死神達の恋歌   作:yatenyue

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月の導き  第一章  第七話 変革の時 後篇

 

もう…逃げることはできない。

 

この運命(サダメ)から。

 

歯車は回り、流転し、

 

炎の少女は、朋(トモ)と再会す。

 

 

 

第七話 変革の時 後篇

 

 

 

 そして次の日、

 

 

「っ」

 

隣には冬獅郎がいた。

 

何回経験しても、処女損失は痛いよな~

 

こんなに早いのもはじめてな気が…。

 

えーと、ユーシィ(第二世)の時が18で、サリア(初代)の時が結局そういうのしなくて、

 

平安(四世)の時は16か17でだから

 

 

早いわ、今世は、記憶はないけど日記によるとあれだし

 

はぁ、ほんと治っててよかったぁ

 

 

 

 

     あばずれなんて思われたくないもの・・・

 

 

    絶対に知られたくない

 

 

    失くした消された記憶(カコ)も

 

 

    積み重ねてきた罪と罰と弱さの過去(ゼンセ)も 

 

 

 

 

 

とりあえず着がえよう、

 

そこで着がえるのは何となく気恥ずかしくて、洗面所で着がえる。

 

ふと鏡を見ると、死覇装を着ても絶対見えるところについた赤い痕が数個。

 

嘘、今日総隊長に呼ばれてて、隊員になる人と顔合わせなのに…

 

とりあえず、首にスカーフを巻く。

 

赤いスカーフを。

 

そして、冬獅郎を起こしに行った。

 

 

私久しぶりによくねたなぁ

 

 

この数か月

  

 

  熟睡なんてできなかったのに…

 

 

 

 本当に信用できる人がいない限り、私は頭の一部が必ず起きている。

 

 眠っているときに刀で切りかかられたりしても絶対に、避けられるほどに。

 

 生前にした修行の影響でもあるけど、もともと修行する前から

 

 双子の妹である卯月と小さい頃だけだけど母様がそばにいなければ眠りが浅かった。

 

 まぁ、この体丈夫でそのくらい屁でもないんだけど

 

 

 「起きてください。

 

  隊長。

 

 

 ・・・起きてますよね、隊長」

 

 霊圧の声に対する反応から起きていることに気づき、

 

 じっと見つめる、そして瞳を泳がせ数度躊躇した後

 

 「…冬獅郎、起きてください」

 

 それと同時に腕が引っ張られ、布団へと引きづり込まれる。

 

 

 「ちょっー・・・

 

  冬獅郎っ!!

 

 総隊長に会いに行かなきゃ。それと普段は、隊長と呼びますから」

 

 「(チッ)仕方ないな」

 

 そうして私に軽く唇を合わせ、起き上がり用意を始めたのであった。

 

 

 

ここは、一番隊隊主室。

 

 そこの控室ではすでに3人の人影があった。

 

 私は声をかけ隊主室に入った。

 

 いつもは、ため口を使うが、こういう時は公私混同しないのが私のポリシーだ。

 

 まあ理性がきれてたら駄目だけど。

 

 「総隊長、遅くなってすいません。

 

 十番隊三席 雛桜 美月です。」

 

 「うむ、日番谷も入ってよいぞ。」

 

 入り、扉を閉める。

 

 この中と外は術により完全防音されていて、中の話は控室しか聞こえないし、控室でもきこうと集中しなければ聞こえない。

 

 

 「まず、これを」

 

 そう言い手渡されたのは、≪零≫と書かれた、隊長だけが着ることを許されたのものー隊首羽織(たいしゅばおり)。

 

 

 その羽裏色は朱ーアカー色だ。

 

 深紅とも、真紅とも、緋色でも、色合いは違う。

 

 羽裏は美月の髪の色を若干薄くした色で、

 

 恋次の赤い髪の色は猩々緋(しょうじょうひ)であるが、

 

 美月の髪の色はいい表現が見つからないが、真朱(まそお)色に紅緋と赤と若干黄を足したような

 

 心が温かくなるような炎の朱ーアカーである。

 

 

 何か色談議になったが、これを受け取るということはもう美月は後戻りできない。

 

 

「一応、秘密裏の部隊であるからして任務や、緊急の時以外は着ないでもらおうかの」

 

 「あの分かりました。

 

 あの隊員となる人が来てるんですよね。

 

 霊圧3つ他に感じますし」

 

 「これ、あわてるでない、

 

      入れ

 

  如月、大道寺、神無月」

 

 3人を見た途端目を見開いた。

 

 

 そこにいたのは、昔亡くしてしまった朋の姿があったのだから・・・・・・・・・・・

 

 

 

         ≪side 冬獅郎≫

 

 

  入ってきたのは3人。

 

美月のやつがどうしてか言葉をなくし様子が変わったが、なにかあったのだろうか?

