IS-突き進め!変態紳士-   作:「旗戦士」

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いよいよ変態紳士第二期スタート。
今後ともよろしくお願いします。


変態紳士、見つかる

<IS学園・職員室>

 

 

 

夏休みもあと残すこと3日を切った。

俺は荷物(エロゲやらその他諸々)を実家から寮へと持ち込み、学園に戻ってきて早々千冬さんに見つかりこっぴどく叱られるという事件が発生。

 

 

現在俺は職員室に呼び出され、千冬さんのお説教を受けて今に至る。

まあ彼女のお説教なんて俺にとっては至福のご褒美なんだがな。

 

 

 

「聞いているのか、草薙。お前が年頃の男子というのも分かるし、こういったものに興味があるのも理解できる。一体何のために持ってきたんだ? 」

「一夏に渡す為です」

 

「……嘘はよくないぞ? まさか織斑が姉物のエロゲを……」

「いや、割とマジです。一夏が姉物の同人誌隠し持ってること知ってるでしょう? 」

 

「セイイエスッ!!! 近親相姦レッツ&ゴーだッ!!! 」

「織斑先生、真面目にやってください」

 

 

一夏が姉物が好きだということは既に周知の事実。

まあ8割は俺が言いふらしたものなのだが、まさか千冬さんにも知れ渡ってるとは。

 

一人理性が崩壊する千冬さんを一言で注意する真耶先生。

なんかもう目が死んでる辺りこの人の残念っぷりを身に染みて感じているのだろう。

 

あと俺ミニ四駆はマグナムセイバー派なんだ。

 

 

「コホン。とにかく、これはしばらく預かっておく。次の学期まで没収だ」

「えぇーっ!? 俺のマイサン愛撫ライフは今後どうしたらいいんですか!? 」

 

「知るかそんなもの! というか職員室に来てまで下ネタを言うな! 」

「し、知らないだなんて……!? ひどい! じゃあ千冬さんが超絶ブラコンで毎晩一夏と一緒に寝てること言いふらしてきますぅぅぅぅッ!! 」

 

「いっぺん死ぬかコラ」

「すいませんでした」

 

 

既に周知の事実を今一度言うと、千冬さんから出席簿が飛んでくる。

約1か月ぶりに出席簿を食らった気がするぜ。

 

頭に刺さった出席簿を抜くと、俺は包帯を取り出し頭に巻き付けた。

前にもこんなことあったな。

 

 

「それで、用はもう一つある。デュノアのことについてだ」

「シャルの? ……もしかしてまた問題が? 」

 

「いや、別の件でだ。デュノアがISを乗り換えたのは知ってるか? 」

「え、初耳です。いつですか? 」

 

「ちょうど1・2週間前だな。デュノアから連絡が来て、ISの登録変更をお願いしたいとの事だった。どうやらデュノア社の新機体のテストパイロットを任されたらしい」

「新機体のテストパイロット……ですか」

 

 

先ほどのお説教とは打って変わって真面目な雰囲気に変わる職員室。

千冬さんの声のトーンも真剣なものに変わり、俺の表情も引き締まる。

 

しかしデュノア社が今頃新機体を出すなんて……。

アルフレッドさんの思惑なんだろうか。

 

 

「あぁ。その機体のテストをお前に頼みたい。大丈夫か? 」

「はい、任せてくださいよ! 」

 

「そうか、ありがたい。では今日の夕方でいいか? 」

「もう始めちゃうんですね。分かりました、空けておきます」

 

 

なるほど、俺にテストを頼もうとしたらちょうどエロゲを見つけて職員室に連れてきたワケだな。

タイミングがいいのか悪いのかわからないが、まあ良しとしよう。

 

確かラーク・メカニクス社とデュノア社の共同開発されたISが最近完成したというメールが小木曽さんから送られてきたな……。

もしやその機体だろうか。

 

 

「話は以上だ。もう行っても大丈夫だぞ」

「はーい。んじゃこのエロゲも回収していきますね! 」

 

「それはダメだ」

「ですよね」

 

 

