死神達の恋歌   作:yatenyue

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ストックがあったので・・  
就職して数年疲れるしなれない

でも完結はさせたいので遅々とネタを重ねています


太陽の導き 第2章 第三話  十番隊・・・潜入 星と月と野良犬

「───山田 花太郎です」

 

「「逆に覚えにくい」」

 

「Σえぇっ、み、みんな覚えやすくていい名前だって言ってくれますよ!?」

 

 

二人同時にツッコまれ、軽く落ち込む花太郎。

 

何の悪戯でこうなったのか、人質(?)として連れてこられ今に至る彼。

 

見た目がかなりガラ悪そうな二人組なのでかなりビクビクしているものの、会話の中に登場した人物にピクリと反応した。

 

 

 

 そして二人が作戦会議していると

 

 

「ルキアって…朽木 ルキアさんですか?」

 

「!?」

 

 

ピタッと固まった一護に確信を持つ。

 

 

「やっぱり…そうなんですね。六番隊の朽木隊長の妹君で、今は極囚の…」

 

 

ギュッと膝の辺りを握り締める。

 

 

「………それじゃあ…“白い塔”っていうのは懴罪宮の事です…僕…」

 

 

躊躇うように一瞬だけ視線を逸らし名乗り出る。

 

 

「…知ってますよ…その塔への抜け道」

 

 

 

 

 

 

 

「───へぇ~、地下水道とは思いつかなかったな」

 

 

花太郎の案内で瀞霊廷の地下にある水路を進んでいく一護達。

 

 

「…花太郎」

 

 

無言で花太郎と岩鷲の会話を聞いていた一護が、突然口を開いた。

 

 

「お前どうして…俺達にここまでしてくれるんだ?」

 

 

敵であるはずの自分達。

 

にもかかわらず、理由を聞く事もなく自ら案内役を買って出たのはなぜなのか。

 

静かに尋ねる一護に花太郎も同じ調子で答えた。

 

 

「…あなたの事は、ルキアさんから聞いてよく知っています…黒崎 一護さん」

 

「!」

 

「お願いです。ルキアさんを…ルキアさんを助けてください!」

 

 

 

 そのほうが僕を馬鹿にしない、

 

   あの人の願いにもきっと沿うはずだから。

 

 美月さんの・・

 

 

 

 「───ルキアさんが捕らえられ、今の懴罪宮四深牢に入る前…六番隊の隊舎牢に入れられてました」

 

 

僕はそこの清掃係を命じられたんです、と静かに語り始める花太郎。

 

本音を言えば、最初は怖かった。

 

何せ、相手は貴族。

 

委縮しきっていた自分に対し、ルキアがかけてくれた言葉は優しかったのだと微笑みながら言う。

 

 

「それからは日に一度、牢に入って掃除をする時間がだんだん楽しみになってきて…ルキアさんも、少しずつ色んな事を僕に話してくれるようになりました。」

 

 

 そして現世での話をたくさん聞いた。

 

 

 

 「───その大半は、いつも一人の人の話でした」

 

 

 「…」

 

 

とても楽しそうに…

 

とても誇らしそうに…

 

たくさん…たくさん聞いた。

 

 

「そして、間もなくルキアさんに処刑の正式な命令がありました…美月さんは、その事にとても動揺していました…」

 

 「美月はお前とも仲がいいんだな。」

 

 

「ルキアさんは、言ってました…」

 

 

─ 一護とは二月ほどしか行動を共にしなかったが、不思議と心から信じられる奴だった。それなのに…───

 

 

「───“自分のせいで運命をねじ曲げ、ひどく傷つけてしまった。何をしても償いきれぬ…”そう言って、最後はいつも…悲しそうな顔をしていました…」

 

「…何つーか、変わった死神だな。そいつも」

 

「ああ…変わってる」

 

 

小さく呟き、一護は立ち上がった。

 

 

「だから、助けに来たんだ」

 

 

それだけ言うと、一人歩きだした。

 

 

「おい、一護!」

 

 

岩鷲達も慌てて後を追ってくるのを感じながら、一護は今聞いたルキアの言葉を思い出していた。

 

 

─ 一護とは二月ほどしか行動を共にしなかったが、不思議と心から信じられる奴だった。

 

それなのに、自分のせいで運命をねじ曲げ、ひどく傷つけてしまった。何をしても償いきれぬ…

 

 

「…バカ野郎…そんなもん…全部、俺の台詞じゃねーか…!」

 

 

─  一護!

