問題児たちとチート無限のバグキャラが異世界から来るそうですよ? 作:飲茶
「ふむふむ、つまり・・・・・自身に関する記憶がほとんどない、という状態か。」
「あ...............ぃ。」
あの後、目を覚ました俺は白夜叉の私室で自己紹介をした後質問攻めにあっていた。
まぁ、神に転生させてもらったとか話すとめんどくさいことになるから結局ほぼ全部記憶喪失で押し通したけど....................。
あ、ちなみに名前は明をひっくり返して『ラキア』ということにしておいた。
設定上俺が唯一覚えていたのがこの名前、ということになっている。
「しかし、どうしたものかのぉ................。」
白夜叉も俺の扱いに困っているようだ。
まぁ、今のところ家なし、親なし、記憶なしと何にもない状態だからな。
「オーナー、やはりウチの店でおいてあげることは..................。」
女性店員さんがそう提案してくれるが................
「しかしのぉ、何も家や親のない童などこやつばかりではあるまい。」
「そ、それはそうですが....................。」
そうなのだ。
この世界において記憶とかはともかく、まともな家や親がない子供なんてのはあまり珍しくはない。それを俺だけ特別扱いするというのは些か問題があるだろう。
となると......................
「あ、あの、もし良ければ私達のコミュニティに来ませんか?」
そう黒ウサギが提案してきた。
「なっ!?」
「なるほど、その手があったか。」
白夜叉はそのことに特に異論はないようだ。
しかしその提案に女性店員さんは納得がいかないようで、
「オーナー、本気でこの子を''ノーネーム''に引き渡すのですか。」
「うむ、それがいいじゃろ。なぁに、黒ウサギたちが所属するノーネームには幼い童たちも多くいると聞く。自分と同じ位の歳のものがそばにいたほうが精神的にも楽であろう。」
「うっ・・・・・・・、それは、確かに。」
「で....................おんしはどうしたいのかの?」
白夜叉はそう言って俺を見てきた。
俺の答えはもう決まっていた。
俺って黒ウサギとか十六夜も好きなんだよね。
俺は''ノーネーム''一行の方へ向き頭を下げる。
「よろ..............し、くお願............い.......し、ます。」
こうして俺は''ノーネーム''に所属することになった。
「ええ〜〜〜!?!?」
黒ウサギは驚いてつい大きな声を出してしまった。
原因は..................まぁ、俺か?
俺が''ノーネーム''への所属を決めた後、何をすればいいのかきいてみたのだ。
俺はこの''箱庭の世界''には招待されて来たわけではない。立場としては三人の問題児たちよりもかなり低いだろう。
だったら働いて役に立たなければと思ったのだ。
すると黒ウサギは、
「そうですね............、たとえば家事などでしょうか?
・・・・・ああ!大丈夫でございますよ。ラキアさんには新しく頼りになるお兄さんやお姉さんができるのですから。仕事はゆっくり覚えてもらえばいいですから。」
と慈愛の目を俺に向けながら言ってきた。
ふむ......................どうやら大事にはされそうだけどギフトゲームに出させてはもらえないような................。
でもせっかく特典を貰ったんだから魔王と戦ったりしてみたいよなぁ。
よしっ!
くいくいっ!
俺は黒ウサギのスカートを引っ張った。
......................違うんだ、別にセクハラとかそういうのではないんだよ。ほんのちょっとした出来心というか...................うん、ごめん。
「?どうしましたか、ラキアさん。」
「あ............の、ギフト....ゲーム、...................出た、い。」
ピシリと黒ウサギの表情が凍りつく。
「え、え〜と、今なんと?」
「ギフト..........ゲーム、に................出た、い」
・・・・・・・・・・・・・・・
「ええ〜〜〜!?!?」
という感じだ。
反対したのは黒ウサギ、飛鳥、女性店員さん。
中立なのは十六夜、白夜叉。
まぁ、妥当なところか。
「駄目です、絶対駄目です!危険です!」
「そうです!あぶないです!」
黒ウサギと女性店員さんの二人は特に厳しいなぁ。
うーん、どうやって説得しよう。
そんなことを考えていると十六夜が、
「おいおい、落ち着けよお前ら。」
と助け舟を出してくれた。
「十六夜さんは黙ってて下さい!」
「そうです、引っ込んでて下さい!」
・・・・・・・・怖え。
しかし、十六夜はそんなことは何処吹く風。
ヤハハと笑う。
「おいおい、これはこいつがこいつなりに考えて決めたことだぜ。それをいきなり全否定ってのはどうなんだ?おい。」
十六夜は正論を言う。
だが黒ウサギも食い下がる。
「し、しかしやっぱり危険です!ギフトゲームで死ぬことだってあるのですよ!まだ幼いラキアさんを危険な目にあわせる訳にはいきません。!」
すると十六夜は今までの笑みを真剣な表情に変える。
「ああ、確かにそうだな。特に、''打倒魔王''を掲げている俺らと一緒にギフトゲームに参加するっていうのはな。
・・・・・・・だから、俺が直接確かめようと思ってな。」
「「え?」」
黒ウサギと女性店員さんの声が重なる。
そして十六夜は俺を見てこう言った。
「おい、お前の力、試させてもらうぜ。」
次回、十六夜との真剣勝負!
頑張りたいと思います。
それと今回飛鳥全然出せませんでした。
すいません。
ではまた次回!