ペルソナ4ザゴールデン 平和を望んだ異端者   作:無幻

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そのころの鳴上たち

時は遡り、完二を救出して、霧が出る前夜。

マヨナカテレビを確認すると、誰かが映った。

 

幸い次の日は日曜。メンバー全員とフードコートに集合した。

 

「えっと、まぁ完二はまだ復活してないから話は聞くのは後だ。まず、昨日のマヨナカテレビ、みたか?」

 

陽介が問いかける。

全員がうなずいた。

 

「なんか怪我をしていた風だったな」

「そうそう! なんか包帯つけてたっぽいよな。顔はわからんかったけど、それってヒントにならないかね」

「あのさ、一人心当たりがあったんだけど」

 

里中が意見を言った。

 

「あの映った人、護だと思う」

「あ、千枝、やっぱりそう思う?」

「たしかにあいつ腕、怪我してたんだっけな。事故にあったんだっけ?」

「ああ、確かに腕を骨折していた。ただ今までのことを考えるとまだテレビに入っていないはずだ」

「そうだな。……日曜に家行っても迷惑か。んじゃ、明日学校で変わったこと無いかそれとなく聞いてみようぜ」

 

と、方針が決まり、とりあえず解散となった。

まぁもっともこの後絆深める最中に登場したわけだが……。

そして月曜に天城達が聞いたがなんの収穫も得られなかった。

 

その月曜学校で完二も含めて話し合うこととなった。

 

「――――――まぁこんなこと言うなんて、今まで護先輩しかいなかったんすけど」

「そのことだが、完二。今度はあいつが狙われる可能性が高い」

「次は先輩が事件に会うってのか!?」

「ああ、その可能性が高い。ただ、どうも理由がわからん」

「一応明日と明後日は雨が降る。その時、確認しよう」

「そうだね、一応無事だったんだし」

 

また完二に対しての質問が始まり、その後完二が仲間になるのだった。

その後、テレビに行って、クマを紹介したりして時間が過ぎた。

 

そして次の日の夜。

鮮明に映った。映ったのは護だった。

 

「こんばんは。今日は一大プロジェクトを開催しようと思ってる。地獄って知ってるか? 話を聞いた限りの地獄を再現してみた。文字通りの地獄めぐり。いったいなにが起こるのか。お前はきっと目にするだろう。……これ以上なに言えばいいかわからんな。では、また後で、だ」

 

そういったかと思うと、映像は消えた。

と、鳴上の携帯が鳴った。でると、里中からだった。

 

「もしもし」

「あれ、護だったよね!?ちょっとよくわからないんだけど、どうしてこんな!」

「落ち着け!」

「あ、うん、ごめん」

「明日も雨が降ることを考えると危険かもしれない。……今回は即効で終わらせなきゃいけないんだ」

「そ、そっか。うん、頼りにしてるよ、リーダー」

 

そして切れた。

……早く寝ようとした鳴上は、後二回、完二と天城の電話で苦しむことになる。

 

 

次の日、雨だが集合するメンバー。

みんなでテレビに入る。

 

「おい、クマ! 今ここに誰かいるだろ」

「そうクマね。確かに、誰かの気配は感じるクマ」

「ねぇクマさん、その気配の人ってどこにいるかわかる?」

「分からんクマ」

 

とだけいった。

どうやらクマはまた入ってしまった人がどこにいるか分からないようだ。

 

「前みたいにヒントが欲しいって事だな」

「だな。あ、けどこんなかであいつの事詳しく知ってるやついるか?」

「……なぁ、完二なら、なにかわかるんじゃないか?」

「俺っスか!? いや、そういわれたってな、闇討先輩、自分のこと話そうとしないんすよ。はぐらかされるばっかで。知ってることなんか、見た目で苦労した事があるって言ってたことくらいっすよ」

 

完二が意外と役に立ってないのが判明する中、里中が遠慮しながら口を開く。

 

「えーっと、もしかしたら少し分かる、かも」

「マジ!?」

「始業式前になるかな。ちょっとした勘違いで喧嘩する事になっちゃったんだけど」

「……ああ、あの時ね」

「うん。その時にさ、言ってたんだ。えっと‘お前らはいつもそうだ。人のことを考えず、ただ怪しいから、人が言ったから、そんなくだらない理由で俺をどれだけ悪者扱いした’って」

「お前ら、か」

「そのときの護、とっても怖かった。けど、なんていうのかな、私に怒っていたというより、世界を憎んでいたっていうか」

「世界を、憎む!? 物騒だな」

「や、よく分からないんだけど、言葉にするならそういう感じ? 目つきもあいまって、凄く怖かったよ」

 

少しずつ、纏まってきた。

簡単に言うと、見た目で悪者扱いされて苦労してきた、ということだ。

 

「分かるか? クマ」

「うーん、まだちょっと分からんクマ」

 

そのとき、里中がひとつ思い出した。

 

「そういえば、携帯……」

「千枝? どうかした?」

「護、携帯無くしたって言ってた。もしかしたら、この世界に入ったときに落としたんじゃ!?」

「ああー、言ってたっすね、そういえば」

 

完二も思い出したようだ。

……その後、クマたちと近くに携帯が落ちてないか確認することになった。

が、近くには無かった。

 

「うーん、はずれかぁ」

「クマ、鼻くんくんしてもよく分からんクマ」

 

と、肩を落としかけた時、鳴上がひとつ思い出した。

 

「あの部屋……」

「センセイ? どうかしたクマか?」

「ああ、最初に行った部屋があっただろ?あそこにあるかもしれない」

 

言うが速いか駆け出した。

 

「っておい鳴上!?」

「「鳴上くん!?」」

「先輩!?」

「センセイ!?」

「すぐ戻る! しばらくして戻ってこなかったらクマ頼む!」

 

そのまま走り去った。……っていうかリーダーいいのかそれ?

