IS-突き進め!変態紳士-   作:「旗戦士」

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千冬さんキャラ崩壊回。
たのしいですね。


揺れる黒髪は紅に染まる
ヒロインズ、絡み酒される


<夜、花山荘・大広間>

 

 

 

千冬さんによる殺人サーブにより意識を一時的ではあるが失い、海水浴の終わる時間まで目が覚めなかった俺はテンションが下がりつつ大広間へと向かう。

 

もっと箒ちゃんとかシャルの水着姿を脳裏に焼き付けたかったのに……。

この借りはいつか返させてもらうぞ千冬さん……。

 

けど寝かされている間の真耶先生の太ももの感触は最高だった。

このまま胸の感触も味わいたかったが、それをやるとさすがにお巡りさんにメイドイン刑務所されるのでやめておこう。

 

欲望を抑制するのも変態紳士の重要な項目である。

 

 

「っつ……あ、足が……」

「おうセシリア、正座に耐えられなかったみたいだな」

 

「え、えぇ……。恥ずかしながらしびれてしまったみたいですわ」

「M字開脚すると治るぞそれ」

 

「絶対ウソですの」

「なんでバレた」

 

大広間に入ってから空いている座席に座ると隣でセシリアが足を崩して顔をしかめていた。

俺が向かう前には既にみんな夕食をとっていたようだが、彼女達は我慢して待っていてくれたらしい。

君たちマジ天使。

 

 

「というか悪いな、待っててもらっちゃって」

「気にしないでくれ。私たちも今来たんだ」

 

「それでは、いただきます」

「いただきまーす! 」

 

 

真耶先生の掛け声と共に一斉に食べ始める真琴ちゃん。

その食べたものの栄養は全て胸にいってると思うとすごく興奮する。

女の子のおっぱいには男の夢と希望がつまっているんだぜ……。

もちろん貧乳の子もだ。

 

 

そんな中、俺の隣に座るシャルが皿に盛られたわさびをじーっと見つめ、何を血迷ったか突然それを箸で掴みそのまま口に含んだのである。

いくらなんでもわさびをそのまま食うのは日本知らないってレベルじゃねーぞ。

 

 

「んぶっ!! んん~っ!? 」

「あーあ、わさびをそのまま食べる奴があるかっての。ほれお茶」

 

「うぅーっ、こんな辛いなんて聞いてないよぉ……。日本の人はみんな生で食べてるの? 」

「いやそんな訳ないって。ほら、箒ちゃんとか一夏の見てみろ。醤油に混ぜて食べてるだろ? 」

 

「ふふ、シャルも意外と抜けてる所があるんだな。ほら、私のを食べてみるといい」

「ほ、ほんとだ……! 適度な刺激が刺身の臭みを消してる……! 美味しいよ箒! 」

 

 

案の定そのままわさびを食ったシャルは肩を震わせながら鼻を押さえ、すかさず俺は彼女のお盆にあったお茶を差し出す。

涙目で俺を見上げる顔に思わずマイサンが極限進化した。

女の子の上目遣いって反則だよね。

 

その後俺たちの会話を聞いていたのか箒ちゃんがわさび醤油の入った皿をシャルに渡すと、彼女は驚いたように箒ちゃんの手を握る。

 

こうして夕食の時間は過ぎていった。

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<夜、彰久と一夏の部屋>

 

 

夕食後、いきなり飯を食べた後に風呂に入ると体に悪いと聞いた俺達はしばらく自分たちの部屋でテレビでも見ながらくつろぐことに。

今の時間は温泉も女湯になってるから、どの道待たないといけないんだけどな。

俺の場合は今すぐにでも覗きに行きたいが。

 

 

『昨日の深夜、ドイツ国内にある軍事工場が何者かによる襲撃を受けて全壊させられるという事件がありました。幸い、死亡者はおらず軽傷者だけでしたが、政府は国内にある反政府組織によるテロと見て捜査を進めています』

 

「軍事工場を襲撃……なんだかおっかないなぁ 」

 

