死神達の恋歌   作:yatenyue

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ホワイトデー記念です。

別ヒロインベースで、原作すべて終了後で片思い連載です

容姿はご自分の好きな容姿でお想像ください

最終決戦編でも暗躍して、本誌で名前のある死者はゼロです。

(それでも死者が0ではない)


切ない恋10題

本気の恋は止めよう
知ってるよ、好きだから
流れないなみだは
好き、だけじゃ、
きっと、この恋も一緒
そろそろ気づいて
ごめんもう笑えない
それは私ではないから
カミサマ、この恋を
さよならまであと3秒

いくらでも嫉妬してあげますよ
私じゃあなたを、癒せない
残念ながらべた惚れ


提供:確かに恋だった



切ないお題で十題

1

 

3人の隊長の謀反から3年の月日が経ちました

 

決して少なくない死者たちを出してから。

 

 

 

 

私、十番隊新入隊員の、草凪 小百合です。

 

今日付けで入隊です!!

 

 

 

 

「失礼します」

 

        「入れ」

 

 

 

 高めの少年声が響く。

 

 

 見たとき、心臓が止まるかと思うくらい、その音が五月蝿かった。

 

 銀糸の髪に、翡翠色の瞳。

 

 とても綺麗な人だった。

 

 

 

 

 

 (わぁ・・美形、かっこいい人だなぁ)

 

 

 私は良くも悪くも人付き合いが得意と言えなくて、全てにおいて平均並み。斬術においては平均以下な私。

 

 

 

 

 

 

 「十番隊隊長 日番谷 冬獅郎だ。」

 

 

 

 

 それは淡い淡い憧れの始まりでした。

 

 

 

 よく失敗する私を見捨てず間違っていても、今回は俺が訂正しておくと言ってくれて

 

 

 隊長なのに、普通の任務も稽古も時間のあく限りでていて、

 

 私をはじめとする平隊員にまで目を光らせて

 

 

 

 

 

 

 

 それは確かに恋でした。

 

 

 

 私が入学して二ヶ月が経った頃、寒い風が吹き始める季節でした。

 

 それを知ったのは偶然でしたが、それを知ることは必然でした

 

 

 

 

 

 

 「あっ、そこの子、冬獅郎いる?」

 

 すぐに名前から隊長にはつながりませんでした

 

 その人はとても綺麗な女性でした。

 

 見た目は私より1、2歳年上の16,7ほどに見える人で絹のように艶々とした朱色の髪に同祝の瞳をもったその人の背には

 

 

 白い、隊主羽織があったのです。

 

 「ひ、日番谷隊長なら、隊主室にいると思いますが」

 

 「ふぅーん ありがと。」

 

 

 その人が去ったあと影で先輩たちが言う。

 

 「私たちってばラッキーよね。

 

 美月隊長復帰まもなく会えるなんて」

 

 「美月隊長?」

 

 「零(「れい)番隊隊長雛桜美月。

 

 そしてうちの隊長の奥様よ。」

 

 

 

 

 

 

それは確かに恋が壊れた音でした

 

 

 

 

 

 

 

(本気の恋はやめよう)

 

 

 

 

2

 

 

 

 「おっ、昨日の冬獅郎の居場所を教えてくれた子、新人さんなんだってね、

 

 冬獅郎から聞いたよ、とても熱心な子だってね。」

 

 「は、はい。とんでもないです。

 

 雛桜隊長」

 

 

 「そんなに固くならないで、ね

 

 どう?十番隊は?

 

 慣れてきた?」

 

 

 優しい人でした。

 

 憎たらしい人なら良かったのに。

 

 それなら、それなら、妬ましく思えたのに

 

 

 

 「は、はい。

 

 皆さん、とても親切で・・隊長も先輩たちも。

 

 特に、隊長は、一人一人に心配ってくださって」

 

 

 「ふふ、

 

 冬獅郎らしいな、あの人だもんね。

 

 彼はよく眉間にしわを寄せたりして勘違いされがちだけど

 

 

 すごく優しい人だもの」

 

 

 私も知ってる

 

 そんなこと

 

 そう叫びたかった。

 

 

 

 

 (知ってるよ、好きだから)

 

 

 

 

3

 

 

 

 

 

 「冬獅郎っ」

 

 鈴の鳴るような綺麗な声。

 

 その声を聞いて思わず私は隠れてた。

 

 隠れる必要なんてないのに・・

 

 

 「なんだ、美月」

 

 知っているはずの隊長のその声には、

 

 聞きなれているはずなのに

 

 全く別物の

 

 大切な人に向ける響きだった。

 

 愛しさが間違いなくこもったそれ。

 

 私たちには向けられたことのない響き。

 

 

 

 「今日も愛してるからねっ」

 

 「・・俺もだ」

 

 

 交わされる言葉に、私は耐え切れなくなってその場に逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

それでも

 

(流れない涙は)

 

 

4

 

 

 久しぶりに私は学院時代で唯一といっていい親友の倉橋 三香ちゃんと、食事に出ていました。

 

 

 「三香ちゃんは、そういえば十三番隊だっけ?」

 

 「そうよーー。

 

 ルキア副隊長は、強くて綺麗で憧れるわーーvv

 

 あんたは日番谷隊長の所だっけ?

