死神達の恋歌   作:yatenyue

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太陽の導き 一章 第一話 魂の行方

美月の死が学校にも知らされた。

公の死因は通り魔による刺殺

 

私は美月が死んだ場所をさ迷った。

 

あの時の、母親を失ってすぐの一護のように

 

一縷の望みをこめて

彼女の魂がまだ存在しているという…

 

 

一話 魂の行方

 

死が知らされた次の日卯月は中学に休まず来ていた

 

 

                   《side たつき》

 

美月が死んでからの卯月は、何を話しても生返事。

いつも見ていた笑顔は消え失せて、もう見れないのだろうかと思うほどの変わりぶりだった。

 

何日かして少しずつ笑うようにはなったけど、

 

それは私達を心配させないための嘘の笑い。

 

わかっていた

 

でも私はまた無力で

 

いつか一護のように時間が解決してくれる

 

そう考えてしまったんだ。

 

本当の笑いが少しずつ少しずつ戻ってきて、

 

私は安心して

 

よかった

 

と思ったんだ

 

心のどこかであの時の笑いじゃないとわかっていたのに

 

 

 

――――――――――★――――★―☆☆☆―★―☆★―☆―★―――

 

 

そして2年と11ヶ月という決して短くない時が巡った。

ゆっくり運命の瞬間(トキ)は迫っていた。

 

 

 

 

 

今日は空座第一高等学校の入学式である。

 

 

2人の馬鹿そうな少年とハニーフェイスの少年がある3人について話している。

 

 

いや厳密に言うと、ハニーフェイスのかわいらしい方の少年は、話を聞き流している。

 

 

馬鹿そうな少年の名は浅野啓吾

かわいらしいほうが小島水色

 

 

見ての通り空座第一高校の新入生だ。

 

 

             《side 水色  少し前から始まります 水色視点が多くなるかもですがそれは 私の趣味です。》

 

 

  

 

 

 はろー はろー

 

 僕から 世界へ

 

 応答 願います

 

 ぼくらのコードは

 正しく繋がっていますか?

 

  ぼくの世界は

  正しく回転している模様

 

 

 

システム オールグリーン

 

 

コミュニケーションは不全―――

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の朝は、電子機器から伝わってくる聞きたくない声から始まる。

 

『…ちょっと水色!?あんた今何処よ?

 

昨日のアタシの話聞いてなかったの!?

 

今日はオトコに会うから電話してくるなって言ったでしょ!なのに何回も何回も…

聞いてるの水色っ!?

 

ホントあんたって子はいつもそうね!

 

少しは母さんの身にもなったら…』

 

 

ぷち、

 

 

母親からの電話を最後まで聞かずにケータイを切る。

 

 

今いるのはナナコさんの部屋。

 

 

中学からの関係で、所謂セフレに近い。

 

 

「またお母さんに電話?えらいわね」

 

 

 

ブレザーの上着を渡してくれるナナコさんにお礼を言うとにこりと笑う。

 

 

 

「母親なんていませんよ」

 

 

 

呆れたように笑うナナコさんはもう何も言わない。

 

 

このやりとりはもう何回も繰り返されてる。

 

 

 

「また そんな事言って?

お母さん泣くよ?

 

今日入学式でしょ?

送ってこか?」

 

 

「…ありがとう、ございます」

 

 

僕は顔は、きちんと笑えていただろうか。

 

 

 

 

 

 

「馬芝中のチャドと黒崎!?」

 

 

ナナコさんに送って貰ってから啓吾にあった。

 

 

 「そーなんだよ!!ふたり揃ってこの学校にはいったらしんだよ!!マジでっ!

 

 それにあの戦姫の雛桜 卯月もくるらしいんだよ!!」

 

 

 「そう、でなんで君が泣いてんのさ。」

 

 

「知らねえのか水色!?チャドと黒崎っつったら血統書つきのスーパーヤンキーじゃねーか」

 

 

ヤンキーに血統書っておかしくない?

 

啓吾によると…

 

ヤクザとヨロシクやってるとか麻薬を密輸してるとか(高校生だよね?)

 

本屋に入ったら五時間くらいエロ本ばっかり立ち読みするとか(…普通じゃない?ってか君もするよね?)

