死神達の恋歌   作:yatenyue

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風の結んだ絆 炎の笑顔 3, first contact -風・11歳小学六年生、留依・10歳小学四年生-

2004年12月初めかな、10日は過ぎていたから

 

僕は12歳に成り立ての小学六年生の時

 

  

   

                私が10歳小学四年生の時

 

 

 

     僕

       たちは、出会った。

     私     

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

≪side 留依≫

______

||||||

 

 

そこには少し年をとった御年10歳になる留依がいた。

 

「今日は一族のものが出払っていてな、

 

 卯月はいるが、別件を任せようと思っている

 

 如月の者に頼んで補佐兼パートナーとして来てもらったらしい。

 

 行って来い、留依。」

 

 

 

それを言ったのは、父・総司だった。

 

 

「家の外で待つというのでな、

 

   気をつけるのだぞ、留依」

 

  「はい」

 

 

もう美月姉様の死は、

それがもたらした感情は、

 

一族のものから薄れてしまった。

 

 

 

 大切な人の死を引きずる二人の少年少女。

 

 

方や心の底に煮えたぎる憎しみでそれを隠し、

 

片や、心に押し込め消化できぬ者

 

 

「あの…、貴方が今日行ってくださる人ですか?」

 

 

その言葉に振り向いたのは、私よりいくつか上の華奢な顔に体つきをしているがしなやかな筋肉をつけた少女のような顔立ちの水色の瞳の少年

 

 

 

なぜか、無表情で、感情を見せない人だった。

 

 

風術師の人って、会うの初めてだな

 

  風術師の人の瞳ってこんなに綺麗なんだ。

 

 

  透き通った 大空の水色。

 

 でも、なぜか、すべてを拒絶しているかのように感じた。

 

「…君が今日フォローを頼まれた人ですか。

 

 僕は如月 風といいます。

 

 フォローはしますが、しっかりしてくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 精霊術師。

 

 

 それは、世界中いたるところにいる精霊の力を借り、魔と戦ってきた者たち。

 

 その者たちの力は血に凝縮される。

 

 約千年前5人の若者が、五行を司る神と誓約(自らの誓い)と契約(血を次ぐ者に力を)を結び(この人たちを初代と呼ぶ)、

代々続いてきた。

 

  それが私たち精霊術師の起源である。

 

 

 今やその直系は影の五大天皇家として重宝されている。

 

ときどき天皇家が降嫁してきたり、こちらから言ったりするほど高貴である。

 

というのも初代が天皇家に近しかったかららしいのだが…

 

 

 

とはいえ五大家は、それぞれの子孫の家系である。

 

もつ力はそれぞれ違う。

 

雷の神無月

 

地の大道寺

 

今は亡き水の神名

 

そして

 

  留依の家である炎の雛桜

 

  風の家である風の如月

 

 

 

水は変幻自在

 

地は「生」と最も繋がる(というか人は地の上に立つし)ので、治癒力が地の力により異様に高い。

 

属性は細かく“大地”と“植物”に別れる

 

雷は、最も炎に近いもので中には炎を少しだが操れるものがいる。

 

(まぁ、すごく遠いけど血が繋がってるし。

 

 誰も知らないけど初代がいとこ同士)

 

そして、

 

  私の雛桜は浄化の炎。

 

 悪しきものだけを滅する、また最も破壊力を持つ

 

まぁ、私はそこまで繊細に操れないんだけどね、まだ。

 

 

操るその最高位の炎は黄金。

 

如月は、風なのだが、風は最も攻撃が軽いといわれる

 

実際、同力量の風術師と炎術師が戦うと、円術師が勝つという、

 

 

しかし、風は炎をさらに強くする

 

そのため、最もよく組む組み合わせだったりする。

 

     ------------

 

 

「はじめまして、雛桜留依です。

 

 まだ7歳の初仕事より3年の若輩者ですが、よろしくお願い

 

 

    「言っておきますが僕はあなたたち雛桜家の方を好ましいとは思っていませんから、必要以上に構わないでください」

 

・・・・ なぜですか?」

 

 

 

 

「・・理由もなしに嫌われるのは嫌でしょうし、いいでしょう

 

 約1年半前に起こった事件

 

 それだけです。

 

 ヒントは

 

 さぁ、行くよ、 乗って」

 

 

 

 そして私は車に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

-任務場所-

 

 

 

「・・・はぁっー」

 

金の火花が散る。

 