 

 1人は、隊主会でよく会う二番隊副隊長の如月海依だ。

 

 俺とはまた違った少し水色がかった銀髪に水色の目を持ち、背が高い現世でいう高校生くらいの一応女だ。

 

 

 

 俺も初対面の時は男と間違えた。

 

 どうやら零番隊では副隊長となるらしい。

 

 2人目は、如月の同期で、四番隊三席の大道寺皐月。 

 

 ゆるく波立つ翠の髪に瞳の女だ。

 

 俺の目より若干色が濃く新緑のような感じだな。

 

 おしとやかそうに見えて毒舌なことを聞いている。

 

 第二の卯の花とかいわれているらしいな四番隊では

 

 零番隊四席になるらしい

 

  そして三人目は同じく如月の同期で、三番隊三席の神無月由宇。

 

 二つ縛りにした金髪に同色のひとみが印象的な女だ。

 

 こいつが三席についてから市丸のサぼりが激減したと聞く。

 

 どうやら市丸に容赦しないらしい。

 

 まぁあのサボリ魔にはいい薬だろう。

 

 どこか松本に似た気質も感じるが(からかい好き)

 

  零番隊四席になるらしい

 

 

 

 

 

 

  硬直が溶けたのか美月の発した言葉は今度は俺の動きと思考を奪うこととなる。

 

 

 「皐月姉、由宇さん、海依にい」

 

 

 

       ≪sideend≫

 

 

 

 

最初に私が思ったのはあぁやっとまた会えた

 

 

  という嬉しさだった。

 

 

私が、今世初めて彼女らに会ったのは、1年と半年ほど前

 

小学6年生の時だ。

 

 

私はすでに前世(カコ)の記憶を思い出していた。

 

思い出すした経緯は思い出したくもないし、実際の記憶は消されているから

 

日記でしかそれは知っていない。

 

実の兄にされた陵辱と屈辱の記憶は彼自身によって消された。

 

心の記憶も頭の記憶も

 

次の世になったら嫌でも思い出すことは知っているし

 

過去と今の記憶を共有する異世界(パラレルワールド)の私にはただ漏れだ。

 

それでも今は思い出したくない、

 

 

 

    小学5年生の夏。

 

 その夏は卯月も知らない

 

 知る必要なんかない。

 

 

 

 今彼女らが思い出している保証はない。

 

 罪の記憶なんて

 

  できるだけ長くない方がいい

 

  いずれ思い出す記憶だとしても

 

 

 思い出しているかは間接的キーワードを入れて探りを入れるか

 

 

 「皐月姉、由宇さん、海依にい」

 

 

 だから私は前会った時にした

 

   前世とは違う呼び方をした。

 

 少しの違和感も見落とさないようにそれでいて自然に

 

 何十何百年一緒に過ごしたと思っているんだ。

 

 この際自分のスペックを最大限使ってでもね

 

 

 「「「?」」」

 

 まぁ、思い出してたらその分難しいかもだけどね。

 

 

 「私だよ私、

 

  雛桜家の美月だよ。」

 

 「あぁ、あの時の、ほら皐月に由宇、

 

 

 俺らの最期の任務の時の、双子の片割れ」

 

 「あぁ、あの時の」

 

 「おおう、成長したねぇ。」

 

 「はい、そうだよ。」

 

 今のところ今と昔に違いはない。

 

 とことん他人に興味を持たない皐月に

 

 男らしいけど細かいところには気がつく海依

 

 忘れっぽいけど姉御肌な由宇。

 

 こいつら変わってなさすぎ。

 

  

 「あー、雛桜話がつかめないんだが

 

 お前らは知り合いなのか?」

 

 あ、

 

  いたの忘れてた。

 

 

「あぁ、現世での精霊術師関係の知り合いだよ。

 

 っても一回あっただけなんだけどね一年半前に」

 

 そして私は思い出す、あの時を・・・

 

 

 

           《side海依》

 

 俺たちは動揺を抑えるのに必死だった。

 

 俺たちが過去の記憶を思い出したのは、死んだ直後なせいかその前後の記憶が曖昧になっていた。

 

 彼女にあったときはっきりとそのことを思い出した。

 

 俺たちの死の時の記憶を

 

 ごめん、満月(ミツキ)、水姫(みき)

 

 お前達の前でいなくなってしまって

 

 お前たちの心は弱いのに・・・

 

 

 

 そして俺たちの脳裏にも蘇る。

 

 

 あのときの記憶が・・・

 

 

 

 

物語は過去へと触れもどる。

 

 

          《side過去の美月》

 

 季節は、夏・6月。青々とした葉が木にに茂り、少しむっとした湿気が漂う。

 

 

 私、雛桜 美月は今年12になった小学6年生だ。

 

 子供らしくないのは勘弁してください。

 

 精神年齢はピー歳ですから。

 

 今日も、簡単過ぎる授業に面倒な小学生生活で

 

 

 周りが本気でガキすぎて嫌になる。

 

 私、普通の子達が保育園に行く頃アメリカで大学卒業資格取ってるからかもしんないけどね

 

 理数と医学部のね。

 

 あれは、6歳の時かな。

 

 私は前世(ムカシ)の記憶がもどる前も普通とは逸脱していた。

 