 

 

 「噂でしょ。あったことないんだから。どんな人だかわかんないじゃん」

 

 「バ・・・バカヤロウ!!チャドと黒崎だぞ!?

 

  どんな人だぞ!?どんな人とかじゃねーだろ!!

 

 0歳の時から髪染めてるっつー喧嘩にやたら強ぇーオレンジ頭とその100倍強ぇー2mの巨人!!

 

 しかもその二人さえ手懐け何十人もを再起不能にした戦姫!!」

 

 

 

 

  えーっと・・・まず各クラスに集まってSHR(ショートホームルーム)・・

 

  そのあとで式か・・・)

 

 「その存在自体がもう俺らのバラ色の高校生活をこの世のはてまでおいつめるんだよーー」

 

 

 「あっ、クラス分け張り出されているよ

 

 ほら僕ら1-3だって。」

 

 

 「こっから見えるのか?目いいなおま・・え」

 

感心している啓吾は数秒後、えぇぇー!!!?と叫んだ。

 

 

…うるさ←

 

 

 

 

男子6∥黒崎一護   

            9∥茶渡 泰虎

 

 

 

女子11∥雛桜 卯月

 

 

「茶渡も黒崎も戦姫も3人揃ってうちのクラスじゃねー・・か・・」

 

 

 

 ゴオッ!

 

 

啓吾の言葉は突如突っ込んできた男子生徒によって遮られた。

 

 

流石に、僕も驚いた。

 

 

「チャ…チャドと黒崎だ――!?」

 

 

あ、男子生徒ぶっ飛ばした2人がそうなんだ。

 

 

明るいオレンジの髪の少年と、巨体の…少年?

 

 

ぼーっとしているうちに、飛ばされた男子生徒の仲間に囲まれた。

 

 

「な…ななななな何コレ嘘だろ何コレ!?

こんな冗談みたいな巻き込まれ方とかありえねーよ!!

夢か!?こりゃ夢かなぁオイ!?」

 

 

…うるさいなぁ。

 

 

囲む少年たちの内の1人が前に出てきた。

 

 

「へへ…

逃げられると思ったのかよ黒崎…チャド…」

 

 

今の時代、いるんだモヒカン。

 

 

「と…十方中の大島麗一!!」

 

 

「…キミなんでそんなにヤンキー情報詳しいの?」

 

 

まさかそっち系の道行ってた訳じゃないよね?

 

 

僕はげんなりした顔になった。

 

 

大島に絡まれている啓吾を放置すると、僕はすたすたとオレンジ頭の彼に近づいた。

 

 

一護は大島に絡まれている啓吾を見た。

 

 

「…あっちは?」

 

 

「ああ…浅野啓吾

勉強はダメだけど頭はいいよ

僕の1000倍はいい奴」

 

 

女好きの事は流石に伏せておいた。

 

 

「…すげぇな、おまえ」

 

 

「え?」

 

 

感心したような顔になる一護に、思わず聞き返した。

 

 

「イヤ、友達のこと訊かれてそんだけいいとこばっか答える奴も珍しいなと思ってさ」

 

 

……………

 

 

「小島、言い訳は得意か?」

 

 

一瞬、思考が停止した。

 

 

「病的に上手いよ」

 

 

「オーケー

それじゃ五分で考えといてくれ

俺らが浅野を助けても停学にならずに済むとびきり出来のいいやつをな」

 

 

彼はそういうとダッ、とかけていった。

 

 

 

 

 

 

**

 

 「ふぅー、やっと終わった「こらー」」

 

 

 

 かなり大きな音を立ててカバンが一護の頭に直撃した。

 

 

 「何、私がナンパされてんのをホッと言ってんのよ。だから余計に無効にダメージ与えたじゃない」

 

 いやそれは気味が悪いんじゃない?誰かは分かんないけど。

 

 

 黒い髪をポニーテールに結んだ美少女というべき容貌をしていた。

 

 

 うちの制服と違うものを着用している。

 

 ワンピース型の藍色の制服だ。

 

 いいのかな、指定の制服じゃなくて

 

 馬芝中の制服でもないよね。

 

 

 

 「卯月、周りが引いてるが」

 

 「あ、ごっめーん。ついいつもの調子で

 

 でそのそばにいる二人は新しいお友達?」

 

 

 「ってー、ああそうだよ。」

 

 「なら自己紹介しなくちゃね。

 

 雛桜 卯月よ、クラスは・

3組よ。」

 

 この距離から彼女見えるの?

