死神達の恋歌   作:yatenyue

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零番隊 再結成 一年3ヶ月後


月の導き  第一章  第九話 皆に明かされる秘密

表には、明かしてはならない秘密・・・

 

 みんなが知ったら、どういう反応をするだろうか?

 

 それが怖い・・・

 

 もっと怖いのは、話す気がない前世に犯した罪を知られることなのだけど。

 

 

 

 

 

 

 

第九話 皆に明かされる秘密

 

 

十番隊の隊主室で私は彼の名前を読んだ。

 

 「冬獅郎!!」

 

 私が冬獅郎と付き合い始めて、つまり零番隊が再結成されて1年と3ヶ月ほどたった弥生の頃。

 

 そろそろ、普通の院生受け入れがぼちぼち始まる頃だ。

 

 優秀なら4月(前の年の)ごろから内定してるけどね。

 

 「美月か。どうした?」

 

 「今日は、定時に仕事終わりそう?」

 

 笑顔で聞く美月。

 

 

このシーズンは特に忙しくて、恋人同士でまだまだ蜜月な彼女らにとっては辛いことなのだが、

 

 この10日程、廊下ですれ違ったり、この隊主室出会うだけになっている。

 

 忙しいのは護廷だけで、零番隊は全く通常とは変わらないのだが。

 

 めったに新入隊員は入ってこないし。

 

 「あー今日も無理だと思うな。

 

 正午過ぎに今日は真央霊術院の六回生の護廷十三隊入隊志望希望者の選出があるんだよ。

 

 三席以下の席官相手にどう戦うかで志望隊と示し合わせて見るから

 

 隊長格は必ず出席なんだ」

 

 「そうなんだ」

 

 しゅんとした態度をとるがすぐに切り替えて

 

 笑顔で言った

 

 「お仕事頑張ってね」

 

 

 

 

 

 それが今日の朝、定時前のやりとり

 

 

 

 

 

 

 

 

 「美月!!」

 

 十番隊隊舎からでて、一番隊隊舎内を歩いていたとき私の名前が呼ばれた。

 

 「何?

 

 ちょっと残念なことが「そんなことどうでもいい、お前の顔からしてのろけだろ」

 

 何、海依だけじゃなくて由宇も一緒、何か用?

 

 定時までまだ10分あるよね」

 

私に話しかけてきたのは

 

 男言葉なぶきっぺらぼうな虹色の光を纏う銀髪に水色の瞳の方が零(レイ)番隊(うちの隊)の副隊長の如月 海依。

 

 そして一言も話していないが、金髪に金色の瞳の色っぽい女が同じく零番隊の四席の由宇。

 

 

 零番隊―― 正式名称御廷十三隊直属特別部隊零(レイ)番隊。

 

 秘密の隊でその存在を知る者はわずか。

 

 知っているのは、冬獅郎とあのくそじじぃ(一応総隊長なんだからそんなこと言っちゃダメ いくら本当のことでも By 由宇) 

 

 それに砕蜂隊長と乱菊さん。

 

 全部のメンバーを知ってるのは総隊長と冬獅郎だけだ。

 

 砕蜂隊長と乱菊さんがはっきり確信してるのは私と海依だけ。

 何人か憶測してるらしいけど

 

 そんな零番隊の現メンバーはと言うと、

 

 隊長

 

   私こと雛桜 美月

 

   元十番隊三席(一年3ヶ月前まで半年間所属)

 

 副隊長

 

   如月 海依

 

 元二番隊副隊長(一年3ヶ月前まで9ヶ月所属)

 

 三席

 

   大道寺 皐月

 

 元四番隊三席(上と同上)

 

 四席

 

  神無月 由宇

 

 元三番隊三席(上と同上)

 

 五席

 

  須王 修宇

 

 元十一番隊四席(9ヶ月前まで所属)

 

 六席

 

  神代 魅

 

  元十二番隊三席(上と同上)

 

  以上 6人である。

 

 

 四席までは少なくとも普通の隊の隊長以上の実力を有し

 

 他2名も他隊の副隊長クラスの力を有する。

  

 

 みんな見た目若くて 由宇や海依、皐月は16歳くらい

 

 魅、須王は20歳くらい

 

 私に至っては 13歳くらいだ。

 

 そのうち、私と由宇達3人は現世からの

 

  ううんもっと前 前世からの朋だ。

 

 

 

 秘密の隊なので、一番隊所属ということにみんななっていて

 

 私は 副隊長

 

 由宇達三人は隊長候補養成ということで特席に

 

 須王たちは他隊副隊長補充要員として同じく上位席官になっている。

 

 

 

 話を戻そう。

 

 

 

 「任務だよ」

 

 私に向かって由宇が耳元で囁く。

 

 隠していう

 

 それはつまり

 

 零番隊管轄の証だ。

 

 

 最近そういうのが多くなった。

 

 いや最近からではないか

 

 残っている昔のデータから察するに

 

 約100年前から増加している。

 

 なにかおそらく人為的な要因だと彼女らは見ている。

 

 その人物が決定的な行動を起こさない限り検挙は難しいだろうけど。

 

 「そう、その出現範囲と実際の管轄部隊、出てくる予測数と出現予想時間は?」

 

 私たちが零として倒したものは一般的にその管轄部隊の手柄としてレベルや数を書き換え処理される。

 

 その功績が褒められることはない。

 

 「範囲は、約半径2km。出現予想時間は13時プラスマイナス20分。

 

 実際は五番隊管轄で数はA級(ギリアンや巨大虚)が2~3体とB級が数十体」

 

 「それだけ?」

 

 零番隊任務としては難易度が低いものだ。

 

 (オイオイ それで充分普通なら多いですよ

 

 何考えてんですか  BY須王)

 

 「それなら、五番隊管轄だから記録操作や周辺探索は念入りにした上で

 

 今回は 須王と魅

 

 一応念のためお守役に海依がついていって。

 

 ていうかそれだけを言うために二人で来たわけ?」

 

