USOくえ   作:生甘蕉

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漢数字話の今回は恋姫†有双アフター編です。


五話    呪い

「会議を始めるとしましょう」

 ここは三国の中心である都。その城の玉座の間。

 現在、俺が座っているこれこそ玉座。背後に大きく双頭の竜が描かれてたりする。双頭のってのがちょっと気になるけど迫力あるなあ。

 ……こんなとこに俺が座ってていいの?

 

 萌将伝の一刀君のごとく、三国連合の立役者として祭り上げられちゃったのはわかっているんだけどさ。

「俺も雪蓮みたいに隠居したい」

「なにを馬鹿なことを。そういうのは後継者を用意してから言いなさい」

 華琳ちゃんが俺の呟きを嗜める。

 

「その前にさー、なんで華琳がそうしてるわけ?」

「いちゃいちゃするんでも、会議中までなんてずるいようっ!」

 雪蓮がジト目で、桃香が指差して指摘する。

 玉座の間中の視線が、玉座の俺と最愛の美少女に集中した。

 華琳ちゃんは、玉座に座る俺の膝の上にいる。

 しかもお姫様だっこからそのまま座った横抱きなので、密着度も申し分ない。

「悪いわね。皇一が激しすぎて、立っているのも辛いのよ」

 あまり悪びれた風もなく華琳ちゃんが謝る。

 

「なっ、華琳殿が足腰立たなくなるまでだと!?」

 驚く者が大半の中、うんうんと頷き納得する者たちもいた。

「うんうん。皇一が頑張ったらそうなるよなあ……」

 ……俺ってどういう扱い?

 

「あなたたちに忠告しておくわ。今までの皇一とは違うと思った方がいい」

「えっ?」

 驚いて膝の上の超絶美少女妻を見つめる。

 俺の視線に気づいているだろうに、そのまま玉座の間中の嫁たちに向かって続ける華琳ちゃん。

「若返ったせいなのか、それとも別の要因か。皇一の持続力、回復力は飛躍的に向上してるわ。……一晩中寝かせてくれないのだもの。早く会議を終わらせて寝たいぐらい」

 軽く欠伸をして、俺の胸に頭を寄りかからせる華琳ちゃん。なんて可愛いんだろう。

 俺も思わずその頭に自分の顔をすりすりさせたりして。

 ……玉座の間の嫁さんたちの視線が怖くて、すぐに止めました。会議中にすることじゃないよね、うん。

 

 昨夜の初夜は、華琳ちゃんと季衣ちゃんが可愛くて、愛しくて。

 気づいたら、朝になってました。

 たしかに「今夜は寝かせないぞ」が実現できるなんて、いくら俺が若くなったとしてもおかしいかもしれない。むこうの俺の魔改造の影響?

「あ、あの、季衣は大丈夫なんですか?」

 親友を心配するロリ武将流琉。

「大丈夫よ。ただ、起きれそうになかったから閨に置いてきたわ」

 俺も二人をお姫様抱っこはできなかったしね。

 着替えを手伝ってくれた月ちゃんと詠にも、季衣ちゃんは寝かせておいてと頼んである。

「そうですか」

 流琉がほっと小さな胸を撫で下ろした。

 

「そっ、それでっ! 天井の双頭竜は復活したのですかっ!?」

 今度は春蘭。

 その質問に身を乗り出す数名の嫁たち。

 そんなに気になるのか。

 まあ、それで意中の女性と繋がるために、ってのが俺の嫁になったきっかけな娘もいるけどさ。

「うん。復活というか、もう一本は出し入れできるようになったみたいだ」

 ちゃんと使えたから問題はないと思う。

「ますます蛇っぽいのですよ」

 蛇とか爬虫類は普段、収納してるんだっけ?

 でも、あれみたいに切れ目から生えてくるのとちょっと違うんだよなあ。

「だから蛇は勘弁してってば」

 風の初夜の時にはしっかり確認させねばなるまい。

 

「けどさ、皇一はまだ平気そうね?」

「悔しいことにそうみたいね」

 悔しがられても。華琳ちゃんは初めてだったんだし。

 ……無茶させちゃったなあ。

「ならば初夜は前倒しできそうね」

 雪蓮の目が光る。

「今夜が蓮華、明晩が桃香だったわね」

「は、はい」

 姉の確認に頬を染めて照れる蓮華。可愛いなあ。

 初夜は、魏、呉、蜀の順で、まずトップからって順番になっていた。

 俺が関係を持った順とも言う。その順だと本当は、魏と呉の間に愛紗や星たちが入るんだけど、愛紗たちは自分よりも桃香を先にって我慢してくれてる。

 

