死神達の恋歌   作:yatenyue

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サイドストーリー  「二」という字を背負う者 その2

 

 

「二」という字を背負う者

 

 

 

      -2-

    ≪side 海依≫

 

 

 

 

今日が俺の入隊試験日。

 

いやまったくもって心配してないよ

 

逆に相手にどれだけ手加減すればいいかが問題だしな

 

それより俺の機嫌を低下させてんのは、馬鹿で愚鈍な先公どもの俺たちの扱いだ。

 

これだから、無知で無駄な矜持が高い奴はだめなんだよ。

 

まったく・・・

 

 

 

 

海依のいるこの試験場にはもう少人数しか残っていない。

 

 

 

 

というのも、まだ海依たちの実力をまったく理解していないし、しようともしていない大部分の先公(一応ましなのうちの特進の担任くらいか)は、

 

一回生が受かるはずがないとかいう考えから最後に回しなおかつ、

 

 

先に終わった六回生の蔑み、ねたみ等の視線がそれを悪化させている。

 

身の程を知れよ、お前ら。

 

 

 

 少し機嫌が悪いが見た目はほぼいつもどおりなため、付き合いの長い朋である皐月と由宇以外はそれにきづいていないようだが、

 

もしキレた時も止める気はサラサラない。

 

(実はこの二人も少し機嫌が悪い)

 

 

 

 

ちっ

 

 逆にこう考えることにするか

 

 ギャラリーがうるさくなくていい

 

 

 

数人の女子が見学に来ようとしていたが丁寧にお断りした

 

総隊長が言う

 

「今よりは、今年の卒業予定者以外の推薦者を行う。

 

今回は3名。いずれも一回生である。

 

二、三、四番隊以外の参加・見学は自由じゃ」

 

 

ぞろぞろと出て行く六回生(かわいそうに落ちたやつもいる)や、見る気のない現役死神。

さらに減っていくのであった。

 

残ったのは、言われた隊以外は十一番隊4人と十番隊隊長副隊長、五番隊隊長のみ。

 

 

げっ

 

あの目のわらっていない胡散臭い藍染も(気に入らないやつに心の中では敬称をつけない)いるし。

 

 

八番隊はなんか酒臭かったな。

 

  副隊長にせかされてたし

 

大変そうだよなぁ  よっぽど尊敬していない限り俺は御免だ。

 

 

 

 

 

 

「まずは、(これが、珍しくも砕蜂がわざわざ勝ったら副隊長にと、願ったのは…

 

確かにいい目をしておる)

 

  二番隊志望如月海依、上位席官依頼が出ておるのう

 

   前へ」

 

 

 

いつもどおり後ろで髪を乱雑に結んだ海依がでる。

 

 

こんな日も男子用の制服を堂々と着ている。

 

 

その腰には2本の斬魄刀。

 

もちろんまわりはそれが彼いや海依自身の斬魄刀でなく浅打だと思っているようだが…

 

 

砕蜂隊長が蹴りでお前も行けという言葉とともに大前田を蹴りだす。

 

 

 

 

 

「では、はじめ」

 

まずは小手調べといくか。

 

普通にやれば瞬殺だしな

 

 

視界の毒だから消えてもいいが←←←

 

この前よりさらに威力を抑えてと・・

 

 

「“ぶっつ「言わせないぜ、破道の三十三蒼火墜。」ぶっ」

 

威力抑えたのに、スピードだって抑えたのに刀で受け止めるか?ふつう

 

 

しかも、候補生に対して初っ端から始解しようとするか?

 

まぁ俺に対してのその判断は間違っていないが

 

 

こいつもう目に入れるのも厭だし

 

 

    片方の斬魄刀を抜く。

 

 

 

 

水色の柄(つか)に鍔は風車のような形で色は銀。

 

 それを包む鞘は、水色。

 

  長さは普通の斬魄刀と同じくらい。

 

 

 

そして誰にも聞こえないくらいの声で

 

いや結構離れてるけど五感の発達した由宇や皐月なら聞こえるか、うん

 

 

 

唱えた。

 

 

「“風よ、我が声に応えよ、風華”」

 

 

 

 

 

 

俺の斬魄刀のうちの一本である“風華”は、俺の相棒(パートナー)で、

 

朋の次に永きの間戦ってきた戦友。

 

 

 

俺の魂の片割れ。

 

 

俺は2本持っているが、はっきり言ってこちらのほうがなじみ深いし、信頼している。

 

 

それは、もう一本の斬魄刀である“地生(ちしょう)”もわかってくれている。

 

 

だって、“風華”はもう数十いや二百年くらいの付き合いになる。

 

 

はじめて会ってから、戦えない姿もあらわせない世界も多かった

 

だけど

 

そばにいるというだけで自分が一人じゃないと思ったし

 

 

大切だと思った。

 

まぁ“地生”も納得しているけどよくわがまま言うね

 

うん。

 

だって見た目かっこいい筋肉多い人なのにへたれがあるもんな

 

まぁそれはいいとして

 

 

地生は、“風華”と違って小太刀ほどの長さだ。

 

だって斬り合いに向かない刀だしな。

 

後は色もデザインも一緒だし、

 

 

“地生”も“風華”も、始解しても形も姿も色も何も変わらない。

 

 

だから・・・

 

 

 

 

 

始解しても、さっきの解号が聞こえた人以外気がつかなかった。

 

 

あーー

 

 

聞こえなくても

 

“風華”のほうなら気づくかもな

 

だってうっすら本当にうっすらなんだけど

 

 