 

 

「絶対死なせやしねえ…絶対助けるからな…ルキア」

 

 

 

そして、彼は因縁の対決をする。

 

 ルキアの幼馴染にして、六番隊副隊長 阿散井 恋次と

 

 

 

 

 第三話  十番隊・・・潜入 星と月と野良犬

 

 

 

 

 十番隊まで連れてきてもらうと

 

 

 「ありがとうございました。」

 

 すごく機嫌が良さそうに笑った。

 

 落ちたな、うん

 

 

 「こ、これくらいなんでもないさ。」

 

 

 

 

 で平隊員だから上にあまり覚えられていない設定で行くけれど、

 

 同じ平隊員どうしでは、

 

 人見知りが激しくて友達がいない寂しい子設定でいくか。

 

 できるか・・

 

 友達が他隊に行った設定の方が良さそう。

 

 そのほうが離れる口実ができそうだし。

 

 

 

 「あら、見慣れない顔ね。」

 

 

 橙がかった茶色の髪に、灰色の瞳をした織姫より胸がでかいと思える女性だった。

 

 「(うわ、美人。

 

 それに霊圧高めだな、副隊長ぐらい?)

 

 あ、わ私今年入ったばっかりでまだ慣れていなくて・・

 

 

 あ、名前は 月花 留依って言います。」

 

 「月花ね、

 

 知ってると思うけど、松本乱菊よ。

 

 気軽に乱菊さんって呼んでくれてもいいわよv」

 

 

 「そ、そんな、恐れ多いです・・・」

 

 これが正しいよね、

 

 この人、副官章つけてるし・・・

 

 たぶん霊圧とあわせて判断して十番隊の副隊長さんだ。

 

 

 「んーーー

 

 可愛いじゃない。」

 

 

 苦しい・・・

 

 

 今の私の状態はというと思いっきり抱きしめられている。

 

 

 力強い・

 

 

 でも良かったーー。

 

 あと10cm小さかったらあの胸で息塞がれてたよ、

 

 

 

 

 となかなかうまく入り込めていったのであった

 

 

**

 

 

霧の立ち込める地上。

 

そこに広がる石畳の一つがガコンと開いた。

 

 

「…オッケーです。上がってきてください」

 

「何か、久々に外の空気吸った気がするぜ」

 

 

下から這い出し、大きく息を吸う岩鷲。

 

 

「ホラ、アレが懴罪宮ですよ」

 

 

花太郎の指差す先には、真っ白い塔がそびえ立っていた。

 

 

「確かに随分近くまで来たけれど…すっげーな、こりゃ。こりゃあ、こっから先の方がキツそうだぜ」

 

「霧が晴れていくぞ…」

 

 

一護の言う通り、進路を阻むように漂っていた霧が次第に薄くなっていく。

 

急ごうという彼の言葉で、歩きだす三人。

 

とその時、何かに気づいた様子の一護が止まれとばかりに手を広げた。

 

 

一「階段の所に誰かいる…」

 

 

目を凝らし、正体を掴もうとする一護。

 

そして、その姿を完全に捉えた彼の目が大きく見開かれた。

 

 

恋「久しぶりだな…」

 

 

紅い髪にゴーグル。

 

半月前にも会いまみえ、剣を交えた宿敵の一人。

 

 

「俺の顔を覚えているか…?」

 

「阿散井 恋次…!!」

 

 

互いに相手の姿を鋭い瞳の中に映し出す。

 

 

「意外だな。名前まで覚えてたか…上出来じゃねーか」

 

