それでは、どうぞ。
あの後、卑怯だと叫ぶ彼女たちの声を無視しながら物量に任せた拘束をして、そのまま切り分けた。
今ではすっかり彼女たちも元通りである。
・・・念壷事件はとてもキャスターの興味を引いたらしく、それが第二次念壷事件・・・サーヴァントの合成事件にまで発展するとは、このときの俺たちは思いもしなかった・・・。
「っと。報告書完成。副長、はいこれ」
未来にそんな事件が起こるとは微塵も思わず、俺と副長は部隊の書類を作っていた。
「はーい。・・・んしょっと。はい、これでいいですか?」
「上出来上出来。報告書で思い出したけど、そろそろ副長の報告書の準備もしないとな」
「私の? ・・・あ、季刊「副長を知る」ですか!? 本気で出すんですか!?」
頭大丈夫ですか!? と詰め寄ってくる副長の頭を押し戻しながら、さらさらと予定表に書いておく。
その後、副長を持ち上げて膝の上に乗せる。横に寝かせて、だけど。
「なんでこの体勢・・・? ふ、普通に座らせてくれてもいいじゃないですかっ」
「鯖折りしやすいだろ?」
「攻撃前提!?」
まぁ、鯖折りって腰に手を回してそのまま締め付ける技なんだけどな。
「うあー・・・頭に血が上っていくー・・・」
「馬鹿丸出しだな」
「うあー・・・」
なんだかだらんとし始めた副長をスルーしながら、書類を纏めていく。
楽しそうだし、別に放っておいても大丈夫だろう。
・・・
「どもども~」
「ん? 風か。珍しいな」
未だに俺の脚の上で無防備に腹を晒して寝転んでいる副長の脇腹を突いたりしながら書類を片付けていると、風が執務室に入ってきた。
副長はうひゃあ、とか素っ頓狂な声を上げながら俺の脚から転げ降りる。
どうやらだらけきっていたところを見られたのが恥ずかしいらしい。はっはっは、何をいまさら。
「おや~、どうやらお楽しみの最中だったようですね~。風はお邪魔でしたか~?」
「おっ、お邪魔っ、とかっ、別にっ!」
「落ち着け副長。焦りすぎて大変なことに」
ぺちん、とデコピン。
「あだっ」
額を押さえてこちらを可愛らしく睨む副長。
どうやら正気に戻ったようだ。
「で、何のようだ?」
「おぉっ、用件を忘れるところでした~」
わざとらしく驚いたような声を出す風は、眠たそうな瞳を半分開いてこちらを見上げる。
「先日はご迷惑をお掛けした様で、そのお詫びに~」
「先日・・・ああ、合成事件か」
別に気にしてないのに。
というか、俺が念壷なんて出さなきゃあんな事件は起きなかったのだから、風に責任は無いだろう。
そんなニュアンスの言葉を伝えると、ふむぅ、と風は唸る。
「お兄さんは本当に優しいというか・・・風は今日、ぐへへ、じゃあ侘びにお前を頂こうかー、と言われるのを覚悟していたというのに~」
「・・・風の中で俺はどんな極悪人なんだ」
「もしくは女たらしですね~」
風の一言が胸に刺さる。
いや、その、たらしとかさぁ・・・そういうのじゃ・・・。
「たいちょーたいちょー、私邪魔ですかね?」
「は? なんだいきなり」
「え、だってその、風さん連れて閨に行くんですよね?」
「中途半端に聞き耳立てるのやめような」
「あだだだだだだ! 折角気を利かせてあだだだだだ!」
副長のこめかみをぐりぐりっとしてやる。
「うぅ、たいちょーってば、激しいんだから・・・」
よよよ、と床に崩れる副長は放っておくとして、取りあえず風だ。
「兎に角、お詫びも何もいらないさ。むしろ、俺が何か詫びる側だろうに」
「むむむ、これはお兄さんに無理難題を押し付ける良い機会なのでしょうか~」
「本人の前で悪巧みするなっ」
無理難題を押し付ける気満々なのか、こいつは。
「まぁそれは冗談として~。風はこういうことを意外と気にするので、いつかお返ししますね~」
こちらまで眠たくなるような欠伸を残して、風はごゆっくり、と執務室を出て行った。
移ってしまった欠伸を噛み殺しながら、最後の書類を片付ける。
「あ、あの、隊長」
「ん?」
「お仕事終わったのなら、その・・・」
ちらちらと寝室に目を向けながら人差し指をつんつんと合わせる副長。
俺はその言葉に頷く。
「ああ、分かってるって」
「ほ、ホントですか! じゃ、じゃあ・・・」
「地和とデート行って来るな!」
「・・・はい?」
・・・
あの後、完全にヘソを曲げて不貞腐れた副長を宥めすかして寝室で組み伏せたあと、地和を迎えに事務所までやってきた。
・・・ああ、なんだかもうすでに疲れてるんだけど。
「あっ、おっそーい! 待ってたんだけどー!」
事務所の中で一人不機嫌そうに腕を組んでいた地和と目が合うや否や、そんなことを言われる。
素直に謝っておこう。言い訳をすると火に油を注ぐことになる。
「ふんっ。まぁ、時間は別に指定してなかったわけだし、そこまで言うなら許さないこともないけど」
「そりゃ良かった。ほら、行こうぜ。こうしてる時間も勿体無いだろ?」