浄化の黄金の炎が黒き妖魔を焼き払う。

 

その姿はまさに戦乙女。

 

一人で妖魔の群れに向かっていく。

 

着物とは思えない舞うような動きで。

 

取りこぼした妖(あやかし)が類の背後から襲いかかるがその直前に両断される。

 

 

 

 鋭い少し水色がかった風が吹く。

 

明らかに自然ではないカゼが。

 

 

「・・突っ込みすぎです。留依さん。」

 

「ごめんなさい。でも風さんなら大丈夫だと思って」

 

 

さっき明らかに嫌い発言をした風を信頼する、

 

穢れを知らないように笑う少女。

 

その時、こう留依は思った。

 

(だって…何かに夢中にならなきゃ、がむしゃらにならなきゃ、やってられない。

 

家ではいつ卯月姉様に見つかるか分からないから泣けない。

 

  私は、泣いちゃだめなんだから

 

 卯月姉様は泣くのを我慢しているんだから…。)

 

 

 その笑みには、憂いが含まれていた。

 

 その笑みを見た風は一瞬止まった。

 

 風には、少女が、留依が、儚く消えてしまいそうに見えた。

 

 まるで、海依姉様がいつもしていたような笑みのように

 

 注意が疎かになった留依の腕を一矢報いようとした妖が切り裂く。

 

 

 

    

 

 

 

   その腕から血が噴き出す。

 

 

 

 

   赫………

 

 

   赫赫赫赫赫赫赫赫赫

 

 

その血の赫は留依の心に大きな傷を残すキオクを呼び覚ます。

 

 

   美月が死んだときの

 

 

    あたりに飛び散った赫が

 

 

「・・あっ・・ っ-----------」

 

声亡き叫びが響く。

 

制御を失った炎が妖をそして周りをも焼きつくそうとした。

 

 

「…っ落ち着いてください、落ち着けっ

 

   留依さん・・・・留依っ」

 

 

それでもなおその瞳からは涙が流れていなかった。

 

 

そんなこと普通の自然界ではありえないことだけど、

 

風(かぜ)が炎を押さえつける。

 

 

少しためらいはしたが、風は頭1つ分ほど低い留依を後ろから抱き締めた。

 

 

(いや、この時点では深い意味はないよー

       by ユエ)

 

 

「……ふうさん?」

 

    

肌に感じたぬくもりに正気に戻った留依は言う。

 

    ・・

「私また暴走しちゃいました?」

   

 

彼女は半年前美月が死んだときから、血液恐怖症になってしまった。

 

精神的にもまだまだ幼い彼女はそれゆえよく暴走してしまうのだ。

 

 

いつもは彼女と一緒に任務をするのは親しいはとこの明良だった。

 

いつも迷惑をかけ、いつもは強制的に意識を奪われる。

 

「ごめんなさい、・・迷惑掛けて」

 

 それには明良に対しての思いも含まれていた。

 

 

 

 

「風でいい。

 

  はっきり言わせてもらいます。

 

 あなた、そんな風にため込むのも迷惑です。

 

 血が怖いんですね。あなた

 

 だれか身近な人に相談したらどうですか?

 

ー「だって、これ以上あんな卯月姉様に迷惑かけたくないし、見たくないんです。

 

 私はどんなにつらくても大丈夫です。

 

 明良には一応少しだけ頼っているし・・ね、暴走のときだけですけど」

 

(どんなにつらくても大丈夫?)

 

  なハズがないでしょう。」・・・」

 

 

 

女はえてして精神的成熟が早いという、男よりもずっと、でも・・・

 

「無理しているのは、見ている側も辛いんですよ。」

 

 

風の脳裏に浮かぶのは、けがをしたといても無理に笑う姉の、海依の姿。

 

「・・(余計なことしたか)

 

     よく考えておくことですね

 

   僕は車を呼びに行きます」

 

 

「・・・ありがとう」

 

 小さいが、はっきりした声。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命が流転し始める

 

  

 

 そして、僕は、風は、1年半ぶりに姉様と再会した。(これは、番外編の「二」という字を背負う者 その3のことです。

 

)

 

 

 

  死神になった…姉様と

 

 生前より雰囲気が良くなったのを認めたくなかった。

 

 

 そうじゃないと

 

    今まで無意識に目をそむけてきたことと向き合わなければいけないから・・・・

 

 

 

 

 

        -3 endー

 

 

 

 

 


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