IS-突き進め!変態紳士-   作:「旗戦士」

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ずいぶんと更新が空いてしまいました。
日本へ一時帰国してはしゃいでたら全然更新できてませんでしたね。
すいません。


変態紳士、出かける

翌日・IS学園校門前>

 

 

打ち上げを終えた翌日のことである。

一夏と俺とシャルで遊ぶ約束をしていたのだが、一夏が急用が入ったとの事で急遽シャルと二人で出かける事となった俺は、緊張のあまり夜が寝られなかった。

 

彼から連絡が来たのは今朝のことで、何やら白式を整備に出さなければいけなくなったらしい。

昨夜一夏に何かがあったのは確実だが、彼はそれを打ち明けようとはしなかった。

 

ま、人間隠し事の一つや二つはするものだしな。

 

「しかし……こうしてシャルとデートすることになるとはな……。むふふふ、漁夫の利とはこの事よ。一体どんなセクハラをして差し上げようか……」

「へぇー? そういうつもりでいたんだー? 」

 

「ぎくぅ!!? こ、これはこれはシャルさん! おはようございます! 」

「おはよう彰久。朝からセクハラ発言なんて元気だね」

 

「ふっ、俺はいつでも臨戦態勢だからな。ついでに下半身も臨戦態勢だ」

「その情報はいらなかったかな」

 

背後から威圧的なオーラと共にシャルが笑顔でやって来る。

臨戦態勢だった下半身が一瞬漏らしそうになったのは言うまでもない。

 

「お、今日はなんだか違う雰囲気だなシャル。なんというかいつものボーイッシュな感じとは違ってすごく女の子らしい服装だ」

「えへへ、ちょっと頑張ってみたんだ。たまには違うのもいいかなって」

 

「特にそのヒラヒラしたワンピース、最高だぜ。見えそうで見えない感じがたまらなくそそる」

「下にショートパンツ穿いてるからめくれても大丈夫だよ」

 

「そっちの方が逆にまたいいわ」

「逆効果だったか……」

 

俺はパンチラフェチではあるが同時にスパッツフェチでもある。

ぶっちゃけた話スカートがめくれればそれでいいのだ。

満面の笑みで俺はシャルに親指を立てるが、当の本人は呆れた様子である。

 

「けど、一夏はどうしちゃったんだろうね。急にドタキャンなんてしたことないのに珍しいよ」

「さあな。白式を急に整備に出さなくちゃいけなくなったらしいけど、それ以上の事は言わなかった。いや、言えなかったんだろうよ」

 

「そっか。心配だね……」

「ま、俺達がくよくよしてどうこうなる事じゃねえだろ。それよりあいつのISがないのが問題だ。いつまた襲撃されるか分かんねぇからな」

 

俺の言葉に彼女は頷く。

俺自身としてはそこまでシリアスな雰囲気にするつもりはなかったのだが。

 

「とりあえず、だ。今日は楽しむことだけ考えようぜ。分からない事に頭を巡らせても意味ねぇよ。ほら、行こうシャル」

「……うん。そうだね、行こっか! 」

 

気を取り直して彼女の手を握ると、釣られてシャルも笑顔になる。

まるでカップルのようだが、そんなことも気にせず俺達は目的地へと向かった。

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<昼・ショッピングモール>

 

 

平日だというのに新しく建設されたショッピングモールには多くの人で賑わっている。

生憎俺達は文化祭の振替休日なのでサボりではないという事を加筆しておこう。

つーか学校サボってどっか遊びに行ったら確実に千冬さんに飛天御剣流される気がするな。

 

「うへー、すげえ人だな」

「なんか秋のセールやってるんだって。服とか安いのかな? 」

 

「見に行く? 俺は全然いいぜ」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

言われるがまま俺は彼女について行くと、シャルが向かった先はレディース専門店。

さすがに男一人で入る訳にはいかない場所なのでなんだか新鮮だ。

……今度一人で来てみるか……。

 

「ねぇねぇ、彰久。こういうのどう? 」

「お、なんかシャルに似合いそうだな。着てみたらどうだ? 」

 