「分かってるわよっ。ちぃみたいな美少女と一緒に歩けるなんて本当に光栄なことなんだからね!」
「はいはい、分かってるよ」
一応申し訳程度に変装している地和の頭をぽんぽんと叩く。
どうにも子供っぽいから子ども扱いしてしまうな。
「ほら、行くわよっ」
恥ずかしくなったのか、俺の腕を抱きしめると、そのまま町へと歩き出す。
腕ごと引っ張られた俺は、苦笑しながら素直に引っ張られていくのであった。
・・・
服を見に行きたいという地和に従い行きつけの服屋へと向かう。
一刀のお陰で女性用の服は無駄に充実しているので、地和も満足することだろう。
地和が言うには、次のデートにはここで買ったものを着てきてくれるそうだ。
・・・む、なんだか自然な流れで次のデートを約束させられている。凄いな、流石アイドル。・・・ちょっと違うか。
「わ、これ可愛いじゃない!」
早速地和が一着手に取ったようだ。
自分の身体にあて、どう? とこちらに意見を求めてくる。
うん、可愛いんじゃないかな、と当たり障りの無い、しかしそれ以外に表現しようのない感想を伝える。
正直、アイドルである彼女は服装の着こなしはもちろん、自分がどう振舞えば可愛く見えるのかを熟知しているので、どんな服でも可愛くなると思うのだ。
「可愛いのは分かってるわよ。・・・あんたが、どう思うのかって聞いてんのっ」
「俺が? うん、いや、変わらず可愛いと思うけど・・・そうだな、もうちょっとシンプルな・・・こっちとかもいいんじゃないか?」
地和が身体にあててるのとは違う、装飾が少なめの服を渡してみる。
渡された服をふぅん、と唸りながら眺め、何度か身体にあてて鏡と睨めっこ。
「ま、こういうのも良いんじゃない?」
どうやら合格点は超えたようだ。
取りあえずこれ、と店員に服を渡して、次を物色し始める地和。
「うーん、これ・・・じゃないわね。あ、これいいかも。んー、こっちも・・・」
スカートやらワンピースやら男の俺ではあまり分からない服を取っては戻し取っては戻しを繰り返す地和。
どうやら、琴線に触れるものが無いらしい。
まぁ、こだわりは人一倍あるだろうからな。満足行くまで付き合うとするか。
「そういえば地和は髪留めとかは買わないのか?」
服屋の一角にあった装飾品の棚を見ながら、地和に声を掛ける。
地和は服を取った体制のまま、んー? と首だけをそちらに向ける。
「あー、まぁ買わないこともないけどー。そういうのって服に合わせたりもするじゃない? だったらこっちを選んでからの方が良いのよ」
そう言って、かちゃかちゃと再び服を身体に合わせて鏡との睨めっこを再開する地和。
・・・ちなみにあの鏡、宝物庫から出した宝具である。
自分の姿を見たいと呟いた地和のために出したのだが、大活躍しているようで何よりだ。
「これもちょっと違うわね。あ、これいいかも」
先ほどまでの服を戻し、次に目に入った服を合わせる。
うんうんと頷いているので、どうやら良いものが見つかったらしい。
「これに合うのは・・・うん、こっちね」
そう言って、まるで初めから決めていたかのように服を取っていく地和。
というか、一度も試着せずに決めているが、大丈夫なのだろうか。
「・・・何よ? ああ、試着しなくて良いのかって?」
試着室に向いた俺の視線を読んだのか、地和が俺の内心の質問に答える。
「ちぃ・・・だけじゃなくて、姉さんたちもそうだけど、今まで活動してる内に自分の寸法なんて全部頭の中に入っちゃってるのよ」
「ああ、衣装とか色々用意するときに必要だしな」
「そうそう。だから、ちょっと広げてみれば自分に合うかどうかなんてすぐ分かるの」
「なるほど、納得いったよ。凄いんだな」
「ふふん、ようやくちぃの凄さに気付いたの?」
遅いわよ、と胸を張る地和に微笑みを返しながら、悪いな、と謝っておく。
さて、地和の買い物はまだまだ続きそうだ。俺も気合を入れないとな。
・・・
「・・・ほんとに良かったの?」
店を出て少し歩くと、地和がこちらを見上げてそういった。
「? 何がだ?」
「お金。ギルにはただでさえ活動資金も出してもらってるのにさ」
おや、いつも俺に一報亭のシュウマイやら高級飯店を奢らせまくっている地和の台詞とは思えんな。
「何らしくない心配してるんだよ。俺は地和に服を買って、地和はその服を着て俺に見せてくれるんだろ?」
だったらそれでお相子だよ、と返す。
それでも納得できないようで、少し口を尖らせる地和に思わず笑ってしまう。
「・・・まぁいいわ。それに、ギルはちぃみたいな美少女とお出かけできるんだから、そのくらい出すのは当たり前よね!」
「はは、いつもの調子が出てきたじゃないか」
何か吹っ切れたようにうんうん頷く地和。
そんな地和の頭を撫でながら、俺たちは大通りを歩く。
やはりこの町のメインストリートだからか、店も人も多い。
「あ、こんなところにお店出来てる!」
「そういえば地和が丁度いない時に出来たんだったな。覗いてくか?」
