ちょっとスノボーしてて更新遅れましたごめんなさい。
今回は会長の初登場です。
<月曜日、生徒会室前>
先週の土曜日から二日後のことである。
無事水着を買い終えた俺達はいつものように憂鬱な月曜日を迎えていた。
まあ俺レベルの変態紳士になれば月曜日も眼鏡美少女に擬人化して暖かく迎えることができるのだが、彼らは未だにそのレベルに到達していない為に憂鬱なんだろう。
そうして授業を終えること6時間後、帰りのホームルームで真耶先生から「生徒会室から呼び出しがあった」という伝言を伝えられた。
なんか一夏がからかうようににやけ顔をこっちに向けてきたので変態神拳奥義の一つである"千年殺し"によって彼を地に伏しさせてから生徒会室へ向かい、今に至る。
多分ここ1週間はケツの激痛で悶えるだろうなあいつ。
「すいませーん、呼び出された草薙ですけど……」
「はーい、入ってちょうだーい」
「生徒会室」と書かれた扉をノックすると、声からしてかわいい女の子の声が聞こえてきたので興奮しつつ俺は入室した。
そこには長い机が部屋の真ん中を囲むように4つ置かれ、左側にはカチューシャをつけた眼鏡ポニーテールの女の子、右側にはすやすやと眠る本音ちゃん、そして真ん中には生徒会長らしき人物が俺を迎える。
たまんねぇ……。
なんて最高な光景なんだ……。
生徒会長の子はなんだか妖艶な雰囲気を醸し出しており、ボブカットの水色ヘアーとのギャップがたまらなくいい。
プロポーションも抜群とか完璧じゃないか……。
一方眼鏡をかけたポニテの子はお姉ちゃんぽい雰囲気と共に真面目そうな感じが伝わってくる。
きっと家庭的でデートの時とかに水筒を持ってきてくれたりするんだろうな……。
そんなことを妄想しつつ一人悦に入っていると会長の子が俺との距離を詰める。
まさかいきなりキスとかしてくれるとかいうエロゲ展開に……!?
「あなたが噂に聞く草薙くんね。へぇ、なかなかいい男じゃない」
「ふふふ、貴女も俺の溢れ出る魅力に気づいてしまいましたか……。さあ、胸に飛び込んできてもいいんですよ? 」
「んで性格がすべてを台無しにしてるってのも合ってるわね。うふふ」
「い、痛いところを突かれましたね……」
むむぅ、さすが生徒会長だけあってなかなか侮れないな。
しかも今気付いたけど制服のリボンが違うから先輩だったのね、胸ばっかり見てて気付かなかったわ。
隣では口元に手を当てながらメガネの子がくすくすと笑っている。
「それじゃ自己紹介でもしておこうかしらね。私は更識 楯無。現IS学園生徒会長を務めているわ。一応学年はあなた達の一個上だけど、そこまで気にしなくてもいいから」
「私の名前は布仏 虚(のほとけ うつほ)、ここの生徒会の会計を担当しています。よろしくね、草薙君」
「"布仏"……もしや本音ちゃんのお姉さんとか? 」
「その通り。本音は私の妹で、ここの生徒会の書記よ。こういう風にいつも寝ちゃってるから、あまり生徒会の人間とは思われないけどね」
どうやら二人とも先輩だったようで、危うくため口を使うところだった俺は内心ほっと息を吐いた。
正直な話ここの学園の先輩とはあまり縁がなかったので、こういう知り合いが増えるのは有難いことである。
「知ってるとは思いますが、草薙彰久です。今日は会長に呼び出されたと聞いてここに来ました。えっと、よろしくお願いします」
「はい、よろしく。んじゃ早速本題に入ろうかしらね」
念のために自己紹介を返しておくと、楯無さんはどこからともなく取り出した扇子を口元に広げる。
そこには"本題"と記されており、なんとも機能的な扇子だ。
「今の生徒会、実を言うと人手不足でね。今のところ3人しかいなくてさ、結構仕事も多いのよね」
「なるほど、そこで俺に生徒会に入ってくれってわけですか」
「そうそう。理解の早い子はお姉さん好きよ」
「あ、じゃ今すぐ結婚します? 」
「うふふ。そうね、詐欺られてもいいなら」
「極悪人じゃねーか」
そんなサラッと犯罪予告しないで欲しい。
俺の中の夢がぶち壊れるんだけど。
だがちょっと悪戯っぽく笑う会長がかわいすぎたのでもうなんかどうでもよくなった。
会長レベル高くないかオイ。
「まあ、そういう事なら任せてくださいよ! こう見えても俺、中学時代は生徒会の役員してたんで結構自信あるんですよ! 」
「へぇ、草薙君って意外に真面目なのね」
「話は決まりかな。これからあなたは生徒会の"書記補佐"として役職に就いてもらいます。今日はもう仕事ないから、明日からよろしく頼むわ」
「それじゃあ草薙君の歓迎会も含めて紅茶淹れてくるわね。ほら本音、起きなさい。あなたも紅茶飲むでしょ? 」
「うにぃ~……って、あれ~? なんで生徒会にあっきーがいるの? 痴漢しに来たの? 」
「なんで俺が来てると性犯罪に結びつくの!? 違うよ!? 会長に呼び出されて生徒会に入ったんだよ! 」
普段の言動と行動からそう思われても仕方ないとは思うが、本当に邪な気持ちはない。
いや本当だよ?