シャルが俺に見せてきたのは青色の長袖のセーター。

ウール生地で作られているせいか手触りも良く、四季のある日本には便利そうである。

 

「そうする。早速店員さんに聞いて来るね」

「おう。適当に待ってるぞー」

 

あぁ……。

中学時代憧れていた女の子と服を一緒に見るという事がついに叶うとは……。

一人感激しながら待つこと数分、例の青いセーターを着込んだシャルがこっちに歩いて来る。

 

「ど、どうかな? 」

「俺の股間がマキシブースト」

「違う、そうじゃない」

 

率直な意見を述べたつもりなのにどうやら彼女はお気に召さなかったようだ。

その子を見て股間が動くか動かないかは結構重要なことだと思うんだよね俺。

 

「けどまあ、ほんとに似合ってるぞ。幾らするんだ? 」

「えーっと……4500円だって」

 

「ん、じゃあ貸して。俺が出すよ」

「えっ!? い、いいよそんな! 悪いって! 」

 

「出させてくれよ。紳士は女の子に財布を出させないもんさ」

「で、でも……」

 

まだ引かないようなので俺はシャルの手を握り、彼女との顔の距離を近づけた。

その後俺はレジへと向かい、青いセーターをシャルに手渡す。

 

「これは俺からのプレゼント、って事にしといてくれ。そうすりゃ納得いくだろ? 」

「……わかったよ。そこまで言うのなら、ありがたく貰うね」

 

「おう。日頃の感謝も込めてっつたらなんだか変だけど。へへっ、なんだか照れくさいな」

「えへへ、そうだね」

 

周囲から向けられる視線をかいくぐって俺達は互いに笑い合う。

あれ? お前らカップルみてーじゃね?と思ったそこの貴方、実は俺も薄々気づいている。

だが変態紳士はこれで満足しない。

ハーレム形成という真の目標を達成するまで、満足など出来ないのだ。

 

「ねぇねぇ、次は彰久の服見ようよ! 私も一緒に見てあげる! 」

「そりゃ有難い。普段男としか服を見に行かないから女の子からの意見が分かんないんだよな」

 

「じゃあこっち! さっき地図で確認したんだ! 早く早く! 」

「うわっ、ちょっ! 手引っ張るなって! 」

 

ぶっちゃけた話、俺は正直言って満足している。

彼女は元気に俺の手を引っ張り、店を出た。

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<同刻・ショッピングモール>

 

 

「こちらラウラ・スネーク。元気に歩く二人の姿を確認」

『了解。ラウラ、そのまま尾行を続けてくれ』

 

そう言いながら私は耳に当てられた無線機を切り、大げさに柱の陰へと隠れる。

私の名はラウラ・スネーク。

よくラウラ・ボーデヴィッヒに似てね?とか言われるが、無論のこと同一人物だ。

 

今回私はシャルと彰久を尾行している。

少し罪悪感があるが、これも報酬の為。

悪く思うな、二人とも。

 

「お、二人が男物のショップへと入った。どうやら彰久の服をシャルが見繕ってるみたいだな」

『ぐぬぬ……! 彰久さんったらわたくしを差し置いてそんなことを……! ラウラ・スネーク! そのまま同じ店に入ってください! 』

 

「了解。尾行を続ける」

『ラウラ。セーブする? 』

 

「今はやめておこう」

 

これを依頼してきたのはセシリアである。

最近の彰久の言動に疑問を抱いたのかこうして行動を一通り見てほしいとの事で、無線の相手も無論セシリアだ。

しかし彰久とシャル、傍から見たら本当にカップルにしか見えない。

 

 

「あ、彰久が試着室に入って行った。シャルが選んだみたいだな」

『シャルロットさんを悪く言う訳ではありませんが、こう抜け駆けされると悔しいですわね』

 

「まああいつの事だからそんな大胆な事は出来ないと思うぞ。服とか脱ぎそうだけど」

『容易に想像出来てしまうのが辛いですわ』

 