「会議が終わり次第、蓮華、私、小蓮で初夜開始ね」

「こ、こんな真昼間なのに初夜?」

 初昼、じゃ語呂悪いし意味も違いそうだけどさ。

「姉様、姉様はともかく、小蓮までというのは……」

「シャオを仲間外れにするつもり?」

 シャオちゃんが頬を膨らませる。

「蓮華、シャオ一人で今の皇一の相手は無理そうでしょ?」

「……そのようですね」

 そんなすぐに納得されても。

 

「夜は皇一の体調次第で桃香がやりなさい」

「いいの?」

「うっ」

 そんなキラキラした瞳で見られたら頷くしかできないわけで。

「じゃあ、わたしと愛紗ちゃんと鈴々ちゃんで!」

 姉妹丼の次は義姉妹丼?

「桃香様っ!?」

「愛紗ちゃん、鈴々ちゃん一人で今のご主人様の相手は無理そうでしょ?」

 それ、雪蓮の台詞のパクりやん。まんまやん。

「……鈴々も構わないか?」

「応なのだ!」

 力強く鈴々ちゃんが声と手を上げた。

 

「ああ、一つ忘れていたわ。桃香」

「?」

 華琳ちゃんに呼ばれてきょとんとしている。

「皇一の初めては私がもらったわ」

 ふふふ、と楽しそうに笑っている膝の上の幼妻。……新妻にしといた方がいいのかな。一応十八歳以上なはずだから。

 俺が若返っちゃった時に俺の童貞を奪った、って桃香に言われてたのを気にしてたのね。可愛いなあもう華琳ちゃんってば。

 対照的に桃香が頬を膨らました。

「ご主人様、もっと若くなって!」

「なりたくて若くなったわけじゃないから! それにこれ以上若くなったらまずいでしょ、閨的に」

 若返った俺の肉体年齢も十八歳以上ってことにしてるんだからさ。

 それにもう記憶を失いたくないしね。

 

「本当にご主人様なのね」

「そのようだな。桃香さまと焔耶に聞いておったとはいえ、この目で見てもまだ信じられんわい」

 三国の主な武将も会議に出ているので、俺の嫁でない女性もいる。

 ……といっても三人だけだけど。

 馬騰ちゃんは華佗と新婚旅行中。まあ、急病人の知らせを受けて出かけちゃっただけだけどね。

 華佗が馬騰ちゃんの機動力を得たのは有難いかもしれない。

「一刀は若くならないんじゃな?」

「うん。俺も若くなっちゃう人なんて初めて見た」

 あと、一刀君も当然会議に出ている。

 一刀君、後継者になってくれないかなあ。

 主人公さんに本来のポジションに戻ってもらって、俺は隠居したいなあ。

 あ、俺の嫁さんたちは任せるつもりはないけどね。

 

「ええと、兵や民には、俺が若返っちゃったのってどう説明すればいいかな?」

「前回のように、天の人なのでそんなこともあると説明するか、もしくは病か呪いでしょう」

 朱里ちゃんの案に風がもう一案。

「脱皮したというのはどうでしょー」

「だから蛇から離れて!」

「……ぐー」

 ああ、風にはこれがあったっけ。

「みんな、風は疲れているみたいだから、ゆっくり寝かせてあげよう」

 人差し指を口に当てる俺。

 しばらく玉座の間が無音になる。

 その静寂に耐え切れなかったのか、風が動いた。

「……むむ、やりますねお兄さん」

「まあ、次からは寝続けちゃいそうなんで、これ一回しか使えそうに無いけどね」

「それは残念なのですよ」

 ツッコミ入れるのも風との大事なコミュニケーションらしいしね。

 

「穏はどう思う?」

 次は呉の軍師に聞いておかないと。

 バランスとかそういうの気にしないといけないのって、大変だよなあ。

「呪い、でしょうねぇ」

「そういうのって評判悪くならない? だいたい俺、呪われるほど人に怨まれてるかなあ」

 冥琳がふう、と大きくため息。俺に聞こえるようにわざとだろう。

 そして、桂花と春蘭の方を向いた。つられて俺も見てみる。

「やっと直った接続器の分際でいつまで華琳さまを抱いているのよっ。早く離れなさいよ!」

「そうだ、今すぐわたしと代われ!」

 ……呪い殺されそうな視線で俺を睨んでいる二人がいました。

「三国の美女をこれほどまでに多く妻に娶ったのだ。怨まれても不思議ではあるまい」

「そ、それは確かに……」

 アイドルと結婚したようなもんだもんなあ。って、シスターズはアイドルそのものだった。

 カミソリレターとか届いてしまうかもしれん。用心しないと。

 

「老いさらばえる呪いをかけられてしまいましたが、天の加護により逆に若返ってしまった、ではどうでしょう」

「天ってすごいな」

 もう雛里ちゃんの案でいいかな。

 

 

 その次に、もう一人の俺と指輪のことを説明。

 俺の指輪を外してみんなに試してもらった。

 どうやら、俺とその嫁さんにしか使えないようだった。道場関係あるのかな?