 

 でもあってるし

 

 「小島水色で、こっちが浅野啓吾です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…イメージと違ったね?」

 

 

「んー…

そうだなー…そうかもなー…

どんぐらい違ってた?」

 

 

ギッ、ギッ、と啓吾が自転車を漕ぐ音が静かな河川敷に響く。

 

 

僕は啓吾の自転車の後ろに乗ってケータイをいじっていた。

 

 

どのくらい、じゃ表せない位…イメージとは違う。

 

 

彼の方が、僕なんかよりよっぽどキレイだ。

 

 

「三馬身、?」

 

 

何処ぞの、冒頭の詩のようだけれど、

 

 

僕らはきっとコードで繋がっていて、

 

 

それは友情だったり恋愛だったりする。

 

 

それらを切らないように切られないようにするのに必死で、

 

 

上辺を見繕って大切な物を無くしたんだ。

 

 

「…今日はナナコさんの事呼ばねーのか?」

 

 

啓吾の問いに、僕はふっ、と笑った。

 

 

「うん

…気分じゃないから」

 

 

「そりゃ よかった」

 

 

啓吾も、ふっと笑った。

 

 

 

 

 

 

はろー はろー

 

 

 

僕から新しい世界へ

 

 

 

僕はきみと出会えてうれしい

 

 

 

僕らのコードは正しくつながりそうですか?

 

 

 

僕の世界は

正しく回転できていますか?

 

 

 

システムオールレッド

 

 

 

コミュニケーションは良好―――――

 

 

 

                《side End》

 

 

 

 

中学時代、一護は髪の色で、私はまぁ容姿で男の人にナンパされたのを返り討ちにしてたらいつの間にか不良扱いされていたのだが、

 

 

 

 まぁ普通に学校生活を送っていたのだけど

 

 

 

 

 入学してしばらく経った日の夜。

 

 

 

 

 

 その日父である雛桜家宗主に呼ばれた。

 

 「なんでしょうか、父様」

 

 聞かなくても任務か婚約話のうちのどちらかだと決まっているけれど

 

 「隣町に除霊依頼だ。依頼書類は玄関先で使用人に渡してもらえ」

 

 事務的な会話。

 

 家族としての会話なんてしたことがない。

 

 母も母で、一族の人の顔色を見るばかりで

 

 

 

   これが私の普通。

 

 

 

 

 

 

  私の大切は

 

 

       

 

     いなくなってしまったから

 

 

 

 

   

 

 

 

    「はい、父様」

 

 

 

 

 

 

 

 

    藍の少女は愁いを込めて笑う。

 

 

 

 

 

 どうってことのない除霊依頼は終わる。

 

 

 

 もう夜の闇があたりを包んでいる。

 

 

 

 「さて、帰るかっ!  なっ!?

 

 (これ虚の気配!!

 

 しかも一護んちの近く

 

 今日日課してないけど、いつも何故か避けたのに・・

 

 死神の気配もするから大丈夫だろうけど、

 

 急いで依頼人に報告して帰らないと)」

 

 

 

 依頼人に電話をし、経緯を報告する。

 

 「~~

 

 (遊子と夏梨の霊圧が乱れた。ということは襲われたか!何やってるんだ死神は!?)」

 

 話しながら、霊圧を探り異変に対し焦る

 

 電話が終わると、最短距離を駆け抜ける。

 

 ビルや建物に飛び乗り、人体に出せる限界以上のスピードを出していた。

 

 「(死神の霊圧が弱まったっ 負傷したか)」

 

 

 

 

もうあの時のような思いはもうイヤだ

    

 

  

 

 だが彼女がたどり着く前に異変が起こる。

 

 

 

 

 

 

 「一護の霊圧が大きくなった

 

 死神化したか

 

 

 譲渡か?