刀身に龍の形が浮き出ているから、始解すると浮かぶんだよな。

 

 

ちなみに卍解したらもっと濃く出るんだがそれは後々として

 

 

 

俺は、瞬歩で相手の背後をとったが、

 

 

まぁ腐っても3席その動きに反応した。

 

 

仕方ないか、全力出してるわけでもないし

 

 

 

刀は当たらなかったはずだった

 

 

 

 

 

しかし相手の腹のあたりが切り裂かれ、

 

 

そして倒れた

 

 

≪side 作者≫

 

 

それは簡単。

 

 

 

“風華”の力は、風いや空気に関することすべてを起こす力

 

 

たとえば、ある人物の周りだけ酸素を少なくすることも、竜巻を起こすことも可能だ。

 

逆に空気を増やして密閉空間の気圧を急激に上げたり、光の屈折や反射を曲げたり、ダウンバーストを引き起こすことも可能である。

 

だが、始解状態ではためを必要とするものは本当に長くためが必要になる。

 

 

もともと風は、雷、地、炎、水どれよりも威力が小さいものとされているが、海依に限ってが全くそうは見えない。

 

 

精霊術師の中では最も戦闘向きでなくて、早いが軽い攻撃だといわれ、蔑まれることも数多くある。

 

 

同じ十の精霊を使ったとしたら絶対に負けるし

 

 

だが、逆に空気はどこにでも存在するため情報に特化している

 

であるが、一人に操れる精霊には限界があり

 

 

風術師はそんな中を生きている。

 

 

数を維持するためにも血にこだわるのだがそれはおいておこう

 

 

 

海依が起こしたのは、かまいたち。

皮膚表面が気化熱によって急激に冷やされるために組織が変性して裂けてしまうことだと認識されてはいるが

 

 

旋風の中心に出来る真空または非常な低圧により皮膚や肉が裂かれる現象で、それを部分的にに海依は引き起こしたのである。

 

現実的に自然におこるのは難しいが意図的に海依は操ったのである。

 

 

 

 

「勝者、如月 海依」

 

 

 

 

 

一瞬であろうと視える人がいたのなら驚くだろう

 

 

集まった風の精霊の数と速さに・・・・

 

 

 

 

 

    ≪side 海依≫

 

 

 

俺がもといたところへ戻ろうとすると、総隊長が

 

「待て」

 

 

と俺を呼び止めた。

 

 

 

まだなんかあったっけか?

 

いやないだろう

 

 

相手が弱くてまだ少しむしゃくしゃしていたので少し高ぶり少し霊圧をあげたまま

 

振り向き

 

「俺にまだ何か用が?」

 

「うむ

   おぬしなぜ女子(おなご)なのに、その男子の制服を身につけておるのじゃ?」

 

 

 あー

 

 すごいな 気付いたのか

 

 ま、さらししてるわけでもないし

 

 男装してるつもりはないしな

 

 っていうか逆に女の格好ってうざいんだよな

 

 

 「理由が必要か?

   俺はこっちの色が好きだし、違う性別の制服を着たらいけないなんて

 

  規定されてないだろ」

 

 

と返したが

 

後ろの外野が、

 

 つるっぱげな確か十一番隊三席の斑目一角だっけ?

 

が言う

 

 

「はぁぁ?

 

   総隊長 冗談がきついぜ

 

  こいつはどう見たって

 

男だろ」

 

 

周りには頷いてる人ばかりである。

 

 

いや別にいいぜ男に間違われるのなんてしょっちゅうだし、慣れてるし

って言うか男とか女とかってどうでもいいというかなんというかなぁ

 

ここまで断言されるのもなんかなぁ

 

 

間違われてるとさすがに後々面倒そうだし

 

 

「あのこれでも俺いや私は生物学上は女ですけど…?」

 

女のからだ面倒くさいにもほどがあるけどな

 

 

 

まわりは驚愕に包まれたのだった

 

いちいち男か女か聞かれるの面倒くさいし

 

死神になったらくくるのやめるか

 

 

あと建前で敬語使うようにするか

 

敬語じゃないとぼろが出るしな

 

 

その騒ぎが収まった後

 

「二番隊隊長砕蜂の申し出により、このものを長く空席であった二番隊副隊長に任命する。」

 

いきなり副隊長になるとは俺も思っていなかったが、

 

あの頼りないのが砕蜂さんの右腕にはふさわしいとはまったく

 

思えず、その任命を受けた

 

 

ちなみに皐月と由宇は無事にそれぞれの隊の三席になったんだけど

 

それはまた「三」と「四」をまってくれな

 

 

 

 

 

 

          ≪海依side終了≫

 

 

 

 

  ≪side砕蜂≫

 

 

私が副隊長に推薦した‐如月海依‐

 

垣間見ただけで彼女には、実力があると分かった。

 

 

であるから総隊長にある条件を出した

 

うちの大前田3席に如月海依が勝ったら空席の副隊長に就かせてもらうと

 

 

私の期待は外れず、見事彼女は倒したのだった。

 

 

 

もっていた刀片方は小太刀だったが、力を感じた。

 

しかし使っていたのは間違いなく斬魄刀だ。

 

どういうことだ?

 

終わった後すぐに聞いてみると、これも斬魄刀で2本持っているという。

 

 

私が知る限りでは初めてのこと

 

 

私は彼女の実力に満足する一方なぜかほかのたしか、大道寺と神無月だったか?

 

と話している時なぜかもやもやした何かを感じた気がした。

 

そして、彼女の実力はまだ隠されていると薄々感じた。

 

 

 

 

 

 

   ‐2‐ end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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