「ドラクエの世界、ですか?」

「うん。信じられないけどなんかそうみたい」

 一刀君もプレイしたことがありそうな感じだな。後で相談してみよう。

 ……俺の時間が空くのは、全員の初夜が完了してからだろうけど。

 

「それでは、今日の会議はこんなところで」

 俺関連以外の案件を処理して会議は終了する。

「そうね。皇一の強度も試してみたいところだけれどもう次の予約も入ったことだし、それは次に予定を組みましょう」

 強度って、華琳ちゃんそんなに一撃で俺が死ななかったの気にしてるの?

「春蘭」

「はっ!」

 とんで来た春蘭に華琳ちゃんを渡す。

「よくやったぞ!」

 華琳ちゃんをお姫様抱っこして喜色満面な春蘭。稟ではないが、今にも鼻血を噴き上げそうなテンションだ。

「くっ」

 羨ましそうな桂花。いや、桂花じゃ華琳ちゃんを抱っこするのは無理でしょ。力でも体格でも。

 慰めようと頭を撫でたら涙目で睨まれた。泣くほど悔しいのか。

「あんたはさっさと孫家を足腰立たなくしてきなさいよ!」

 いや、もうそこまでは無理させないってば。昨夜はちょっと暴走しただけなんだってば。

 

「そう。楽しみね」

 俺の体が浮き上がる。首を動かすと、すぐ側に雪蓮の顔が。

 もしかして今度は俺がされている?

 お姫様抱っこをっ!

 

「俺、ちゃんと歩けるから下ろしてくれない?」

 さすがに男がこれをされると恥ずかしすぎる。俺はワイルドな虎じゃないんですが! ……男にお姫様抱っこされてない分、あれよりはマシなのかな?

「えー」

「えーじゃなくて」

「じゃあ、代わりに蓮華をだっこしなさい」

「姉様っ?」

 雪蓮の提案に驚く蓮華。

「お姉ちゃんが嫌ならシャオが!」

「い、嫌じゃないけど、こんなに大勢の前でなんて……」

 戸惑う蓮華を置いて、すたすたと歩き始める雪蓮。……俺はお姫様抱っこされたままだ。

 さすが武将、俺一人運ぶのなんて余裕ですか。

「蓮華、小蓮、早速行きましょう」

「で、でもまだ仕事が……」

「蓮華、後継者を用意するのも立派な仕事なのよ。むしろ、最優先と思いなさい! ……皇一の子供、欲しいでしょ?」

 俺の子か。一刀君じゃなくても、ちゃんと孫登生まれるのかな?

 

「皇一の子供……」

「そっ。このまま皇一がまた若く、それこそ皇一が子供になっちゃったりしたらそれも叶わなくなるわよ」

「そ、そうよね!」

 なんか雪蓮に丸め込まれたっぽい。

「シャオも皇一の赤ちゃんほしーっ!」

 それもちょっと気になるけどいい加減下ろしてくれないかな。

「皇一、軽くなったわね?」

「そう? 身長は変わってないはずなんだけど」

 ベルトの穴一個分くらいは痩せたかもしれない。

 でも、俺が一撃死を免れるほどに固くなったのだとしたら、向こうの俺が骨格に成分注入された影響だろうから、重くなってる可能性もあるんだけど。

 おっさんになると、それ以上に重くなるというのは考えたくない。以前雪蓮に持ち上げられた時はおっさんじゃなかったんだし。

 

 

 

「認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを」

 日課の朝一のセーブをしながら、思わず言ってしまった。

 昨日は結局、孫姉妹との初夜を済ませた後、少し眠って、食事をして、大丈夫そうだから桃園の三姉妹とも初夜をこなしてしまった。

 いくらなんでもこの精力増大は若さゆえっていうか、若さだけじゃなくてなんか別の要因があるよね、絶対。

 