 この報告だけなら1人で十分だ。

 

 こんなところで3人もいたら無駄に目立つ。

 

 「あ 海依とはさっき会って別の用事らしいよ」

 

 

 ため息をついたようにいやいやなのか海依が話し出す。

 

 

「実はだな、今日真央霊術院の選出に来れるものは来い・・との総隊長の通達いや命令だ。

 

 見込みがあると判断したものは一時的にそのたいに入れ実力と経験が付いたら、うちの隊にということだ。

 

 そんな簡単に見つかるわけがないと思うんだがな。」

 

 あのクソじじぃは本当に・・・・

 

 何を考えてんだか

 

 でも、冬獅郎といられるし

 

 「OK。私と由宇、皐月は出席するわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は 真央霊術院。

 

 時刻はそろそろ13時を刺そうとしていた。

 

 霊術院生は、下位順位者から最初は一対複数(2~3名)で始め、1組のもののみが一対一だ。

 

 もうすでに一組のものもほぼ終わっていた。

 

 一組の数名は既に内定が決まっている者もいたからだ。

 

 「(おそいの~)」

 

 雀部副隊長が言う。

 

 「これで56名中53名が終了しましたね。

 

 上位(3~6)席官は一通り終わりましたが、またもう一度誰かに相手をさせましょうか?」

 

 「ちょっとまってもらえんか「総隊長遅くなってすいません」やっときたか」

 

 山本総隊長に声をかけるのは皐月。

 

 「桃ちゃん~~」

 

 と藍染から一番離れた方向から桃ちゃんのところに行くのが美月。

 

 由宇はトコトコと三番隊隊長副隊長の前まで行き

 

 「久しぶりだね 由宇君」

  「そうだね、イヅル君。

 

  体調のサボりぐせ少しでもましになったそれとも悪化した?」

 

 「ひどいわぁ 2人だけで

 

 「そこまでじゃ。私語は慎め。

 

 わしの話を聞け」

 

 自由気ままに行動する彼女たちに対し、総隊長の叱責が飛ぶ。

 

 こほんと咳をし、言い始めた。

 

「残り、もう三人じゃからの。

 

 一対一で模擬戦をしてくれんかの?

 

 一応今年の内定者以外の中で上位者3名なのじゃが」

 

 「分かりました。」

 

 私が返事をする前にしたのは皐月だった。

 

 仕切るのは、総隊長。

 

 「では、再開する。

 

 特進学級 1組 木下 翔(ショウ)前へ。

 

 相手は、所属一番隊

 

  席次 特席 元三番隊三席

 

  神無月由宇」

 

 

 

 

 

 

 

         《六回生の中のひとりからの視点》

 

 残るはあと3人だが、相手をする上位席官はもう一回はみんな出てしまった。

 

 誰かがもう一回戦うのだろうか?

 

 山本総隊長は何かを待っているようだった。

 

 その次の瞬間どうやら総隊長の待ち人が来たようだった。

 

 きたのは碧の髪に碧の瞳の女に

   

 

   金髪金目の女に

 

 朱い髪に瞳の少女。

 

 

 前者二人には見覚えがありすぎだ。

 

 約2年いやもう3年弱になるか。

 

 

 死んですぐ、6月中旬の中途入学時に教師を倒しのけるという恐るべきことをした3人のうちの3人だ。

 

 当時4回生だった自分たちはよく覚えている。

 

 一度見れば忘れられない鮮やかな容姿や色彩を。

 

 天女と称されるほどの美しさ。

 

 名前も覚えている。

 

 大道寺皐月に神無月由宇だったか?

 

 最後の少女は見覚えはないが五番隊副隊長の雛森副隊長と親しげに話していた。

 

 

 すぐに総隊長の言葉で雰囲気は引き締められ、

 

 再開した

 

            《side end》

          

 

 

【木下翔】ねぇ。

 

 確か、六回生の推薦を断った子よね。

 

 自分の希望の隊じゃないからって

 

 志望が十三番隊の子だっけ?

 

 珍しく始解を習得済みで下位席官になる可能性アリだっけ?

 

 

 「お手並み拝見と行きますか

 

 

 ほら、先にかかってきなさい。」

 

 何も構えずに無手でいう由宇。

 

 舐めて掛かられたと思ったのかその言葉に乗り、刀でうちに来たが、

 

 

 「動きが遅いっ!!」

 

 鞘から刀を素早く抜刀しそれを受け止めていた。

 

 相手は女だということで舐めていたようだが、片手だけで両手で力を込めた刀を止める膂力に驚いた顔をし目付きが変わる。

 

 そしてさらにスピードを上げ、体に一本打ち込もうとするが、全てが刀で受け止められていた。

 

 相手が刀の構え方を変える。

 

 刀先を斜め下に向け、持ち手を逆にする。

 

 斬術としては間違いなく扱いにくいはずだ。

 

 

 

 「“我の姿を隠せ、朧月夜”」

 

 解号からして、隠密向きだろう、絶対。

 

 そう言った途端まるで相手の姿が消えたように見えた。

 

 由宇も多分相手の能力を分析してるだろう。

 

 自らの姿を隠し、攻撃する能力?