「そりゃどーも」

 

「な、何だあいつは…!?」

 

「あ、あの方は…! 阿散井 恋次…六番隊副隊長…!!」

 

「!! 副隊長!?」

 

「正直、驚いたぜ」

 

 

ゆっくりとこちらへ歩み寄りながら静かに言う。

 

 

「てめぇは朽木隊長の攻撃で死んだと思ってたからな。やっぱりあの時、俺がトドメ刺しとくんだったな」

 

 

「!」

 

 

 

そのまま恋次と同じようにゆっくりと歩み寄る。

 

 

「どうやって生き延びたか知らねーが、大したモンだ。褒めてやるよ」

 

 

チャキッ─────

 

 

鋭い音を響かせ、己の刀を抜く恋次。

 

 

「だが、ここまでだ!! 言ったはずだぜ、俺はルキアの力を奪った奴を殺す!!

 

てめぇが生きてちゃ、ルキアに力が戻らねーんだよ!!」

 

「殺す気で連れていった奴が何言ってやがる!! 通らせてもらうぜ!!」

 

 

互いの刃が牙を剥く。

 

自分に力を与えてくれた恩人の命を救うため。

 

かつて家族同然だった者を死の淵へ招いた原因を討つため。

 

 

ここにまた一つ、戦いの幕が切って落とされた。

 

 

 

**

 

**

 

 

「───しぶてぇ野郎だ。そんなにあいつらを助けてぇおか?」

 

「バカ野郎…!! 助けてぇんじゃねぇ、助けるんだ!!」

 

 

その台詞を聞いた恋次の目に怒りの色が浮かぶ。

 

 

「ふざけんな!!」

 

 

動きの読めぬ刃が、容赦なく一護を襲う。

 

 

「てめぇが力を奪いやがったから、ルキアの罪は重くなったんじゃねーか!!」

 

 

“あの日”誓った、一つの決意。

 

胸を張って会えるように…対等な立場に立てる日をただ夢見てきた。

 

ようやく叶った再会が、よもや最期への序章になってしまうなど…誰が予想できただろうか。

 

 

「わかってんのか!? てめぇのせいなんだよ!! てめぇのせいで、ルキアは殺されるんだ!!!」

 

 

ルキアが死にゆく原因を作ったこの男が憎い。

 

それでも尚、この期に及んで助けるなどと口にするこの男が憎い。

 

そして何より、どうする事もできない自分がどうしようもなく憎かった。

 

 

「てめぇの…てめぇさえ、いなけりゃ…!!!」

 

 

 

こいつさえいなければ…

 

妬みにも似た感情が、恋次の中に渦巻いていた。

 

そんな彼の心を表すかのように、凄まじい殺気を纏った刀が一護の方へ伸びていった。

 

 

ガキィン─────

 

 

間一髪のところで受け止めた一護。

 

 

「んな事はわかってる…!! だから俺が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───助けるんじゃねーかよ!!!」

 

 

ギィンッ─────

 

 

決意の固さを証明するような叫びと共に、恋次の斬魄刀を振り切った。

 

 

 

 

 

**

 

 

 

( 躱すなら、斬らせない…

 

 

 

 

誰かを守るなら、死なせない…

 

 

 

 

攻撃するなら…───

 

 

 

 

 

斬る─────!!)

 

 

 

 

 

(やられた…

 

何だ、今のは…?

 

痛ぇ…

 

体が重い…

 

足が…動かねぇ…

 

腕が…上がらねぇ…

 

クソッ…俺の負けかよ?

 

ちくしょう…!!)