「うんっ」
笑顔で店に足を踏み入れる地和の後についていく。
どうやら、ここは小物やら装飾品を主に取り扱っている店らしい。
ファンシーショップといえばイメージしやすい。
「わぁ・・・っ!」
瞳をきらきらと輝かせる地和。
やはり女子というのはこういう可愛いものに弱いらしい。
しばらくみて回っていると、中々良さそうなものがちらほら。
ふむ、天和と人和にお土産として何か買っていくか。
そうなると、月たちにも買わないとな。・・・ん? それだと数が凄まじいことに。
今回はしすたぁずだけにしておこう。
「ふむ・・・これとこれと・・・うん、こんなものか」
地和が夢中になっている隙に買い物を済ませる。
こういうのはサプライズが良い。俺の好みでもあるが。
それからしばらくウィンドウショッピングを楽しみ、店を出た。
・・・
「ふう、ようやく一息って感じね」
お茶を一口飲みながら、地和が息をつく。
あのファンシーショップ(面倒なのでこう呼ぶことにした)を出たあと、市場のほうへ足を伸ばしたり屋台で買い食いなんかをして楽しんだ。
ちなみに市場で人混みを抜けるとき、地和が人にぶつかって転び、変装が解けかけ、ファンらしき人たちにばれそうになったりして裏路地を駆け巡ったりもしていた。
何とか追っ手を撒いて変装をしっかり直して大通りまで戻り、こうして茶屋を見つけて一息、といったところだ。
「それにしても、急に走るんだもの。いくられっすんで体力がついてるとはいえ、少し疲れたわ」
「仕方ないだろ。あの数の暴徒を相手にするのは馬鹿のすることだろうに」
それなら撒いたほうが平和的だし。
流石の俺も、アイドルを追いかけてきたファンに対しての武力行使なんて気が進まない。
「でも、なんか面白かったわ」
「そりゃ良かったな」
途中で瓦版屋の隠密記者に見つかったりもしたが、まぁ瓦版にあること無いこと書かれるだけだろう。
その程度、いつものことで慣れているので放っておけば良い。
例えば俺が何処そこで誰と飯を食っていたかとか、何処そこで副長をボコボコにしていたとか、そんな他愛も無い、たまに事実無根のことを書かれる程度だ。
その辺り、大人な俺はちょっとバビるだけで勘弁してやっている。俺ってば成長したなぁ。
「次は何処に行く?」
「これ以上どこか行こうとしてるのか、地和。流石だなぁ・・・」
あんだけ追い回されておいて懲りないとか、流石アイドル。
慣れているということだろうか。
「当たり前じゃない。今日みたいに遊べるような日が何度もあるとは思えないし。満足行くまで付き合ってもらうんだからね!」
こうして、休憩を挟んで元気になった地和に連れまわされ、町にあるほとんどのお店を回らされた。
こういうときの女の子の体力は底なしなのだと、改めて思い知った。
・・・ちなみに、その日から数えて三日後、一つの瓦版屋の人員が総入れ替えされた。不思議なこともあるものだ。
・・・
「ふぅ」
地和を無事送り届け、天和からのブーイングと人和からのため息を貰いつつも帰路に着いた。
明後日は天和とのお出かけである。こうして俺の予定は埋まっていく。
・・・ああ、その前の日に人和との打ち合わせもあったな。最近しすたぁずと絡むことが多くなってきた。
これも、副長が隊長としての職務もやり始めたからだな。遊撃隊での俺の仕事が減ってきているのだ。
だからこうして社長業に集中出来るのだが・・・こっちもこっちで大変なんだよなぁ。
ま、遊撃隊もプロデュース業も楽しいからいいんだけどさ。
「こんばんわ、ギルさん」
「お、月か。こんばんわ。仕事帰り?」
「はい。ギルさんもですか?」
「そんなもんかな」
仕事が終わり、風呂に入ってきたらしい月に声を掛けられ、並んで歩く。
月はその外見どおり歩調がゆっくりなので、特に急がないときは俺も合わせてまったり歩いている。
いつもの調子だと見逃しそうなものも、月と歩いていると自然と目に入ってくるのもお気に入りだ。
「そういえば、新しいお茶を手に入れたんだっけ。飲んでいくか?」
「・・・前みたいな、変なお薬が入ってないなら」
『変なお薬』というのは、華佗から貰った龍の体液を素材にしたあの薬のことだろう。
月はそのときのことを思い出しているのか、こちらを見上げつつ瞳を潤ませている。
「あれはー、その、興味本位だったというか・・・ごめんなさい」
「ふふ、冗談ですよ。それに、あの時もあの時で・・・へぅ、その、良かった、ので」
頬に手を当ててそっと照れる月。
尻すぼみに消えていく声と相まって、とても庇護欲を誘う。
うん、端的に言うと、我慢できません。
「ひゃうっ、ぎ、ギルさんっ? いきなりどうしたんですか?」
いきなり俺に横抱きにされた月が戸惑いの声を上げる。
それでもしっかり両手が首に回されている辺りになんだか慣れを感じてしまう。
さっきゆっくりの歩調でも構わんと言ったな! あれは嘘だ!
