≪side 明良≫
「・・・おい(ーー)、おい(ーー)
~~~~~
おい」
「あ、・・何?明良?」
「何じゃないよ、風。さっきから、読んでるのに全く返事しないし、本当どうしたんだよ、最近ぼーっとしていることが多いぜ。
授業も身が入っていないし
SA落ちたら仕事にも任務にも支障あるだろ」
任務が家でも精霊術師としての仕事、
仕事がそれぞれの副業のことである
風の場合声優業とモデル業である。
「あー、うんありがとう」
いつもより覇気もないし、反応も遅い風。
任務があったのかもしれないが僅かに感じたのは、魔の気配
本当にかすかで俺もただの残り香だと思ったんだ。
――――――――――‐―ー
≪side 風≫
ねむい
どうしようもなく
放課後帰宅前
僕は思った。
「あ、あの…風サン・・」
女の子の聞き覚えのある声…
これは明良のはとこの、・・雛桜留依。
「…なんですか?」
「あの~~~」
声が遠い
そして僕の意識は彼方へと遠ざかった。
――――――――――――――
「姉様っ大好き」
幸せだった時
「嘘だ姉さまが死んだなんて」
幸せが絶望に変わった時
「…姉様は即死じゃなかった?
皐月さんや由宇さんと違って…?
なら…姉様を殺したのはあいつらじゃないか」
赫いアカイ血
飲み込まれる
何度もなんどもナンドモ
繰り返されるユメの中で
風(ふう)はまどろんでいた
その水色の瞳はうつろで涙が幾筋も流れていた。
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≪side 留依≫
「風さんっ風さんっ
どうしたんですかっ
明良っ!!!
風さんが…」
会わせてもらえるように頼んで、2人きりになるのが、恥ずかしかったので一緒にいてもらった明良に助けを求める。
「バカっ
揺らすな、よく集中しろ。
風から感じる強くなった気配に。」
「ふっ はい」
泣きそうになりながら留依はその言葉に従う。
留依の心的外傷(トラウマ)に触れたのだ。
突然、今までそばにいる人がいなくなるというトラウマ、恐怖に
「・・・・これって、魔の気配ですか?」
「迂闊だったよ。
あいつの最近の様子からして夢魔(ナイトメア)だ。
しかもたぶん、希少な方のタイプだ。
家に運ぶよ
俺がこいつの夢に入る。
「私も行くっ」
留依、お前はまだ完全に立ち直れていないだろう、美月さまの死から。
夢魔にそういうのは目ぇつけられるだろうが」
そして、有無も言わせなかったのだ。
留依が自宅から呼んだ車‐リムジン-に乗って急遽家へと帰ったのだ。
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- 6 endー
いよいよ次はこの中篇一番のシリアス話です。