「ご主人様?」

「起こしちゃった? 身体、大丈夫?」

 結局、夜明かしこそしなかったけどかなり頑張っちゃったし。

 いまだ眠そうな愛紗の髪に触れる。

「だ、大丈夫です。鍛えておりますゆえ……」

 嫌がった様子もないのでそのまま髪に触れ続ける。さすが美髪公。指通りも手触りも素晴らしい。

「ご主人様……」

 うっとりとした愛紗が可愛かったので思わずキス。

 そのまま、昨夜の続きにいきかけた所で、鈴々ちゃんが急に喋った。

「続きはごはんを食べてからなのだ!」

 慌てて俺から離れる愛紗。しばらくして、それが寝言だと気づいて苦笑する。

 

「ふふ。まあ、鈴々もよく頑張った」

 優しい顔で鈴々の頭を撫でる愛紗。

 俺は寝ている桃香の頬をつっつく。……起きないな。

 エロ方面ではブーストかかるっぽい桃香とはいえ、武将でない身の体力ではちょっとキツかったか。

 

 さてと、ふくろウィンドウを呼び出してみよう。

 結構な量の食材を入れておいたから、不足するということはないと思うけど。

 リストを眺めていくと、米や麦はなくなっているな。あの量だから全部使いきったってことはないはず。別の場所に保管しているのだろう。

 ラーメンや他の料理は残っているところを見ると、まだ食料の追加はなくて大丈夫かな。

「あ、手紙が入っている」

 ちゃんと返事の手紙を書いてくれたようだ。

 異次元倉庫から手紙と『へんきゃくのさら』というアイテムを出してみる。

 うん。思った通り返却の皿だ。食べた料理の皿を返してくれるわけね。なんか出前みたい。

 ちゃんと洗っているところを見ると水には不自由してなさそうだ。

 

「なんど見てもすごいですね」

「うん。不思議だよね」

 俺が指輪を使うのを興味深げに愛紗が眺めている。

 嫁さんの指輪、全部で使えればいいのになあ。

 使えるのは俺の体内で生成された、華琳ちゃんと俺の指輪のみ。

 ……あれ?

 むこうのコーイチのは1個だけだったような……もう1個あるはずだよな?

 

「むう」

 手紙を読んでみたが、それについては触れられていない。

 食料のお礼と近況報告。スライムが仲間になったとか、温泉とか。

 ……温泉か。いいなあ。

 第二形態はムスコが増えるだけじゃないとか。

 そうか。第二形態はあんまり意識しないでいいのか。

 あと、こちらのことを知りたいらしい。

 

「そういえば、こっちの世界のことって書かなかったっけ」

 恋姫†無双の世界だって知ったら驚くだろうなあ。

 後で結婚式の時の写真を焼き増ししてもらおう。

 あれを見せれば俺の状況が一発でわかるだろう。

 

 

「ならば、かめらも入れてみましょう。むこうの情報もほしいわ」

 真桜に焼き増し頼みにいったら華琳ちゃんをはじめとした魏の将、軍師が集まっていた。

 初夜の順番変更で相談していたらしい。

「昨日のように、昼からと、夜からの一日二回ね。人数は一回に三、四人。これでだいぶ予定が繰り上がるわ」

「三、四人?」

「昨日の教訓から得た数字よ。もっと多くてもいいという意見もあるわ」

 一度にその人数って、ジュニアがダブルスじゃなきゃ無理でしょ。復活してよかった。大喬ちゃん、大事に使うからね。

 ……あれ?

 むこうのコーイチも改造前からダブルスだったような気がする。

 もう一本は誰のだ?

 DALKには半陰陽な娘はいなかったはずだけど……。

 

「なんか俺、一日中そっちばっかりな気が……」

 まさに種馬生活?

「仕方ないでしょっ! 初夜を心待ちにしている娘が多すぎるのよ!」

 桂花が俺を睨む。

 桂花も初夜が終わるまでは華琳ちゃんとの閨をおあずけされてたんだっけ。

「そうだね。嫁さん待たせちゃいけないよね」

「今日は昼魏、夜呉の順番ですね」

 なんだか反董卓連合の時のコンビニ作戦思い出すなあ。

 

 真桜作のカメラとその説明書、手紙を書いて異次元倉庫に収納したら、閨に連行された。

「あ、華琳ちゃん今回も参加するの?」

「当然よ。本当は魏以外の嫁の初夜にも参加したいのに」

 ……魏嫁の初夜には全参加ですか。

 ありがとう。よしっ! 今日も頑張ろう!

 

 


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