一度こうなってしまった俺は止められんぞ!
「え、えと、あ、こういうときに言うんだっけ・・・あ、あーれー」
きっと孔雀直伝であろう台詞を中々の棒読みで言い放つ月。
悪いけど、それ今の状態には適していない。今の状態に最も適した台詞は、ドナドナである。
・・・
「男子会がしたい!」
「どうした、夏は終わったぞ?」
「いや、別に暑さで変になったとかじゃないぞ!?」
じゃあどうしたというんだ。
全く、一刀は最近変なことばかり言い出すから困る。
前はフェチ話で盛り上がったし・・・あれ、それは俺が言いだしっぺか。
「女子会って知らないか?」
「知ってるぞ。女の子だけで食事して愚痴るあれだろ?」
「まぁ、大体そんなのだけど・・・それの男子バージョンをしたい!」
「誰得だよ。朱里と雛里しか喜ばないぞ?」
掛けられる人間が増えるだけである。
「いや、その、城内って女子比率高いじゃん?」
「まぁ、武将が女の子ばかりだからな」
「肩身が狭いというか、色々と窮屈というか・・・」
「あー」
「特に俺のいた魏なんかは男に厳しいところもあってさ」
分かるよ、あの眼帯の人とか猫耳の人とかだろ?
猫耳のほうはだいぶ対策進んできたけど、眼帯のほうは武力で静まらせるしかないからなぁ。
一刀には荷が重いのだろう。
「だからさ、こう、この息苦しさをみんなにもわかって欲しいんだよ!」
「・・・呑んで騒ぎたいだけだろ?」
「そんなことあ・・・るけどさ!」
正直である。そういうところいいと思いますよ、お兄さんは。
「分かった分かった。会場は甲賀の家でいいな。メンバーは・・・どうする、ランサー」
「何故私に振るのですかギル様っ。最近私の味方が少なくなっているような気がするのですが!」
「何を言っているのだランサー。マスターである私、恩人であるギル、友人の一刀。これだけの味方を持ちながら、少なくなっていると?」
「認識の相違というものですね・・・今マスターが挙げられた人物の内、三分の二が私を弄り倒すお方です・・・」
「なんと。・・・あまりうちのランサーをいじめるなよ、ギル、一刀」
「北郷様ではなく、マスターのことですっ!」
幾度と無く繰り返されるランサー弄りで分かると思うが、ここは甲賀の家。
最近俺と一刀が駄弁ったり入り浸ったりしているところである。
特殊な事情のある物件に住んでいる甲賀は、意外と来客を歓迎していたりする。
お茶を飲みながらも冷静にノリノリなのが証拠である。
「で、どうする? 後は・・・セイバーとか銀とか呼ぶか?」
「そうなるとライダーに多喜、キャスターとかバーサーカーとか・・・」
「おいおい、俺の家を破壊する気か。というかあいつに言葉は通じるのか」
「シャオがいれば確実に大丈夫なんだが・・・」
「男子会に女の子呼ぶのはなぁ・・・」
となると、後残ってるのは・・・。
「あ、兵士たちは?」
「ああ、あいつらか。ちょっと多くなっちゃうな」
「む、ならば大部屋を使えば良い。作ったは良いが特に使い道が無くてな。即席の宴会場くらいにはなるだろう」
そんなこんなで誰に声を掛けるのかを決めていく。
というか、男の知り合いが数えるほどしか居ないからな。呼ぶのも一苦労である。
っていうか、ライダーはきちんと男なの? オスとかじゃなくて?