 

 第二希望だった。」

 

 そう、私に第一希望は実は四番隊だった。

 

 戦うことが傷つけることが怖かったから。

 

 そのままならよかったのに

 

 そうすれば、こんな思いをしなくても済んだのに・・・・

 

 

 「うん」

 

 浮かない顔をした私に、

 

 「何かあった?

 

     悩みなら聞くわよ。」

 

 

 そう聞く三香ちゃんに

 

 ぽつりぽつりと私は話した。

 

 

 

 「諦めなさい、悪いことは言わないわ。

 

 あの二人の仲を壊すのは無理。

 

 っていうか、日番谷隊長に奥さんがいるのは有名よ。

 

 きついことを言うようだけど、日番谷隊長を好きな人も奥さんの雛桜隊長を好きな人もかなりいるわ。

 

それこそ 両手の指じゃ足りないほどね」

 

 

 奥さん  ・・か。

 

 

 でも、たぶん知ってても好きになっていただろう。

 

 

  

 

 

 

 

 

 (好きだけじゃ)

 

     それはただ一方通行の想いでしかない

 

5

 

 

 

 ある小説を読んでいた彼女は止まった。

 

 

 

 

 

 泡沫の如く消えていく。

 

 儚い好きの感情。

 

 ぐるぐる回る愛と絶望崩れ去ってく

 

 廃墟のごとく

 

 か細い私の絶望と哀嘆の叫びが木霊する

 

 

 ああ、この好きの感情も愛もむだなものでしかなかったのか

            

 

 

  ああ、なんという無常か

 

 

               "

 

  (きっと、この恋も一緒)

 

     この言葉と

 

 

6

 

 

 

 今日も、私の視線は暇さえあれば彼に向いてしまう。

 

 かなり露骨に。

 

 やんわりと松本副隊長からも悪いことは言わないから諦めなさい

 

 そう言われた。

 

 

 

 

 でも、

 

 

 この気持ちだけは気がついてもらいたいんです。

 

 

 

 

 

 (そろそろ気づいて)

 

 

 

 

気がついてもらってもこの好きの気持ちは簡単には無くなるはずはないけれど

 

 

 

 

 

 

7

 

 

 休日、私は、三香ちゃんと商店街の食事処に昼食をとりに来ていた。

 

 

 その帰り道。

 

 

 「買ったわー。

 

 今日買った簪と、着物めちゃくちゃ気に入ったんだけど。」

 

 「よかった・・」

 

 「浮かない顔してないでっぁ・・

 

 小百合、こっちを見ないで。」

 

 「へ?」

 

 私は見てしまった。

 

 その光景を。

 

 その光景から私は目を離せなかった。

 

 それは、雛桜隊長だった。

 

 彼女と一緒にいるのは、 

 

 

      やはり日番谷隊長だった。

 

 そして、それぞれがつないでいた小さな手。

 

 

 彼女にそっくりな顔立ちに、隊長と同じ銀の髪に翡翠色の瞳のとことこと小さく歩く1、2歳の女の子

 

 が隊長の手を握り、

 

 隊長そっくりの顔立ちに、彼女と同じ燃えるような朱色の髪と瞳の同じくらいの男の子が彼女の手を握る。

 

そして男の子と女の子は手をつなぎ合いとてもたのしそうな

 

 

 家族団らんだった。

 

 

 

 桃色の着物を身につけた彼女のその胸側には、おんぶひものようなものがあり、

 

 銀の髪の赤子がその隙間から見えていた。

 

 

 

 「大丈夫?小百合。」

 

 「お子さんいたんだぁ」

 

 

 それは見ていて眩しくなる光景でした。

 

 

 泣きたくなるくらい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ごめん、もう笑えない)

 

 

 

8

 

 

 

 

 すらっとした手足。

 

 サラサラの髪の毛。

 

 つやつやの肌。

 

 大きな輝きを秘めた瞳。

 

 綺麗な顔立ち。

 

 

  強力な力。

  

 

 あの人がどんな人なのか知りたくて

 

 どんな人か分かれば、諦められるかもしれない

 

 そう思って調べてみて

 

 どんなに優しくて強い人なのかがわかった。

 

  たくさんの人の命を助け

 

 幾多の敵を退け、赦した。

 

 

 

 

 叶うはずないって思う。

 

 

 

 

 

 

 

 あの人が、私だったらって思う反面

 

 

 私であるはずないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だってそうだ

 

 

 

(それは私ではないから)

 

 仕方がない。

 

 そう思いつつそのジレンマから私は逃げられない。

 

 

 

 

9

 

 

 いつまでも叶わない恋をしているつもりはない。

 

 だって、そうでしょう?