 

 でも、それだけとは思えない。

 

 霊圧も、どこにあるのかわからないような薄い霊気が周りに漂うだけだ。

 

 

 気配を探ってみる。

 

 そこから動いていない。

 

 そこの温度だけ人の温度だということも、私はなんとなくの感覚でわかる。

 

 人間のような高温体を見失うなんてありえない。

 

 由宇の属性は、雷。

 

 だから、体の中にある微弱な電流は、見逃すハズがない。

 

 

 「ほら、かかってきなよ。」

 

 あ、熱源が移動した。

 

 由宇は何かをつぶやき始めた。

 

 どの言語でもない

 

 ただの音の羅列だ。 

 

 「∇∃∵∴」

 

 見えぬ相手の体の中心を捉えたと思うと、その相手は姿を現し、倒れた。

 

 

 

 「えっ

 

 何が起こったの?」

 

 桃ちゃんがふと疑問を口にする。

 

 「それは私が言うね。

 

 体内にわずかに流れる電流を気絶させる程度に増幅した

 

 って合ってるよね。」

 

 「んー合ってるよ」

 

 

 

 

 恐ろしい。

 

 敵に回したくないよね

 

 増やす量間違えれば感電死だし。

 

 

 「気を確かにせよ。

 

  特進学級 1組 咲田 隆 前へ。

 

 相手は、所属一番隊

 

  席次 特席 元四番隊三席

 

  大道寺 皐月」

 

 

 

         《sideさっきとは違う六回生》

 

 決着というか自分には全く何が起こったかわからなかった。

 

 それは一瞬のことだった。

 

 一撃の攻撃も受けず、踊りのリズムを踏むように動き、

 

 そして次の瞬間は倒れていた。

 

 ほかの席官方でも始解を使ったり、せずとも数撃を必要としたりしていた(力加減がうまくなく出さなすぎるという感じです Byユエ)

 

 

 実力が桁違いだ。

 

 特席ということは、隊長候補ということ。

 

 

 しかも相手が悪い うわー隆くんかわいそすぎ

 

 

 よりによって あの大道寺皐月だ。

 

 

 しかし、あの大道寺が元四番隊だったことを聞き、正直本気(マジ)かよ と思ってしまった。

 

 だって大道寺皐月といえば美人な外見とは裏腹に、丁寧な敬語を使うがその言葉の端々に嫌味や皮肉を混ぜる毒舌女だ。

 

 

 彼女に言われた一言で学院をやめた子までいる(心が弱いのが悪いのよ By皐月)

 

 そんな彼女が治療専門の四番隊だったなんて

 

 それも三席だったなんて

 

           《side end》

 

 

 「開始!!」

 

 山本総隊長の言葉が響く。

 

 「お、お手柔らかにお願いします。」

 

 緊張しながら少し怯えるように言うのは皐月の相手。

 

 皐月は優しいけど言葉に毒があるから誤解されやすいんだよね。

 

 「先手は譲りますわ、かかってきなさいな」

 

 どうやら、相手は一番白打を得意とするかそれに一番自信を持っているらしく、そのこぶしでもってかかってくる。

 

 死神の4つの戦法の一 白打。

 

 おどおどしてそうに見えて、なかなか動きがいい。

 

 えっとこの子の第一志望はっと、十番隊ね。

 

 第二志望が八番隊ねぇ。

 

 隊風全く違うんですけど。

 

 皐月は拳を受け、また項だけで受け流したり、ステップだけで避けたりしてる。

 

 皐月の動きって、雑な乱れがないんだよね。

 

 うーーん、うまく言い表せないけど

 

 一番近い表現なら無駄がない、かな。

 

 いつでも、姿勢が正中を貫いてるから疲れにくいし、

 

 私も一応できるけど皐月ほど自然にはできないわ。

 

 皐月は少年の腕をつかみ、合気道を応用して投げ飛ばす。

 

 その動きは素早いので、体勢を崩して飛び退いたように見える人も多くいるでしょうね。

 

 

 「弱いですわ。」

 

 うわ、痛いな。直球すぎでしょ

 

 「白打だけで一直線でかかるのでなく、搦手や速度変化で相手を撹乱するのが戦闘の基本ですわ、」

 

 ほらアドバイスしてるし。

 

 これを受け入れられるなら見所あるわよね。

 

 「そんな、あなたに使える歩法を一つ見せて終わりにしましょう」

 

 

 皐月がゆったりまた早くと緩急をつけて歩くと何人もの皐月が見えた。 

 

 暗殺歩法の一つ「肢曲」だ、

 

 その内の一つが彼の腹側から下から上に胸に向かって振り上げたように見える。

 

            ーー違う

 

 それを、少年は腕を交差して防いだように見えた。

 

 

 「惜しいですわ、」

 

 そちらは囮。

 

 首筋に手刀を入れた彼女は倒れこむ少年を片手で支え、

 

 ゆっくり下に寝かした

 

 

 

 

 

 

 あーあー

 

 ややこしいことにして

 

 見所があると思ったのはいいんだけどね

 

自分の技をこんな藍染のいるところで見せるなんてそれ以外ありえないし

 

 どうすんの?この空気

 

 まさか私にどうにかしろって?

 

 

 

 

 隊長格は動揺していないようだが、副隊長や三席以下は動揺を隠せない。

 

 

 長生きな総隊長や雀部副隊長、浮竹さんや京楽さん、卯の花さんはおもしろささえこらえているように見える。

 

      藍染の微笑みには恐ろしさを感じる。

      あれは心からの笑みじゃない。

 

      あの人の心が全然見えない。

 

 冬獅郎は私たちに常識を求めないのが一番だとわかったようだし

 

 海依が二番隊時代使ったことがあるのか、砕蜂隊長 には一つも動揺がない。

 

 

 副隊長は全滅かよ、多かれ少なかれ動揺してるし のんきなやちる以外。

 

 

 

 「隊長、今のは一体? 幻ですか?」

 

 そう言うのは乱菊さん。

 

 幻 ねぇ 残像って言ったほうが正しいよね

 

 また私が説明しなきゃいけないのかな

 

 とめんどくさそうに口を開いた

 

 そんな時

 

 

 「暗殺術の一つ。肢曲。

 

 足運びに緩急をつけることで残像を生じさせ敵を幻惑する技で暗歩と呼ばれる無音歩行術を応用した高等技術だ。

 

 しかし、これを習得するためには何年もの修行が必要だという」

 

 

 砕蜂さんが言う。

 

海依が教えたか、調べたのかな。

 

  

 

 尸魂界(ソールソサイティー)の技術にはなかったし、

 

 まぁ現世でも裏と関係してるほんの一部だけだよね

 

 もう知ってるのは

 

 うちは、職業を秘密にしている一部以外に隠しているし、知っている人の中でも疑う人が多い。

 

 だからか、暗殺者が送られることが多々あったりする。

 

 敵を知ることは大事だ。

 

 だから、覚えている。

 

 

 「私(ワタクシ)は、1、2ヶ月でできるようになりましたけどね、由宇や美月はどうでした?」

 

 皐月は、私や由宇の近くによりながら言う。

 

 (3と5の間)

 

 「んーあたしは、3ヶ月ほどかな?

