ペルソナ4ザゴールデン 平和を望んだ異端者   作:無幻

18 / 24
闇討護のシャドウ

第三者視点

 

変化は劇的だった、と言えるだろう。

言い放った否定の言葉。途端口元から笑いが消え、無表情になった。

 

『認めないのか、俺を。そうだな、もう俺は俺だ! もう、もうお前なんかじゃねぇ!!』

 

闇が集い、消えたときにはそこにはナニカがいた。

他の四人のシャドウは一応生き物のような形であると言えた。カエルに乗った人。女王、鳥、筋肉マッチョなどだ。

 

だが、闇討のシャドウはそんなものとはかけ離れていた。まさしく化け物だった。

 

四つんばいのような格好はまだいい。だが体のほとんどは骨や腐り落ちていたり、まとものような所はあったが頑丈そうな鎧のようなもので覆われていて見えない。背中は黒い恐怖をあおるような翼があった。

 

だがそれよりひどいものがそこにはあった。

腕などの部位が肩のところだけじゃなく、身体のいたるところにあった。ものによっては影のような輪郭しかないものもある。

さらに恐怖をあおるのはその身体にあった。

身体のいたるところは剣、槍、斧、矢、戟、薙刀などのあらゆる武器で滅多刺しにされており腹にはそれを貫くかのように大きい大剣が刺さっていた。そして、首に該当する位置には刈り落とすと言わんばかりに大鎌が貫通していた。

 

「あ、ああ、ああぁあああぁああああぁぁ!!!!!!!!!」

 

恐怖に駆られ、殴りかかる闇討ち、だがひとつの腕に跳ね飛ばされ、壁に叩きつけられ、意識があるか分からない状態まで追い込まれてしまった。

 

「護くん!?」

「来るぞ、目をそらしている暇は無い!」

 

そして、戦闘が始まった。

 

『我は影、真なる我。……なんだ、お前らも俺を認めないのか? なら、ぶっ殺してやる!!』

「これは、ひどいな」

「あんまり見ていたいものじゃないし、なにより」

「うん、怖いね、でも負けられない!」

「借りを返さねぇと気がすまねぇ! 元に戻してやらぁ!」

「絶対、助ける!」

『なんだお前ら。俺を分かったような気になりやがって、気が変わった。いたぶってから殺してやる! タルカジャ!』

 

まずは力を上げるスキルを使った。

あまり補助には向かないのか、それ以外に使う様子は無かった。

 

「いくぞ! ラクシャーサ! キルラッシュ!」

「うらぁガルーラ!」

「トモエ! ブフ!」

「コノハナサクヤ! アギラオ!」

「いくぜ、ジオンガ!」

 

それぞれが弱点を見つけようとスキルを放つ。

殆どのスキルがさして効かない中、ジオンガがあたったとき、バランスを崩した。

 

『うぁあ! やりやがったな!』

「雷が弱点クマ! 一気に畳み掛けるクマ!」

『うぜぇ! そんな攻撃で俺を倒せると思ってんのかよ! いくぜぇ、アギ!』

 

里中にアギを放ち、体勢を崩させる。

 

「千枝!?」

『隙だらけだ、ブフ!』

「きゃぁ!」

「天城!?」

『うらぁ、ジオ!』

「ぐあぁ!!」

「先輩!?」

『いくぞ、ガル!』

「うおおぉっ!!」

「ってまさか」

『はっはっは!!ブフ!』

「うわぁ!」

 

的確に弱点を見抜いて次々に体勢を崩していくシャドウ。

全員をダウンさせたとき、瞳が怪しく光った。

一番最初に倒れた里中が身体を起こそうとする前に次の行動に入っていた。

 

『ははははは!!!! これで終わるなよ? メギド!!』

「「「ぐあぁぁあ!!!」」」「「きゃあぁーーーー!!」」

 

容赦ない追い討ち。嘲笑うシャドウ。

だから誰かが立ったことに気づかず、隙を生む。

 

「う、おらぁあっ!! タケミカズチ! ジオンガ!!」

『ああ!? うがぁあっ!!』

 