 

     

 

  虚の霊圧も消えた。

 

 

  とりあえず今の垂れ流し量が強くなったせいでおびき寄せられてる

 

      馬鹿どもを片付けるか。」

 

  

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーー次の日ーー

 

 

 

 「急に今日転校生が来ることになった、入れ」

 

 入ってきたのは紫紺の髪と瞳の少女。

 

 「朽木ルキアと申します。いろいろわからないところがありますが、よろしくお願いします。」

 

 

 (この霊圧弱くなってるけど、昨日の死神の霊圧だ。

 

 それにあの偽の身体違和感あるなぁ。

 

 表現しづらいけど、

 

  

   人間らしすぎる。)

 

 

 「えっと黒崎は遅刻だから、

 

   雛桜ーー手を挙げて。」

 

 言われたとおり手を挙げると

 

 「あいつの横の席だ。」

 

 死神が一瞬驚いた顔をしたのを私は見逃さなかった。

 

 朽木ルキアが横に座ったのを見計らい、

 

 「朽木さんだったよね。

 

 私は雛桜 卯月。よろしくね。」

 

 

 

 握手した時に走り書きしたノートの切れ端を渡す。

 

 そこには

 

 

 

 

 

 

  ホームルーム終了後、

 つまり次の鐘が鳴ったあと屋上に来てください

 

        卯月  

 

 

 

      とあった。

 

 

 

 

  ー屋上ー

 

 

 

 「何か用ですか?雛桜さん。」

 

 「その猫かぶりやめなよ、バレバレだから。死神さん。」

 

 彼女は目を見開いた。

 

 「なぜわかったのだ?」

 

 「そんなの霊圧で。昨日一護に霊力譲渡したんですね。」

 

 「そうだ。」

 

 「一護たちを助けてくれてありがとう。

 

 私が知ってるってことは一護には黙っていてね。

 

  

 

    ねぇ、なんで私を見て驚いたの?」

 

 真剣な瞳でルキアを見つめる卯月。

 

 

 「それは、・

 

  同じ死神に同じ苗字の奴がいるからだ。」

 

 「まさか・・ その人の名前美月 ?

 

  「ああ」

 

 

 

 

 美月の魂は 喰われていなかったんだ

 

 

 「そっかー」

 

 心底安心したように、綻ぶような笑みが零れ落ちる。

 

 女神か何かのような、そんな笑みで、どこかそれは、姉に似ていた。

 

 「やはり姉妹だな。

 

 笑い方がよく似ている」

 

 

 「え、そんなの言われたの初めて、ありがとっ嬉しい。美月とは友達なの?」

 

 「ああ、」

 

 「そっちで幸せなんだね。」

 

  --私がそばにいなくても・・

 

   止まっているのは私だけ?--

 

 

 「ところで物は相談なのだが、私の手のひらに “騒いだら殺す”と書いてくれないか?」

 

 「オッケー。お安い御用よ。殺すを大きく?」

 

 「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

私達は気づいていなかった。私たちを見るひとりの女に。

 

 運命の歯車が回り始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前の席の一護は一限が始まってもまだ来ていなかった。

しばらくして1限目が終わった頃、一護が学校に遅れてやって来た。

 

 

 

「大丈夫だったの?」

 

 

 

卯月がなにを言ってるのかわけがわからない一護は回りに助けを求めた。

 

 

 

「だって、一護の家にトラックが激突したんでしょ?」

 

「おかげさまで俺の家族は全員無傷だ」

 

 霊圧の動きわかっているのに

 

    白々しく聞く。

 

 

 

 「貴様……あなたが黒崎君?」

 

 

 

 

──力を失った死神

 

 

 

 

 

 

 

「てめぇ…なんで…」

 

 

 

 

 

──力を持った少年

 

 

 

 

 

 

 

これが 新たな始まりの合図。

それに気付いたのはきっと私を含めて極数人だけだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒崎一護

 

 瞳 ブラウン

 

 髪 オレンジ

 

 職業 学生兼死神代行

 

 

 

 

 雛桜卯月 

 

 瞳 裸眼は藍色。 

   カラーコンタクトでブラウンに

 

 髪 黒

 

 職業 学生兼精霊術師 

 

 

 

 

 

 

 

         End

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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