「まあ十中八九ISによる攻撃だろう。軍事工場だってある程度の堅甲さはあるはずだと思うけど、全壊させるなんて普通の兵器を使ってもできなくはないがバレるしな」

『確かに一理あるわね。ISかどうかは真偽のほどだけど、そんなことが出来るのはISぐらいしかないわ』

 

「お、エマさん久しぶり。最近顔出してなかったな」

『ちょっとラーク・メカニクスの方で立て込んでね。また貴方の手によって女の子が困っていると思うと気が気でなくてすぐに戻ってきたのよ』

 

「余計なお世話だっつーの。ちょっとセシリアに日焼け止め塗ったぐらいだよ」

「けどお前かなり変態っぽかったぞ」

『やっぱりね』

 

 

そんな中、夜9時前で定期的に流れるニュースが放映されており、ドイツの軍事工場が何者かの手によって全壊させられたという。

自分たちがISという"兵器"を使っている以上、複雑な気分になる。

反面、エマさんが俺達の会話に介入してきたので暖かく迎えると相変わらずのようで安心した。

 

 

『こちらが襲撃後の監視カメラの映像です。辺りの建物は崩れ落ちている中、黒い戦闘機のような機影が一体だけ映っています。軍はこの機体の詳細について世界各国へと情報提供を求めているようですね』

 

「黒い戦闘機……? 俺と同じようなタイプのISか? 」

「彰久と同じタイプのISっつーと……可変機タイプか。けど、お前のギャプランってISの中じゃ"初の可変機構"を持つ機体なんだろ? 」

 

「あぁ、そうだ。まさか公表されてないだけで新しく作ったのか……? 」

『その可能性は否定できないわ。新しく作り出せる人物がいるとしたらそれは……』

 

 

 

ニュースの映像が切り替わり、その時の状況を映した監視カメラの映像が公開された。

辺りは瓦礫などでたくさんだが、画面の左上に飛び去る黒い機影が微かに映っているようである。

 

しかし誰にも気づかれずに軍事工場へ侵入できる人間がわざわざ監視カメラの映像に自分の姿を映して去って行くものだろうか。

 

そして何よりも問題なのはそれを行なったのが可変機構を持つISだということ。

まだ断定は出来ていないが、新しく可変機を作り出すなんてことを出来るのはただ一人しかいないだろう。

 

 

篠ノ之束。

おそらく彼女が絡んでいるはず。

 

 

 

「あっ、ちょっ、そんなに押さんといて! 」

「だって近づかないとよく聞こえ……きゃあっ!? 」

 

 

その時であった。

珍しく俺達がシリアスな雰囲気で話していたにも関わらず、入り口のドアから騒々しく入室してくる真琴ちゃん達。

呆れを通り越してもはや苦笑いしか出てこないが、まあみんな可愛いのでよしとしよう。

彼女達の後ろには偶然通りかかったのか千冬さんが呆れた表情で俺達の部屋へ入ってきた。

 

 

「盗み聞きとはたちが悪いな、お前たち」

「あ、あはは……ごめんなさい……」

 

「まあいい。お前たち6人は私の部屋に来てくれ。草薙と織斑はそろそろ温泉の時間が男湯になっているから入ってくるといいぞ」

 

「分かりましたー。一夏、風呂の用意して行こうぜー」

「オッケー、ちょっと待ってな」

 

 

彼女たちの気まずそうな表情を横目に俺は一夏と共にそそくさと部屋を出る。

多分これからお説教を食らうのだろう。

まあみんなには悪いが反省して大人しくした方が身の為だと思うぞ。

 

部屋を出ると逃げるようにして俺達は温泉へとダッシュへ向かった。

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<千冬の部屋>

 

 

ヒロインズは言われるがままに千冬の部屋へと連れて行かれ、これから説教でも食らうのだろうという不安から畳の上に大人しく正座をして座り込む。

 

唐突に千冬が冷蔵庫から缶ビールを取り出し、畳の上に座る彼女たち6人全員の足元にもジュースやお茶を差し出した。

 

 

「え、えっと織斑先生? 一体これは……? 」

「まあそう気を張るな。お前たちも飲め」

 

