ペルソナ4ザゴールデン 平和を望んだ異端者   作:無幻

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始業式前日

人間誰しも「どうしてこーなった」と思うことがあるはずだ。あると言ってくれ。

あの時ああしていれば、とか思うことも当然あるだろう。まぁ後悔しないよう行動した結果だから俺はあまり気にしないようにしてるけどな。

 

けどさ「これはねーよ」って思うことは俺にも当然あるんだよ。

いや、ほんと。

 

「いい加減当たれ! この不良!」

 

どうしてこーなった。

 

 

 

 

 

始まりは数分前。それこそたいしたことじゃない。

目覚めた後ただ暇つぶす為にぷらっと遊びにいったんだ。

 

と、不穏な気配が路地裏の辺りからしたんだよ。

俺なぜかこういう気配察知長けてるから。あれだ、生きるための処世術?的な?

 

んでまぁ漫画とかにありがちな、ナンパみたいな場面に出くわしたわけだ。どう見ても誘拐レベルだが。

 

「ほら、行こうぜ! 一緒に遊べば楽しいって!」

「そうそう、今日の俺らは紳士だぜ?優しくしてやるって」

 

などなど。まぁとりあえず様子を見る。

ってあれ天城じゃん。あいつら天城越えの難易度の高さを知らないのか。南無南無。

 

一応まだ様子を見ておく。天城はそこまで親しくは無いがそれでも自然体で俺と話してくれる数少ないやつだからな。

 

しかし天城は困ってるようだが、どうするか。

助けるにしたってなぁ……。無駄に高い反射神経と身体能力をうまく使ってやるしかないよな~。

 

「いい加減に……!」

 

と、拒否してばかりで頷こうとしない天城に業を煮やしたのか、不良の一人が天城に襲い掛かった!

 

なにかを考える暇も無く飛び出し、何も考えず襲い掛かろうとした男をぶん殴った。

 

バキィ!!

 

小気味良い音を立てて吹っ飛ぶ。……しまった何も考えずに飛び出してしまった。

 

「「て、てめぇ!」」

「よお天城、困ってんな。ここは俺が引き受けてやるからさっさと行け」

「え?あ、闇討くん。でも、危険だし」

「お前がいるほうが危険だっつの。お前守りながらだとやりづらいからさ」

「う、うん。ありがとう」

 

天城が離れて移動してくれたので遠慮なくやれる。

その間不良共が行動しなかったのが助かった。女相手はともかく、男なら遠慮する必要は無いしな。

 

「ひ、ひるむな、かかれぇっ!!」

「行くぜおらぁっ!!」

 

後はただの殴り合い。相手の攻撃を避け、カウンターを叩き込んでいく。

 

「ば、化け物っ!」

「誰が化け物だごらぁっ!!!」

「ひぃっ、に、逃げろ!!」

 

逃げんな! とも思ったが別にあいつらをぶちのめす為に来た訳じゃないからいいか、と踵を返し帰ることにしたんだ。

 

だがしかし、神様ってやつがいるならとことん俺が嫌いらしい。

 

「さ、里中!? ちょうどよかった、助けてくれ!」

 

…………あれ? 雲行きが怪しくなってきたぞ?

とっとと帰ろうとしても、

「あんたが雪子からかつあげしようとしてたやつ? って闇討! やっぱりあんたが悪いやつだったんだ雪子と親しくしてたのはこのためなの!?」

 

や違うし。ていうか親しくしてないし。

てかもうメンドクセー!!

 

「あのさぁ、勘違いだって。俺は天城を「問答無用! さっきのやつらが言ってたっての!」うわ、勝手に勘違いするのはいいけどこっちに被害をよこすのはやめてくれ。切実に」

 

つーか怖いんだけど。

 

「てやぁっ!!」

「うおっ!?あっぶねーじゃねえか!!」

「雪子はあたしが守るのよ!」

「その見事な蹴り技はほかの事に使えっての!ってか」

 

多分里中は雪子と待ち合わせしてたのかなんなのか遊びに行こうとしてたんだろう。

遅刻して、勘違いしているのもわかる。が、元々喧嘩を想定した服じゃないからさ、その。ああ~もう!

 

「里っ中! ちょっ、話を!」

「聞く耳もたん!」

「だ、この! 下着、見えそ!」

「!?」

 

あ、とまった。とりあえず一息つける。ちょっと言うのが恥ずかったが問題は無いよな?

 

「おいさt「このっ変態!」っ!? 俺が悪いのか!?」

 

で、冒頭に戻るわけだが。

なんかだんだんむかついてきた。俺は助けたんだぞ?

いつもいつも俺が悪いように言いやがって!

 

「ぐぅっ!」

 

俺は里中の蹴りを構えることなくこの身に受けた。首に直撃した一撃を。

 

「っつぅ……。……これで満足かよ?」

「え?」

「勝手に勘違いして話も聞かず襲い掛かって怪我負わせて、満足かと聞いてんだ。よくそんなんで天城を守るとか言えたもんだな。……反吐が出る」

「……え?」

 

何も考えずただ一撃を繰り出す……!

 

里中に当たることは無かったがそれで十分。

壁が強く振動する程の衝撃。

 

「いい加減にしろ。お前らはいつもそうだ。人のことを考えず、ただ怪しいから、人が言ったから、そんなくだらない理由で俺をどれだけ悪者扱いした!?……うぜーんだよ、もう」

 

それだけ言うと俺はとっとと路地裏を出た。

これ以上こんなとこにいると自分を抑えられなくなりそうだ。

 

 

 

愛家で昼食をとり、ちょっと落ち着いてきたので丸久豆腐店に顔を出す。

 

「ちぃーっす。婆さんいるか?」

「おやおやまーくん、こんにちは」

「婆さん、まーくんはやめてくれって」

 

あらあらごめんなさい。と笑うだけ。こりゃ直す気ゼロだな。

 

「はぁ、今日は休みだから豆腐買いに来た。えっと味噌汁に使う豆腐は、これだっけ?」

「そうそう、絹ごしね。はい、300円分お買い上げね」

 

ああ、友達は少ないが近所づきあいはしてる。ってか、バイト先だし。

 

「んじゃな婆さん、また今度」

 

そういって出て、とっとと帰った。こういう日家でゲームやってた方が良い。

 

 

「明日から学校か、モロキンのクラスじゃないといいなぁ。切実に」

 

そういい、俺は家のゲームの電源を入れたのだった。




こーゆーのもありかと思う。年寄りからは割りと優しい扱い。年の功。

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