 一度読んだ本はすべて頭に入るし、一歳ですでに周りの言ったこと全てを理解していた。

 

 普通を演じるために、

 

 必死に努力したから普通よりちょっと出来る子というふうだった

 

 

 けれど、3歳くらいの頃かな。

 

 開き直ったんだよね、私は私で何が悪いって

 

 妹と一緒に。

 

 それからは、やりたいことをやるために義務である修行を必死にやった。

 

 5年以上かかる拷問や毒への耐性を作る訓練や、様々な武器の扱いに体術、精霊術に他術式全般に気・霊気の操作を1年で習得した。

 

 暗記とか勉学に対しては私のほうが早かったけど、

 

 実践訓練は妹が上だった。霊圧制御は下手だけどね、私より

 

 ただ、妹は

 

   

   家に伝わる 

 

 

      炎を持っていなかった。

 

 

 私は嫌悪した、妹に対して無能という馬鹿で愚かで救いようのない連中を

 

 修行を担当する師匠の桃バアはそんなバカを蹴散らして見返してやれと

 

 

 この時私は、

 

    興味のない奴らがどういおうと知ったことか

 

 そう考えるようになったんだ。

 

 これも開き直りのきっかけかな。

 

 だって普通を演じたんじゃ妹を守れないじゃない。

 

 すべての修行が終わったのが5歳の時。

 

 やりたいことってっていうと私が興味を持ったのは、理数に医学そしてピアノなどの音楽

 

 家を離れたかったのもあるかな。

 

 保育園や幼稚園に行かない私たちの家にとって(力の制御が効かないから)

 

 家にいるのは

 

    どんなに無関心でいても

 

  妹に対する無遠慮な言葉の刃や態度は

 

 

   苦痛以外の何物でもなかった。

 

 

 だから、信頼できる家政婦さん(語学力有り英語ペラペラ)を一人つれてアメリカに二人で行ったんだ。

 

 お金?

 

 その時は両親持ちだけど、今は自分の口座から返したよ

 

 

 で、小学校入学まで向こうで過ごしたんだ。

 

 妹も同じように大学の体育科を同時期に卒業して

 

 それをしながら私はピアノ、妹はヴァイオリンでコンクールに出たりしてたんだよね。

 

 

 

 

  今?

 

 今はねぇ、小学校に通いつついろんなコンクールに出たりコンサートを開いたこともあるよ。

 

 結構有名なんだよ私たち。

 

 双子の演奏者 ナナ&ナミって。

 

 あぁこれは偽名。

 

 演奏者するときは髪を茶色にして、二人してパーマかけてるからねぇ。

 

 両親は一応知ってる。

 

 精霊術師としての“任務”をきちっとこなせばいいってね。

 

 二人とも私たちの演奏聴いたことないけどね

 

 今月末にもウィーンで国際コンクールだしね。

 

 恥ずかしいけど私、、“女神の息吹”や“天上の音”とか言われてるんだよね。

 

 

 私は私の音楽で、音楽に込められた思いを、伝え、私の思いを作詞作曲に込める。

 

    音楽で人の気持ちを幸せに出来たらな

 

 って思ってるんだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が前世を思い出したのは去年の夏。

 

 よく少し変わったねって言われたなぁ。

 

 

 私の前世(かこ)に犯した罪は、今もまだ贖われていないし

 

 

 いっそう簡単に人を信じれなくなった。

 

 私一応人間好きなんだけどな、

 

 醜くて愚かで間違う生き物だけど

 

 私もその中のひとりだから。

 

 

 

 

 今日も妹である卯月との任務がある。

 

 なんか、他家との合同らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はこの時、再会を予感してたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「今日の合同任務の同行者は、3人とも年上だ。

 

 雛桜の者として恥じない態度を取れ」

 

 

 親子の会話も何もないそれ。

 

 まぁ、仕方ない。

 

 この人の優先順位は一番母で、次が一族そのしたが私たちなんだろうから

 

 

 それが忘れられないあの事件の幕開けだった。

 

 

 

 会った時ハッとした。

 

 

 だって彼女らの容姿があまりに前世の一つである

 

 今の自分の祖先ー 先祖であり超越者であった始祖ーに瓜二つであったためである。

 

 

 血を引いているんだ。

 

 似ていても不思議じゃない。

 

 まだ、朋だと決まったわけじゃない。

 

 そう思っても喜びの感情を抑えきれていたかはわからない。

 

 

 前世と同じ漆黒の髪に水色の瞳を持つ青年(?)。

 

 前世と同様日本人らしくない金茶髪に人としてありえない金の瞳の女。

 

 前世同様茶髪に少しクセのかかったウェーブの碧の瞳の女。

 

 

 覚えている

 

       でも少しうろ覚えで

 

  この体の感覚では感じたことのない

 

 でも心が記憶がそうだと叫ぶ

 

    懐かしい気がする霊圧。

 

 

 「君達?雛桜家の代表って、?」

 

 「は、はい。

 

   雛桜美月です。こっちは妹の卯月。」

 

