死神達の恋歌   作:yatenyue

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太陽の導きside 一章番外編1 蒼穹のアオ

 

 

 

 

 

 

渇く

 

 

 

かわく

 

 

 

カワク

 

 

 

ココロが渇く

 

 

 

何をしても満たされない

 

 

 

寂しい

 

 

淋しい

 

 

 

さみしい

 

 

私の前にあるそれは、モノクロの世界。

 

 

 

 

蒼穹のソラ

 

 

 

 

 

 

 

ドシッガシャ

 

 

 

沢山倒れた人達。それは2,30人を超える。

 

 

 

薙ぎ払い、殴り、蹴る一人の少女。

 

 

 

ポニーテールにされた漆黒の髪に藍色の瞳、

 

 

 

どこかうつろなそして殺気立った殺伐とした雰囲気を持つ

 

 

 

まるで、脆いもろい氷の花のような少女。

 

 

その拳には、殴ったときについた返り血と、ろくに自制もせずに殴ったせいで自分の血がにじみ出ていた。

 

 

「・・・

 

   ものたりない。」

 

 

少女の名前は卯月。

 

    雛桜 卯月。

 

3か月前、彼女の双子の姉・美月を亡くしたばかりの中学一年生・13歳である。 

 

かなりやばい状況のように見えるが、これでも直後と比べれば、マシになっている。

 

直後はよく自傷行為に走り、姉の遺体のそばから離れず、

 

時折奇声を発した。

 

それでも、気丈に学校に通い誰にも心配されないよう、偽りの笑顔の仮面をかぶった。

 

 

いや周りだけでなく自分自身もごまかした。

 

 

いまでも、姉のところに一日に一度は行くが、

 

彼女はもてあます悲しみを、戦闘や喧嘩でごまかしていた。

 

 

すでに周りに対する攻撃は過剰正当防衛である。

 

あるものは、顔を腫れあがらせ、

 

  あるものは、骨を折り

 

  腱が切れ、

 

  まぁ大目に見て少なくとも全治6か月以上である。    

 

   

 

 

 

 

 

「もっと私を満足させてよ。

 

  ねぇ

 

  ねぇってばっ」

 

 

魂斬(たまぎ)るような叫びだった。

 

 

すでに意識を失い、呻き声しか上げないそれ。

 

 

それを片腕で持ち上げ、

 

  再びもう片方の腕を振り上げた。

 

 

「な・・なにやってんだ

 

   卯月!!」

 

振り上げた腕を止めたのは、幼馴染である黒崎一護だった

 

 

「っ  放して 一護。

    

  はなせっ」

 

  

「もうそいつらは動けないんだよ。

 

 やりすぎなんだよ」

 

「‥‥なにしたっていいでしょ

 

  私をたしなむ美月はいないっ

 

  私の片割れは存在しないっ」

 

 

 「・・・ 抱え込むなよ、卯月。

 

  俺がお袋を亡くした時も、オヤジ達にこう言われた。

 

 お前にとって美月は何よりも大切な、

 

 姉貴だったのは知ってる。

 

 本当は頼ってくれるまで待とうと思った

 

 けど、もう無理だ。

 

 これからは遠慮なしに口出し手出しするからな。」

 

 

  対を失い嘆き悲しんだ太陽を支えるものが今、一人決意を口にした

 

  一人じゃないことを忘れないで…

 

 

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 ある人にサイト相互記念に贈ったものです。

 

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