 

 海依も使えるしね」

 

 「私?私も

 

 1,2ヶ月くらいかな?

 

 修行担当の師の桃バアは本気で厳しかったし、」

 

 「あ、美月の修行をつけたのも桃ばァ?

 

 本気であの人は厳しいからねぇ

 

 でも5年以上かかる修行を短くしようと考えたら適任だよね

 

 修行は地獄の特訓とか言われるし、最後までついていけるやつなんてほとんどいないけど。」

 

 

 

周りはそっちのけで会話している3人

 

 「由宇たちは何時にやった?

 

 私は妹と、3歳の時から1年間」

 

 「あたしと皐月と海依は幼等部に行きながらだったけれど4歳から2年かな?」

 

 「幼等部?

 

 私はそれは行ってないな?

 

 義務教育じゃないし」

 

 「あのーーー

 

       美月ちゃん?

 

 3人で納得したように話さないでくれないかな。」

 

 そんな私たちに勇気を持って話しかけてきたのは、桃ちゃんだ。

 

 桃ちゃんに話しかけられて、周りを見回すと不思議そうにしている皆の姿。

 

 まぁ、冬獅郎は呆れたように私を見て

 

 吉良副隊長は胃をおさえて

 

 卯の花隊長はニコニコ笑っていたけど

 

 

 

 山本総隊長は 少しでも私を知ろうと止めていなかった。

 

 彼が私に誰かを重ねているのは分かっている

 

 まぁ 誰かはわからないけど

 

 

 自分に害が及ばないならどうでもいい

 

 それに私の実力を認め、そして尊重してくれる

 

 それだけで十分だ

 

 

 

 「ごめん、桃ちゃん。

 

 私たちはねぇ生前同じような家系出でねぇ

 

 一言でいいなら、精霊術師っていう妖怪退治や除霊浄霊を生業にする家の出身なの。

 

 まぁ、属性や一族は違うけどね。

 

 精霊っていう力在る者の力を借りて戦うの

 

 私は炎を司る炎術師、由宇は雷を司る雷術師

 

 皐月は植物や地を司る地術師、

 

 そして海依は風を司る風術師。

 

 みんなその一族の直系だからいろいろ境遇とか似てるのよ。

 

 例えば、12歳までに義務である修行として5年以上かかる拷問や毒への耐性を作る訓練や、様々な武器の扱いに体術、精霊術に他術式全般に気・霊気の操作等々な訓練を受けなきゃダメなんだけど

 

 とくに私たちを担当した

 

    重鎮で雛桜 桃子

 

    通称 桃ばぁ

 

 は厳しいので有名でね、1月でさえ持つ人がいないんだよね。

 

 私たちはそれを無事終了したってわけ     

 致死量の毒物や麻痺物を飲ませたり、100万ボルトー雷に感電する量を流されたり、ね。」

 

 「あたしは最後のなかったね。

 

  だって雷術師のあたしには電流なんて意味なんてないもんねーー。」

 

 

  「「「「ー・・・・・」」」」(彼女ら以外。全員)

 

 そのうち一人

 

  冬獅郎が

 

 一番早く立ち直り(突飛な美月の行動に慣れている)

 

 「それに4歳か、よく死ななかったな

 

              雛桜」

 

  

 

 「それにしても皐月あの子気に入ったんだね。

 

 皐月が自分からそういうことするなんて」

 

 そう言う由宇。

 

 「まぁ、見所ありましたしね。」

 

 

 回復した総隊長が言う

 

 「気を取り直して、

 

   最終戦をはじめる。

 

  特進学級 1組 伊月 奈央 前へ。

 

 相手は、所属一番隊

 

  席次 副隊長 元十番隊三席

 

  雛桜 美月」

 

 

 私が前へ出たときそれが起こった。

 

  

 

 

 

 

 バンっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふすまを開ける、大きな音が響く

 

 「はぁはぁはぁ」

 

 息切れが聞こえる。

 

 そこには2人の男女がいた。

 

 灰色の髪が首のあたりで少し長めな襟足をしていて、黒い瞳の青年は髪を水で濡らしたようになっていて

 

 もうひとりの女性は栗色の髪を二つに頭の上の方は小さく編みこむように顔横あたりからはゆるくお下げにし、

こげ茶の瞳をしているが、やはりその髪も水に濡れていた。

 

 女性の方の死霸装は改造され、肩と袖のあいだに大きく切れ込みが入っている。

 

 

 「須王に魅?どうしたのよ、そんなに慌てて」

 

 「っ、由宇さん、それにみなさんここに居たんですね、

 

 予想外の虚大発生です!!