 

 動揺を隠して言う。

 

 でも妹の卯月は私を不思議そうな目で見てきた。

 

 ああ

 

   気づかれたな、私の様子がおかしいことに

 

 それぞれ私の態度に疑問を覚えずにそれぞれ簡単に自己紹介する。

 

 「如月海依。

 

  如月家で風術師だが、地属性も持ってる。

 

  高一だ。」

 

 と水色の瞳の青年(?)が

 

 

 「私(ワタクシ)は大道寺皐月。

 

 地術師で植物系ですわ。同じく高一ですわ。」

 

 と碧の瞳の女性が

 

 

 「あたしは神無月 由宇だよ。

 

 同じく高一で雷術師。

 

 あっ、多分勘違いしてると思うけど海依は女だよ一応」

 

 と金の瞳の女性が言う。

 

 へぇ

 

 今回は女なんだ。

 

 男だった始祖と全く変わんねー

 

 と私は冷静に思っていたが

 

 

 「えええー

  

 女の人だったの、すいません

 

 私全く気付きませんでした

 

         美月は気づいたの?」

 

 と妹は言う。

 

 前世から海依は中性的な雰囲気を持ち、私たちは生まれ変わるとき女だが、

 

 海依だけは半々の確率で女で

 

 海依は本当に 彼女 という表現が似合わない

 

 と長年一緒の私も思う

 

 けれどこれも海依の個性だ。

 

 「えっと、なんとなくそうかなって。

 

 骨格が男にしては柔らかいし・・

 

  女にしたらすごくガタイがいいとは思ったけど、鍛えてるからかと

 

 

 

 女ってわかってても

 

     海依にいって呼びたいんですけど

 

   ダメですか?」

 

 

 前世を思い出しているなら私たちに敬語を使われたり、さんやにいづけされたら

 

 表情がこわばる

 

 そう思ったけど

 

 なんの変わりもなかった。

 

 

 

 そっか

 

 

    思い出していないんだ・・・・・・

 

 

 失望もあった。

 

 でも、それと同じくらいあんな過去

 

 覚えない時間が多いに越したことがない

 

 

 って

  自分の

 

    悲しいって

 

  痛いって

 

         苦しいって

 

  思いを押し殺した。

 

 

 あぁ

 

     ゛イツキ"は

 

   こんな気持ちだったのかな

 

  

   何の罪も覚えていない私たちに対して抱いた感情は

 

 

 罪を犯したあとすぐの前世

 

     私がマフィアのボスの娘だったあの時

 

 

  無知ではなかったら

 

   あの惨劇を替えられた?

 

 

 

 

 

 

 

 

  そう考えていても半分の感覚は現実にある

 

 過去に浸ることはいつでもできる

 

 そう考え残りの感覚を戻した。

 

 

 

 

  「いいけど」

 

  「よっーし

 

  じゃあ

 

   皐月ねえに由宇さん

 

  さっさと終わらせて

 

    おしゃべりしましょうね」

 

 

 「美月が呼ぶなら私も呼ぶーー

 

 ねぇねぇ 3人って初めて会ったように見えないけど親友だったりするの?」

 

 

 無邪気に聞く卯月。

 

 こういう無邪気に聞けるっていいよね。

 

 私は尻込みしちゃう。

 

 今世の彼らを知ることを。

 

 もし、彼らに災いが多いなら

 

      私のせいのような

 

   そんな気がしてしまうから。

 

 「んー

 

   同じ学園なのよ

 

  聖クロス学園ってしってるっしょ」

 

 「あー知ってます知ってます

 

  従姉妹がそこの初等部に通ってるし、

 

 そこ行くかどうか悩みましたから」

 

 主に会話が弾むのは卯月。

 

 とっくの昔に私の様子が彼女らにあってからおかしいのは気づいているのだろう、さりげなく私に話を振りつつ、私が変に思われないようにしてる。

 

 

 本当は まだ覚えなくていい処世術。

 

 小学校入学してすぐ排斥されたその時についてしまったもの

 

 だから、私はその時から

 

    カラーコンタクトをつけ始めた。

 

  アメリカではこんなことなかったのにね。

 

だから卯月も覚醒したあとカラーコンタクトをつけていた。

 

 ぎゃあ

     また思考がそれた。

 

 「幼等部から一緒だからねぇ、5歳くらいからかな、」

 

 「でも、本気で騙されたよね。

 

 おしとやかな子だったよね、皐月は」

 

 「なんですの、それを言うなら、海依なんてすごく暗かったし、

 

 由宇はすごく静かだったじゃない。

 

 一緒に遊ぶようになってから化けの皮剥がれましたけどね。」

 

 「何、それ失礼。

 

 信用したから決まってるじゃん。

 

 あたしが演技しだしたら剥がそうと思わない限り剥がれないって」

 

 

 「由宇さん、演技って何かやってるんですか、副業で

 

 私は姉さんと音楽コンクールとかに出ていますけど」

 

 「んー?