「人格上は男なのだから問題なかろう」
「あー、確かに」
・・・
甲賀の家の大部屋・・・今は宴会場となっているそこでは、複製のランサーや甲賀の部下たちがせかせかと準備に奔走していた。
この部屋が増築されてから一度も使われてないとはいえ、毎日の掃除や手入れは欠かさず掃除の係がやっていたため、すぐに使えるようだ。
「座布団が足りませんよ! マスターの御客人にはこの魔術工ぼ・・・じゃなく、男子会をとっくりと堪能していただくのです!」
てきぱきと指示を出すオリジナルのランサー。
部下たちは無駄の無い動きでその指示に従っていく。
「ふむ・・・大体こんなものでしょうか。まぁ、私も参加させて頂けるようですし、何かあれば現場で対応していけばいいですね」
準備が出来たと判断して、ランサーは甲賀に念話で準備完了の旨を伝える。
短く了解の返事が来たことを確認し、ランサーはもう一度部屋を見回す。
「これでよし。では、私も一旦出るとしましょう」
霊体化したランサーは、甲賀の元へと移動する。
「・・・マスター? なにやら怪しい匂いがしますが・・・」
「む、ランサーか。いやなに、ロシアンルーレットというものを思い出してな」
「はぁ、なるほど。・・・それを、料理に入れるのですか・・・?」
ランサーの目には、おおよそ食用ではないであろう紫色をした液体が見えている。
ごぽごぽと音を立てるそれは、百人に聞いたら九十九人が「毒物」だと答えるであろう。
「当たり前だろう。確か餃子を作っていたよな? 一割ほどこれを混ぜておけ」
「いえ、ですがこれは・・・」
「ん? ・・・ああ、大丈夫だ。別に毒というわけではない。食った後死ぬほど苦しむだけだ」
「それを毒というのでは!?」
「ふ、冗談だ。とてつもなく辛いだけだよ」
この見た目で? というツッコミを、ランサーはギリギリ飲み込んだ。
苦い、とかえぐい、とか言う表現をする色ではなかろうか。
赤かったりすればまだ言い訳は出来たであろうが、この色では・・・。少なくとも自分は口にしない。
「よし、完成だ。ランサー、これを厨房にいるやつに渡して来い」
「・・・了解しました、マスター」
げんなりとしつつも、マスターの言葉に逆らえないランサーはその怪しげなビンを厨房へと持っていくのだった。
・・・
「というわけで、男子会! 昼から酒を飲むなんて久しぶりだなぁ・・・」
「ああ、確かに」
席についているのは全員男性。
着ている服は様々だが、みんな一様にそわそわしているのが見て取れる。
一刀の友人である、あの兵士たちは人一倍そわそわしている。
そりゃそうか、参加者の中にサーヴァントがちらほらいる上に、銀は兵士たちの上司だし、多喜も部隊の実力者なのである。
さらに言えば、この大部屋が豪華に飾りつけられていることも原因の一つだろう。
「おらおらー、飲むぞお前らー!」
そんな兵士たちを見かねたのか、一刀は積極的に絡みに行っているようだ。
・・・というか、もう酔ってるな、あいつ。
「いやー、北郷と飲むのは初めてだけどよ、楽しそうな奴でよかったぜ」
「俺もあいつらに絡んでこよーっと」
銀と多喜が俺にそう伝えて立ち上がる。
言葉通り、一刀や兵士たちに絡みに行ったのだろう。
そろいも揃って絡み酒か。ま、楽しそうだし、あいつらならちゃんと自重も出来るだろうから心配はしていないが。
「全く、若い奴らはいいな。なぁ、ギル」
そう言いながら、銀と多喜が居なくなって空いた席に座ったのは甲賀だ。
騒がしくて困ったものだ、なんて良いながら杯を傾ける甲賀だが、そわそわしているのがこちらからでも分かる。
・・・混ざりたいなら混ざってくればいいのに。こういうところ、変に照れるからなぁ、甲賀は。
「そういうところには、やはり抑え役が一人居なくてはな、そう思わんか、ギル」
「・・・甲賀のツンデレとか何処に需要があるんだよ」
「マスターを萌え属性の一種にたとえるのはやめてください・・・」
俺の発言に反応したのは、甲賀ではなくランサーだった。
甲賀は一刀たちに夢中でこちらの言葉を聞いていないようだった。
・・・というか、ランサーから『萌え属性』なんて言葉を聞く日がこようとは・・・。
一応君たちの祖国の言葉だけどさ、時代間違えてない?
「一応、聖杯からの知識はありますので」
「萌え属性、なんて単語が「一般常識」にカテゴリされてるのかよ、聖杯・・・」
仕方が無いので、甲賀を焚き付けて一刀の元へ行かせる。
甲賀は仕方が無いな、と言葉とは裏腹に嬉しそうな顔をして兵士たちの元へと寄って行った。
全く、あの成人した子供は・・・。
「ヘイ、ギル! 呑んでっかー」
「ライダーか。呑んでるぞー」
「そうかそうかー、ひゃっはー、おぉー? ランサー、何増えてんだぁ?」
「・・・は?」
ちらりとランサーを見てみるが、一人も増えてない。
何を言ってるんだ、このカボチャ系サーヴァントは。
「ん?」
「おー、なんだー、俺の頭掴んでー。はっはっはー、カボチャが食べたいなら他所いきなー。俺のは中身が無いんだぜっ」
「あー、やっぱり。奥の火がすげえブレてる。泥酔してるな」
「え、何ですかその判断方法」
ランサーが若干引き気味に聞いてくる。
いや、ライダーの様子がおかしい時は目の奥の火を見れば良いんだぞ。
大抵こいつの体調とかが反映されてるからな。
「なにやら面白いことをしてるみたいだね」
「おー? キャスターかー? ヒャヒャ、なんだなんだ、サーヴァント大集合だな」
後はセイバーだけいればバーサーカー以外集まったな、なんてセイバーへ目を向けてみる。
セイバーもこちらに気付いて立ち上がろうとするが、銀に捕まって強制的に座らされた。
「あー、兵士たちにも捕まってる。・・・ゾンビ映画のようだな」
「おー? ゾンビー? 出すかー?」
「出すなっ! っていうか、
「包帯男と同系列なんじゃないでしょうか?」
「あー」
なるほど、「アンデッド」で一括りになってるのか。
いや、疑問は解決したけど、別に出して欲しいわけじゃないぞ?