 

数十分後。鳴上が戻ってきた。手には携帯をもっていた。

 

「完二、闇討の携帯ってこれか?」

「これっすね。よく使ってるのを覚えてるっす」

「ふむ、そのヤミウチって誰クマ?」

「ほら、俺と鳴上、里中が落ちてきたときもう一人いたろ? あいつだよ」

「ふむふむ。よーし、探しだすクマ!」

 

携帯の匂いをかぎ、その後、あたりをくんくんするクマ。

と、飛び上がった。

 

「見つけたクマ!」

「本当!?」

「けど、あんまり行きたくは無いクマ」

「大丈夫だって! 完二のに比べればましなんじゃないか?」

「花村先輩。その話蒸しかえすのやめましょうよ……」

「とりあえずこっちクマ!」

 

駆けだすクマ。それを追いかけるメンバー。

 

そして、たどり着いた。

そこは酷い有様だった。死の世界というのが正しい。おぞましい光景が広がっていた。

 

「ここは、なんだ」

「酷いな……」

「あんまりいたくはねぇな」

「雪子、大丈夫?」

「千枝もだよ。私は大丈夫」

「クマー、禍々しい気配クマー」

 

若干怖気づく一同。

だが進むしかない。霧がいつ出るか分からない。速く行かないといけなかった。

 

シャドウはとても強かった。

心の思いが強ければその分集まるシャドウも強くなるのだろうか。完二の時に現れたシャドウとは比べるまでもなかった。

 

「き、つい」

「休憩しながらにしないと、返り討ちだな」

「でもキツネさんが来てから結構楽になったよね」

「ま、大概戻ることにはなるけどね」

 

的確に弱点を突きながら進んでいく。能力はかなり高いようだが、それゆえに弱点はある。どのシャドウにもなぜか必ず弱点があるのだ。

 

 

「ジオンガ!」

「マハジオ!」

「マハブフ!」

「マハガル!」

「マハラギ!」

 

とりあえず使っていけば弱点に当たる。のだが、

 

「うわっ!」

「うおっなんでこっち!?」

「きゃぁっ!」

「うひゃぁー!」

「うおおおぉーーっ!!」

 

たまに反射もあるためこんなことになる。

そんなふうに四苦八苦しながら進んでいく。

 

と、クマが何かを感じたようだ。

 

「この先に誰かいるクマ!」

 

急いで入る。

 

「いた!」

「やっとかよ、疲れたっつの」

「いや、様子が変だ」

 

と、闇討? が振り向いた。

 

「あは、体験希望者かい? いいね、霧のせいか誰も来なくて退屈してたんだよ」

「護じゃ、ない?」

「でもここじゃ無理かな。もっと奥までおいでよ。ここより凄いものを見せてやる」

「なに行ってやがる!」

「さぁ、注目あれ。体験者がいてこそ盛り上がるってもんだ!」

 

と、闇討?の上に表示された文字

 

超体験! 人間の醜さ、儚さを知る! 地獄めぐりの旅!

 

と書かれていた。……意味が分からなかった。

 

「とはいえ、まだまだ序の口。ここじゃまだまだ退屈だろ? では、もっと注目されるところまで、あばよ!」

 

……走り去った。

 

「なんか嵐みたいなやつだな」

「はぁ、意味わかんないね」

「うーん、不思議な人クマね」

「っていうか速く追いかけなきゃ!」

「あせんな里中。このあたりの敵は強い。慎重に行かねーと」

「う、うん」

 

そのままゆっくり、だが確実に進んでいった。

と、里中が口を開く。

 

「ねぇクマ。シャドウってさ。抑圧された内面、なんだよね?」

「そうクマよ。何回も説明したクマ」

「じゃあさ、抑圧したものが強いほど、でてくるシャドウも強くなるわけ?」

「そうかもしれないクマ。抑圧された意識が強ければ強いほど、能力が底上げされる可能性もあるし、みんなから出たシャドウを見てると、内面の性質や、出た本人の性格で使える力が変わってる可能性もあるクマよ」

「「「「!?」」」」

「え?な、なに?」

 

里中がいきなりびっくりしたみんなに驚いた。

 

「やばいっすね」

「そうだな」

「ちょっと足が震えてきやがった」

「な、なんでいきなり怯えてんの?」

「千枝、自分で言ったことなのに……」

「なんの話だっての!」

「いいか、里中。闇討は昔から苦労して、かなり憎しみっていうかストレスか? まぁそんなのが溜まっているはずだよな?」

「うん、そうかも」

「だが普段のあいつからはそんな様子は一切無い」

「……花村も鳴上くんもなにが言いたいの?」

 

 

里中は二人の言いたいことがわからないようだ。

花村が呆れたように言った。

 

「つまりだ。ずっと昔から溜まってる抑圧が、今クマが言ったみたいに能力の底上げになるなら、あいつからシャドウがでれば、相当な強敵になるはずだ、って言ってんの」

「ああ!? ってちょ、やばいじゃんそれ!」

「だから最初っからそう言ってるだろ!?」

 

その後、心なしか早足になっていた一行であった。

 

そして、闇討を見つけたが、もうすでにシャドウとの対話に入ってしまっていたのだった……。

 




誤字脱字など、思ったことはどんどんいってください。

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