 

 

 

 

 

 

 血にまみれ合った二人の姿があった。

 

 

 

 

 (去っていくあいつを追わなかったのは…

 

 

 

 

 

俺自身だ…─────

 

 

 

 

 

ルキアに、やっと家族ができたんだ…

 

 

 

 

 

邪魔するな…

 

 

 

 

 

邪魔しちゃいけない…

 

 

 

 

 

そう、言い聞かせた…)

 

 

 

 

 

「───だが…今にして思えば、ビビってただけなのかもしれねーな、俺は…」

 

 

次々と血が滴り落ちるのも構わず、恋次は喋る。

 

 

「全く…骨の髄まで野良犬根性が染みついてやがるんだ…やんなるぜ…!!」

 

 

自分の弱さを認めるのが悔しくて…

 

本音を吐きだす事にバカみたいに怯えて…

 

 

「星に向かって吠えるばかりで、飛びつく度胸もありゃしねぇ…!!」

 

 

月の導きにも目を背け、星だけを睨んでいた。

 

 

「お前のせいで…ルキアは懴罪宮に囚われた!! そう思うと、腸が煮えくり返った…!!」

 

 

大切な家族を窮地へ追い込んだのだから…

 

 

「だが、そうじゃねぇ!!」

 

 

一護の死覇装を握り締める手に力を込める。

 

 

「俺が、ルキアを止めなかったからだ…!!」

 

 

押し寄せるのは後悔ばかり…

 

 

「俺はあの時、ルキアを死刑囚にするために朽木家へ行けと言ったんじゃねぇ!!

 

ルキアが幸せになれると思ったから…そう、信じたから…!!」

 

 

今さらそんな事を言ったって、どうにもならないとわかっているけれど…

 

思いの丈を言葉に載せる。

 

 

俺は…朽木隊長を超えたかった…!! あの日からずっと…あの人を追いかけて、毎日死ぬほど鍛錬してきた…!!」

 

 

自分に足りないのは力…

 

それさえ磨けば、届くと信じた。

 

 

「だが俺は…結局、一度も勝てねぇままだ!!」

 

 

どんなに手を伸ばしても、星には届かなかった。

 

ぶつけようのないもどかしさ…ただ、それだけが募っていった。

 

 

「あの人は、遠すぎる…!! 力ずくでルキアを取り戻すなんて、俺には…できなかったんだ!!」

 

 

足りなかったのは力じゃなくて…しがみつこうとする勇気。

 

 

 

「黒崎!! 恥を承知で、てめぇに頼む…!!」

 

 

縋りつくように声を絞り出す。

 

 

 

 心の底で思い浮かぶのは、ルキアの親友を自称する朱の少女。

 

 

 毎日のようにルキアを訪ねて仲良く話す姿に心が痛んだ。

 

 

 ー今だから言えるけど、俺お前の事好きだったんだぜ、美月ー

 

 

 

 

 「ルキアを…ルキアを助けてくれ!!」

 

 

 

 

届かぬ牙に火を灯す…

 

 

 

 

 

あの星を…

 

 

 

 

 

月を見ずに済むよう…

 

 

 

 

 

この喉を…

 

 

 

 

 

裂いてしまわぬように…

 

 

 

 

 

 

 

**

 

 

 (また一護の霊圧・・

 

 

 今度はあの白い塔 の近く・・・

 

 

相手は、現世でやりあった、赤髪の男か・・・

 

 

確か、名前は阿散井 恋次

 

 

 

 彼の霊圧、負けたのになんか清々しい感じになった気がするな)

 

 

 

  

 

 潜入先で一人彼女は思う。

 

 

 (私の方も、っと、隊長さんは隊員全部覚えてるかもだから、

 

 会わないようにしないとな、

 

 

 隊主室には近づかないようにしておこう・・・)

 

 

 

 

 (あ、れ・・)

 

 

 突如少しだけの映像(ピジョン)が頭をよぎる。

 

 中世ヨーロッパのような場所、

 

 

 そして、剣を持ち鎧を着た  少女。

 

 

 【絶対に私が王子様を助けてあげる。

 

 それが民衆のためになるんでしょ。

 

 あいつ(神様)のためってのは尺だけど】

 

 

 誰かを守るという決意をした記憶だった。

 

 

 (顔も名前も、国籍すら違う、

 

    でも

 

 

   彼女は  “私”だ。

 

 なんでまた、夢でもないのに・・・?)

 

 

      To Be Continued

 

 

 

 


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