どうにか耐え切った完二がお返しとばかりに雷属性のジオンガを叩き込む。

僅かに怯むシャドウ。その間に他の仲間たちも立ち直っていた。

 

「メディア!」

「よーし、いくよ、黒点撃!!」

「いくぜ、パワースラッシュ!」

「チェンジ、パワー、ジオンガ!! そして、パワースラッシュ!」

「いけぇ!! バスタアタック!」

 

ここぞとばかりに攻勢にでるメンバー。

雪子の回復を皮切りに僅かでもどんどんダメージを蓄積させていく。花村などはスキルが使えないと見るや、武器を手に切りつけ、回復したらまたスキルを使うようにしていった。だが当然、それを黙って喰らい続けるシャドウでは無かった。

 

『邪魔なんだよ、うらぁ!! ギア上げていくぜ、苦しみやがれ!マハブフ!』

「きゃあっ!!」

「つぅ、ゆ、雪子!」

 

弱点じゃなくても耐性であったとしても少なからずダメージは与えられる。一人ずつではなく、全体をまとめて攻撃する方法に切り替えはじめたのだ。

 

『まだだ! マハラギ! んでもってマハジオ! とどめにマハガル!! はははははは!!』

 

連続で叩き込み、また笑いはじめた。もっともここで終わったりはしない。

 

『苦しみやがれぇ、デスバウンド!!』

「「「ぐあぁあぁっ!!!」」」「「きゃあぁっ!!!」」

 

ここで物理技を使う。元々このシャドウは物理に強いシャドウだったようだ。

事実、ダウンしていたメンバーは気絶しているものが多い。

気絶していないものは、気絶している者をシャドウが行動する前に素早く起こそうとする。

……だが、シャドウが一歩早かった。

 

『ははは!! まだ終わりじゃねぇ! そうだろ! なら、絶望ってもんをてめぇらに刻んでやるよォ、召喚!!』

「嘘、だろ……」

 

現れたシャドウはこの地獄巡りのなかではさほど強いわけではない。

しかしかといって弱いわけでもなかった。それにそれほど強くなかったとしても、敵が増えたということに変わりはなかった。そのことが、強く心にのしかかったようだ。

 

「くそっ、ジオンガ!」

『馬鹿のひとつ覚えかよ!遅い!』

 

完二の放ったジオンガも見切られた。

だがそこに立ち直った鳴上がジオンガを放つ。……だが遅かった。

 

『遅いって言ってんだろ!?蒼の壁!』

「何!?」

 

一足遅く、耐性をつけられてしまった……。もう少しずつ削っていくしかない。だが、それまでに自分たちがやられてしまう可能性が高いことを悟った鳴上たち。

ひとまず、召喚されたシャドウを倒すことにしたようだった。

 

「ガルーラ! んでもういっちょガルーラ!」

「チェンジ、ホウオウ、マハガル!」

「疾風斬!」

「え、えっと、メディア!」

 

天城だけは有効手段がないため回復に回ったようだが、弱点攻撃と強い物理攻撃で召喚されたシャドウは倒した。少なくとも、後は闇討のシャドウだけだ。

 

『どうして、どうして抗うんだよ! 倒れちまえよ、楽になるのに、なんで!?』

 

突然シャドウが戸惑い始めた。

理由は分からないが攻撃の手が緩んだ今が好機。

シャドウの電撃耐性は続いているうえ、物理以外は耐性がある。特に炎に強い。だが、裏を返せば物理は十分通用する、ということだった。

鳴上はシャドウに答えながら攻撃を始めた。

 

「仲間がいるからだ! チェンジ、ネコショウグン、黒点撃!」

「私たちは一人じゃない、信じあえる仲間がいるから! トモエ、黒点撃!!」

「先輩! 例え先輩がそう思ってなかったとしても、俺は先輩のこと仲間だって思ってるんすよ! タケミカズチ! デッドエンド!!」

「だから、負けられないの! 火炎ガードキル!」

『なんだよ、それ! 認めない、仲間なんて認めない!! 全力で、叩き潰してやらぁ!! ‘常世の闇’!!』

 

シャドウが活発に行動を始めた。

一言発したかと思うと突然闇が皆を襲った。闇が消えたがしかし、みなの様子がおかしかった。混乱、衰弱、毒、恐怖などのバッドステータスが全員に発生していた……!