生徒会に入ってアニメみたくハーレム形成だなんて一片も思ってないからね?
「おぉ~、あっきーも生徒会の仲間入りだね! お姉ちゃん、早速紅茶プリーズ! 」
「はいはい。今準備するから待っててね」
ようやく起きた本音ちゃんは虚さんに紅茶を要求すると、渋々準備を始める。
口では仕方ないように言っているが、本当はノリノリで淹れてくれている彼女にちょっと萌えたのは秘密。
こうして俺の歓迎会と称して開かれたお茶会は夜まで続いた。
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<深夜、ドイツ国領・秘密軍事工場>
時は進み、ドイツ国内の現在時刻は深夜1時である。
束の開発した専用IS"オーバーフラッグ"を纏ったグレイスは、彼女から課された任務を遂行する為にこの工場へと潜入していた。
世間には公表されていない場所であるので、セキュリティはより一層固く、一人で潜入するのは無謀とされているが、彼女はこれをこなしてみせたのである。
オーバーフラッグのカラーリングが黒く夜の帳に溶け込んでいたというものあるが、サーチライトの包囲網をくぐって侵入したのはグレイスの腕の高さが伺えるだろう。
「こちらグレイス・エーカー、作戦ポイントに到達。指示を求む」
『オッケー、そこから二階に上がって。"VTシステム"を開発している機械はそこの研究室にあるはずだから、"オーバーフラッグ"の攻撃で壊してほしいんだ』
「敵に見つかった場合は? 」
『殺してはいけないよ。無力化してくれればいい』
「了解した。これより任務に移る」
『危険だと思ったらすぐに離脱してね』
束からの指示を仰ぐと、グレイスは音を潜めながら二階へと上がる。
途中見張り番の兵士がいたが、それも難なく気絶させることができた。
そうして目的の研究室に到着するグレイス。
そこには衝撃の光景が広がっていた。
「なんだ……これは……!? 」
彼女が目にしたのはちょうど"VTシステム"が開発されている場面である。
年端もいかない少女を実験台に拘束し、悶え苦しむ様子に表情一つ変えない研究者たちが群がるその悲惨な光景に、思わずグレイスは感情を露わにした。
許せない。
こんな人非道的なことが秘密裏に隠され、のうのうと実験を繰り返すこの研究者たちが。
引き金を引くのは簡単だった。
だが銃口を向ける先はそれを生み出す機械。
「堪忍袋の緒が切れた……。許さんぞっ!! 」
悲鳴を上げて逃げ出す研究者たちを一瞥すると、グレイスは真っ先に実験台となっていた少女の元へ向かう。
生きているかどうか確認すると、まだ息はあるようだ。
救ってみせる、何としても。
この少女を。
一通り"VTシステム"を開発していた機械を破壊し終えると、今度は"オーバーフラッグ"のメインカメラにロックオン警告が表示されていた。
どうやら軍の人間がISを持ち出してきたようである。
窓から飛び出し、深い林の中へ助けだした少女を隠しておくと、グレイスは利き腕である左手にリニアライフルを具現化させた。
こちらの存在に気付いたのか、異変に気づいて駆けつけたドイツのIS"シュヴァルツェア・ツヴァイク"を纏った兵士が肩に携えたレールカノンを数発放つ。
素早く飛行形態に移行し、その攻撃を避けると、牽制としてリニアライフルの左右の銃口から威力の低いプラズマ弾を連射させた。
無論の事牽制なので命中率は低いが、反撃として"シュヴァルツェア・ツヴァイク"は背中のリアアーマーから幾多のワイヤーブレードを発射する。
「人呼んで、グレイススペシャルッ!! 」
ワイヤーブレードを避けつつ距離を詰めたところで"オーバーフラッグ"は飛行形態から通常の形態に空中変形すると、右手に青色のプラズマソードを展開させてそのまま敵のプラズマ手刀と鍔競り合った。
空中変形に有するGもそのまま勢いに換算しているので、相当な重力がグレイスの身体に掛かる。
だがこれこそ彼女の必殺技でもあった。
段々と押し負けているのに気がついたグレイスは、敢えてプラズマソードを握る力を弱めて相手の体制を崩す。
そのまま膝蹴りを腹部にお見舞いし、そのまま蹴り上げたところをリニアライフルの高威力プラズマ弾で追撃した。
一応武装は非殺傷に設定してあるものの、相手にはなかなかのダメージがいったはず。
殺しにかかってきている以上、彼女も手加減というものはできない。
「束、これより合流ポイントへと向かう。それと施設内にいた少女も保護した」
『あいあいさー、無事に戻ってきてね。作戦は帰るまでが作戦だよー? 』
「分かっている」
敵を無力化したことを確認したグレイスは、素早く少女を隠していた場所へ戻り、そのまま抱きかかえてドイツの秘密軍事工場があった場所を後にする。
こうして、グレイスの"初任務"は成功を告げたのであった。
というわけでグレイススペシャルしちゃいました。
語感が悪いですが見逃してください。