 

    あたしは、昔は子役で今も役者やってるから女優かな、

 

  ちなみに海依は声優兼モデルで

 

 皐月は<梓弓>の女将だよ。

 

 すんごい、皐月の料理美味しんだから。」

 

 「うわー、食べてみたい

 

   今度食べさせてくださいよ、皐月姉」

 

 

 

 これが最期の談笑になるともしらずに過ごすのだった。

 

 

 わたしは影で無邪気に、あぁ言っていないことがあるかもしれないけど

 

 幸せに過ごしてるんだな

 

 

 よかった・・・

 

 そう思ってた。

 

 

 

 

 

 

ちなみに今は車の中である。

 

リムジンの後ろに座っていながらそういうふうに談笑していると、

 

 

「ねぇねぇ、美月?

 

 これってどこに向かっててどのくらいの強さの何が相手なんだっけ?」

 

 

 私はいつも通りなので呆れるだけですんだが三人はずっこけそうになった。

 

 「いつものことね。

 

 

 場所は、東京と埼玉の県境にある墓地とその近く一帯の山。

 

 依頼者は、政界の大物議員数人

  

 相手は、妖魔でA級程度、数が多いので注意らしくて少なくとも2~300はいるらしいわ。

 

 だから体力配分をちゃんとしてね。

 

 もちろん、戦い時の霊圧は極力抑えて、虚をあまり寄せ付けないように

 

 

   だったと思うわ」

 

的確かつ、海依達が確認した書類の必要事項全てをまとめた美月の言葉に

 

 3人は固まった。

 

 

 

 「あんた、本当に小6?

 

 無駄が一切ないんだけど。

 

 絶対あんたIQ200以上あるっしょ」

 

 「そりゃ美月だもん。

 

 300以上だっけ?

 

 それ以上は測定できないって言ってたよね」

 

 「まぁ・・ね」

 

「うちらが大体200ちょいだからすごいわね」

 

 

( いやいや

 あなたたちもすごいですから)

 

 

そして、つくと車から降り、車から離れすぐそこの墓地に向かう。

 

 

 もちろん、走って。

 

 

残像が見えた。

 

 

辿り着くとそれぞれ戦い始める。

 

 

 

美月の黄金(キン)の炎が焼き払い、

 

 

海依の水色がかった銀の風が切り刻む。

 

 

空がひかり、由宇により雷が落とされる。

 

皐月は植物の蔦で絡めとり植物の毒で倒していく。

 

 

精霊術の使えない卯月は、陰陽術や、譜術で仕留めていく

 

卯月が精霊術が使えないのに任務に出される理由は簡単。

 

厄介者で無能はさっさと死ねという無言の一族の要求だ。

 

精霊術に比べれば一対多に向かない術。

 

陰陽術も譜術も、札がなければ発動しない。

 

 

こっちの世界では陰陽師札がなければただの人

 

のように言われている。

 

ほかの術も媒体がなければ使えない。

 

 

持っていた札が妖魔の触手で破れ、新しい札を取り出そうとしたその手を触手は縛った。

 

「ちょ、きゃあ」

 

卯月の細い腕に食い込むかのように触手が締め付ける。

 

「「「「卯月!!」」」」

 

 

『この女を助けたくば、お前らの力をよこせ。』

 

「みん・な・・・・だめ」

 

苦しげに卯月はいう。

 

触手は腕以外にも、首を絞め、腹に巻つき足首を固定している

 

 

「(死にたくない・・・

 

  私のせいでみんなを殺したくない)」

 

あとで聞いた話によれば、そう卯月は思ったらしい。

 

 

すると、卯月の心臓部を中心に藍色の光が漏れ出した。

 

 

本能的になのか卯月は、瞳を閉じる。

 

「この光、文献で読んだことがある。

 

 力の目覚めか。」

 

   [これは覚醒だった。

 

   封じられた力の]

 

そして卯月が瞳を開くとその茶色だった瞳は藍色に染まっていた。

 

 

「嘘!!たしか藍色って水を司る色」

 

そう言うと同時に心の中ではやっぱりか

 

という思いが渦巻いた。

 

だって彼女の前世は水術師の始祖なのだから。

 

 

 

あたりがどんどん冷たくなっていく。

 

卯月の霊気は、とても冷たくて真冬の風のようだった。

 

「すべて

 

 

凍り付け!!」

 

 

自力で脱出し、あたり一面の妖魔が凍りつく。

 

    

周りの木々まで凍りつき、下の土にはしもが降りる。 

 

 

 

「やったじゃん 卯月!!」

 

 

 負けるわけがないそう思ってたし、どうにか隙を見つけて攻撃しようと思っていた。

 

 それでも、不安だった。

 

 だって、いくら強くてもこの手をとおり抜けてしまうことがあるから。

 

 

 「そうだね

 

  ご老体たちは喜ばないだろうけどね。

 

  炎術史上主義者だし。」

 

 美月は、卯月がいつか力に目覚めるだろうということは分かっていた。

 

 ーーーーーーーー9割の霊力と精霊術を封じられていることまではわからなかったが

 