     ・・・

 いま如月副隊長が一人で応戦中です。」

 

 魅が言う、

 

 まだ、私は須王は下で呼ぶほど信頼できていないいや、

 

 まだ忘れたわけじゃない。

 

 一歩間違えば強姦されかけたことを

 

 でもこれくらいで人を避けてる場合じゃないし

 

 気にするなと伝えておいた。

 

 またそれたが

 

 須王も魅もすり傷や切り傷が多数あった。

 

 魅は須王に寄りかかっている。

 

 須王が続けていう

 

 

 「虚数は予想の数十倍 S級の大虚だけで40体以上、A級の巨大虚が50以上B~C級虚 200体以上です。」

 

 「海依に怪我は?」

 

 海依に怪我がないなら、卍解ありだと時間はかからず、自分で片付けられる。

 

 なくても、時間がかかるが片付けられる。

 

 「腕と背中に大きな裂傷が出来ています、重症の部類です、

                 ・・

 すいません、片方は私のせいです、隊長」

 

 

 あ

 

 

 

 

 

 

 言っちゃったよ、魅

 

 どこか抜けているんだから、見てて悲しくなるほどの純粋な純愛をしてる彼女。

 

 

 応援したくなる。

 

 見れば彼女たち両想いな気がするんだけどね、

 

 まぁそれは置いておいて

 

 「(はぁ)」

 

 ため息を小さくつき、私は喉を震わせ言の霊を外に出した。

 

 

 「分かった、私が行く。

 

 由宇、ついてきて。

 

 皐月、2人の傷の手当てお願い。

 

 《開錠‐カイジョウ‐》

 

 山本総隊長、説明よろしくお願いしますね。」

 

 

 そして私は、現世に降り立った。

 

 

 

            《side 皐月》

 

 「山本総隊長、どういうことですか?」

 

 そう動揺はしているが、冷静な口調で尋ねるのは、八番隊副隊長の伊勢 七緒だ。

 

 私は肩を叩かれ後ろを見ると、そこにいたのは顔は笑っているが目は全く笑っていない

 

  卯の花 烈隊長だ。

 

 「皐月、どういうことか説明してもらえます?」

 

 

 私自身が被害に遭うとは

 

 このにじみ出る腹黒さ。

 

 仕方ないでしょう

 

 「少し待ってもらえますか?卯の花隊長」

 

 魅と須王を治癒霊力を使って治した。

 

 そして、なくなった体力などを回復させるため、自分の斬魄刀である宇紀癒(うきゆ)で治癒結界を二人の周りに張った。

 

 結界の副作用なのか、強力な眠気が対象者を襲う。

 

 二人の瞼が閉じられる。

 

 

 知られる時が来たのね、

 

 

 あの子は

 

 私の妹のようなあの子は

 

 これを恐れていた。

 

 私は隊長格のみなさんの前にたった。

 

 私はそこまで彼らを信頼できていない

 

 私はそういう経験を積んでいるんだから

 

 でもあの子は

 

 

 力を持つがゆえ利用されかけたことがある。

 

    ‐それから逃れて犯してしまった罪があったけどー

 

 

 力を持つがゆえ恐れられ、化物と呼ばれたことがある

 

    ー大切なひと握りの人が受け入れてくれるだけで生きられたけれど

 

     今とは異なる(パラレル)彼女が、親友に化物を見るような目で見られて

 

     傷ついた姿を覚えている。

 

 

 

 彼女たちが、あの子を美月を裏切ることのないことを信じたい

 

 

 どうか傷ついたあの子をこれ以上傷つけないでーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 「私たちは一番隊のものではありません。私たちの所属は零番隊です。」

 

 知っている人以外は驚いた瞳や表情を隠しません。

 

 驚いていないのは古参の隊長たちー四番隊隊長 卯の花 烈、八番隊隊長 京楽 春水、十三番隊隊長ーでした。

 

 

 うるさく叫ぶ醜い豚大前田二番隊副隊長。

 

 「うるさい、黙れ大前田」

 

 ナイスですわ、砕蜂隊長

 

 

 醜いものは目に入れないに限ります。(酷)

 

 たとえ蹴られて吹っ飛んでいる奴がいようと←←

 

 

 そんな光景も無視して皐月に声をかけるのは卯の花隊長だ。

 

 

 「零(レイ)番隊ですか?

 

 王族特務零(ゼロ)番隊ではなく?」

 

 「はい、少なくとは現段階では。

 

 正式名称は、御廷十三隊直属特別部隊零(レイ)番隊といって、私が配属されたのはおととしの12月つまり1年3ヶ月前で、

 

 百年以上前から秘密裏にある部隊でして、

 

 私たちが配属するまで、約20年凍結されていたんですよね。

 

 任務の中心が大虚以上の虚、特殊能力虚などの討伐・滅却や虚の多量発生の対処など難易度の高い任務が割り当てられるため

 

 零番隊は、すべて隊長もしくは副隊長と同等の実力者なんですわ。

 

 今はたった6人で構成されていて、さっきの二人も零番隊の一員ですわ。」

 

 私が説明し終えて反応を見る前に

 

 あの子は

 

 海依と由宇とともに帰ってきてしまいました。

 

 

 

 

《side end》

 

 

 

 

 

 

 

 私は由宇と共に現世に降り立った。

 

 近代的な高層ビルが並んでいる。

 

 そして、空からは大雨がざぁざぁ降っている。

 

 空は暗い雲で覆われ、その隙間からは少しだけ太陽が透けて見える。

 

 これでか、修宇より魅が怪我が怪我が少なかった。それに濡れていた髪。

 

 昼で闇の力が少ないのになんで

 

 と思っていたけど、これでか

 

 

 始解はこの天候じゃ少し威力が減るよね。

 

 それに比べ、由宇の最骨頂だな、この天候は、

 

 カモフラージュもしやすいし、

 

 海依だけにしなくてよかった。

 

 海依の風は威力を強くすると攻撃当てた後消しにくくなるし。

 

 まぁ時間回帰術で戻せばいいんだけどね。

 

 暴風とかっていうふうに処理すればいいけど

 

 それって書類が増えるから嫌なんだよね

 

 (めんどくさがり、)

 

 すぐにわかる霊圧の位置、

 

 

 そこから1km先での霊圧の高まり。

 

 瞬歩で考えながら急ぐ、いつもより霊圧の調節が甘い。

 

 やはり、怪我が響いている。

 

 

 そして見えたのは 銀。

 

 私の瞳に映ったのは、背中から血を流し、銀の髪の一部が赤く血に染まっている海依の姿。

 

 「海依っ!!

