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<土曜日、学園校門前>
いよいよやってきたこの土曜日。
前から一夏と計画していた臨海学校の水着を買う為、俺達はセシリア達全員を誘って学園の校門前で待ち合わせていた。
無論の事この俺草薙彰久は、みんなの水着(野郎は除く)がどんなものかを想像して寝たら息子がビルドアップしてしまったせいで寝れず、こうして真っ先に集合場所に来ている。
そんなことよりも昨日夢に出てきた紐水着姿のセシリアが忘れられん!
思い出したらまた息子が月光蝶してきたっ!
「あんた朝から股間抑えて何してんのよ」
「あっ、龍じょ……鈴ちゃんじゃないか」
「テメェ今"龍驤"って言いかけたろコラ」
「ごめんつい似てたから! 」
そう言いつついつもの鮮やかな蹴りを俺にお見舞いする鈴ちゃん。
今日はピンクか、鈴ちゃんらしい可愛らしい色だ。
というか艦これあんまり知らないんだけどね。
鈴ちゃんイジろうと思ってググったらなんか出てきたわけよ。
「おはよう……って早速彰久が地面に伏しているんだが」
「ラウラおはよー。こいつがまな板だのなんだの言ってくるからね」
「む、人の体型に関して言うのはめっ!だぞ彰久」
(何今のむっちゃ可愛いんだけど)
倒れている俺にムッとした表情を見せてから人差し指で俺のおでこを小突くラウラを見て、思わず俺の息子が天元突破する。
彼女の私服も可愛いもので、黒を基調としたワンピースを着ていた。
うむ、まさしくシンプルイズベスト。
思わず下を覗きたくなった。
「ぐ、ぐふっ……。鈴ちゃん、謝るから許してくれ……」
「ったくもう、あんたは本当に懲りないわねー。ほら、立てる? 」
「あ、ありがとう鈴ちゃん……」
「あんな事しなきゃあたしもこんな真似しないわよ。ま、彰久に限ってそりゃ無理だろうけど」
「おーい、みんなー! 」
鈴ちゃんの肩を借りつつ立ち上がると、学園の校内から真琴ちゃんたちが手を降ってこちらへと走ってきている。
どうやら集合場所へ向かう際に合流したようで、セシリアや箒ちゃんたちの姿も確認出来た。
だが、その中に一夏の姿はない。
こりゃ遅刻確定っぽいな。
「ふいー、時間ギリギリやったね」
「はあはあ……な、なんとか間に合いましたわ……」
「ぜぇぜぇ……って、あれ? 一夏の姿が見当たらないけど……」
「あいつは"寝坊した、今すぐ準備する"だそうだ」
箒ちゃんが彼からの伝言を伝えると、一斉に俺達はため息を吐く。
まあいつもの事だが、さすがに女の子を待たせるというのも変態紳士としては許せない行為だ。
しかし箒ちゃんも随分と準備がいい。
きっと一夏が遅刻することを予測してあらかじめ連絡していたのだろう。
「なーにやってんだかなぁ、あのアホ。ったく、女の子と待ち合わせしてるのにも関わらず遅刻たぁいい度胸だぜ」
「その心がけはいいと思うけど地面に伏したままじゃ締まらないね彰久」
「ふっ、ロマンを求める時にはこういう事もあるのさ」
「おお! さすが彰久は言う事が違う! 」
「ラウラ、そこ関心するところじゃないから」
なぜ鈴ちゃんに張り倒されたままでいるのか……。
説明しよう!
それはこのまま地面に倒れていれば合法的にみんなのスカートの中をのぞけるからである!!
ショートパンツを穿いているシャルや真琴ちゃんのパンツがどんな色なのかを確認できないのが痛いが、セシリアや箒ちゃんのを見れるのは有難い。
ぐふふ……今日の草薙彰久は一味違うぜ……。
一通りスカートの中の桃源郷を見終えると、俺は私服についた汚れを払いつつ立ち上がった。
今回はエマさんに消されないようにプロテクトもしてあるので勝手に削除される心配もない。
まあ削除したところで俺の目と脳裏には焼き付いているんだがな!