そのちからの覚醒のせいで今までとは桁違いの肉体の許容量を超えた霊気に、

 

体と魂は悲鳴を上げた。

 

普通私たちは霊力の何割かを通常封印している。

 

分家ではすくない人は封印いらずだが、例えば分家の再従姉妹の佐野明良や従姉妹の留衣は5割封印しているし(これは多い方です)

 

私に至ってはこの腕輪に8割を封じられている。

 

そうでないと脆弱な人間の肉体など崩壊してしまうからだ。

 

だから、いつ目覚めてもいいように霊圧制御器を持ち歩いていたのだ。

 

新しい白い真珠のブレスエットを取り出した。

 

これを、卯月の腕にはめさせて、封印の祝詞を唱えた。

 

持っていた針で自分と卯月の指をさすと血がぽたりと落ちた。

 

ブレスエットの金具に自分の血を落とし、卯月の血を真珠に落とす。

 

「【我が名は、美月。

 

  この者の名、卯月。

 

  我、朱雀の“炎”の力を与えられし者なり。

 

  この者玄武の"水”の力を与えられし者なり。

 

  この者の有りすぎる力の受け入れれる力以外を封じ

 

 また、開放する時その命に従え、

 

   

 

    封印(クロウ)】」

 

 

 

卯月の力がブレスエットに収束する。

 

真珠は藍色の輝きを持つサファイアに変わる。

 

でも、そのことにみんなが気を取られて気がつかなかった。

 

周りにまだ色濃く残る卯月の霊気に紛れて気づかなかった

 

    影があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは気の緩みでもあった。

 

 

 卯月から遠いところにいて凍るのが表面にとどまった上級妖魔は、その氷を破りそして気配に紛れて

 

 

 皐月姉達を貫いた。

 

 

 最後に私が目にしたのは、硬化した触手に胸と腹を貫かれた皐月と

 

 腹を貫かれた海依と

 

 頚動脈を切られた由宇の

 

           姿だった。

 

 死因は、皐月は即死

 

    由宇と海依は失血死だった。

 

 なんで由宇と海依は自分と怪我を直さなかったんだろう。

 

 自分ひとりの傷なら直せたのに・・・

 

 

 その妖魔は、私が倒したけど

 

 卯月は“私のせいだ”ってずっと気にしてたけど

 

 私も悲しかった

 

 

 けれどその先の世界があることを知っていたから

 

 そして、最後の死に顔が穏やかだったから

 

 強く,言い聞かせた。

 

 それでもやっぱり悲しかったけど。

 

 死んだ皐月姉たちに群がる雑魚妖怪を一瞬にして焼き払った。

 

 こんな妖怪どもに髪の毛一本たりとも渡したくなかったから。

 

 

      《side end》

 

 

 

    そしてその約1年弱後私は死んだ。  

 

 

 

 

 

      《回想 side 過去の海依》

 

 

 

  如月海依 15歳 高校一年生

 

 所属 聖クロス学園高等部1SAクラス

 

 職業 学生

 

      兼 精霊術師

 

      兼 声優

 

      兼 男装モデル

 

 

 俺の肩書きをすべて表せといえばこの程度にだろう。

 

 家ははっきり言って居心地はよくない。いや、悪い

 

 いまの母は義理の母である。

 

 音遠(ネオン)。

 

 それが母の名前で、彼女は俺を嫌悪している。

 

 昔はそれでも信じてた

 

 あのことがあるまでは

 

 でも、それは無駄だった。

 

 

 あの家に俺の居場所なんてないに等しかった

 

 ただひとつを除いて

 

 異母弟に当たる風だけは俺を姉として慕ってくれていて

 

 それが俺にとっての支えであり、現世との鎖でもあった。

 

 たぶん、あいつがいなければとっくに俺は自殺していたと思う。

 

 

 風という支えがあっても

 

 

 俺の心は限界が近づいていた。

 

 

 声優って仕事も

 

 

 モデルも

 

 

 すごくやりがいがあって生きてるって

 

 

 感じてた。

 

 

 学校も朋の皐月に由宇、親友の月。

 

 

 幸せだった。

 

 

 不幸もあったけど、それを埋めるほどの幸せがあったのに

 

 

 

 俺は、  どこかで壊れ始めていた。

 

 

 そんな俺が今回の任務であった年下の少女たち。

 

 

 とても幸せそうに見えた。

 

 なんでかしらないけど彼女たちが笑っていると

 

 

 よかった

 

 

 なんて思えた。

 

 

 そもそも、俺たちの作り上げた壁をするりと抜けてしまう彼女たちを不思議に思った。

 

 

 まるでそうあることが自然なように

 

 

 そして腹を触手が貫いたその瞬間

 

 

(  もう、いいや。 私疲れた。

 

 

    死んでも、眠っても、いいよね。)

 

 

そうして、自ら意識を閉ざし、二度と目を開けることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

            《回想 side過去の由宇》           

 

 

神無月 由宇 15歳 高校一年生

 

 所属 聖クロス学園高等部1SAクラス

 

 職業 学生

 

      兼 精霊術師

 

      兼 女優“唯”

 

  文字で簡潔に示すとこんなもんかな。

 

 

 家族は血のつながりだけなら

 

 父1人母1人 異母姉弟3人 異父兄弟9人以上   

 異様?