 

鳴上たちが危険な中、シャドウはさらに連続攻撃を続けた。

 

『‘苦痛の業火’‘裁きの雷’‘無慈悲なる疾風’‘悲哀の氷河’! 倒れろ倒れろ、消えちまえよ!!』

 

惑っている中、強力な連続攻撃。また気絶したものも少なくない。

……だが、鳴上は立ち上がった。

 

『仲間なんて嘘っぱちだ! どうせお前らだって心のそこでは認めてない! そんなやつが戯言ほざくんじゃねぇよ!! 黒点撃!』

 

シャドウが放った一撃は容易く避けられた。実際はかなりギリギリだったのだが、シャドウにはそう見えたようだ。

 

「起きろ、みんな。総攻撃を仕掛けるぞ。アムリタソーダ!」

「う、お、おお。信じてるぜ、相棒」

「鳴上くん、勝機、あるんでしょ? 期待にこたえられるようにするから」

「メディア! みんな大丈夫?」

「そろそろシャドウの電撃耐性が切れる頃っしょ。一気に行きましょう!」

 

信じあい、声を掛け合う仲間にさらに怒りを高めるシャドウ。

 

『うぜぇ! 負けるはずが無い、強くなきゃいけない、強くなきゃいけないんだよおぉぉぉぉぉ!!!! チャージ!』

「相手が何か仕掛ける気だ! 構えろ!」

「おう!」

「オッケー」

「うっす!」

「うん」

『消えて無くなれぇ!! ‘耐え難き苦痛’!!』

 

強くそういったかと思うと、前後左右上下、あらゆる場所から様々なものが飛んできた。

武器、疾風電撃氷結火炎などの攻撃を受け続ける鳴上たち。

煙が立ち上り、様子が見えなくなった。そして、長い攻撃がやんだとき、鳴上たちは……膝すらつけることなく立っていた。

 

『なんで、なんで立ってるんだ、俺が、負けるはず無い!』

「今のうちに、行くぞ!! アレス、チャージ!」

「ジライヤ! パワースラッシュ! 弱くねぇやつがいるかよ!」

「トモエ、黒点撃! 誰だって弱いところは絶対にある!」

「コノハナサクヤ! アギラオ! だから、みんなで支え合っていくのよ!」

「タケミカズチ! ジオンガ! 一人じゃできないことはみんなで支え合っていくんすよ! バスタアタック!!」

 

皆の心と、その思いが乗った攻撃で怯んでいく、シャドウ。

最後に鳴上が攻撃を仕掛ける。イザナギにチェンジした。

……それは本来、覚えることの無かった技。できないはずの技。だが鳴上のイザナギはそれを行った。スキルカード、という存在によって使用可能になった技で、決着をつけにいった……!

 

「俺たちは一人じゃないから、立ち上がれる!!イザナギ、剛殺斬!!」

『ぐあぁあぁぁあ!!! そん、な……』

 

そして……シャドウは行動を停止し、人型に戻ったのだった。

 




オリジナルシャドウスキル
‘苦痛の業火’‘裁きの雷’‘無慈悲なる疾風’‘悲哀の氷河’

全部属性が違うだけで、ダイン系よりやや弱い全体攻撃です。

‘常世の闇’

激昂以外の全バッドステータスをランダムで発生させる。恐怖が一番発生しやすいので、このシャドウが亡者の嘆きをもっていたら危なかった。

‘耐え難き苦痛’

万能、光、闇以外の属性で対象ランダム二回ずつ攻撃。運が悪いと一人に集中するが、今回はほぼ均等に攻撃を食らった。


こんなかんじです。また、このシャドウの耐性は

物炎氷風雷光闇
ー吸耐耐弱無無

です。指摘などがあればいってください

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。