だからライダー、多喜から魔力を吸い上げるのはやめろ!
「ちっ、多喜、受け取れー!」
「あん? って、うお、カボチャが飛んできてる!?」
宝具を発動しかけているライダーを多喜に投げる。
その爆発物の処理はお前に任せた、多喜!
「何だこれ! 変な腕が出てきて・・・ライダー、てめぇ、何宝具発動しようとしてんだ!」
にゅるん、とライダーの口から出てきたイカかタコの足みたいな不思議物体をねじ込み戻す多喜。
わーお、ワイルドー。
「おぉー、なんだか不思議な御方が来ましたね」
「兄者、あれは被り物か?」
「分からんな、弟者。取りあえず酒でも飲ませてみるか」
「おー、酒ーっ!」
兵士たちにも捕まったらしいライダーは、目の部分の穴から酒を流し込まれていた。
あれ、人間にやったら拷問だからな? 良い子も悪い子も真似しちゃいけません。
「ならば俺はもう片方から飲ませるか」
名目上押さえ役としてあちらに混ざったはずの甲賀もライダーに酒を流し込み始める。
ああなるともう誰にも止められないな。・・・男子会は何処に行った。
「うっひゃー、興奮してきた! もう我慢できねえ!
「うわ、(化け物を)吐きやがった!」
「あーもう、(化け物を)片付けるのは大変なんだぞ!」
「おー! これが噂の(化け物を)吐けば呑めるぞ、という奴なのですね!」
蜀の! 感動してないで逃げろ!
・・・ってあれ? 何か召喚されたハロウィンの怪物たちが地面に倒れたまま動かないぞ?
「・・・あれが、死屍累々と言うものなのですね」
俺の隣でランサーが呟く。
まさか、ライダーの酔いがあいつらにも回ったのか?
なんて不憫な眷属達なんだ・・・。
「あれは・・・どうやれば片付くのでしょう?」
「もう一度外套の中に突っ込めばいいんじゃないかな?」
「そんな簡単に・・・うわ、出来た」
狼男を掴んでねじ込んでみると、案外すんなり帰って行った。
宝具って、何なんだろうな・・・。
・・・
ぐったりと倒れこむ参加者たち。
・・・日も暮れてきた辺りで、異常なほどに盛り上がったこの「男子会」というものも、終わりを迎えました。
私は酔い潰れたマスターたちを回収しながら、部下たちに指示を飛ばす。
「ふぅ、よっと。・・・む、ライダーは見た目に合わず重いのですね」
ぎっくり腰にならないように、気をつけて持ち上げる。
頭さえ持ち上げれば、後は外套と黒い靄の様な身体だけ。
「よっと。・・・水に漬けておけばいいんでしょうか・・・?」
取りあえず、多喜殿の隣においておく。
・・・ええと、怪しさ満載になってしまいました。
「取りあえず、部屋から出して休憩室まで全員を移動させないと。・・・一斑、二班は参加者の搬出急いで! 三班は空いたところから片づけを開始!」
珍しく、ギル様も酔い潰れているようですし、ここは私がしっかりせねば!
しかし、酔い潰れたライダーとギル様は大変でした。
ライダーは宝具で怪物を召喚し続けますし、ギル様は宝物庫から宝具を射出しますし・・・。
セイバーの固有結界と私の宝具が無ければ、ここの「片付け」は「補修」になっていたはずです。
あのときの戦闘は、まさにサーヴァント大決戦! あの様子を映画にすれば、空前絶後の大人気作になっていたでしょう!
「特にあそこでの宝具運用は自分でも見事だと思いました。ライダークラスでしか使用できない軍艦大和や、戦闘機零戦も使えそうな気分でしたからね!」
まぁ、軍艦大和をあんなところで使用すれば町一つ消えますけどね!
大日本帝国の切り札ですから!