          大丈夫?」

 

 

 海依は気づいていたようで、後ろを振り向かず、言う

 

 

 「おっせーよ。」

 

 平気そうに・・・痛みなど感じていないように

 

 

 痛みは判断をおかしくする。

 

 だから痛みに耐えられるよう訓練している、

 

 でも痛くないわけじゃない

 

 絶対使わないつもりだけど、完全に痛覚を遮断することもできる。

 

 「由宇、めんどくさいし卍解で霊圧最小限にして片付けるわよ」

 

 「オッケー」

 

 「“卍解、火輪朱雀(カリンスザク)”」        「“ 四方よりまじわれ、卍解青龍雷輪”」

 

 

 私の斬魄刀“朱夏”の本体の朱金色の炎と霊気を纏う朱雀ー神々しく朱い大きな鳥ー

 

 

 

 由宇の斬魄刀“雷覇”の本体の青白く光る電気をまとい金の光を放つ青龍

 

 

 二つが現れ出て空に舞う。 

 

 

 

 

 私は朱雀七星の名を言った。

 

 「“≪鬼(たまほめ)≫”」

 

 朱金の炎の球体が現れて、中の熱量だけが増えていく。

 

 

 一方由宇の方はというと、

 

   私の溜めのあいだの時間を稼ぐ。  

 

 これは言葉を交わさずとも、時間短縮のために効率の良い方法の一つだからだ。

 

 「雷光弾っ!!」

 

 人間には私たち死神の姿と違って、こういう力は見える。(強いからもあるけれど)

 

 まぁ引火とかしない限りうっすらしか見えないんだけど、

 

 だからこそ、私は集まる力の周りに力の膜で隠している。

 

 由宇が使っているのも、雷光で済ませられるような大規模ではない小手先の技だ。

 

 まぁ、始解と比べると、雑魚技でも10倍増しだが。

 

 

 そして次々と虚を倒していく。

 

 

 

 

 そして、溜めをし、

 

 「由宇っ、」

 

 「オッケー、」

 

  由宇は美月の邪魔にならない位置に移動する。

 

 「発射っ」

 

 朱金の炎の球体から、細い線のように熱線が虚に向かって発射する。

 

 

それは、虚を貫き、塵のように光に包まれて消えていく。

 

 すべてを貫いたことを確認して、刀を収める。

 

 由宇は海依のところにいた。

 

 私もそちらに行く。

 

 「海依・・・大丈夫?

 

 すぐに癒宇(いう)に治してもらうから」

 

 

 由宇に海依を支えてもらい、懐から懐剣ー20センチくらいの小刀ーを取り出す。

 

 さやは付けたままいう。

 

 「“癒せ、癒宇”」

 

 淡い翠がかった白い優しい光が、海依の体を真綿のように包み込み、体の傷をすべて治す。

 

 光がやみ、無傷の状態になった海依になった。

 

 ただし、体や髪に一日はそのままで一部黒ずんできている

 

 それはとても痛々しい。

 

 じっと海依の状態を観察する。

 

 制御器による封印と限定霊印によって八割封印されてさらに残りを八割限定しているから、4%、副隊長レベル、普通の隊長の3割くらいなのに・・・・

 

 

 それなのに4席レベルになっている。

 

 傷の出血を止めるのと、あの二人を連絡にやるための囮に使ったとしても、やはり無駄に消費してる。

 

 私の“癒宇”は、霊圧は回復できないからなぁ、

 

 皐月の“宇紀癒(うきゆ)”に霊圧回復してもらうか、時間置けば回復するけどやっぱり心配だし

 

 「ありがとな、帰ろうぜ。」

 

 治してもしばらくは惰性で痛いはずなのに、

 霊圧を無理やり封印したやつ以外を半分以上使っちゃったはずなのに

 

 

 本当根っからのお兄さん体質なんだから

 

 そんな海依のおかげでの安心もあるしなあ

 

 私って本当頼りすぎな気が・・・

 

 

 

 でも、

 

   帰る

 

   それを聞いたとき、バレてしまったことを思い出した。

 

 皐月か総隊長が話してくれているはず。

 

 でも、それを知って彼らは私にいつも同じ態度でみんなが話してくれるかな・・・

 

 

 

 

 怖い・・・

 

 

  思い出す

 

  パラレルの“私”に向けられた親友だと信じていた少女の恐れの目を

 

  頭が良すぎて、そして才能がありすぎた自分に向けられた一族のほとんどの人たちの恐れに満ちた瞳と、裏で囁かれた悪意の満ちた言葉を

 

 前世(かこ)の私に向けられた血だらけの私に向けられた【化物】という言葉を

 

 

 

 

 向けられるかもしれないそれらが怖い。

 

 

 「由宇、海依に肩貸してあげて、まだ本調子じゃないだろうし、

 

  頼れるときは頼ってね。」

 

 自分じゃなくて由宇に頼んだのは、海依の矜持を尊重してだ

 

 海依は、私や妹に頼るのは極力避けたいみたいだ、海依は私たちを妹のように思ってくれているから 頼りすぎたくないらしい。

 

 ほんと、世話のかかるお兄ちゃんだこと(女の人です)

 

 「なんかあったのか?由宇、ちょい暗くなってるぜ美月のやつ。」

 

 「バレちゃったのよ、零番隊のこと。」

 

 それだけで私が何を恐れているか考えているかわかったのだろう

 

 小さくため息をつき、ニヤリと笑い人差し指で私の額に軽くついた。

 

 「ばっかだなお前。

 

 どこの隊だろうと俺は俺だし、お前はお前だろう。

 

 大丈夫だ。あいつらなら。

 

 俺たちが信頼したやつだろ、

 

 まぁ、藍染のやつにバレたのはちょっとめんどくなるけどな。」

 

 

 

 

  

 

 零番隊のみんなは、いや朋はいつでも私に欲しい言葉をくれる

 

 由宇も海依も皐月も

 

 私の大切な人。

 

 だから、零番隊を、そして私の大切な人も絶対になくしたくない

 

 

 そして、私は 尸魂界へと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

  現世よりの扉が開く。

 

 

 「皐月っ!!ただいまー」

 

 私は、こっちに帰って最初に、この一言を言った。

 

 「おかえりなさい。

 

 でも、私の他に最初に言わなければいけない相手がいるのでなくて?