「彰久、ここ汚れてるよ? ほら、肩のところ」
「お、サンキューシャル。悪いな」
「えへへ、気にしないで」
「……なんでそんないけ好かない顔しとるんやセシリア? 」
「……真琴さんこそ、なんでそんな悔しそうなお顔を? 」
私服の肩のところをシャルが撫で、見落していた汚れを払い落としてくれた。
まるでカップルそのもののようだが、この光景を見て真琴ちゃんとセシリアがちょっと悔しがっているのも見物である。
「ふっ、ようこそ。私達の世界へ」
「最初から出ているヒロインというのも辛いからな……。どれ、私が話し相手になろう」
「ちょっとなんですのその同情の目は」
「まるでウチらが不遇ヒロインみたいな感じやんか」
「せ、精神的な攻撃はやめてよ……」
「そ、そうだそうだ! 」
なんだかセシリア達の方が騒がしいが、まあ隣でニコニコしてるシャルがかわいいからいいかな。
ラウラはラウラでなんかやっててかわいい。
そんな中、大急ぎで校門へと向かってくる一人の男の姿が。
多分あれが一夏だろう。
「はぁ、はぁ……。わ、悪い……。寝坊しちゃって……あはは」
「おわー、寝癖すごいで一夏くん。そんな慌てんでもええのに」
「さすがに何分も待たせるわけにもいかないしな。ほんと悪い」
「ま、まあ分かればいいのよ! それよりほら、アンタ身だしなみ整えなさいよ」
「お、おう」
寝癖と乱れた服装を揺らしながら一夏は俺たちの元へと走ってきた。
まあ遊ぶ時はいつも遅れてきてたし、俺の方は問題ないんだがな。
鈴ちゃんが一夏の身だしなみを整えると恥ずかしそうに彼女は俯く。
おそらく新婚夫婦みたいなどという妄想でもしたんだろうな。
ちなみに俺は老後まで妄想済みである。
「そんじゃまあ、全員揃ったみたいだし行くとしますか」
「はい! 彰久さん、エスコートして下さいね! 」
「はっはっは! 女の子のエスコートならいくらでも歓迎だ! 」
「ほんならウチもー♪ 」
先陣を切って集団の先頭を歩き始めると、俺の両肩を真琴ちゃんとセシリアが掴んできた。
両腕の幸せな感触ににやける顔を抑えつつ、俺達は目的地である大型のショッピングセンターへと向かう。
この生殺し……正直たまんねぇな!!
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<都内某所、ムラ〇キスポーツ>
学園の最寄りの駅から約数十分、俺達は大型ショッピングセンターの中にあるム〇サキスポーツで現在水着を吟味している最中である。
まあ男二人が女の子をこんなにはべらせているもんだから当然いい視線は浴びないんだがな。
ふふふ、嫉妬なんてこの変態紳士には通じんッ!
「彰久、何悩んでんのー? 」
「おお鈴ちゃん、このピンクのブーメランパンツを頭に被って"それは私のお稲荷さんだ"ってやるか紳士スタイルにあやかって海パンネクタイやるか迷っていたんだ」
「どっちも限りなくアウトよ」
「えぇー」
といったようにどんなコンセプトで水着を買うかまだ決まっていないのだ。
むむぅ、普通の海パンじゃつまらないから海パン刑事辺りをリスペクトするか。
「まあいいや。ね、彰久。あたしにはどっちが似合うと思う? 」
「紐」
「てめえ馬鹿にしてんのか」
胸倉を掴まれて脅されたので仕方なく真面目に鈴ちゃんの似合う水着を選ぶことに。
そりゃあ紐水着はダイナマイトボディな真耶先生とかセシリア辺りが似合うと思うが鈴ちゃんもギャップがあってなかなかいいと思ったのになぁ。
そうして彼女の水着を探していると、何やら電話で相談しているラウラの姿が目に入る。
会話からしてクラさんからのようだ。
「スク水と言われても……ここには置いてないようだが」
『いや、おそらくドン・キホーテ辺りで売っています! きっと隊長にはスクール水着がお似合いになるかと私の中のガイアが囁いているんですよ! あとニーソもセットですよ』
「む、むぅ……そうか」
「すまんラウラ、電話貸してくれ」
「あっ、ちょっと彰久!? 」
さすがに臨海学校でスク水を推進するのは許せん。
我慢できなくなった俺はラウラに断ってから、クラさんとの通話に割り込んだ。
「もしもし、クラさんか」
『その声は……草薙彰久!? どうしてここに!? 』
「俺の一緒に見に来ていてな。まあそれはいい、臨海学校にスク水とは納得がいかんな」
『で、ですが隊長が一番似合うのはその水着だと思って……』
「お、珍しく彰久がまともなこと言ってるわね」
「さすが彰久だ、いい指摘をしてくれるな」
受話器越しから伝わってくるクラさんの落ち込んだ声。
だが俺はスク水がいけないなんて一言も言ってはいない。
「ラウラに似合うのは白スク水に白ニーソだろうが!!! 」
『はっ……!? 見落していた……!? 』
「あ、いつもの彰久だわコレ」
「期待した私が愚かだった……」
なんか女の子からの評価が上がってから下がった気がするが、俺は構わず白スク水の魅力を熱弁する。