「ライダークラスであれば、川に大和でも浮かべて砲撃できたのですが・・・まぁ、後の祭りというものですね」
それに、軍艦大和の魔力消費は半端ではありませんし。
何が悲しくて主砲一つ発射するのに令呪一画分の魔力を消費しなければならないのでしょうか。
そう考えると、ランサークラスで良かったのかも知れません。
マスターは参謀に向いていますし、私の「増える」という妙な宝具も最大限に生かせる方でしたし。
ライダークラスの私を扱うには、馬鹿みたいな魔力が合って、突っ込むのが大好きな固定砲台型の人が向いているみたいですしね。
そんなことをつらつらと考えながら、酔い潰れた皆さんの介抱は進んでいく。
・・・しばらくお酒はご遠慮したいですが、たまにならこういう集まりも良いのかもしれませんね。
ふと生前を思い出し、悲しくも懐かしい気分になれましたから。
・・・
「あー・・・」
「ちょっと、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫ー」
「・・・大丈夫そうに見えないから聞いているんだけど」
メガネを直しながらため息をつく人和に完成した書類を渡しながら乾いた笑いを返す。
飲みすぎたかなー。いつもならもうちょっと自重するんだけど、なんだかテンション上がっちゃって。
「まぁ、仕事は出来てるみたいだから文句は言わないけど」
「もう小一時間もしたら元に戻ってるさー」
「そうだと良いんだけど。はいこれ、決算の書類」
「りょーかいー」
うぅむ、頭痛がしないだけマシか。
少し倦怠感がある程度だ。
「あ、そうだ人和」
「何?」
「はい、これ」
ファンシーショップで買ってきたお土産を渡す。
きょとんとそれを見つめる人和。
「私に?」
「はは、この流れでそれ以外は無いだろ」
「・・・そう」
その淡白な反応に、あれ、外したか、と心配になったが、人和の表情を見ると戸惑っているようだ。
・・・おかしいな、誰かからプレゼントとかされたこと無いはず無いんだが・・・。
「・・・こういう、贈り物、慣れてないから」
「? 日常茶飯事じゃないのか?」
「顔も知らないふぁんからの贈り物は沢山あるけど・・・面と向かって一対一で渡されるなんて初めてよ」
「そういうものか」
嬉しそうにお土産・・・クマのヌイグルミを抱きしめる人和に、なるほどこれはファンにもなる、と納得する。
いつもはクールな人和が、こんなにも女の子らしい、もっと直接的に言えば、年相応の反応をしてくれるとは。
うん、可愛い。こういうところも見せていけば、もっと人気が出ると思うのだが・・・。
「大切にするわね。ありがとう、ギル」
「そこまで喜んでくれるとは思ってなかったな。ま、喜んでもらえて良かったよ」
「さ、後少しだし、早めに終わらせて夕食にしましょう」
「おう。何処行く?」
「終わってから考えれば良いじゃない。口より手を動かすのよ」
「ふっ。口も手も動かせるのが俺だ!」
「はいはい」
呆れたように返事を返しながらも、人和の口元には笑みが浮かんでいた。
・・・
「もーっ。おっそーい!」
「すまんすまん、ちょっと訓練が長引いてな」
今日は三姉妹との約束のラスト、長女の天和とのデートに来ている。
やり取りの通り、少し訓練が長引いてしまって遅れてしまった。
天和はぷくりと頬を膨らませながら、芯まで響く甘い声で怒っているようだ。
・・・残念ながら、声の所為で全く怖くはないのだが。
「結構待ったんだからねー?」
「悪かったって。ほら、お土産もあるからさ。機嫌直してくれよ」
そう言って、ファンシーショップでのお土産を手渡す。
渡す口実としてタイミングも丁度いいし。
「わぁっ、これ、私に? えへへ・・・許してあげるっ」
そう言って、ブレスレットを腕に付ける天和。
どのような技術を以って作ったのか定かではないが、きちんと鉱石を丸く加工して、その中に糸を通して作成されていた。
・・・三国の時代・・・だよな? 食文化と言い、こういった技術といい、何故か時代にそぐわない技術があったりするからな・・・。
「どう? 似合ってるー?」
「ああ、ぴったりだ。良く似合ってるよ」
「えへへー。嬉しいなー」
ブレスレットを付けた手を空に翳して、頬を緩ませる天和。
うんうん、素直に喜んでくれると、こっちも嬉しい。
「さ、それじゃ行くか。どこか希望は?」
「んー、あっ、これ買ったところって何処? そこ行ってみたいかもー」
「よし、じゃあそこ行ってみようか」
前回行ったときに道順は完全に覚えたからな。
裏道を使って、最短コースで行くとしよう。
・・・
「おぉーっ。ここが、新しく出来たお店ー?」
「ああ。女の子向けの小物とか、装飾品を主に売ってるみたいだな」
前回来た時より若干品数が増えているのは、丁度昨日仕入れがあったからだろう。
色んな商人たちが街にやって来てたみたいだしな。
・・・お陰で、人和との事務処理の後に大量の商人たちからの許可証発行に頭を悩まされたが。
サーヴァントは腱鞘炎にならないと言うことが、そのとき分かった。
世界一無駄なサーヴァント知識だった。とーりーびーあー。
「んーと、あ、これも可愛いー!」
「時間はたっぷりあるから、ゆっくり見て回ると良い」
「うんっ。あ、あっちに行ってるねー!」
「おう。変装解けないようになー」
わかってるー、とクリームみたいな甘い声の返事を聞いて、俺も新しく入荷された棚のほうへ向かう。
ま、女の子の買い物は時間が掛かると相場は決まってる。天和も例に洩れずだろう。
「お、これは前無かったなぁ」
置物・・・か? 何か怪しげなデザインしてるが・・・。
「・・・キャスターとかにあげたら喜ぶかもしれん」
まぁ、喜びで変にテンションがあがったキャスターが禁断のホムンクルスに手を出さないとは限らないし・・・やめておくか。
「どーお? 何か見つかったー?」
「ん? 天和?」
屈みながら商品を見ていると、背後から肩に手を置かれ、声を掛けられた。
まさか、こんなに早く戻ってくるとは。
俺が手に持っているものが気になるのか、天和はそのまま俺の背中にくっ付く様に顔を寄せてきた。
「なにそれー、変なのー」
「やっぱりそう思うか。誰が作ったんだろうな」
だねー、と天和は面白そうに笑う。
耳元でするくすくすと言う笑い声が少しくすぐったい。
「そういえば、もう天和は買い物終わったのか?」
「んー? 一応ねー。ほら」
そう言って、紙袋をこちらに見せる天和。
なにやら小物を買ったようだ。袋が相応に小さい。
「で、ギルがどこか行っちゃったみたいだから、探してたの。そしたら、しゃがんで変なの見てたから、どうしたのかなーって」
「他には見るものあるか?」
「んー・・・また今度、こよっかな。今日は、ギルとのでぇと優先っ」
・・・まさか、天和からそんな殊勝な言葉が聞けるとは。
俺、夢見てたりしないよな?