 

 

 

 でもどうやったら忘れられるのだろう?

 

 

 「三香ちゃん。どうすれば忘れられると思う?」

 

 「うーん。日番谷隊長なら告白してキッパリと断ってもらえば?」

 

 「それができる勇気なんて私にはないよ」

 

 「いつまでもグダグダ叶わない恋してないでさ

 

 勇気出せ!

 

 この告白は叶えるためじゃない。

 

 あんたの区切りをつけて次に進むための告白なんだからさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(カミサマ、この恋を)

 

 

 伝える勇気を下さい。

 

 

 

10

 

 

 

 

「あの日番谷隊長・・」

 

 「ああ、草凪か、どうした?」

 

 「私用で用事があるのですが・・?」

 

 

 「・・ここでいいか?」

 

 「はい(松本副隊長もいないですし」

 

 

 「私っ」

 

 

 

この恋に

 

(さよならまであと3秒)

 

 

 「隊長のことが恋愛対象として好きですっ。」

 

 「・・すまない。

 

 俺には唯一の大切な人がいる・・

 

 だが俺を好いてくれてありがとう・・草凪」

 

 「いえ、奥さんがいると知っていて告白したのは私ですから。

 

 こちらこそ真剣に振って頂いてありがとうございます。

 

 これで、私は前に進めます」

 

 

 

 

 




ここからは今回主人公ではなく、本連載ヒロインでございます。

つまり、冬獅郎の妻です。


11

 私の名前は日番谷 美月。旧姓は雛桜

 ま、みんな知ってるわね

 零(れい)番隊隊長で、産休から最近復帰しました。

 旦那様は、十番隊隊長の日番谷 冬獅郎。

 家族は、今年度に2歳になる双子の子供の兄の冬夜と妹の美夜そして、今回出産した男の子の朔夜の三子ですね。

 朔夜は1ヶ月になります。

 復帰した日、見かけた平隊員の女の子、間違いなく冬獅郎が好きだ。恋愛的な意味で・・

 余裕なんかない。

 私の罪を知ってそれでもいてくれる人だけど

  

 すごく彼はモテるから。


 今日だって、告白されたみたいだし

 嫉妬して、彼がずっとそばにいてくれるなら

 (いくらでも嫉妬してあげますよ)

 
 彼がそばにいてくれるなら私は幸せなんです。



12



 目にしたのは、自宅のTV(これも海依作な霊子で動くもの)での特集。

 「やっぱり結婚する人間と、恋愛する人間は別だな」

 「恋愛は楽しめる人間

 結婚は自分を癒してくれる人間とするものだよね」


 手が止まった。

 私は彼を癒せているのだろうか?

 家事をすべて完璧にはこなせていない。

 夜会えないことも多い。

 子供の世話も任務の時は仲間や冬獅郎任せなことが多い



こんな私がかれを癒せていると言えるか?


結婚と決めたのも、美夜と冬夜が私のお腹にいたからだ。

 






(私じゃあなたを、癒せない)


 そんな不安に駆られた。


13 Lastです。





 「ねぇ、冬獅郎。」

 「なんだ?」

 「あの子に今日告白されたんでしょ?」

 「なんだ、美月気づいていたのか?」


 「だってバレバレだったし・・・」


 私は視線を落とした。

 子供たちは眠りについている。

 「冬獅郎、私と結婚してよかった?幸せって思う?」

 「どうしたんだ、お前。」


 「結婚相手が癒しをくれないとダメだって、

 私冬獅郎の癒しになれてる?」





 「なんだ、そんなことか。

 俺はお前といるだけで、そばにいるだけで幸せなんだ。

 お前は俺でよかったのか?」

 「いいに決まってる。

 私が愛したのは、あなたなんだから。

 過去(前世)に誰を愛したとしても

 今世のこの世界の今に生きる私が愛したのは貴方ただひとりなんだから。」


 「俺が愛する相手も、お前ただひとりだ。

 そんな必要はひとつもない」


 そうして彼女は彼と抱き合った。

 




(残念ながらべた惚れ)


 お互いね




 今の私が愛するのは彼ただひとり

 もちろん前世を忘れたわけではない。

 それも含めて今の自分があるんだから

 
 

 あいつは、美月は俺の唯一。

 絶対なくしたくない存在。

 前世のことを知って戸惑ったことがないといえばそれは嘘になる、

 でもその時間の痛みと悲しみと哀しみを超えて今の彼女があるのだと思うから


 これからも

  私は 俺は

       愛しています。









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