 

  海依、おかえりなさい。

 

 随分やられたわね。

 

 ・・

 また、人間の子供を庇ったりとかじゃありませんよね。

 

 それに、須王たちの怪我が少なかったです、その分あなたに負担がかかったんじゃなくて」

 

 

 帰って早々毒舌全開です、皐月ーー

 

 でも、そこで、思考は閉じた。

 

 

 「「美月ちゃんっっ」」

 

 片方は後ろから、もう片方は正面からの衝突だった。

 

 

 「桃ちゃんにやちるちゃん!?」

 

 後ろから体重をかけてきたのはやちるちゃんで、

 

 前から抱きついてきたのは桃ちゃんだった。

 

 「えっちょっと何」

 

 そして、桃ゃんは少し瞳を揺らしながら言った。

 

 

 「どうして言ってくれなかったのよ、水臭いじゃない。そんな危険度の高い隊・・・

 

  ちゃんと言ってよっ」

 

 一方、やちるちゃんは、

 

 「隠し事はメッだよ。

 

 いつもあたしが言ってるじゃん」

 

 私を心配する声

 

 そして、私を受け入れる声。

 

 それが嬉しかった。

 

 私が、零(レイ)番隊と知っても変わらない態度に。

 

 「ごめんね、本当にごめんね」

 

 私は、そう言うしかなかったのだが、その時、胡散臭い笑顔の市丸ギンがその空気を壊した。

 

 胡散臭い笑顔だけど

 

 藍染よりましだ、市丸さんの心の奥深くに誰かだけがいると思う、その人以外すべてを捨ててもいいと思える人が

 

      昔の閉鎖的だった“最初の罪を犯す前の私”と同じように

 

 

 「そういえば、由宇は何席なん?」

 

 由宇は、それを知ってもなお、信じたいと思っている。

 

 なら、私も信じよう、彼を。

 

 それに彼の唯一に人が誰なのか薄々気付いてるし・・・

 

 私の瞳で橙が揺れた。

 

 「皐月、そこまでは言わなかったのかよ。」

 

 「怪我して帰ってきて生意気言いますわね、海依。」

 

 「じゃあ、改めて本当の自己紹介をする?

 

 みんなここに居るし」

 

 由宇は余計なことを言った、

 

 私が隊長だと知られたらどうなるだろう

 

 まだ、少し怖い。

 

 でも、信じるって私は自分で決めたから・・・

 

 

 「言いだしっぺなあたしから言うね。

 

 知ってのとおり、名前は神無月由宇。

 

 前三番隊三席副官補佐で現零番隊四席だよ。」

 

 キラキラと光を浴びて輝く金糸のような髪に、蜂蜜のような金の瞳を持った由宇は太陽のように笑う。

 

 市丸さんが

 

 「えっ、由宇ちゃんが四席なん?」

 

 とか言ってたけど。それはほっといて

 

 

 「前四番隊三席大道寺皐月ですわ。今は零番隊三席を勤めています。」

 

 爪の先まで動きがきれいに整って、姿勢が良い皐月。

 

 そんな彼女のふわりと波のかかった植物の葉のような碧の髪が揺れ、それより深みのある碧の瞳がまっすぐ前を見つめていた。

 

 

 「如月 海依。

 

 零番隊副隊長で、前は二番隊副隊長だったぜ。

 

 みんな前の地位は知ってると思うけどな」

 

 約一名存在を忘れていたようで砕蜂隊長に再び昏倒させられていたけれどそれは無視して←←

 

 「で、美月ちゃんは?」

 

 無邪気な笑顔で聞いてくるやちるちゃん。

 

 うう 無邪気なその笑顔が今は憎い。(往生際悪すぎ)

 

 

 冬獅郎は諦めとという目で見てくるし

 

 乱菊さんはニヤニヤと笑っている。

 

 

 「雛桜 美月。

 

 前十番隊三席で今は

 

 

 零番隊隊長です。」

 

 

 知っている人以外の驚愕の嵐だ。

 

 

 

 桃ちゃんが

 

 「えっと冗談とかじゃなくて本当に美月ちゃんが隊長なの?」

 

 うんと首を縦に振ると、どうしようといった顔になった。

 

 「じゃあ、強いんだーー、やっぱり美月ちゃん」

 

 とやちるちゃん。

 

 もう話しちゃったんだからどうにでもなれ。

 

 「うーん。

 

 (制御器封印してて)総隊長と同じくらい?

 

 でも零番隊は席官とかあるけど、今の私含め4人はおんなじくらいの実力だよ。

 

 まぁ、相性はあるけどね。」

 

 さっきまで、笑いを堪えていた乱菊さんが

 

 

 「さっき、大道寺三・・・さんがさっきの2人も隊員だって言ってたけど」

 

  「「あぁ」」

 

 

 

 私も、皐月も言われて、そういえばここにいるはずなのに何の反応もない彼らを疑問に思った。

 

 いや、厳密に言うとまだ、寝ているのかと皐月はいる場所をみやった。

 

 

 

 「皐月、治癒結界解いて、」

 

 

 目に見えない透明な膜に気づくものは少ない。

 

 もともと彼女ー皐月が、相手に見えないよう相手を少しでも離れた場所から回復できるよう編み出した技だ。

 

 気配も薄い、

 

 現に、周りは全員ーいや卯の花隊長と山本総隊長は気づいていたようだがー

 

 気づいていなくてはてなが飛んでいる。

 

 「わかりましたわ、」

 

 自然に指を横になぞる。

 

 

 それは、消え、二人の眼(まなこ)が開いた。

 

 

 

 黒い瞳と茶色の瞳が周りを見回す。

 

 

 「あれ?美月隊長。

 

 終わったんですか?」

 

 

