わかったことがある。
母さんもペルソナ能力者だったということだ。そして、昔も何かシャドウに関係する事件が起こったこと。
それだけで、十分だった……。もう、今日はいいや。そのうち、ベルベットルームってとこにいくまでおいとこう。
今日は寝ることにした。
キングクリムゾンして数日後の林間学校前日。
いつのまにか同じ班になっていた四人と一応買い物に来ていた。料理グループは鳴上と女子二人、雪子と千枝だ。
なぜ名前呼びか、と疑問に思うかもしれないが、これは俺の意思ではない。
苗字呼びするとなぜか凄まれるのだ。
だから『俺は悪くない』としかいいようがない。
しかし花村はなんか買いに行った。俺は、なんかしらんがどっちからも秘密らしい。
どうせカレーとか定番だろうから隠したってしょうがないと思うが、花村はなにしにいったんだろうか。
どうでもいいが。それよりも、なぜだ。
嫌な予感しかしない。ふと、目に入ったものがあったので、いくつか買っていくことにした。
そして、当日。
山登りして掃除をして。ようやく、というか飯の時間だ。
あえて言おう! 嫌な予感しかしないと!
なんでだろうな。千枝はまったく料理できなさそうだが、雪子はできるだろ。宿の娘さんなわけだし。
実際花村も嬉しそうにしている、のだが。
なんででしょうか、鳴上さんが、すごい恐ろしい顔をしてるだ。しかも俺は、いらない、とかなんとか呟いてるし。
逃げてもいいですか?
「で、できたよ?」
残念! 料理からは逃げられない!
目の前に置かれるカレー。一見、まともっぽいが。嫌なにおいがする。アニメにしたら紫色がしそうなくらいだ。
「えーと、愛情だけはたっぷりいれたからさ!」
それはメシマズが言う台詞ベスト3だ。
それに気づかず、花村は上機嫌に口を運び……ぶっ倒れた。苦悶の表情を浮かべながら。
ドラマで殺された人だってこんな顔はしないだろう、というくらいだ。
「あ、あ、あぁ」
「おい、花村?」
「あんじゃこりゃあぁあぁあぁ!!」
吼えた。うん、うるさい。
「カレーじゃねぇよこれ、ぐちゃぐちゃしててどろどろしててじゃりじゃりもしてて、ぶよぶよしてて、色々ひどくて飲みこめねーんだよ!!」
「どう考えてもいれたのまともじゃねーな。焦がさないように気をつければいいとはいえ、結構分量適当でもなんとかなるカレーでこんなひどくなるとか、お前らなに入れたんだ?」
「え、と。色々と」
「ちゃんと混ぜようとしたんだけど、うまく混ざんなくて」
「カレーは、甘いとか、辛いとかだろ! これくせーんだよ!!」
「くさいカレーって……」
「いや、でもその分フルーティーな食感が」
「まっじーんだよ!!」
むかっときたのか怒りだす千枝。
そして怒りの矛先は、こっち。つまり、俺たちもくえと。
「真顔でいっとくぜ、やめとけよ。遊びですすめんのも躊躇うわ!」
花村が本気でいってる。これはまじでやめといたほうが良い、のだが。
「はむっ」
鳴上が食べた!
「ごはっ!」
そしてまた、犠牲者が……。
「…………護くん?」
「お前らこの惨状をみて、なお俺に食べろというか」
「ううぅ」
「つーかお前ら味見したのか?」
「してないよ」
「してないね」
「料理する人間として最悪だな」
「「(がーん)」」
ショックで固まってるがしらん。
絶対に食ってなるものか!
