随分遅れた更新です。
さてさて、水着回ですよ。
<臨海学校当日、バス車内>
正式に生徒会役員となった翌日。
俺達はいつもより早く指定された集合場所へと集まり、バスへと乗り込む。
途中車内で行われた脱衣UNOで運悪く俺が全敗して全裸になるという悲劇的な事態が発生したが、女の子の罵声やらが聞けたので良しとしよう。
そうして高速道路を進むこと数時間、トンネルをくぐり抜けた先には大海原が広がっていた。
「おおー! 」
「海だ! 海だぞ嫁! 」
「わかってる、わかってるからラウラあんまり揺らさないでくれ……おぶっ」
「ああほら、エチケット袋だぞ一夏」
「すまん箒……」
後ろの席で青ざめた表情になりつつ袋に顔をうずめる一夏。
あいつ中学の時も乗り物酔いしまくってたな、相変わらずだ。
千冬さんが隣に行きたそうな顔をしているが、彼女のプライドもあるのでここは公言しないでおくのが変態紳士としての努め。
というか言ったら言ったで海に沈められそうだが。
「ねえねえ彰久さん! 海ですよ海! 」
「そうだな、俺も楽しみだぜ! 主にみんなの水着姿が! 」
「ち、ちょっとそれは引くけど彰久はどんなの買ったの? 」
「え? 青いビクトリーパンツとネクタイだけど」
「聞かなきゃよかったよそんな事」
「期待したわたくし達が愚かでしたわね」
若干セシリア達に引かれたものの視線がゾクゾクするので全然問題ない。
むしろもっと蔑むような目で見てほしいものである。
「なんだよチキショー! へっ、俺のマッスルボディに惚れてもしらねーからな! 」
「彰久さんがそれ着たらただの変態にしか見えませんわ! 」
「変態じゃねーし! 辛うじてボディビルダーに見られるかもしれないだろ! 」
「海まで来てボディビルするのも十分おかしいよ!? 」
口をそろえて変態と罵りおって……。
いいもん、隠れてみんなの水着姿盗撮するから。
そう言いつつバスは目的地である旅館「花山荘」へと到着した。
しおりで見たがかなり綺麗な造りとなっており、内飾だけで高そうな雰囲気を醸し出している。
やっぱ金持ってるんだなIS学園。
「今日から2泊3日、お世話になる"花山荘"だ。お前たち、失礼のないようにな」
「はい! 」
「どうも、よろしくお願い致します。えっと、そちらのお二方は噂の……? 」
「あ、はい。織斑一夏です」
「どうもお嬢さん、草薙彰久と申します。今夜一杯どうですか? 」
「あ、えっと、お客様手が……」
入り口に到着すると若くて綺麗な仲居さんが俺達全員を迎え、千冬さんの紹介と共に挨拶を済ませた。
すると彼女はテレビや新聞で見ていた"噂の男性操縦者"を初めて目にしたのかおそるおそる一夏に尋ねてくる。
まあ俺の場合は正式に発表されてないから知る人ぞ知るみたいな存在になってるんだけどな。
普通にこのマドモアゼルの手を颯爽と握ることも出来るわけだ。
「ふふ、そう恥ずかしがらずに。私がエスコートして差し上げましょう」
「あの……お、お客様? 困ります……私……」
「行くでシャル! あの仲居さんを彰久の手から守るんや! 」
「任せて真琴! フォーメーションHだね! 」
その瞬間上手く俺の腰を掴んでシャルが仲居さんから俺の身体を引き離すと、後ろで待機していた真琴ちゃんに絶妙なタイミングで確保される。
ふっ、成長したな二人とも。
「もう! 彰久は見境なく女の人を口説いちゃだめだよ! 」
「すんません本当……。なんとお詫びしたらええのか……。ほら、行くで彰久! 」
「……申し訳ありません、今後失礼のないようしっかりと教育しておきます」
「あ、あははは……お構いなく……」
ズルズルと旅館の奥へ引きずられていく中、俺は何故かすがすがしさを感じる。
そうか、最近俺女の人を口説いてなかったから余計にしてやった感がすごいのか。
しかし手を握った時の仲居さんが可愛かった。
年齢からして20代前後だろうか、初心なお姉さんというのもなかなかアリである。
「なんでそんな晴れやかな顔をしてるの! もう、織斑先生にこってり絞ってもらうからね! 」
「私が絞るのは一夏のだけだ!! 」
「何言ってるんですか先生」
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<海水浴場、彰久視点>
臨海学校のメインと言えば、海水浴。
共学であれば普段とは違う女子の水着姿にドキドキしたりと初心な男子諸君は大勢いるだろう。
だが残念だったな男子諸君よ!!