どさくさに回収しようとしたけどさすがに無理だった。

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<夕方、IS学園・ピット内>

 

 

 

そうして訪れた夕方、俺は少し緊張しながら第一アリーナへと歩みを進めている。

既にISスーツには着替えており、待機状態であるフライルーのバックルも着けてあるので準備万端といえよう。

 

 

『彰久? 大丈夫? あまり調子が良くないように見えるけど』

「ん? あぁ、大丈夫だよエマさん。ちょっと嫌な予感がするだけさ」

 

『……そういう時って、大体当たるからやめてちょうだい。テストだけに集中してね』

「そうするよ。フライルーも慣らしたいしな」

 

 

エマさんが心配そうな顔を見せて俺の前に現れ、俺の肩を叩いた。

そういやフライルーになってからエマさんがミニマムサイズから等身大サイズになって、全身も見えるようになったんだよな。

 

……他の人にはどう見えてるんだろうな。

少し気になるからあとで一夏辺りに聞いてみよう。

 

そんなことを考えてるうちにピット内へと到着した俺は、フライルーを展開させるとカタパルトの位置へとつく。

 

 

「草薙彰久、フライルー、行くぜ! 」

 

飛行形態のままアリーナの中へと射出され、俺は飛び立つ。

さて、どんな機体が待っているんだろうか。

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<IS学園・第一アリーナ>

 

 

 

飛行形態から空中変形してIS形態に戻ると、俺の視界に赤・青・白のトリコロールの機体が映る。

左手には赤とグレーの細長い盾、右手には黒く長いライフルが握られていた。

 

俺が来た事を察知したのか、その機体は振り向く。

全身装甲ですらっとしたそのフォルムは、ある機体を連想させた。

 

 

「それが……"Zガンダム"か……」

「うん。驚いた? 彰久? 」

 

「あぁ。まさかシャルがゼータのテストパイロットになるなんて思いもしなかったぜ」

「……私自身が決めたことだからね」

 

「そうかい。なら、全力で来いよ。そんくらい受け止めてやる」

「わかった。行かせて貰うよッ!! 」

 

 

どうやら彼女なりの覚悟があって自らテストパイロットを志願したらしく、会社や社長の命令ではないようである。

まあアルフレッドさんがそんなことをシャルにはさせるワケがないんだろうけどな。

 

気合いの声と共にシャルが青い大きなビームランチャーを展開させ、俺に向けて放つ。

極太なビームがハイスピードで迫り、思わず俺は声を上げながら避けた。

 

あんなのに当たっていたら今頃俺は一撃で負けてた事だろう。

 

 

「危ねーじゃねーかシャル! いきなりあんなもんぶっ放してくるなんてよ! 」

「その割にはずいぶん余裕そうだけどねっ! 」

 

 

すぐさま反撃としてロングブレードライフルをシャルに向けて数発放つ。

しかしそれは牽制で、本当の目的は2門のムーバブルシールドバインダーにあった。

 

まあ、それも読んでるだろうな、シャルのことだし。

正直言って俺はまだこのフライルーを最大限に使いこなせてはいない。

 

案の定頼みの綱であったシールドバインダーも外れ、俺は舌打ちする。

 

 

『この"ゼータ"……。ギャプランのデータを基に作られてるの? 』

「つーことは……。試してみるかっ! 」

 

 

迫り来るゼータのビームライフルを避け、俺は飛行形態へと可変した。

逃げるように彼女に背を向けると、背後から独特な変形音が聞こえる。

 

ハイパーセンサーで後方を確認すると、そこには飛行形態のゼータが見えた。

やはりそうか、原作通り変形機構を持ってるみたいだな。

 

 

『さすがラーク・メカニクスとデュノア社の共同開発したISね。もう既に変形機構を他の機体に取り入れてるだなんて……。我ながら恐ろしいわ』

 

「ドッグファイトなんてグレイスと戦った時以来だぜ! それにもう飛行形態を使いこなしてるとはな! ……こりゃあ、俺も負けてらんねぇッ!! 」

 

「彰久程じゃないよっ! 」

 