ため息ひとつ、もってきたリュックから、あるものを取り出した。
昨日、買ったものだ。
「なんだそれ、パン?」
「おやつにでもしよーかと菓子パンをもってきたんだよ。嫌な悪寒がしたからな」
「悪寒!?」
「言い間違いじゃねーぞ。悪寒だ。腐るから牛乳はねーけどな。たくさんあるから食えば?」
そういってどさりと置く。
「これ、金は?」
「心配するな、鳴上。俺んちは金だけはあるからな。これくらいどってことねーよ。バイトもしてるしな」
「バイト?」
「ああ。商店街の豆腐やだよ。俺が来ると年配の方しかこねーけど。それでも給料くれるからな。その分豆腐を買って、とかしてる。たまにこいよ。値下げはしないけどな」
そういって俺はチョコパンをほうばる。
各々、適当にパンをもっていった。明日のおやつはなくなったが、腹減らして寝るよりまし。
ムドオンカレーと今命名したそれの片付けは、原因である二人に押し付け、就寝の時間が来たから俺は大き目のテントにはいった。
本来二人組みだが、俺と花村と鳴上の三人だから、ちょっと大きめのテントを持参。四人ぐらいでも十分寝れるサイズだ。
なんだが。
「おい完二。なんでお前いんの?」
「俺がいると、テントの中が葬式かってくらいに黙ってていづらいんすよ」
「んなこと知るか。ホモと一緒に寝たくないし」
「だれがホモだぁぁ!」
「……(くいっ)」
あごで示してやった。
というかお前以外に誰がいる。
「上等じゃコラア!! 女のテントに突撃して、おれがホモじゃないってことを証明してやるぜ!」
「待て待て待て、おい、完二、お前なに言っちゃってんの?」
「陽介、そっとしておこう」
「おい鳴上、いいこと言ったみたいな感じだが、最悪だからな」
とか言ってる間にものすごく速いスピードで駆け抜けていった。
「あーあ、いっちまった。(ニヤリ)」
「お前今、すっげー悪い顔してるからな」
「知らんな」
その後しばらく駄弁り、さて寝るかとなったとき、人がやってきた。
人数は二人。
「だれだ?」
「ちょっとお、護? 私たち、入れて」
「おいまてこら」
とめようとしても無意味。
あー、俺が持参したやつだから目立つもんな。
さっさと入ってきてしまった。
「一緒に寝てる奴の鼾がうるさくってさ」
「ガムテープで口と鼻ふさげばいいんじゃね?」
「雪子みたいなこと言わないでよ!」
「むしろいったのかお前」
「うん、言ったけど」
それがなにか? といわんばかりの動作に俺はあきれるばかりである。
三人での必死の説得も空しく、ここで眠ることにしたようだ。
配置?
壁壁壁壁壁壁壁壁
壁千俺雪 鳴花壁
壁壁壁入口壁壁壁
こんな感じだ。ぶっちゃけ狭い。
余裕はあるがぎりぎりだからな。
そして、ひとつ突っ込みたい。寸前までの配置は
壁壁壁壁壁壁壁壁
壁花 俺 鳴 壁
壁壁壁入口壁壁壁
こんなだったのに、なんで思いっきり配置変えたのか。
つーかあれだ。なんで俺を囲む!
「これモロキンきたらどーすんだ」
「おい、花村。モロキンかは知らんが先生っぽいのが一人近づいてきたぞ」
「マジか! どうしよう、雪子ぉ」
「黙ってればやり過ごせる」
「ちょっと静かに、俺に考えがある」
そういって黙らせる。
なにやらぐちぐち言いながら近づいてきた。
一応全員が毛布などに包まっていて姿は見えない。
正直雪子と千枝が隣にいて心臓ばくばくいってるけどな!