俺の場合はほぼ女子校に紛れているようなもんだからもう楽園だ!!
更衣室で一夏と共に水着に着替えると、そこでは既に泳いでいる生徒がちらほら確認できる。
「しっかしお前……その格好変態にしか見えないな」
「海パンネクタイのどこが変態なんだよ! れっきとした紳士の正装じゃねーか! 」
「全部ダメだよ! しかもお前余計にムキムキだからより変態に写るんだっつーの! 」
「貴様ぁーっ! 俺のブラザー達を愚弄するとはいい度胸だ! 喰らえ、ダブルバイセップス! 」
「うっ、余計に暑苦しいし迫ってきてウザい! 」
肩のブラザー達(筋肉)を一夏に見せびらかしつつ彼との距離を詰めると、案の定はっ倒されて砂浜に身体を打ち付けることに。
俺は砂浜の熱さに飛び上がり、思わず声を上げてしまった。
「もう、彰久さんったらドジなんですから。ほら、大丈夫でして? 」
「せ、セシリア……」
前方には青いパレオを身に着けたビキニ姿のセシリアが見え、さすがの変態紳士もこれには反応せずにはいられない。
確実に顔が赤くなってるなコレ。
空気を読んだのか一夏はオレンジ色の水着を着た鈴ちゃんと共に海へと走り出している。
あの野郎……こんな時にいい仕事しやがって……!
「どうしましたの? 顔が赤くなっていましてよ? 」
「い、いやぁ……その……。見とれてたって言うか……」
「ッ!? す、少し派手すぎました……? 」
「ぜ、全然! むしろ似合ってる! 」
慌てて彼女のフォローをすると、お互いの間に気まずい空気が流れた。
しかもセシリアの背後にニヤニヤしつつこっちを見る鈴ちゃんと一夏がいる。
あいつらは後で筋肉押しつぶしの刑に処そう。
「あ、彰久さんの方もなかなかお似合いでしてよ! というかすごい筋肉ですわね」
「こういう風に女の子と海水浴へ来ることを想定して鍛え続けてたらこうなっちゃった」
「そ、そうですのね……。あ、そういえば彰久さんに用があったんですの」
「むむ? なんぞや? 」
なんとか持ち直しつつ俺は彼女に俺のブラザー達を見せるとセシリアは少し引いたような表情を見せる。
少し残念そうな顔をする二人を俺は一瞥した。
「日焼け止め、塗って頂けません? 背中とか塗れてなくって……」
「そ、ソーププレイッ!? ぜひやらせて頂きます!! 」
「一文字も合ってませんの」
「えぇー……期待してたのにー」
セシリアは自分の荷物が置いてあるパラソルまで俺を連れていくと、さっそく背中をこちらに向け始める。
お、おおおおおおっぱいが地面に……!!