 

 

 うちの父さんは母とは20下手すれば親子ほど離れてるの。たしか58と35かな?

 

 そんな彼らはもちろん政略結婚。

 

 愛なんて欠片もない。

 

 

 父さんは昔から女癖が悪かったらしくて

 

 しかも次男だったし、長男であった私があったことのないおじはとても優秀だったので本人されていたらしい

 

 

 でも、彼に子宝が恵まれず、若くして(といっても40代前半)この世界を去ったので、一族のご老輩達は焦ったらしい。

 

 だから無能であろうと血筋の一番濃い父と

 

 若いが血が濃く、未婚であった母は

 

 政略結婚した。

 

 それまで父は女遊びが激しくて結婚してからもそれは変わんなかったらしいけど

 

 そのせいで結婚前から子供がいた。

 

 認知しているだけで4人(それ以上いたらしいけど、そっちは精霊術の素養がなかったため引き取らなかったらしい)。

 

 二人の血を次ぐ待望の子供ができるともう

 

 二人は夫婦という肩書きの他人だった。

 

 まぁ、20も上の年のじじいと結婚しなきゃいけなかった母に同情はする。

 

 同感はしないけどね。

 

 

  

 

 

 だから

 

     愛なんて知らなかった

 

 

 

  だからかな

 

 

   こい愛の演技を要求されるような仕事が来なかった。

 

 

 社長はわかってたのかな

 

 

   私は、そういう男女の愛を全く理解できてないって

 

 

陽兄、

 

  あたしの8つ上の異母兄で認知はされていなかった。

 

 

 彼がいなければ家族愛も理解できなかったかもしれない

 

 

 

 

 でもその彼もあたしのせいで死んでしまった

 

 

 8年も昔の話だ。

 

 

 今もまだ夢に見る

 

 

 

 

     亡くす瞬間の記憶を、絶望を

 

 

 

 それでも、兄が生きている時に出会った朋と親友のおかげで耐えられたんだ

 

 

 本当に感謝してる

 

 

 言葉には出さないけどね、恥ずかしいし

 

 

 

 だから、無意識にかな薄い壁を作っちゃうんだよね

 

 あたし

 

 そんな壁をするりとまるで通り向けた双子。

 

 

 どこか懐かしくて

 

 

 

 直せた怪我を直さなかったのは

 

     一瞬思っちゃったから

 

  海依達とはなれずに陽兄に会える

 

   って

 

 その一瞬が生死を分けたんだ。

 

  死んで全て思い出したとき

 

       そっか

 

     あの子達は

 

 

 って思った。

 

 

 

           《回想 side過去の皐月》           

 

 

大道寺 皐月 16歳 高校一年生

 

 所属 聖クロス学園高等部1SAクラス

 

 職業 学生

 

      兼 精霊術師

 

      兼 高級旅館<梓弓>の女将:月夜

 

 備考 プロの料理人

 

 

 

 

 それが私(ワタクシ)の肩書きですわ。

 

 私の今の両親は親戚ではありますが、本当の親ではありません。

 

 血的には分家に近い本家であった母と一般人の父を持って私は生まれました。

 

 母の従姉妹であったのが現当主で今の父と海依の母の晴緋(ハルヒ)さんです。

 

 母が私を生んだのは17の時だったらしくて、相手の男は子供ができたと知ると逃げたらしいですわ、人間のクズですわよね。

 

 母は、悲しみに暮れながら堕ろすこともできず、うんだらしいです。

 

 今の父はどうやら母が好きだったらしくでも、すでに政略結婚していて子供がいなかったため

 

 母とのつながりと本家の跡を次ぐ存在を求め私を養子にした。

 

 待っていたのは、実の母にかしづかれ、義理の母に疎まれる生活。

 

 私が5歳の時、私を養子にした理由が二つとも消え去った。

 

 実子が生まれ、私の実の母が死んだ。 

 

 

 

 なんででしょう

 

    私は涙ひとつ流せなかった。

 

 

 そして私は家で孤立した。

 

 

 義理の母と弟に口さがなく言われ、

 

 父は無関心で

 

        

 

 

 

 無性に死にたくなったこともありますわ

 

 

 

 でも、私にとって大切な存在がいたから耐えられた。

 

 

 ああ

 

 

 

 

 

   私の人生も終わりですわね

 

 

 

 どこかほおっておけない双子を見て微笑みながら逝ったのだった

 

 

 

      《end》

 

 

 

過去は現在へと触れもどる

 

 

   のだった。

 

《視点 ?》

 

 生まれたばかりのあの子に私は全力を使ってその力を封印した。

 

 呪いで疲弊した私には9割が精一杯だったけれども、

 

 この血に伝わる呪いの進行を遅らせるために

 

 私は死神の力を完全に失ったこの時に

 

 死神だと知った上で私を愛してくれたあの人

 

 

 初めて知った愛を失うのが怖くて

 

 

 私は家では無言を貫いた。

 

 あの人の前以外。

 

 いつも思う 

 

 これでよかったのだろうか?