「点呼だぁ、ちゃんと寝てるかぁ!!」
「…………んぁ? なんですか、ふぁ、折角いー具合に寝てたってのにー」
今起きました、って感じを装って返事をする。
「あー起きんでよろしい! そのまま寝ていろ、ふぁあぁ」
遠ざかっていった。
「演技、上手かったな」
「お? そうだろ。母さんが元演劇部だったからな。教師になってからもそのことを忘れなくてな。演技でいいから礼儀を見せる術とか、ゴマかす方法を色々教えてくれたんだよ」
「すごい、母親だな」
「私らには真似できんわ」
とかとか会話をして、眠る。
そして次の日。自由行動の時間。
なぜか完二は昨日出て行ったあたりから記憶が無くなっていたが興味ない。
どうせたいしたことはないだろう。
「それより花村。なぜ俺たちは川にいるんだ?」
「そんなもん、泳ぐ為に決まってるだろ!」
決まってないような気がするが。
そもそも女子の視線を気にしろ。
当然というか、嫌がる。誤魔化そうと水着が無いし、残念、みたいなこと言ってるが、どこからともなく水着を取り出した花村に絶句。
なんでもジュネスのオリジナル商品らしいが。しらん。
サイズが合って明らかに変じゃなければどれも一緒だろ。
そして論破されて渋々と着替えにその場を離れる女子。
そして自分たちも、と着替える男子。水着を持ってきていない完二はただ座っている。
「いっとくが俺は泳がんぞ」
「えー、完二はともかく鳴上も水着に着替えてるし、俺だって水着あるからさ、泳がないと」
「俺は水着を持ってきてない。それに水泳はいつも休んでる。恥ずかしくも無いから言うが、泳いだことがほとんどないんだ」
「ちっ、水着は一応男子も用意してきたんだが。つーか泳いだことが無いってマジ?」
「マジだ。俺にも事情があるんだ。まぁ、今回は女子の水着を見て楽しむとするさ」
「お、お前あの二人に脈あり? どうせだし聞いておくけど、お前の好きなタイプってなに? 教えてくんね?」
いきなりだ。
好きなタイプか。考えたことも無い。
「考えたこと無いな」
「む、じゃああの二人だったらどっち選ぶ?」
「選びようが無い。というより選べるようなものじゃない」
「えっと、どういう意味だ?」
「誰かを選んで誰かを選ばない、という問題じゃない。好きな人、は俺はそういうのはわからんが、決めるものじゃなくて、自分の中で決まるものだろ? 自分がだれが一番か、と考えたとき二人でてくるようじゃ、な。一番親しい女子はあの二人だが、だからといってどちらかを選ぶなんて俺にはできないさ。そもそもあいつらが俺のこと好きというわけじゃないから、空しいだけだし。二人には二人のいいところがある。性格は反対でも、二人とも俺にはもったいないようなやつだ。万が一にも無いと思うが、仮に二人が俺のことを好きだとして、俺はそれを選べない。あの二人だってそういう決められないようなやつは論外だろう。自分だけを見て欲しいに決まっている。だから、選べない。そもそも物じゃないんだ。選ぶなんて、選ばれなかったほうはもちろん、選ばれたやつにも失礼。選択肢に含まれないやつも、失礼だろ」
「先輩、ずいぶん語ったっすね」
「黙れホモ。俺は思ったことをいっただけだ。だが、そうだな。花村の問いに、強いて答えるとするなら、こう答えるのが適切かもな」
「お?」
「好きなタイプ。ある程度見た目が整っていて、できるだけ年齢が近い相手で、俺のことを好きでいてくれる女子、かな」
考えたことはない。
だが考えるとしたらこんなもんだろう。
嘘偽らざる俺の気持ちなわけで。
「闇討、すごい顔が赤いぞ」
「ちょ、鳴上、それ言っちゃうか?」
「うるさい黙れ。……女子遅いな」
誤魔化すように言った直後、女子が現れた。
花村がからかうように今はあれだけど何年かしたら、とかいっている。
花村、女子の額に怒りマークに気づけ! そして鳴上! 同意してんじゃねぇ!!
案の定、というか蹴り飛ばされて川に落下する二人。
鳴上は、こんなときにも、無表情
川柳っぽく。
完二も鼻血をだしていて突き落とされた。鼻血だしてただけなのに、哀れ。
「えっと、ま、護!」
「うん?」
まさか俺も落とされるのか!? と内心恐々していると、上目遣いで
「その、似合ってるかな」
恥ずかしそうに言う千枝。同じことを言いたいのか、こちらをちらちらと見ている雪子。
ふむ、二人をじっと見て、感想を述べた。
「ああ、二人ともよく似合ってるよ(ニコリ)」
つい微笑んでしまったが、二人はなぜか顔を真っ赤にしてうつむいている。
風邪、じゃないだろうが。もしかして暑いのか?(大真面目)
というか黙られるとすごいこっちが恥ずかしくなってくる。
「え、えー。おい、三人とも、大丈夫か!?」
「言うのが遅いわ!」
「とりあえず問題は……?」
「おい、三人。なんか浮いてるぞ?」
「「「…………」」」
全員で耳を澄ましてみると、川上のほうからモロキンの吐く声が聞こえてきた。
あいつらは、大切な何かを失ったのかもしれない……。
そんな風に終わった、林間学校だった。
ちなみに、主人公が語っていたとき、女子二人は話の内容を聞いています。
だからタイミングよくでてきました。
蛇足ですね。