数分後、白いシャツの上にグレーのカーディガンを羽織った彰久が更衣室から出る。

あいつ自身着やせするタイプなので普通に似合っていた。

 

その後彼はレジに並び、自腹でそのカーディガンを購入。

シャルが買うつもりだったらしいが、彼女を押し切ったらしい。

 

「えー、彰久がシャルに選んでもらったカーディガンを購入。これから昼の時間になりそうだしおそらく昼食を食べに行くと思う」

『……今度、彰久さんをデートにお誘いしましょう。そうしましょう』

 

「それで、尾行するか? 」

『モチのロンですわ! 』

 

一人で何か呟いていたようだが、気にせず私は尾行を続ける事に。

店の外へ出る二人を見送ると、私は身を潜めて後をつけて行った。

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<夕方・ショッピングモール外・彰久視点>

 

 

 

無事買い物を終えた俺達は多数の買い物袋を肩や腕に引っ提げて駅へと向かっている。

少々羽目を外し過ぎて歩くことすらままならないのが問題だが、そこは変態紳士補正でどうにかなるので多分このまま学園へ帰れるだろう。

 

というかさっきから誰かが俺たちの後ろを尾行してるんだけど……。

しかもなんだよダンボールで尾行って。

 

 

「な、なぁシャル……。さっきからやけにダンボールが視界に入らないか? もしかして尾行されてるのかも……」

「もう、何言ってるの彰久? 常識的に考えてダンボールで尾行するなんて伝説の蛇の人くらいしかいないよ。考えすぎだって」

「そ、そうか……」

 

 

振り返るとそこには「みかん」と書かれた段ボール箱が道端に置いてあるのみ。

けど2回以上同じ段ボールを見るってことはこれやっぱり尾行されてるよね。

 

「ええい、やはり気になって仕方ない! 誰だお前は! 」

「…………どうも、こんにちは。南〇奈です」

 

段ボールを開けるとそこにはバンダナを頭に巻き私服姿のラウラがいた。

唖然とした俺は思わず彼の上にもう一度段ボールを被せる。

今一度事実を確かめるために俺は段ボールを開けてみる。

 

「どうもこんにちは、コ〇ク・ハーツです」

「バレバレだわ! つーかさっきから同じ声の人ばっかじゃねーかよお前! 」

 

「や、やぁ彰久にシャル。こんなとこで会うとは奇遇だな」

「尾行してんのはバレバレなんだよ。というか街中で段ボールって不審すぎるだろ! よく通報されなかったな!? 」

 

もうラウラ自身も投げやりになってきたのか、最後は完全にボケへと走っていた。

被っていた段ボールを投げ捨て、彼は立ち上がる。

 

「えぇっ!? ラウラ!? どうしてここにいるの!? 」

「すまん、セシリアに頼まれて二人を尾行してたんだ。この通りだ、許してくれ」

 

「あっさり黒幕吐いちゃったな。でもなんでセシリアに? 」

「シャルと彰久が二人でデートすることになったと聞いて、いてもたってもいられなくなったらしい」

 

「あー……。やりそうだわあの子……」

 

そういや最近セシリアと全然話してない気がする。

場酔いの一件以降、彼女が恥ずかしがって俺に近づいて来ないせいもあるが。

あれ? 自業自得じゃねこれ?

 

「というわけだ。私はこれにて失礼す――――」

「うふふふふふふ。帰すわけないよねラウラ? 」

 

「ひ、ひぃっ! ど、どどどどうしたというんだシャルロット! 私は洗いざらい吐いたではないか! まだ何かするというのか!? 」

「いや、純粋に荷物持って欲しかったんだけど」

 

「その割にはすごく邪悪な笑い方だったぞ」

 

瞬間、シャルは先程と同じように黒い笑いで俺を見つめる。

思わずちびりそうな股間を抑えて、俺たちは再び駅へと歩き始めた。

 

 

「あ、そういえば二人がイチャイチャしてる写真を撮って黛先輩に送っておいたぞ」

「今すぐ消せッ!!! 」





ひさしぶりに書いたせいかなんかいまいちかも。

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