ひたすら煩悩を心の中で取り払うと俺は目をつむって手に日焼け止めを馴染ませた。
おちつけ……落ち着くんだ草薙彰久……。
あれはメロン……そうだメロンだ……。
「い、いくぞセシリア……ハァハァ……」
「はい、どうぞ」
「そおいッ!! 」
「ひゃうっ!? 」
「す、すまんセシリア! 煩悩を取り払おうと目をつむったら変なとこに……! 」
「そこふくらはぎですの」
「ふくらはぎかよ」
自分の心眼というものに嫌気がさすぜ……。
ラッキースケベでお尻とかいきたかったのによぉ……。
まあ煩悩丸出しなのは言うまでもない。
「あーっ! あっきーがハァハァ言いながらセシリアに迫ってるー! 」
「なんやと!? 止めるんや彰久ーっ! お袋さんが泣いとるでー! 」
すごく語弊のある言い方だが実際はたから見たらただの変態なのには変わりないのは事実。
けど今回だけは本当に誤解なんだけどね……。
変態紳士は誤解されやすいのである。
「違うって! セシリアが日焼け止め塗ってほしいって言うからそれ手伝ってたんだよ! 」
「今回ばかりはそうですわ。現にわたくしは何もされていません」
「あ、そうなん? ごめんなぁ彰久、疑ったりして」
「早とちりだったね、ごめんあっきー……」
「はっはっは! 何、気にすることはない。疑われるのは慣れてるからな」
「そっか。まあええわ、今みんなでビーチバレーしようって言うてるんや。彰久たちも来いへん? 」
黒いショートパンツと黄色のビキニを来た真琴ちゃんはビーチボール片手に向こうの砂浜を指差すと、パラソルの下にいる俺とセシリアに手を差し出した。
背中を屈めているせいか普段の巨乳がより一層強調され、思わず俺はそっちに視線がいく。
真琴ちゃんが可愛すぎて俺のサテライトキャノンも暴発しそうである。
「お、いいね。行く行く。セシリアはどうするんだ? 」
「もちろんですわ! 英国流の真髄、ご覧にいれましょう! 」
「決まりだねー。こっちだよー」
「みんなー! セシリア達もやるらしいでー! 」
二人の後をついて行くと本格的なネットが砂浜の上に設置されており、そこには千冬さんも水着姿で参加していた。
抜群なプロポーションを惜しげもなく見せつける彼女に対して、俺のガーベラストレートも覚醒して150ガーベラになってしまいそうである。
それにシャルとかラウラもいるな。
「お、彰久も来たのだな! これでまさに百人力だ! 」
「俺に任せておけ! サイドトライセップス! 」
「うわ、草薙君の筋肉すごい。というかキモい」
「すごーいあっきー! ピクピク動いてるー! 」
静寐ちゃんの口から放たれた衝撃の一言により俺の心はブロークン寸前であったが、無邪気な本音ちゃんの笑顔によってなんとか保つことができた。
せっかく女の子に見せる為に鍛えてきたのにキモいはないぜ……。
メンバーも集まったことなので早速試合を始めることに。
俺のチームにはラウラ、真琴ちゃん、本音ちゃん、セシリア、清香ちゃんといった面子だ。
一方相手は一夏、千冬さん、鈴ちゃん、箒ちゃん、シャル、静寐ちゃんという強者揃いである。
なぜかノリノリで千冬さんが一夏のチームへいった時は目を疑ったが、そういや彼女は重度のブラコンだったので納得。
「行くぞ貴様ら、手加減はなしだ」
千冬さんのサーブから始まるので全体の緊張感が一気に増す。
どこぞの超次元サッカーみたくボールに炎とか纏ったりしないといいんだが。
「ふんッ!! 」
「きゃあっ!? 」
「やっぱ炎纏ってんのかよ!! それなんてイナズマイレb……たわらばっ!! 」
「あ、彰久ぁーっ!? 」
フラグ完遂と言わんばかりに千冬さんは強烈なサーブを放ち、ラウラが間一髪で避けたもののその後ろにいた俺に直撃した。
そんなんだから彼氏できないんだよ千冬さん……。
脳裏には今までの記憶がゆっくりと映し出される。
これが……走馬灯ってやつか……。
鈍い音を立てて、俺の身体は砂浜の上に倒れる。
そのまま俺は千冬さんに真耶先生のところまで運ばれ、彼女の膝の上で眠ったのであった。
超次元バレーボールとは言わずもがな。
千冬さんがもう取り返しのつかないキャラになってしまいました。
計画通り。