ペルソナ4ザゴールデン 平和を望んだ異端者   作:無幻

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ハッテン僕の町 評価は八点以下

白鐘との出会いから数日。何事もなく、日々は終わろうとしていた……はずだった。

 

「痛ってえ!」

 

どうも左腕を下に敷いてしまったらしく、痛みで目を覚ました。

痛みはすぐに引いたが、眠気も同時になくなってしまった。

ソファーに座ってボーっとしてると、テレビに何か映った。

なんか、こう、……そう!脱衣所みたいなロッカーのある場所が映った。かと思ったら誰か映った。

 

「皆様……こんばんは。ハッテン、ボクの町! のお時間どえす」

 

……………………は? え? 何? うえ? 完二!?

落ち着け、俺。……状況を説明すると、ふんどしひとつをつけて顔が赤くて妙に気色悪い完二がテレビに映っていた。

ナンダコレ。

 

「今回は……性別の壁を越え、崇高な愛を求める人々が集う、ある施設をご紹介しまぁす。極秘潜入リポートをするのは、このボク……巽完二くんどえす! 一体、ボクは、というかボクの体は、どうなっちゃうんでしょうか!? それでは、突・入、してきます!」

 

そういって走り去っていった。

自分から自分の体、に訂正する意味あんのか?とか思った。

携帯で完二に電話する。だが繋がらない。……おかしいな。夜更かしは得意中の得意だろうに、

と、俺は気づいた。前に夢だと思った天城も、今回の完二も、本物ではないと。

どうみても本人。だが、明らかに違うと、俺は、そのとき気づいたのだった。

遅すぎるとかいうな。……だれにいってんだろ。

 

次の日

 

愛家にでもいこうかとぶらぶらしてると、鳴上にあった。

 

「闇討、ちょっと聞きたいことがある」

「お? どした?」

「完二のことだが」

「? もしかして昨日のマヨナカテレビの完二は本物か?とかか」

「違うが……みたのか?」

「ああ、完二と、天城が映ってたのを見たことある。昨日のはちょっと気持ち悪かったな。……一応言っとくがあれそっくりさんだな。なんか違う」

「そうか。今回来たのは完二の特徴について教えて欲しいんだ」

 

む? なに言ってるんだ?

そんなに完二のこときになるのか?

 

「なんでまた」

「ちょっと、わけありなんだ。たのむ」

「……まぁいいか。完二に理解者ができるのは好ましいし。完二ってさ。ああ見えて手芸が得意なんだ」

「手芸?」

「そ。簡単に言うと、ぬいぐるみ……いや、編みぐるみか。そういうのを作るのがあいつ好きなんだよ。しかも、店に出しても問題ないってくらいに上手だ。……ただ、あいつあんな形(なり)だろ?だからそのことを結構気にしててな。コンプレックスを抱えてるっていやいいのかな。だからそれを隠そうと暴力的な言動になることが多いんだ。けどアイツ自身、かなり優しいやつだからな。迷惑な族を親のためにつぶすくらい、な。俺が知ってるのはこれくらいだな。……あとは、完二の親に聞くのが手っ取りばやいとおもうぞ」

「ありがとう、参考になった」

 

言うが速いか走り去って行った。……ジュネスのほうに。

なんなんだ? やれやれ。昨日のテレビになにか関係があるのかね? ……まさか、な。

 

次の日の順位発表時、鳴上が上位に来ており、もう少しで追い抜かれそうになって本気で焦ったのは関係ない話だ。

 

そして、その数日後、完二が見つかったと聞いた。

 


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