「えへへっ。いこっ」
天和は嬉しそうに俺の腕を取り立ち上がらせると、そのまま店の出口へと向かう。
逆らう理由も無いので、天和に腕を引かれるまま店を出た。
そのまましばらく歩いていると、ぴたりと天和が立ち止まる。
目的地に着いたのかな、と思っていると、天和が首をかしげて一言。
「んー、どうしよっか?」
「えぇー? 行く当てもなく歩いてたのか?」
「えへへー。あ、そういえばお腹空いてきたね。ご飯食べよっ」
「・・・自由だなぁ」
取りあえず、撫でておくことにした。
困ったらまず撫でる。子供系武将との付き合いで一番大事なことなのだ。
・・・
あの後、天和の要望で何時も通り一報亭で食事をして、そのままショッピング続行。
日が暮れるまで、存分に連れまわされた。
「楽しかったーっ。またこよーね、ギルっ」
「・・・しばらく、いいかなぁ」
「? 何か言った?」
「いいや、何にも」
誤魔化すように天和の頭をくしゃりと撫でる。
恥ずかしさ半分、嬉しさ半分と言った表情で、天和はんもー、と呟く。
「あ、そうだっ。忘れる前に渡さないと」
「ん?」
もう後少しで事務所に着くかと言う時。
天和は手に持つ紙袋をごそごそと探り始める。
「あったっ。はい、どーぞ!」
そう言って差し出してきたのは、手のひらサイズの紙袋。
これは確か・・・一番最初に寄ったファンシーショップで持ってた物・・・?
「これね、私からの贈り物っ。いつもお世話になってるし、今日は素敵な贈り物もくれたし・・・そのお返しだよー」
そう言って呆然とする俺の手を取り、紙袋を乗せる天和。
重さはそんなに無い。見た目通りの重量をしているようだ。
「大事にしてねー? それじゃねー!」
そう言って、天和はるんるんと事務所へと帰って行った。
・・・何というか、最後の最後で驚かせる娘である。
「うん・・・お姉ちゃんなんだなぁ」
そんな、当たり前なことを改めて認識しながら、俺も帰路に着いた。
・・・何処に飾ろうかな、この置物。
・・・
クラス:ライダー
真名:大日本帝国兵 性別:男性 属性:秩序・善
クラススキル
騎乗:B+
騎乗の才能。大抵の乗り物を乗りこなすことが出来る。特に、船舶、航空機を駆る場合は有利な補正が掛かる。
保有スキル
勇猛:A-
威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
また、格闘ダメージを上昇させる効果もある。
判定に失敗すると、勇猛スキルが反転し、狂乱スキルとなる。
戦闘続行:A
往生際が悪い。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。
第二次世界大戦中、一度死んだ後に復活したとある兵士の恩恵。
海洋の守護者:A
地形が海である場合、耐久と敏捷がそれぞれ1ランクアップする。
信仰の加護:B
一つの宗教観に殉じた者のみが持つスキル。
加護とはいうが、最高存在からの恩恵は無い。
あるのは信心から来る、自己の精神、肉体の絶対性のみである。
能力値 筋力 D 耐久 B 敏捷 C 魔力 E 幸運 C 宝具 A
宝具
『軍艦・大和』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1000 最大補足:200
第二次世界大戦中、大日本帝国の威信を掛けて開発された大和型戦艦。
主砲は現在「再現不可能」とされており、その最大射程距離は約42000メートル。
その他にも様々な武装がなされていて、大日本帝国を代表する戦艦となっている。
・・・ちなみに、一発主砲を撃つのに、通常の魔術師だと令呪を一画消費するほどの魔力を食う。
どちらかというと人々に語られた「理想の」大和であるので、少し物理法則などを無視している箇所がある。
『戦闘機・零式艦上戦闘機』
ランク:B 種別:対艦宝具 レンジ:2200 最大補足:1
第二次世界大戦中、大日本帝国の主力として活躍していた戦闘機。
その戦闘機を、魔力の許す限り召喚し、操る宝具。
熟練した操縦者に操られた零戦は、宝具に昇華された事もあり幻想種とも渡り合えるほど。
ランサーとの最大の違いは、宝具によって仲間を召喚するときの消費魔力。
平均的な魔術師が十人集まって、ようやく一分ライダーを最大出力で運用できる。
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