              《end》

 

 

 

 

 

 

「で俺ら殺したのちゃんと殺したよな」

 

「そりゃもちろん卯月と

一緒に塵一つ残らず消し去ってやったよ(黒笑)」

 

そんな状況に絶句する日番谷だった。

 

顔に似合わない残酷なことを言っているからだ。

 

「気にすんなよ。俺らが死んだのはお前らのせいじゃないんだからな」

 

 あ

 

 今の目・・・

 

 「また・・会えましたしね(それでも罪は消えないけど)」

 

 こほん

 

 山本総隊長がわざとらしく咳をつく。

 

 「雛桜 美月。

 

  如月海依

 

  大道寺皐月

 

  神無月由宇

 

 以上四名に零番隊に配属を命じる。

 

 なお、今までの功績などを考えて

 

 隊長には雛桜 美月。

 

  副隊長には如月海依を据えることにする。

 

  席官以下は自由に決めまた、任命権を与える。

 

  また、4名とも隊長と同等の権限を与える。」

 

 

 「「「「謹んで拝命いたします。」」」」

 

 

 「では、私が3席ですわね。」

 

 「うん、私も皐月姉が3席のほうがいいと思う、」

 

 「俺もだ。

  由宇より皐月が下っていうのはありえないだろう。」

 

 どうどうと失礼なことをのたまう3人だった。

 

 そのように総隊長や日番谷をそっちのけで話している。

 

 まるでお互いのいろんなことを知っているかのように

 

 「それあたしに失礼じゃない?

  

 まぁ、いいけど(正論だし)」

 

 「隊員の方はどうするよ。」

 

 「海依のいうとおりですわ。

 

 位があってもほとんど同等な私たち以外にいたほうがいいですわ。

 

 できれば、ほか属性が数人と治癒要員が」

 

 「あっ、治癒なら私ができます、皐月姉も元4番隊だし、治癒要員の確保は後回しでよくない?

 

 でほか属性だけど、

  霊圧関係で数人目をつけてる人がいるよ」

 

 「では美月に任せますわ」

 

 あ

 

 「そういや、斬魄刀のことだけどそう言うのも一応言っといたほうがいいよね。

 

 あたしは2本、両方共雷系」

 

 「俺も2本で地系と風系。」

 

 「私も2本で、回復系と植物操作に特化した地系ですわ。」

 

 「私はね、3本で

 

  炎系と治癒系と・・・闇系」

 

 「ということは自然属性以外のほうがいいですわね、私の方も一応調べときますわ。

 

 あんまりめぼしいのはいなかった気がしますけど」

 

 

 

 「ぺいっ。

 

 そこまでじゃ。

 

 これは20年前前零番隊で使っていたものじゃ。

 

 隊花は、薔薇

 

 意味は移りゆくもの様々な色。

 

 

 上位席官にも、下位席官にも、副官章ににた隊章が与えられる。

 

 それについては、申請してくれれば良い。

 

 3人分はあすには届くはずじゃ。」

 

 

 

 

 

 

 

 話が終わり、総隊長は部屋を出る。

 

 

 残された私たちだったが、

 

 

 「ねぇ、美月。

 

 あたしずっと気になってたんだけどさ、そのスカーフ何?

 

 何隠してるの?」

 

 「えっとそれは」

 

 私の腕を海依がつかみ、スカーフを外す。

 

 冬獅郎が部屋から出ていこうとする

 

 「ちょっ

 

  待ってよ、冬獅郎」

 

  「おい、なんだよこのキスマークの量。

 

 見えるとこだけでこの量って。

 

 独占欲の強い彼氏だな」

 

 「さっきの態度からして

 

   相手って日番谷隊長っしょ。

 

  あの日番谷隊長が呼び捨てされて何の反応無しってことはさ。

 

 あの手のタイプは、許した人にしか呼ばさないっしょ。」

 

 

 「まぁ、そのとおりですわね。

 

 日番谷隊長もいなくなったことですし、そろそろ美月をからかうのをやめて差し上げましょう。

 

           ・・・・・

 本題ですわ、あなた、思い出していますわね

 

 「ごまかしても無駄だよ、

 

 あたしを騙そうなんて十年早い。

 

 女優の私に演技が見向けないわけ無いでしょ」

 

 「どれだけ長い間いたと思ってるんだ。」

 

 

 あんな記憶ない方がいい

 

 そう思うのに

 

 思い出していると知ったその時涙がこぼれた。

 

 

  「うん。

 

 本当に久しぶりだね」

 

 

 全部私のせいだから

 

      泣いたらダメなのにね

 

 この辛い記憶を私たちが背負い続ける理由も何もかも

 

 

 そして笑いあった。

 

 

 

 

 

       ーendー

 

 

 

 

 


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