「い、いえ、お気遣いはありがたいのですが、なぜわたくしが先生のお部屋に呼ばれているのでしょうか……? 」

「決まってるだろう、ガールズトークだ」

 

「は? 」

 

普段の千冬からは全く聞くことのできない単語に、思わず全員が唖然とした表情をした。

2×歳は"ガールズ"とかに含まれるかどうかも危うい所だが、それを口にしてしまったらおそらく命はないだろう。

 

 

「なんだその顔は。まるで私がそんなものに興味がないような感じじゃないか。私だってそういった恋愛話には興味あるぞ」

「い、いやぁ、普段の先生からは想像もできへん単語が発せられたのでつい……」

 

「なんだよぉ! 私だって女だぞ、そりゃ恋の一つや二つぐらいしたいっつーの! 学生時代"ブリュンヒルデ"とかって称号つけられたから男が自然と寄り付かなかったんだよクソが! 」

「重い! 重いです先生! 自分で自分の首を絞めることしないでください! 」

 

「あれは教官じゃないあれは教官じゃないあれは教官じゃないあれは教官じゃない……」

「ラウラ! 目が死んでいるぞラウラーっ!! 」

 

 

缶ビール片手に自分の経歴の無さを豪語する千冬。

もはやキャラ崩壊など知ったことではない。

そのせいか千冬が憧れの対象であったラウラの目が自然と曇り、そしてブツブツと自分に暗示を掛けているというカオスな光景となってしまった。

 

 

「ま、まあいい。とりあえず飲め。お前たちも聞かされてばかりではつまらんだろう」

「それじゃあお言葉に甘えて……」

 

「よし、飲んだな。じゃあ早速本題に入ろう」

 

「今のが前置きだったんですね……」

「シャル。諦めちゃダメよ」

 

 

正直今の千冬に何を言っても聞かなさそうなので仕方なく6人は自分の足元に置かれた飲み物を呑むことに。

ワクワクが抑えきれないのか常にニヤニヤしっぱなしの千冬に、彼女たちは驚くばかりであった。

 

 

「率直に聞く。お前たち、あいつらのどこに惹かれた? 」

「!! 」

 

あいつらとは言わずもがな、彼女たちを見捨ててそそくさと温泉へ向かった男性陣二人のことだ。

今頃温泉の気持ち良さにおっさんみたいな声を上げているところだろう。

6人にとっては羨ましくて仕方がなくだろうが。

 

 

「わ、私は別に一夏に惹かれてなど……。元々幼馴染だったからその流れで過ごしてるようなものです」

「あたしも同じようなもんです! あんな鈍感を好きになるわけ……」

「う、ウチは彰久のISの担当整備士ですから、そんな感情は抱いとりません! だいたいあいつはセクハラが多くて……! 」

 

「素直になれこのツンデレ共! その言葉の通りあいつらに伝えるぞ! 」

「止めてください! 」

 

 

顔を赤くしつつ二人に惹かれていることを否定する箒達。

まあ当然愛情の裏返しなのだろうが、彰久はまだしも鈍感な一夏は真に受けることは間違いないだろう。

そんなことを言えば箒と鈴の青春は真っ先に終わりを告げてしまう。

 

 

「ふふふ、素直になればいいものを。わたくしは彰久さんを尊敬しておりますわ、少々変態的な行動が目立ちすぎますが」

「基本的に優しいよね、彰久。僕……じゃなくて私のことも一身になって相談にのってくれたし」

「私は一夏の強いところに惹かれました。それに彼は私を救ってくれたので」

 

「ふむ、前の3人とは違ってデレデレだな。その調子で接していくといい」

 

 

そう言って早くも缶ビールの二本目を開ける千冬。

ラウラ達のデレっぷりに少々羨ましさを感じているようだが、教師として、何よりも女として応援せざるを負えないのだろう。

 

ここで"先生はどうなんですか?"と聞かない辺り、6人は成長している。

その質問の返答におそらく1日かかることを彼女たちは自然と理解していたからだ。

 

 