 仕事モードが解けたのかふわふわした感じで魅がきいてくる。

 

 「ええ、それより、自分の身分と元隊と席次をみんなに言って、

 

   本当の身分でいいわよ」

 

 

 「はい、

 

 神代 魅。元十二番隊三席で今は零番隊六席です。」

 

 雨風で、ぐしゃぐしゃになっている部分を整えながら言う。

 

 乱れて顔の半分を隠していた髪は横にどけられる。

 

 

 その名と、髪で隠れていた顔が出され、桃ちゃんや恋次(今は十一番隊六席)、吉良さんの顔が変わった。

 

 「魅ちゃんも、零番隊なの?」

 

 「あ、桃。うん、まだ入って1年にも満たないけどね。」

 

 「ん?そういえば同期だっけ?」

 

 「うん、でも魅ちゃんすごいなぁ。」

 

 「そうでもないよ。由宇さん達にはとても敵わないし、

 

 まだ、隊長格の実力ないし」

 

 「見込みはあるわよ。

 

 卍解に至るまであと少しだと思う、けど」

 

 

 具現化に至っているのに、屈服の条件ー私の望むことを達せよーでつまづいている。

 

 私が触った感でいうと、

 

 二つで一つ

 

 浮竹さんや京楽サンのそれに似ている気がする。

 

 

 まぁ、本人次第。

 

 さすがに、5年は待てないけど、2年くらいは待つつもり。

 

 キーは多分、須王。

 

 

 「あとは自分でつかめでしょ。

 

 わかってます。しゅ修宇」

 

 

 

 

 「須王 修宇です、前十一番隊四席で今は零番隊五席をしています。」

 

 「修ちゃんだぁ。」

 

 やちるちゃんに背に乗られている。

 

 

 それに慣れているのか、全く気にしていない。

 

 「草鹿副隊長。

 

   乗るのはいいんですけど、髪引っ張ろうとしないでください。」

 

 「てめぇ、一番隊(じじい)のとこに入ったじゃなかったんだな。

 

 今度死合しようぜ。」

 

 「更木隊長、遠慮します。」

 

 

 十一番隊だったけど、更木剣八崇拝者じゃないのよね、この子

 

 手っ取り早く強くなりたかったとみてるんだよね

 

 魅と同じね。

 

 

 

 

 

 「須王は、冬獅郎と同期入学だったらしいしね」

 

 「う、うん。卒業は桃や私と同じだけど」

 

 魅が答える。

 

 

 「美月ちゃん?

 

 ちょっといい?いましろちゃんのこと冬獅郎って呼んだよね。」

 

 あ

 

 

 また墓穴。

 

 どうしよう、バレてもいいんだよ

 

 だけど、こんな公衆の面前でバレるなんて恥ずかしすぎる。

 

 

 

 「言ってないよ。」

 

 ももちゃんに教えてもいいけどここでバレるのはゴメン被りたいので

 

 ごまかす、100%の笑顔で、が

 

 「言ってたと思うわよ」

 

 ちょ、乱菊さんーーー

 

 何おもしろがってるんですか

 

 全力で私をからかいにかかってますよね。

 

 左手で落ち着けというように自分の左耳を触る。

 

 がこれが間違いだった。

 

 

 「あっれー、キレイな耳飾り(ピアス)をつけてるんだね。」

 

 耳に私はピアスをつけている、片方だけ。

 

 翠玉がついたそれ、

 

 エメラルドでできたこれは周りを水晶が包んでいる一点ものだ。

 

 エメラルドの宝石言葉は、心身を美しく保ち、富や名声をもたらす。

 

 水晶は、潜在能力を引き出す。

 

 ちなみに、封印制御器の石は、ガーネットで意味は心を豊かにし、大切な人との絆を深めるだ。

 

 エメラルドは、恋愛成就のお守りとしても使われるんのよね

 

なんで、こんな宝石言葉を知ってるかって?

 

 そりゃ、自分で呪具作りしたりするときに使うからよ。

 

 まぁ、雑学としても覚えてるけど。、

 

 だってエメラルドは扱いづらいし

 

 

 それにこれを買ったのは この色は冬獅郎の瞳の色だから・・・らしい。

 

 真顔でいうを照れるけどね

 

  っていうか実際もらったとき照れたし

 

 

 

 

 「あー本当綺麗。どこで買ったの

 

 ?あれ、これどこかで見たことが。

 

 それに片方だけ?」

 

 「・・・」

 

 「どこで見たんだっけ?

 

 

 

 あー思い出したこれ、しろちゃんが引き出しに綺麗に箱に入れてしまってたやつの片方ーーーー」

 

 「あーもうじれったい。

 

 いつかバレるんだから気にしない

 

 そうよ、美月と日番谷君は付き合ってるわよ。」

 

 由宇ーーー

 

 何はっきりこんなところで言ってくれてんのさ

 

 マジで泣きそう。

 

 「シロちゃんとやっとくっついたんだ

 

 知らなかったなーー(あとでシロちゃんに問い詰めよう)」

 

 

 

 

 

 

 

 恥ずかしいやらなんやら

 

 でドタバタでその日は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 おまけ


 「じゃあ、もう公にこれつけていいのね」

 由宇がいう


 「これってなんのことさ」

 イヅルが言うと、由宇が懐から取り出したのは副官章とデザインがよく似たもの。

 布でつながれたそれ。

 だが、材質は王水以外に溶けることのない金。

 そこには零と書かれている。そして、その下地には薄く薔薇が描かれていた。

 「これよこれ、まぁ隊章かな。

 普通の隊の副官章みたいなやつ。

 これがないと、隊舎には入れないんだよね。」


 「そうですね。」

 魅も言う、

 その手には由宇とは色違い、金ではなく銀でできている、

 

 それを、由宇は裏に白い長い布を通し、腰に巻く。

 魅は、それをやはり太い布に証を縫い付け腰にまいた。
(それぞれ、紹介のイラストのように)


 
 

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