銀髪美少女には白ニーソと白スク水だと相場が決まっておろう。
「確かにスク水はいい。女の子の魅力的なボディラインが際限なく現れ、眩しい素肌をも目にできるという至高の一品だ。だがな、その子の髪質や色によって合う水着の色というのは変わってくるんだ!! 」
『草薙彰久……私が間違っていました。貴方の考えが正しい。隊長に是非白スク水を勧めてください』
「あぁ。またな、クラさん」
そう言いつつ俺は電話を切り、ラウラに返す。
若干場が騒然としているが、変態紳士はうろたえない。
「というわけでラウラ、ぜひ白スク水を着てくれ」
「絶対に嫌だ」
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<同刻、篠ノ之束の輸送機内>
その頃、ドイツの秘密軍事工場を目的地に一機の黒い輸送機が太平洋上空を駆け抜けていた。
それに搭乗するのは篠ノ之束と、彼女の手によって救い出された一人のパイロットである。
救い出されたパイロットの名は"グレイス・エーカー"。
生粋のアメリカ軍人である彼女は、元々ISの操縦者であり国の任務で失敗を犯して死にかけていたところを偶然束に助けてもらったのであった。
まさに幸運ともいえるが、これ以降からグレイスは束に感謝の念を抱いて行動を共にするようになる。
そうして今に至る訳だ。
「束。私の専用機とやらはどうなっている? 」
「もう完成ー! 待たせたねグーちゃん! 」
「早いな。見事な対応だ、プレジデント」
「ふっふっふ、束さんに不可能はないからね~。ま、とりあえず見せるからこっち来てよ」
救出されてから僅か数週間でグレイスの怪我は全治し、こうして普通に生活することができている。
任務の失敗で大破してしまったISはこうして束の手によって修復・改造されられており、ようやくグレイスとその機体が再会を果たそうとしていた。
束に連れていかれるがままに、彼女は輸送機の格納庫へと向かう。
目隠しをされながらも、その格納庫には何かがあることをグレイスは察知していた。
「ほいっ! 目を開けてもいいよ! 」
「こ、これは……! 」
まるでステルス爆撃機を思わせるような造形に、グレイスは感嘆の声を上げる。
彼女は元々ミリタリー系のオタクであり、このような戦闘機などは大好物なのだ。
軍に入ったのもそういった理由からである。
黒いカラーリングに、細身の手足。
コンパクトに可変されたその機体の名は。
「これがグーちゃんの専用可変型IS、"オーバーフラッグ"だよ」
「オーバー……フラッグ……」
そのスタイリッシュな機体を一撫ですると、感応するように"オーバーフラッグ"が青く光り出す。
一瞬で彼女の身に装着し、瞬く間にISの展開状態になった。
背中に取り付けられた四枚の翼が展開し、グレイスの顔をヘルメットのようなバイザーが覆う。
目の前には鮮明に辺りの景色が見え、正常に作動していることを確認した。
「装備を確認してみて。最新鋭のリニアライフルと"ソニックブレイド"っていうプラズマソードが二本搭載されてるはずだよ」
「こうか? 」
そう言った瞬間グレイスの左手には黒い剣のようなライフル、右手には黒いナイフが握られている。
このリニアライフルは銃口が三門あり、中央の銃口が強力な威力を持つが連射できない弾丸を撃ち出し、左右の銃口が威力は弱いが連射可能な弾丸を吐き出すことができるものだ。
まだ最適化していないのにも関わらず、こうしてすぐに武装を展開できるのもグレイスの技量の高さを表している。
「最適化は済んだ? 」
「あぁ。随分と早いものだ」
「ふふ、グーちゃんとその子の相性がいいのかもね。早速で悪いんだけど、グーちゃん達にはある任務を遂行してほしいんだ」
「ほう、その任務とは? 」
「WICで禁止されている"VTシステム"を製造・開発しているドイツの秘密軍事工場の破壊。勿論死人は出さずにね」
「……無理難題を言うな、君は」
生粋の軍人である彼女がうろたえるのも無理はない。
秘密軍事工場なんてものは、国からのプロテクトが特に厳しく警備も厚い。
それを破壊してくれなんて頼むのも無茶苦茶である。
だが、グレイスはニヤリと笑った。
「しかし。そんな道理、私の無理でこじ開ける。作戦実行日は? 」
「今日の深夜を狙う。それまでに最適化しておいて」
「了解した」
そう言うと、束も意地悪そうな笑みを浮かべつつその場を立ち去る。
グレイスがそう言うと分かっていたのだろう。
「では束。こいつを動かしに行ってくるとしよう」
「うん、いってらっしゃい」
「グレイス・エーカー、オーバーフラッグ、出現する! 」
黒い翼が、青空へと飛び立った。
というわけでライバルの可変機はオーバーフラッグに軍配が上がりました。
王道ですね。
それとグレイスさんは完璧にあの方の女体化と思っていただければと。
容姿とか髪型は結構違いますが。