 

その場で空中変形して一回転しながらムーバブルシールドバインダーを飛行形態のゼータに向ける。

左ウイング部分に掠ったものの、明確なダメージは与えていないようだ。

 

ゼータの腰に取り付けられたビームライフルが轟き、俺にピンク色の閃光が殺到する。

だが弾幕量ではこっちの方が勝っている、少なからず勝機はあるだろう。

 

そう思ったが直後、その場でゼータが空中変形を行い、その勢いで腰にマウントしていたビームライフルを槍のように構えて俺に突っ込んできた。

 

 

「ッ!? 近接武器にもなるなんて聞いてないぜ!? 」

「言った覚えはないよっ! もう、守られる私だけじゃないッ!! 」

 

「いい気迫だ! けど……注意が足りてねぇぜ! 」

「えっ!? 」

 

 

彼女のビームライフルから出たサーベルを右手のビームサーベルで受け止めると、密かに可動していた腰のアームユニットがロングブレードライフルを握っている。

無論この状態から攻撃することも可能で、鍔競り合いになった時に相手の不意を突ける素晴らしい武装だと言えるだろう。

 

いつも女の子の不意を突く、それが変態紳士だ。

俺に似合っているな。

 

 

「そんなとこから!? くっ、間に合わない! 」

「グレネードとは……。またシャルらしい武装だな」

 

 

本能的に放ったであろう、ゼータの腕から射出されたグレネードがロングブレードライフルのビームに命中しその場に爆発を生み出した。

 

直後煙のなかからトップスピードでビームサーベルを片手に俺に突撃してくるシャルの姿が見え、俺はロングブレードライフルを剣形態に移行する。

 

だが、ここで鍔競り合ってしまったことが俺の最大のミスであった。

 

 

「――――掛かった! 」

「……何? 」

『彰久! すぐに離脱して! 』

 

 

エマさんの声が聞こえると同時にゼータの頭部からバルカンが連射され、思わず俺はたじろぐ。

何秒間か集中して食らい続けてしまい、急いで俺はシャルと距離を置いた。

 

しかし、それこそ彼女の思惑。

狙い通りと言わんばかりに左手にはビームライフルが握られており、近距離で命中した俺は苦悶の声を上げる。

 

この戦法こそまさしく彼女の戦い方だ。

一度嵌ってしまったら簡単には抜け出せない。

 

 

「なら俺は、"逃げる"! 」

「逃がさない……よっ! 」

 

 

ならばとるべき方法はひとつ。

急いで撤退することだ。

 

背を向けて変形するフライルーを追いかけるようにゼータも変形し、再びドッグファイトの形となる。

この追われている状況ではどうにも攻撃が出来ない。

 

 

 

「ならもう一度! "アキヒサスペシャル"ッ!! 」

「また空中変形を!? なら私……もッ! 」

 

 

 

トップスピードで逃げてから空中変形したせいか、とてつもないGが俺の身体にのしかかった。

急いで振り向き、ロングブレードライフルをゼータに向けると、彼女も同じように空中変形してビームライフルを俺に向ける。

 

 

迷いなく俺は引き金を引き、そのビームは見事シャルに命中。

彼女が放ったビームも俺に命中したが、向こうほどクリティカルヒットはしていない。

 

これで相当なシールドエネルギーを減らしたはず。

そう思った瞬間であった。

 

ビームを受けた衝撃のまま彼女は受け身を取らず、真っ逆様に地面へと落ちていく。

おかしい、ISの扱いに慣れているシャルが受け身を取らないなんて。

 

 

 

 

「シャル! 応答しろ、シャル!! 」

 

 

 

 

そう叫んでも彼女の声は聞こえない。

本能的に落ちていくシャルの元へ変形して向かった俺は、落下する彼女をなんとか受け止めた。

 

肩を揺らすが、未だに返事はない。

意識がないと分かったその頃には、俺は彼女を抱きかかえてピット内へと向かっていた。






というわけで初回はシャル回です。
どんどんヒロイン化していきたいですね、シャルも真琴ちゃんも。

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