「まあ草薙の奴は性格に目を瞑ればかなりいいと思うぞ。察しもいい、ルックスもまあまあ、トーク力もなかなかあるしな。ただし毎日セクハラされる事を覚悟しておけ」

「……ほんっと性格で損してるわよねあいつ……」

 

「織斑の方は家事も出来るし料理も美味いしイケメンだぞ。付き合える女は本当に羨ましい。姉である私も正直惚れてる。……欲しいか? 欲しいだろう? 」

「ま、まさかくれるんですか? 」

 

「くれるとかそういうんじゃない。私の手から奪ってみせろ」

「ぐっ、ここに来て教官が最大の壁となるとは……」

 

 

 

何かカミングアウトしたような気もするが、今は二人のことで頭がいっぱいな6人はそんなこともいざ知らず、教師と生徒という立場を忘れて話し込む。

 

 

こうして千冬主催のガールズ(笑)トークは夜更けまで続いたという。

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<花山荘廊下、彰久視点>

 

 

 

千冬さんの魔の手から逃れるようにして風呂場へと向かい、色々と治癒効果のある温泉に気持ち良く浸っていると、もうすぐ就寝時間になりそうだったので俺達は急いで出ることにした。

 

今頃彼女たちはどんなお説教をくらっているのだろうか。

前に一夏の家に泊まりに行った時に千冬さんに絡み酒をされて朝まで付き合わされた記憶が蘇り、思わず俺は身震いする。

 

温泉に入る前に脱いだ下着や服をビニール袋に入れて、俺達は持ってきた寝間着に着替えるとそのまま風呂場を出た。

 

この場にコーヒー牛乳がないのが口惜しいが、修学旅行中に贅沢は言ってられない。

というかこの旅館に泊まれるだけ十分贅沢なんだろうけど。

 

 

「しかし露天風呂最高だったな。家の風呂があんなんだったら1日中入っていられるよ」

「どっかのセレブじゃなきゃ無理だろ。そんなに温泉行きたいなら今度銭湯行こうぜ」

 

「お、いいな。弾とか熊吉誘って中学の時みたくまた行くか」

「夏休み中とかいいんじゃね? あいつらも暇だろ」

 

『へぇ、銭湯ね。聞いたことはあるけど私は入ったことないからどんなものか分からないわ』

「エマさん機械だしな。まあ仕方ないだろ」

 

 

こんな事言ったら二人に殴られそうだが、実際暇を持て余してアホみたく"神々の遊び"と称して秋葉原へ出向くばかりだろう。

もちろん俺のその時はいるんだけどな。

 

そういやエマさんって人工AIだけど感覚とかあるのだろうか。

今度セクハラついでに試してみよう。

 

 

そんな中、一夏とエマさんとの会話に夢中で気付かなかったせいか廊下を通っている外国人の女性と肩がぶつかってしまった。

相当な美人で、ウェーブがかった長い金髪が目を惹く。

 

「え、あ、すいません。よそ見してて」

「こちらこそすまない、少年。私も不注意だった」

 

流暢な日本語で謝られると、思わず俺は唖然としてしまう。

彼女の美貌に見とれていたからかもしれない。

 

 

「……私の顔になにか? 」

「ああっ、いえ、ちょっと見とれてました……あははは」

 

「ふふ、面白い少年だな。ここへは何をしに? 」

「修学旅行です。その手に持ったものはお土産ですか? 」

 

「あぁ。ここの名物らしいぞ。君たちも帰りに買っていくといい」

「はい、では俺達はこれで」

 

 

一夏の存在を悟られないように話題を変える。

どうやら上手く逃れられたようだ。

しかし美人だと仕草の一つ一つが生えるな。

軍人っぽくてSっ気がまたそそる。

 

 

 

 

「そうか……見つけたぞ。草薙彰久」

 

 

 

 

互いに別れの挨拶をしつつ俺達は自分の部屋へと向かう。

 

何か彼女が呟いたようだが、うまく聞き取れなかった。






次回からはちょっとシリアス多めになります。
今のうちからボケさせとかないと私が死ぬ。

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